当院の透析業務における ヒヤリ・ハット事例 泉ヶ丘クリニック 透析室 早坂 信幸 「ヒヤリ・ハット事例」の定義 患者に被害を及ぼすことはなかったが、日常診療 の現場で、“ヒヤリ”としたり、“ハット”した経験を有 する事例。 ほとんどがエラーを未然、直前に発見しえた事例、 あるいはエラーはあっても患者の傷害につながら なっかた事例であり、「インシデント事例」とも呼ば れている。 事例1 薬剤の間違い (1)定期・臨時注射を施行しなかった。 原因 ①準備のし忘れ。 ②施行者の見落とし。 (2)単位・量または薬剤名の間違い。 原因 ①準備段階での見間違い。 ②施工時の確認不十分。 その後の対応 注射器に薬剤名・患者名を明記したシールを作成し、貼っている。 終了時に血圧測定をした者(主にチェッカー)が声がけをする。 事例2 ダイアライザーと血液回路 の接続ミス ダイアライザーと血液回路の接続がゆるく、接続部から漏血した。 原因 ①プライミング時の締め付けが甘かった。 ②透析開始前後の点検が不十分だった。 ③熱による回路のゆるみの発生。 その後の対応 透析開始前後の点検を強化している。 透析開始2時間後、もう一度、締め付け確認をしている。 事例3 血液回路と延長チュー ブの接続ミス 患者が食事をしようと起き上がったときに静脈ラインの接続が外 れ、出血した。 原因 ①接続が甘かった。 ②血液回路と延長チューブの不適合。 その後の対応 接続を強化するよう心がける。 透析中、体動の激しい患者の抑制及び観察の強化。 メーカーへ連絡し、改善を促している。 事例4 転倒 透析中に便意があり透析中断。 患者は独歩にてトイレへと向かったが、途中で転倒した。 原因 起立性低血圧による立ち眩み。 その後の対応 透析中に便意がある場合は、トイレまで車椅子でスタッフが 送り迎えしている。 事例5 除水誤差 透析中食事をとらない患者でも引き過ぎや引き残しが生じ た。 原因 ①透析前後における体重測定のミス。 ②車椅子の重さが間違っていた。 ③機器類の故障。 その後の対策 透析前におかしいと思われる患者を測定しなおしている。 車椅子の重さは、こまめに計測している。 機器類は3年に一度の割合で整備・点検を行っている。 事例6 血液ポンプの停止 透析中、血液ポンプが停止した。 原因 ①バッテリー駆動をさせたためバッテリーが消耗した。 ②生理食塩水をこぼしてしまい漏電し、ブレーカーが落ち た。 その後の対策 通常はバッテリー駆動させない。 せいる生理食塩水をこぼさないように注意している。 事例7 濃度異常による透析液 供給装置の停止 透析中、濃度異常によって透析液供給装置が停止した。 原因 ①原液ラインのシリコンホースを踏んでしまった。 ②バイカーボ原液タンクが空になってしまった。 その後の対応 配管を束ねたり、装置の裏側や下を通すなどの工夫をしている。 バイカーボ原液タンクにレベル低下警報機を作成し、設置した。
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