緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として) 国立がんセンター東病院 臨床開発センター 精神腫瘍学開発部 小川朝生 緩和ケアチームの要請 • がん患者の97%が亡くなる一般病棟での緩 和ケアの普及・実践の必要性 • 2002年4月に緩和ケア医、精神科医、専従 看護師をコアメンバーとした「一般病棟に おける緩和ケアチーム診療加算」の実施 緩和チームの役割 終末期の緩和ケアだけではなく、 診断の時から始まる緩和ケアを 実践し、普及すること 診断 抗がん治療 緩和ケア 死亡 緩和ケアチームが提供すべきケア • • • • • • 身体症状マネジメント 精神症状マネジメント 患者の自己決定のサポート 周囲のサポート体制の評価 予後の評価 退院に向けたプランニングサポート (Weissman, 1997) 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 • • • • • 精神症状マネジメント 身体症状マネジメントの支援 チーム医療 教育 地域連携 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 精神症状マネジメント • • • • • • • • • せん妄・認知症の評価、マネージメント 不安・抑うつの評価、マネージメント 自殺の危険性の評価、対応 意思決定に際しての同意能力の評価 向精神薬の使用に関する助言、副作用管理 精神療法の提供 家族への援助 安楽死や自殺幇助の要請への対応 患者-医療者間の葛藤の解消 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 身体症状マネジメント支援 • 疼痛アセスメント • 鎮痛補助薬使用に関する助言 – 抗てんかん薬(gabapentin, carbamazepine, clonazepamなど) – 抗うつ薬(amitriptyline, amoxapine, など) • 制吐薬使用に関する助言 – prochlorperazine, haloperidol, olanzapineなど 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 チーム医療 • チーム・ビルディング – 職種間のコミュニケーションを促進 multidisciplinary からinterdisciplinaryへ – 医療スタッフ間の葛藤の解消 – 医療スタッフのメンタルヘルス維持(burn outへの 対応) – ケアの目標設定 • コミュニケーションスキル トレーニング 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 教育 • 精神症状関するスタッフへの知識の提供・教育 – 「精神症状」が存在することを伝える – 精神症状に関する知識の提供 「患者に何が起きているのか分からない」 「自殺、転倒、自傷行為のリスクが分からない不安」 – 向精神薬の薬効・効果に関する知識の提供・教育 「薬の反応が分からない不安」 – 見通しを伝える • ソーシャルサポートに関する知識の提供・教育 – 介護保険 緩和ケアチームにおける精神科医の役割 地域連携 • かかりつけ医を中心とした緩和医療の供給体 制の整備 • 在宅療養への移行を踏まえた精神症状マネ ジメントの地域連携 • 介護保険 • 地域ネットワークの整備 • 家族ケア・遺族ケア チームの立ち上げの工夫 • 現場のニーズに合わせたサービスの提供 – クライアントは患者、主治医、病棟看護師 – 敷居を下げる – 依頼方法を簡略化 – 「ご用聞き」も一つの方法 – スピーディな対応 – わかりやすい対応 – 柔軟な対応 – 継続的な回診、小回りのきくミーティング チーム立ち上げの工夫(2) • 宣伝 – 院内パンフレット、ポスター – 定期的な勉強会を開催 – スタッフが病棟に入り啓発活動 – 各診療科の回診、カンファへの参加
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