地球惑星科学II 比較惑星学

地球惑星科学II
比較惑星学
北海道大学・環境科学院
藤原正智
http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/
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比較惑星学
• 惑星の素顔
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地球の特徴・特異性(番外編として「地球進化史」をwebに)
水星
金星、金星の大気現象
火星、生命の存在?
小惑星帯とはやぶさ
木星、土星、オーロラ
天王星、海王星、冥王星、 惑星の定義
• 系外惑星の話
• 月の話
参考文献(全体)
・「太陽系と惑星」小森長生著(新版地学教育講座12)、東海大学出版会
・「地球惑星科学入門」第31章・第32章
・「地学図表」
(地球進化史については、 「地球惑星科学入門」 第II部、特に第14・16・17章)
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太陽系の構造
・公転方向全て同じ。太陽自転方向に一致
・軌道面はほぼ同一平面上
・円に近い楕円軌道
・木星が最大(“太陽になれなかった星”)の惑星
・火星より内側:地球型惑星
・木星より外側:木星型惑星
・火星・木星間に小惑星帯
・カイパーベルト(彗星帯)
(40~100AU付近)
・オールト雲(彗星の巣)
の仮説
(1万~10万AU付近)
AU:天文単位(地球と太陽との平均
的な距離である約1.5億km)
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[全て、地学図表より]
地球ーその特徴・特異性
・巨大な衛星、月、の存在(地球の0.27倍)
・磁場の存在:液体金属の存在、磁気圏の形成(大気散逸の阻止)
・可視域で青(大気の存在)と白(H2Oの雲の存在)-太陽光の散乱
・気温の高度分布:中層に気温極大層オゾン(O3)の存在酸素の存在
・大気組成:主成分はN2とO2、主要な温室効果気体としてH2O、CO2、O3
・地形:いくつかの大陸といくつかの海洋プレートテクトニクス(マントル対流)
・海の存在大気中のH2O凝結(1気圧で100℃以下)、CO2が溶け地殻中へ送られる(「地球進化史」)
・生命の存在/人類の存在
酸素の存在
可視光や電波の放射
人工衛星
他には??
右上:http://antwrp.gsfc.nasa.gov
/apod/archivepix.html
右下:小倉、一般気象学(東京大学出版会)
左・中央:地学図表
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水星
・大きさ: 地球の0.4倍(月は0.27倍)
・軌道の離心率、黄道面に対する傾斜角、いずれも冥王星に次いで大きい
・公転周期88日、自転周期58.65日(=88x2/3…“尽数関係”)
・弱い磁場を持つ(地球の1%)
・大気がなく、地表温は昼に430℃、夜に-170℃ (地球の場合、大気からの熱放射が二倍+熱輸送)
・水星の探査: 1973~1975 米国 マリナー10号
(3回の水星接近により半球程度分の地形写真撮影)情報がまだまだ少ない
[地学図表より]
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金星
公転: ほぼ円軌道、周期224.7日。太陽からの距離0.72天文単位。
自転: 周期243.02日で公転と逆向き。自転軸の傾き2度
金星の1日(1昼夜)は116.8日
(金星と地球の会合周期は584日(金星の5日分)内合時いつも同じ面)
紫外線画像
(雲層上部)
パイオニア・ビーナス
1978打ち上げ(米)
半径は地球の0.949倍。(地球の兄弟星)
マントルと核の比率は地球と同程度であろう。
固体核が形成されているかは不明。
磁場の強さは地球の10万分の1(自転周期からみて当然か)
プレートテクトニクスは存在しない(火山分布一様)
分厚い大気を持つ。主成分はCO2(96.5%)、
他にN2(3.5%)、H2O(0.1%)
地表気圧90気圧(地球では海底900mの水圧に対応)
地表気温420~485℃(CO2による温室効果)
硫酸(H2SO4)を主とする分厚い雲に覆われている
(金星対流圏上部高度50km付近、厚さ10km)
硫酸の雨は高度30kmあたりで蒸発してしまう
近赤外線画像
(雲層下部)
ガリレオ(木星探査機)
1989打ち上げ(米)
金星“フライバイ”時
電波画像(地形)
マゼラン
1989打ち上げ(米)
・微惑星衝突時代、H2O、CO2、N2等外部から供給される。
SO2は火山起源か。金星と地球で違いはほとんどなかったはず。
・地球と金星の違いは、太陽からの距離のわずかな違い海ができるかできないか +自転速度
地球の場合、海が出来たため、CO2は海中に溶けたのち石灰岩化。
金星の場合、海が出来ず(あるいは一時期存在したがのちに全て蒸発(暴走温室効果))、また、
磁場が弱いため、H2Oは大気上空で光解離し、Hは大気圏外へ逃散、Oは地表や大気を酸化、消滅。
写真は全て http://seds.lpl.arizona.edu/nineplanets/nineplanets/venus.html より
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金星
金星の気温・東西風の高度分布
日本の金星探査ミッション(JAXA)
“Planet-C”=“あかつき”
スーパーローテーション
(超回転/雲パターンの4日循環)
自転が遅いにも関わらず、
自転方向に100m/sにも
達する高速の風が吹いている。
(地面の60倍の速さ)
粘性・地表摩擦に抗するだけの
角運動量の供給源が不明
cf. 地球の赤道成層圏の
準二年振動
[図は、金星探査計画提案書(2001)
およびそのパンフレットより]
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あかつきの年表
2010.5.21: 種子島宇宙センターより打ち上げ
2010.12.7: 金星周回軌道投入
推進系不具合により失敗
2011.9: エンジンのテスト噴射. . .
2011.11現在: 金星軌道付近を金星より先に航行中
2015/6: あかつき、再び金星と会合
あかつき搭載カメラによる金星の画像
(左から、紫外、近赤外、中間赤外) 提供:JAXA
http://www.stp.isas.jaxa.jp/venus/index.html
金星上空のあかつき(想像図)
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火星
公転: 周期687日(約2年)。太陽からの距離1.38~1.67天文単位。
(ケプラー、楕円軌道であること発見)
自転: 周期24時間37分。自転軸の傾き25度(地球に似る)
半径は地球の0.533倍。
マントルと核の比率は地球と同程度であろう。
液体核は薄く、大部分が固体となっていると思われる。
磁場の強さは地球の500~1000分の1(液体核の薄さか)
2つの衛星(フォボス、ダイモス)を持つ
西端:タルシス三山
中央:マリネリス峡谷
南部:ソリス平原
北部:アキダリア平原
オリンポス火山
(タルシス西方)
表面地形の特徴:北半球に大平原、南半球にクレーター密集地帯
多くの火山が存在:オリンポス山(高さ25km、直径600km、火口70km)
(cf. 地球最大の火山はハワイ島(海底からの高さ9km、直径200km))
大峡谷、溝状谷地形(過去にプレートテクトニクス、大洪水(温暖な気候))
極冠:両極に存在。下層が氷(H2O)、上層がドライアイス(CO2)。その季節
変化が地表気圧変動の主因 (なお、氷は永久凍土の形で全域に存在か)
希薄な大気を持つ。主成分はCO2(95.3%)、
他にN2(2.7%)など。H2O(0.03%)
地表気圧0.007~0.01気圧(地球では中部成層圏35kmに対応)
地表気温-120~0℃(赤道の昼~極の夜)―温室効果効かない
氷晶やドライアイスの雲
砂嵐(大黄雲)―時期によっては火星をほぼ覆いつくす
南極冠
(塵による温室効果が風を強め、ますます塵を舞い上がらせる正のフィードバック)
写真は全て http://seds.lpl.arizona.edu/nineplanets/nineplanets/mars.html より
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火星
「火星には生命・知性が存在するのか」
19世紀末、スキャパレリ(伊):火星表面に「カナリ」(溝、運河)発見
1894年、ローウェル(米):私設天文台。「乾燥化の進む火星で生き残りをかけて火星人が運河を築いた」仮説
火星研究、小説、映画の発展
1960年以降、ソ連、米国が多くの火星探査機を投入(なぜか失敗が多い。日本のPlanet-B(のぞみ)も失敗。)
1976年、ヴァイキング1号、2号(米):着陸し、土壌サンプルの分析。微生物の存在は不明瞭。
1996/1999年、NASAの研究者、火星からの隕石の分析によりバクテリアの痕跡を発見、と発表
「火星移住計画(Mars Direct)」(ロバート・ズブリン、“テラフォーミング”)
「顔面岩」(1976ヴァイキング2001マーズ・グローバルサーベイヤー:分解能の悪さが原因か)
Mars Pathfinder、Sojourner
1997年7月4日着陸
・大気圏突入・降下・着陸システムの試験
・岩石の化学組成
近い将来、サンプルリターン計画(岩石・土壌を
地球へ持ち帰り詳細に分析)
[National Geographic 1998.8号(日本版)]
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火星に水の流れが存在している手がかりが得ら
れたと、米アリゾナ大学などのチームが発表した。米航空
宇宙局(NASA)の探査機が季節ごとに撮影した地表面
の画像に、春から夏にだけ現れる「筋」のようなものが写っ
ていた。チームは「塩類を含んだ水の流れと解釈するのが
最も妥当」と説明している。
5日付の米科学誌サイエンスに論文が掲載された。
火星に液体の水があれば、微生物などが存在している
可能性が高まる。NASAのボールデン長官も「火星に生
命が存在するかどうかの決着に向けて前進した」と語った。
火星の「筋」は、探査機「マーズ・リコネッサンス・オービ
ター」が撮影した。急な坂となっている複数の地点で見つ
かった。幅0.5~5メートル、長さ数百メートルで、岩と見
られる部分を迂回(うかい)して進路を変えたり、平らな部
分にたどりつくまでに消えてしまったりしているという。1地
点で100本から1千本に上った。
朝日新聞2011年8月5日
冬から春先にかけての画像。地表に「筋」は写っていない
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初夏のころの画像。細い「筋」が現れ始めている
真夏のころの地表。いくつもの「筋」が、くっきりと現れている
小惑星帯・イトカワ・はやぶさ
小惑星帯:
• 火星と木星の間にある小惑星が集中している領域。
特にメインベルトとも呼ばれる。
• 太陽系形成期に、木星の強い重力のため集積できず
惑星になれなかった小惑星群
• 従って、太陽系形成期の状態を保っていると考えられる
• もしも、小惑星の表面の岩石等を、探査機によって
地球に持ち帰り(“サンプルリターン”)、詳細に調べること
ができれば、太陽系形成期の情報が得られることになる
http://spaceinfo.jaxa.jp/
イトカワ:
イトカワ
水星
太陽
金星
火星
地球
• 1998年:米国の研究プロジェクトにより発見
• 2003年:ITOKAWAと命名(MUSES-C/はやぶさの探査対象と
なり、日本からの依頼により、米国から国際天文学連合に提案)
• 小惑星帯の内側に存在。地球接近小惑星のひとつ。地球・火星の
影響を受け、その軌道は不安定。長期予測困難(200年まで)。
地球との衝突確率は100万年に1回。”Space Guard”上重要。
糸川英夫:
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•
1912~1999、「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」
戦時中、中島飛行機(後の富士重工)にて戦闘機を開発(隼など)
戦後、東京大学にてロケット開発
1955: ペンシルロケットの水平発射実験、飛翔実験を行う 12
http://www.isas.ac.jp/j/snews/2005/1026.shtml
小惑星帯・イトカワ・はやぶさ
はやぶさの年表
http://edu.jaxa.jp/
着陸直前の実際の画像 ISAS/JAXA
• 2003.5:鹿児島宇宙空間観測所(現・内之浦宇宙
空間観測所)からM-Vロケット5号機で打ち上げ
• 2004.5:地球スイングバイ
• 2005.9:イトカワに到着(大きさ500m)
• 2005.11:イトカワへの着陸・離陸2回実施
• 2005.12:燃料漏れ・姿勢不安定化(みそすり
運動)・通信途絶(1ヶ月半)
• 2006.7:太陽光による輻射圧力を利用した新しい
姿勢制御を開始
• 2007.4:イオンエンジンに異常発生しながらも、
イトカワの軌道を離脱し、地球帰還に向けた
巡航運転開始  2010.6地球に帰還
着陸想像図 ISAS/JAXA ©池下章裕
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小惑星帯・イトカワ・はやぶさ
2010年6月
帰還カプセル(イトカワ着陸時に微粒子採取)を切り離し、
地球大気圏突入。カプセルはオーストラリアにて回収。
帰還したカプセルの状況を確認する。カプセル分離の時に使用した火薬が未発火
で残っている危険性などを考慮し、防護服を着用している。
「はやぶさ」が最後に撮影した地球。画面右側は
夜の部分で、縦線は画像の乱れである。
http://spaceinfo.jaxa.jp/
参考文献(たとえば):
吉田武「はやぶさー不死身の探査機と宇宙研の物語」幻冬舎新書
(糸川英夫の伝記含む)
別冊宝島1739NHKはやぶさ取材班「はやぶさの軌跡」
JAXA 小惑星探査機「はやぶさ」物語
http://spaceinfo.jaxa.jp/hayabusa/index.html
オーストラリアの南部ウーメラ地区にある砂漠に
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落下する。
木星 Jupiter ジュピター
公転: 比較的円に近い、周期11.86年。
太陽からの距離5.0~5.5天文単位。
自転: 周期9時間55分。自転軸の傾き3度
半径は地球の11.2倍。
(太陽系最大。質量が小さく太陽にはなれず)
主成分は水素。少量のヘリウム。内部は液体分子水素
+液体金属水素+岩石質の核(中心から2割の距離分)
磁場の強さは地球の4000倍。大規模な磁気圏を持つ。
大きな内部熱源を持つ。
(重力エネルギー、岩石核中の放射性元素、など?)
いわゆるガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)+多数
環を持つ(1979年ヴォイジャー1号発見)
大気の主成分は、H2(89%),He(11%)。
三層の雲。上からNH3、NH4SH、H2Oの雲。
乱流、渦の縞模様。
「大赤斑」:南緯22度に300年以上存在(1664カッシーニ発見)。
縦横14,000、26,000km(地球2個分)。高気圧性回転。
そのメカニズムとして孤立波(ソリトン)説有力。
http://seds.lpl.arizona.edu/nineplanets/nineplanets/jupiter.html より
(上)Hubble Space Telescope, 1995、(下)Voyager 1, 1979
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土星
公転: 比較的円に近い、周期29.46年。太陽からの距離約9~10天文単位。
自転: 周期10時間39分。自転軸の傾き26.7度
半径は地球の9.5倍。
主成分は水素。少量のヘリウム。内部は液体分子水素+液体金属水素+氷・岩石質の核(中心から3割の距離分)
磁場の強さは地球の1000倍。磁気圏を持つ。
大きな内部熱源を持つ。(重力エネルギー、岩石核中の放射性元素、など?)
衛星:タイタン(N2大気(1.5気圧)、数%のCH4。CH4の雲、雨。CH4の湖か海?) +多数
(2005.1.14、カッシーニ(欧・米)から放出されたホイヘンスがタイタンに着陸、大気測定、地表の写真)
大きな環を持つ(ガリレオは当初“2つのこぶ”と見た)
大気の主成分は、H2(94%),He(6%)。 三層の雲。上からNH3、NH4SH、H2Oの雲(木星と同様)。
http://seds.lpl.arizona.edu/nineplanets/nineplanets/jupiter.html より
(左)Voyager 2, 1981 (false color)、(右)Cassini, 2004
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土星
(NASA 2009年10月7日発表) “スピッツァー”赤外線宇宙望遠鏡にて、土星を囲む巨大な環
(従来のものよりはるかに大きい)を発見。衛星のひとつ“フェーベ”から供給された、氷やちり
の粒子だと考えられる。(太陽から遠く離れているので可視光望遠鏡でみるのは難しい。)
http://www.spitzer.caltech.edu/Media/releases/ssc2009-19/release.shtml
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木星と土星のオーロラ
木星オーロラの
衛星による
“footprint”
左端:イオ
中央:ガニメデ
下の二点:
エウロパ
土星オーロラは
地球同様太陽風
によるもの。
ただし紫外域で
しか見えない。
木星の場合は、衛星イオの火山噴火により放出された粒子がイオン化して木星
へ降り込んでいると考えられている。太陽風の寄与との大小関係はまだ不明。
[ハッブル宇宙望遠鏡の紫外光画像による木星と土星のオーロラ]
http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/
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天王星、海王星、冥王星
天王星と海王星: 木星型惑星とはいえ様相は異なる。赤道半径はいずれも地球の4倍弱。
内部は、岩石の核と氷のマントルか。大気はH2主体で少量のヘリウムだが、
上層にメタン(青緑色の原因)の雲(より低温のため)があり、下層にはH2Sの雲か。
自転軸の傾き:天97.9度、海27.8度。帯状循環が存在(星、緯度により向きは様々)
冥王星:カロンという衛星を伴う。赤道半径は地球の0.2倍。表面は窒素とメタンの氷。
自転軸の傾き120度。 2006年、「惑星」が再定義され、冥王星は「矮(小)惑星」に。
天王星
公転周期84年
18~20天文単位
自転周期0.72日(逆)
海王星
公転周期165年
30天文単位
自転周期0.67日(逆)
[Voyager 2, 1986]
[Voyager 2, 1989]
冥王星
公転周期248年
30~49天文単位
自転周期6.4日(逆)
カロン
公転自転ともに6.4日
(常に互いに同じ面)
[Hubble S. T.]
海王星の南半球
大暗斑(地球1個分、
1994(HST)には消えた?)、
“スクーター”(上昇雲?)、
小暗斑
(緯度により風速異なるため
これらが1枚の写真に入る
のは珍しい。)
[Voyager 2, 1989]
19
http://seds.lpl.arizona.edu/nineplanets/nineplanets/
冥王星と惑星の定義
[ニュートン2006.11]
2006年8月26日、国際天文学連合の総会にて、惑星の新しい定義が決まる
・ 惑星とは:水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つ
・ 他に、矮(小)惑星(惑星とは違い、「その軌道近くで他の天体を掃き散らしていない」)、
太陽系小天体(小惑星、トランス・ネプチュニアン天体(カイパーベルト天体)、彗星など)
・ 冥王星は、「トランス・ネプチュニアン天体の新しい種族の典型例」
1992年以降、次々とカイパーベルト天体発見される。
2003UB_313の発見 20
“第10惑星”の発見  惑星の数が際限なく増加する懸念  冥王星が惑星から外れる
系外惑星
系外惑星:太陽以外の恒星の周囲に存在する惑星
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1995年にはじめて発見されて以来、500個近くが発見されている(http://exoplanet.eu/)
観測手法:ドップラー法(恒星のふらつき)とトランジット法(恒星の減光)(直接検出は困難)
“エキセントリックプラネット”:軌道の離心率が大きい惑星
“ホットジュピター”:恒星近傍に位置する大質量木製型惑星
“スーパーアース”:地球の数倍の質量を持つ惑星
問題は?
生命が存在するか
我々は宇宙で唯一の存在か
生命に必須とされる
液体の水が存在する
気候条件を持つ惑星があるか
参考文献:
生駒大洋, JGL, 6(4), 2010
http://www2.jpgu.org/publication/jgl/JGL-Vol6-4.pdf
石渡正樹, 細氷, 2010
21
http://msj-hokkaido.jp/saihyo.html
月の話
月: 地球の唯一の衛星。地球の0.27倍の大きさ。地球から平均38万km(地球直径の30倍)。
公転周期27.32日、自転周期も等しい(つまり月はいつも(ほぼ)同じ面を地球に向けている)。
月の軌道面(白道)は地球の軌道面(黄道)に対して5度だけ傾いている
(一般に多くの衛星の軌道は中心惑星の赤道面内)。自転軸は黄道面にほぼ垂直。
[図は全て 小森長生、東海大学出版会、より]
潮汐摩擦: 地球の自転は年々遅くなっている(1日が長くなる)
同時に、月は3cm/年で遠ざかり公転運動加速
(4億年前は1日が短く1年が400日だった。)
内部構造: アポロ11号(1969)などにより設置された地震計
表面地形: 平坦な暗い地域(“海”、おもて側に多く、溶岩による
埋め立てにより形成された)、
クレーターの多い明るい地域(“陸”または“高地”)
火山説(内因説)より隕石衝突説(外因説)が有力
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月の起源
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分裂起源説(親子説)
地球形成初期の高温・高速自転時に遠心力により分裂(ジョージ・ダーウィンの説)
地球形成初期の高温時に小天体が衝突、自転が加速されて表層部が分離
二重惑星説(兄弟説)
ごく近い場所で同時に形成
捕獲説(他人説)
遠い場所で形成した月が、後に地球に捕獲された
巨大衝突説(現在最も有力な説)
[地学図表]
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まとめ ー 比較惑星学 ー
• 惑星の素顔
• 系外惑星の話
• 月の話
• 地球型惑星
– 水星(Mercury)
– 金星(Venus)
– 火星(Mars)
-翼のある使者-
-平和をもたらす者-
-戦いをもたらす者-
• 木星型惑星
–
–
–
–
–
•
•
•
木星(Jupiter)
-喜びをもたらす者-
土星(Saturn)
-老いをもたらす者-
天王星(Uranus) -魔術を使う者-
海王星(Neptune) -神秘なる者-
冥王星(Pluto) -1930年発見、2006年「惑星」から外れる-
Gustav Holst (英) “The Planets” 1914-1916(冥王星は当時発見されておらず)
冨田勲+Holst “Planets” 1977/2011(Moog Synthesizerによる4作目)
平原綾香 “ジュピター” 2003
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