エンロン ~最も革新的と呼ばれた企業

エンロン
~最も革新的と呼ばれた企業
佐藤ゼミB
最も革新的と呼ばれた企業
エネルギー取引に金融工学を駆使
オンラインシステムによる画期的な取引
1999年
1998年~2000年
株価20ドル→90ドル
a
第
四4
四
七半
%期
増決
収算
経済誌「フォーチュン」番付
「最も革新的な企業」5年連続受賞
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最も革新的と呼ばれた企業の破綻
直前までの好決算報告
負債総額$400億
粉飾決済
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総合エネルギー商社・エンロン
パイプライン事業
天然ガス生産
規制緩和
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総
合
エ
ネ
エネルギー取引の
ル
仲介・デリバティブ
ギ
ー
商
社
発電事業
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第一章
規制緩和とエンロン
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天然ガス市場の規制緩和
<生産>
<輸送>
<配給>
パイプライン会社
地域会社
規制緩和以前
生産者
需要家
価格規制
• 価格規制による供給量不足
• 安定供給確保の為のTake or Pay契約
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Take or Pay契約とは?
• 生産者とパイプライン会社との契約
供給の有無に関わらず
最低限の支払いを保障
将来分の天然ガスまで
安定供給を保障
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天然ガス市場の規制緩和
<生産>
規制緩和以後
生産者
<輸送>
<配給>
パイプライン会社
(輸送のみ)
マーケター
(ブローカー)
地域会社
(輸送)
地域会社
(販売)
大規模
需要家
小規模
需要家
ガスの輸送、貯蔵、販売等の一括サービスの禁止
パイプライン会社の輸送業者化
パイプライン網の開放義務


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マーケター業務
小口販売
大口販売
井戸元
小口販売
需要家
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第二章
エンロンのビジネス
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第二章 エンロンのビジネス
• 2-1. デリバティブの誕生
– 誕生の経緯
• 2-2. デリバティブの種類
– 先渡し、先物取引
– オプション、スワップ取引
• 2-3. 天候デリバティブ
– エンロンが生み出した、革新的なビジネス
• 2-4. エンロン・オンライン
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2-2.
2-1. デリバティブの種類
デリバティブ
世界のデリバティブ取引残高
127.5兆ドル(2002年10月)
世界経済規模×4年分
価格の乱高下
価格を安定させたい
先 ンオ
ス
ワ
プ
ッ
シ
渡
いかに価格変動リスクを下げるか
プ
ョ
物 日本のデリバティブ取引残高
し
20.7兆ドル(2002年末)=GDPの6年分
先
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先渡し取引
今の価格で
三ヵ月後に
売っとくれ
(買っとくれ)
良かよ~
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オプション取引
良かよ~
売り手
やっぱ、
その権利、
使わんとくわ
売っておくれ
特定日に特定価格で
売買する権利
権利の代金
(プレミアム)
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買い手
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金利スワップ
金利が
下がる
かも
Aさん
Bさん
金利が
上がる
かも
スワップ契約
固定金利
変動金利
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2-3. 天候デリバティブ
コスト増
天 候
影響力
産 業
どれだけ天候によるリスクを回避できるか
収入減
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ロンドンの居酒屋チェーン店の契約
冷夏の場合、来客数の減少が顕著
一定額のプレミアムを支払う
6~9月の木・金の温度が
24℃以下なら支払い
居酒屋
ディーラー
1℃毎に£1万5千
ただし上限は10万ポンド
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降雨量を原資産とする天候デリバティブ
干ばつによる水不足はコスト負担が大きい
一定額のプレミアムを支払う
水力発電会社
サクラメント社
総合エネルギー商社
アキラ社
一定の降水量以下ならば、
足りない分の電力か、
電力を購入する資金を受け取る。
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どうやって、もうけているの?
支払
ディーラー
プレミアム=保険における保険金のようなもの
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天候デリバティブと保険の違い
天候不順による損失の、保険での補填は可能
ただし、天候と損失の因果関係を証明する必要
天候デリバティブは客観的データに基づき、
いくら補填するかを取り決める
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2-4. エンロン・オンライン
1999年11月29日、エンロンは、北米での
天然ガスをインターネット取引を開始
2000年初頭には、エンロンの
扱うほとんどの商品が取引された
1日500件以上の取引
売り上げベース、世界最大の
e-コマース・ビジネス
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エンロンの戦略
新規市場
天然ガス
金融工学
市場の創造
しかし・・・
e・ビジネス
天 候
規制緩和
電気通信
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エンロンのビジネスがもたらしたもの
まるで株のように
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第三章
史上最悪の破綻劇とその要因
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3-1. 不正会計の手法と破綻劇
2001年10月16日、第三四半期決算報告
の会見で1997年から2001年第二四半期
までの決算の修正を発表
– 水道会社アズリックスの評価損
:2億8700万ドル
– ブロードバンド事業のリストラに伴う損失
:1億8000万ドル
– 発電会社に対する投資契約の解除に伴う損失
:5億4400万ドル
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株価の暴落、そして破綻
破綻直前のエンロン株の推移
40
35
30
25
20
15
10
5
0
01/10/16
01/10/23
01/10/30
01/11/6
01/11/13
01/11/20
01/11/27
2001年12月2日、エンロン破綻
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不正会計の手法
設立資本はエンロン株
不良資産
エンロン
移 転Special Purpose Entity
(特別目的会社)
本来の損失を飛ばし、利益として計上
利益
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損失隠しはなぜ発覚したのか
SPEは総資本の3%以上の第三者から
の出資を集める事で非連結化
SPEは不良資産をエンロン株の含み益で吸収
株価が下落すると、含み益が減少。
不良資産を吸収できなくなり、SPEは破綻状態に
エンロン株で補填。そのため、3%ルール違反へ
2001年、ITバブル崩壊と
修正報告後の株価下落で
次々とSPEは破綻
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3-2. 不正会計の動機
コアビジネスとの関連
経営者のモラルハザード
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コアビジネスとの関連
エンロンのコアビジネス
ブローカー業務とデリバティブの販売
もし、赤字を計上すると・・・
エンロンの信用リスクに問題があるとして
これらの業務に支障をきたす
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経営者のモラルハザード
経営陣は多くの自社株や
ストックオプションを保有
株価を維持(もしくは上昇)させる
ことが経営の第一目標
不正行為(粉飾決済)による株価のつり上げ
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崩壊のスパイラル
コアビジネスと
経営者の利益の為に
赤字は許されない
損失の発生
成長の演出を
続けなければならない
SPEに
損失飛ばし
株価が下落すると
損失が露見
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終章
エンロンが残した課題
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エンロンの不正会計事件が投げかけるもの
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暴走を止められない取締役会
・・・
絶対的なCEO
取締役会
問題ない!
不当な利益を
上げたCFO



CEOが取締役員を兼務
事後承諾的な役割
監督機能の不全
監査法人は大丈夫と言った
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会計監査と利害衝突
コンサルティング業務
エンロンの不正に荷担
利
害
衝
突
エンロン
会計監査
エンロン破綻のあおりを
食らって、消滅
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サーベンス・オクスレー法
• ブッシュ政権は法制面からの立て直しに着手
– 7月には米企業会計改革法(2002年)を成立させた
• 主な留意事項は以下の通り
– CEOは財務諸表などの内容に間違いがないことを保証
する。何らかの不正があった場合は、罰金、または禁固
刑に処す
– 取締役会は、企業と利害関係がない独立取締役を中心
に組織する
– 監査法人による、監査を行っている企業に対するコンサ
ルティング業務提供を原則禁止する
– 監査法人を監視する、非営利の独立監視機関「Public
Company Accounting Oversight Board」を設置する
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ストックオプションの問題点
ストックオプションの本質
= 給与支払いの先送り
ストックオプションが社員に
どれだけ与えられているか不
明
権利が行使された時点で
必要な費用が不明
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課題とその現状
• 取締役会の監督機能を強化、
監督責任を厳格に求めるべき
• コンサルティング業務と
会計監査業務は分離すべき
→ 法的改善がなされ、一部企業ではそれに沿って
企業統治が見直され始めている
• ストックオプションを費用として計上すべき
→ 一部では採用されている(コカ・コーラ)が、
法的に義務づけられてはいない
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