名詞修飾節の解釈 - Generative Grammar as an Empirical

名詞修飾節の解釈
個体記述型・事態記述型・理由供給型の違いについて
用語について
• 中身の詰まった スイカ を 買ってきた。
「中身の詰まった」が名詞修飾節、
「スイカ」が被修飾名詞、
「買ってきた」が述語。
述語が複数の語によって成り立つときは述部と表現する。
※今回扱う修飾節は動詞の連体形を主要部とするもの。
この論文の主張
名詞修飾節の機能は2つしかない。
・ 名詞の属性、状態を述べる。
・ そうでなければ、主節の理由となるものを供給する。
いずれの役割も果たさない場合は、違和感を生じる
文となる。
• 現在まで、名詞修飾節が関係を持つのは直後の名
詞(被修飾名詞)のみとされていた。
修飾節
名詞
述語。
• しかし、名詞修飾節の内容が主節の述語(述部)と
関係を持つ場合がある。
被修飾名詞のみと関係を持つケース
• 中身の詰まった スイカ を 買ってきた。
この場合「中身の詰まった」という修飾節は名詞「スイ
カ」を修飾しているが、このとき修飾節は名詞が何者で
あるか、どんなものであるかを明らかにする働きをして
いる。
具体的には、買ってきたスイカが中身の詰まったもので
あるということを明らかにしている。
述部と関係を持つケース
「かかる名詞が何者か明らかにする働き」を持たない例
? うちの近くに住んでいる副島先生がバナナの皮を踏んだ。
ok うちの近くに住んでいる副島先生は
昨晩の火事に驚いただろう。
ok 前を見ずに走っていた副島先生がバナナの皮を踏んだ。
ok うちの近くに住んでいる副島先生は
昨晩の火事に驚いただろう。
ok 前を見ずに走っていた副島先生がバナナの皮を踏んだ。
? うちの近くに住んでいる副島先生がバナナの皮を踏んだ。
修飾節が、かかる名詞を何者であるかを明らかにする働
きをしていない場合、修飾節が主節(の述部)の理由にあたる
ものを供給している必要がある。
→理由供給型
述部が理由を要求するケース
? ユミは写真に大笑いした。
ok ユミはトモエが男装している写真に大笑いした。
? トモエの部屋に大事そうに飾ってあったので、
ユミは写真に大笑いした。
ok トモエの部屋に写真が大事そうに飾ってあっ
たので、ユミは大笑いした。
・ 「(名詞)に+動詞」が述部となる文では、理由が示さ
れないと違和感を生じる場合がある。
・ 理由を示す場合、「(名詞)に」と理由が離れてはいけ
ない。
修飾節
名詞
述語。
理由を供給するように、述部から
働きかける場合もある。
名詞修飾節と述部の関係
修飾節
名詞
述語。
名詞修飾節が主節(の述部)の理由にあたるものを供給する
だけでなく、述部のほうから理由を要求される場合もある、相
互的な関係ということができる。
個体記述型と事態記述型
名詞修飾節の働きの「属性、状態を述べる」について
•
•
→属性(個体の性質)を述べるもの
→状態(個体の事態)を述べるもの
この2つに分けることが出来る。
前者が個体記述型で、後者が事態記述型である。
・ よく弾むボールを買ってきて。
(ボールがどんな性質のものであるか明らかにしている)
・ 廊下を走っている生徒を叱りつけた。
(生徒がどんな状況にあるか明らかにしている)
・ おいしい水が飲める熊本県に住みたい。
(住みたい理由を提示している)
このように、名詞修飾節の解釈には
個体記述型、事態記述型、理由供給型の
3通りの解釈が存在することがわかる。
主張(改めて…)
名詞修飾節の機能は2つしかない。
個体・事態記述型
・ 名詞の属性、状態を述べる。
・ そうでなければ、主節の理由となるものを供給する。
理由供給型
• 現在まで、名詞修飾節が関係を持つのは直後の名
詞(被修飾名詞)のみとされていた。
個体・事態記述型
修飾節
名詞
述語。
理由供給型
• しかし、理由供給型では、名詞修飾節の内容が主
節の述語(述部)と関係を持つ。
名詞修飾節の解釈
個体記述型・事態記述型・理由供給型の違いについて
以上です。
ありがとうございました。