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アストロメトリ研究会
2007年9月19日
「JASMINE:位置天文観測衛星計画」
矢野太平(国立天文台):20分
郷田直輝、小林行泰、辻本拓司、菅沼正洋、新井宏二、上田暁俊、中島 紀、宮
崎 聡、高遠徳尚、宮内良子(国立天文台)、山田良透(京大理)、川勝康弘、松原
英雄(ISAS/JAXA)、野田篤司、對木淳夫、歌島昌由、今村俊介、今村裕志 (SE推
進室/JAXA)、杉田寛之、佐藤洋一、宇都宮真、安田進、大谷祟、川井洋志(総技
研本部/JAXA)、中須賀真一、酒匂信匡(東大工)、丹羽佳人(京大・国立天文台)、
山内雅浩(東大理)、他JASMINEワーキンググループ
JASMINEとは
Japan Astrometry Satellite Mission for Infrared Exploration
赤外線位置天文観測衛星
赤外線(z-band:0.9μm)にて、我々の銀河系(特にバルジ)の星の位置、年
周視差、固有運動をz=14magで10μasクラスの精度で測定する。
10年後、衛星打上を目標
JASMINEの観測原理
原理 三角測量-最も信頼性のある距離測定方法
JASMINE観測領域
観測領域 バルジ方向(銀経±10°銀緯±5°)、
10 kpcにわたり、高精度に距離を測定
目的
国際天文基準座標系(ICRS)に準拠した、
位置精度 7μas
年周視差 10μas
固有運動 2.5μas / yr
の銀河系バルジ領域カタログを提供。
これをもとに、
銀河系の力学構造
重力場ポテンシャル
Φ(q)
全重力物質位相分布関数 f (q, p)
⇒詳細 上田氏
その他、
重力レンズ、 恒星進化、 連星、 系外惑星
JASMINEが計画されるまでの経緯
1990年世界で初めてHipparcos衛星により、スペースからの位置天文観測をおこない、
地上での観測(0.1~0.03秒角)から1~2桁の精度向上(1mas)となった。
天文学全般に大きな影響を与える。位置天文観測の重要性再認識。
大きな飛躍ではあったが、高精度
に位置測定できたのはわずか
100pcにすぎない。
次世代の高精度位置天文観測が
計画される。ヨーロッパでGAIA、
アメリカでSIM、OBSSが計画され、
日本でもJASMINEが計画される。
JASMINE観測手法
バルジ観測に特化した方法
HipparcosやGAIAなどの衛星は大角度離れた2方向を同時観測し2方向を含む大円を
サーベイ観測する手法である。
JASMINE観測手法
バルジ観測に特化した方法
HipparcosやGAIAなどの衛星は大角度離れた2方向を同時観測し2方向を含む大円を
サーベイ観測する手法である。
⇒JASMINEはHipparcosやGAIAなどの全天サーベイ型衛星ではないので、観測手法とし
て、大円サーベイ型衛星とする事ができない。
⇒ 新しい方法
観測手法(1/4)
連結法
バルジの観測領域を撮像フレーム(小フレーム)で埋め尽くし、隣り合うフレームを
共有する領域の星をたよりに無矛盾に連結する方法(アストロメトリの非常識!)
バルジには非常に多くの星が存在し、うまく連結できる。
観測手法(2/4)
手順
1.撮像フレーム(小フレーム)内の星の相対位置関係(星像中心)を求める
2.観測領域内で隙間無く撮像し、大きな領域(観測領域:大フレーム)を作る
観測手法(3/4)
手順
3.この大きな領域(大フレーム)をミッション期間にわたり撮像つづけ大フレーム
を104枚程度取得
4.全データ(大フレーム 104枚程度)から、星の位置、年周視差、固有運動をパ
ラメータ化して解く。その際、QSOの情報を最大限利用。
位置
⇒年周視差
固有運動
観測手法(4/4)
QSO
観測領域内にQSOがあればその情報を最大限利用する事によりシステムに対
する要求を下げる事が出来る。
JASMINEの観測領域に最低1つQSOが存在。候補天体は10天体以上存在する
(住氏提供)。
JASMINEの観測領域
光学系
超高精度アストロメトリのため、長焦点かつ広視野の光学系を必要とする。
光学系
口径
焦点距離
視野
改良Korsch(3枚鏡)
75cm
22.5m
0.6×0.6[deg]
検出器
完全空乏型
裏面照射CCD
ピクセル数 2K×2K
ピクセルサイズ 15μm
検出器個数 8×8
この他、off-axis光学系も
検討中
熱解析(1/2)
目標精度での位置天文観測を行なうために、衛星ミッション部が熱的に安定であ
る事が要求される。
[今年度6月より2週に1回ペースで、JAXA (SE推進室/JAXA)、(総技研本部/JAXA)、
(ISAS/JAXA)と集中検討を行なっているが、熱解析は最重要課題として取り組んでいる。]
1.熱源
ミッション部に与える熱源として、主に、太陽熱入力、バス部熱入力ある。そのうち、太陽熱
入力の変動が光学系の熱環境に大きな影響を与える。
⇒この外部熱入力変動を抑えるため、外部との熱を断ち切ることで熱変動量も小さくなり、
要求を満たす事が出来る。
熱解析(2/2)
2.維持温度
ミッション部の維持温度に関して、低温にすると、熱容量が小さくなる一方で、膨張率も小さ
くなり、膨張率の効果が熱容量の効果を上回り、低温にするほど安定化する方向に働く。
3.低温での膨張率
低温ほど、膨張率は小さくなる。ただし、十分低温での膨張率は測定
困難であり、信頼性のあるデータがない。低温で膨張率が
下げ止まると変動量は増加
いずれにしても50K~75K程度までは低温に
した方が変動量は小さい。
⇒検出器温度管理の問題
(CCDは170K程度で維持)
CCDの熱的遮断?
Kバンド検出器?
エラーバジェット
年周視差10μas達成するため、
最終位置決定精度7μasを要求
さらにこの7μasを
ランダム誤差 5μas
フォトンノイズ
セントロイド誤差
連結誤差
…
系統誤差
に配分
5μas
大フレーム歪み
…
セントロイド実験
高精度に星の位置を求める事は重要課題の一つである。
ILOMグループとともに、星像中心決定の実験にとりくんでいる。
これまでの実験で、~300分の1ピクセル程度の精度
更に、強いdistortionのある画像のもとでも~150分の1ピクセル程度の精度
で位置決定
JASMINEジオメトリモニター
光学系モニター
熱入力変動などによるミッション部(光学系部)の拡大縮小、及び歪みが許容範
囲内であるかをモニターする事により、目標精度の位置天文観測が出来るように
する。
ヘテロダイン型マッハチェンダー干渉計による長さ測定
(レンジが広い、ミスアライメントに強い。キャビティーを用いない。)
主鏡副鏡間(Thickness, tilt, decenter)
検出器面拡大縮小
変形が許容範囲であるかのチェックをおこなう。
⇒詳細 丹羽氏
Nano-JASMINE計画
口径5cm重さ10kg程度の超小型衛星を用いて、スペースで初めてCCDを用いた
位置天文観測を行い、Hipparcosとおなじ手法で星までの距離測定を行なう。
全て順調に成功すれば、Hipparcos衛星に迫る精度(1mas)で年周視差を観測し、
Hipparcosのデータと組み合わせる事でHipparcosを上回る精度の固有運動が
得られる。
超小型衛星に実績のある東大中須賀研と共同開発をおこなっており、 2009年打
上予定。
⇒詳細 菅沼氏
体制
プロジェクトリーダー 郷田直輝
JASMINE検討室
小林行泰 辻本拓司 菅沼正洋 矢野太平
併任メンバー
河野宣之、花田英雄、荒木博志、鶴田誠逸、
浅利一善、田澤誠一、野田寛大、高遠徳尚
院生
丹羽佳人(京大・国立天文台)、山内雅浩(東大理)
協力メンバー
中島 紀、 宮崎 聡 宮内良子(国立天文台)
山田良透(京大理)
新井宏二、上田暁俊(国立天文台)
システム検討
ISAS/JAXA
SE推進室/JAXA
総技研本部/JAXA
川勝康弘、松原英雄、
野田篤司、對木淳夫、歌島昌由、今村俊介、今村裕志
杉田寛之、佐藤洋一、宇都宮真、安田進、大谷祟、川井洋志
Nano-JASMINE
中須賀真一、酒匂信匡(東大工)、他
終わり