エンロン ~最も革新的と呼ばれた企業 佐藤ゼミB 最も革新的と呼ばれた企業 エネルギー取引に金融工学を駆使 オンラインシステムによる画期的な取引 1999年 1998年~2000年 株価20ドル→90ドル a 第 四4 四 七半 %期 増決 収算 経済誌「フォーチュン」番付 「最も革新的な企業」5年連続受賞 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 2/36 最も革新的と呼ばれた企業の破綻 直前までの好決算報告 負債総額$400億 粉飾決済 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 3/36 総合エネルギー商社・エンロン パイプライン事業 天然ガス生産 規制緩和 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 総 合 エ ネ エネルギー取引の ル 仲介・デリバティブ ギ ー 商 社 発電事業 4/36 第一章 規制緩和とエンロン エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 5/36 天然ガス市場の規制緩和 <生産> <輸送> <配給> パイプライン会社 地域会社 規制緩和以前 生産者 需要家 価格規制 • 価格規制による供給量不足 • 安定供給確保の為のTake or Pay契約 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 6/36 Take or Pay契約とは? • 生産者とパイプライン会社との契約 供給の有無に関わらず 最低限の支払いを保障 将来分の天然ガスまで 安定供給を保障 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 7/36 天然ガス市場の規制緩和 <生産> 規制緩和以後 生産者 <輸送> <配給> パイプライン会社 (輸送のみ) マーケター (ブローカー) 地域会社 (輸送) 地域会社 (販売) 大規模 需要家 小規模 需要家 ガスの輸送、貯蔵、販売等の一括サービスの禁止 パイプライン会社の輸送業者化 パイプライン網の開放義務 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 8/36 マーケター業務 小口販売 大口販売 井戸元 小口販売 需要家 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 9/36 第二章 エンロンのビジネス エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 10/36 第二章 エンロンのビジネス • 2-1. デリバティブの誕生 – 誕生の経緯 • 2-2. デリバティブの種類 – 先渡し、先物取引 – オプション、スワップ取引 • 2-3. 天候デリバティブ – エンロンが生み出した、革新的なビジネス • 2-4. エンロン・オンライン エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 11/36 2-2. 2-1. デリバティブの種類 デリバティブ 世界のデリバティブ取引残高 127.5兆ドル(2002年10月) 世界経済規模×4年分 価格の乱高下 価格を安定させたい 先 ンオ ス ワ プ ッ シ 渡 いかに価格変動リスクを下げるか プ ョ 物 日本のデリバティブ取引残高 し 20.7兆ドル(2002年末)=GDPの6年分 先 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 12/36 先渡し取引 今の価格で 三ヵ月後に 売っとくれ (買っとくれ) 良かよ~ エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 13/36 オプション取引 良かよ~ 売り手 やっぱ、 その権利、 使わんとくわ 売っておくれ 特定日に特定価格で 売買する権利 権利の代金 (プレミアム) エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 買い手 14/36 金利スワップ 金利が 下がる かも Aさん Bさん 金利が 上がる かも スワップ契約 固定金利 変動金利 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 15/36 2-3. 天候デリバティブ コスト増 天 候 影響力 産 業 どれだけ天候によるリスクを回避できるか 収入減 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 16/36 ロンドンの居酒屋チェーン店の契約 冷夏の場合、来客数の減少が顕著 一定額のプレミアムを支払う 6~9月の木・金の温度が 24℃以下なら支払い 居酒屋 ディーラー 1℃毎に£1万5千 ただし上限は10万ポンド エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 17/36 降雨量を原資産とする天候デリバティブ 干ばつによる水不足はコスト負担が大きい 一定額のプレミアムを支払う 水力発電会社 サクラメント社 総合エネルギー商社 アキラ社 一定の降水量以下ならば、 足りない分の電力か、 電力を購入する資金を受け取る。 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 18/36 どうやって、もうけているの? 支払 ディーラー プレミアム=保険における保険金のようなもの エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 19/36 天候デリバティブと保険の違い 天候不順による損失の、保険での補填は可能 ただし、天候と損失の因果関係を証明する必要 天候デリバティブは客観的データに基づき、 いくら補填するかを取り決める エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 20/36 2-4. エンロン・オンライン 1999年11月29日、エンロンは、北米での 天然ガスをインターネット取引を開始 2000年初頭には、エンロンの 扱うほとんどの商品が取引された 1日500件以上の取引 売り上げベース、世界最大の e-コマース・ビジネス エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 21/36 エンロンの戦略 新規市場 天然ガス 金融工学 市場の創造 しかし・・・ e・ビジネス 天 候 規制緩和 電気通信 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 22/36 エンロンのビジネスがもたらしたもの まるで株のように エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 23/36 第三章 史上最悪の破綻劇とその要因 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 24/36 3-1. 不正会計の手法と破綻劇 2001年10月16日、第三四半期決算報告 の会見で1997年から2001年第二四半期 までの決算の修正を発表 – 水道会社アズリックスの評価損 :2億8700万ドル – ブロードバンド事業のリストラに伴う損失 :1億8000万ドル – 発電会社に対する投資契約の解除に伴う損失 :5億4400万ドル エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 25/36 株価の暴落、そして破綻 破綻直前のエンロン株の推移 40 35 30 25 20 15 10 5 0 01/10/16 01/10/23 01/10/30 01/11/6 01/11/13 01/11/20 01/11/27 2001年12月2日、エンロン破綻 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 26/36 不正会計の手法 設立資本はエンロン株 不良資産 エンロン 移 転Special Purpose Entity (特別目的会社) 本来の損失を飛ばし、利益として計上 利益 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 27/36 損失隠しはなぜ発覚したのか SPEは総資本の3%以上の第三者から の出資を集める事で非連結化 SPEは不良資産をエンロン株の含み益で吸収 株価が下落すると、含み益が減少。 不良資産を吸収できなくなり、SPEは破綻状態に エンロン株で補填。そのため、3%ルール違反へ 2001年、ITバブル崩壊と 修正報告後の株価下落で 次々とSPEは破綻 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 28/36 3-2. 不正会計の動機 コアビジネスとの関連 経営者のモラルハザード エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 29/36 コアビジネスとの関連 エンロンのコアビジネス ブローカー業務とデリバティブの販売 もし、赤字を計上すると・・・ エンロンの信用リスクに問題があるとして これらの業務に支障をきたす エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 30/36 経営者のモラルハザード 経営陣は多くの自社株や ストックオプションを保有 株価を維持(もしくは上昇)させる ことが経営の第一目標 不正行為(粉飾決済)による株価のつり上げ エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 31/36 崩壊のスパイラル コアビジネスと 経営者の利益の為に 赤字は許されない 損失の発生 成長の演出を 続けなければならない SPEに 損失飛ばし 株価が下落すると 損失が露見 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 32/36 終章 エンロンが残した課題 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 33/36 エンロンの不正会計事件が投げかけるもの エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 34/36 暴走を止められない取締役会 ・・・ 絶対的なCEO 取締役会 問題ない! 不当な利益を 上げたCFO CEOが取締役員を兼務 事後承諾的な役割 監督機能の不全 監査法人は大丈夫と言った エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 35/36 会計監査と利害衝突 コンサルティング業務 エンロンの不正に荷担 利 害 衝 突 エンロン 会計監査 エンロン破綻のあおりを 食らって、消滅 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 36/36 サーベンス・オクスレー法 • ブッシュ政権は法制面からの立て直しに着手 – 7月には米企業会計改革法(2002年)を成立させた • 主な留意事項は以下の通り – CEOは財務諸表などの内容に間違いがないことを保証 する。何らかの不正があった場合は、罰金、または禁固 刑に処す – 取締役会は、企業と利害関係がない独立取締役を中心 に組織する – 監査法人による、監査を行っている企業に対するコンサ ルティング業務提供を原則禁止する – 監査法人を監視する、非営利の独立監視機関「Public Company Accounting Oversight Board」を設置する エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 37/36 ストックオプションの問題点 ストックオプションの本質 = 給与支払いの先送り ストックオプションが社員に どれだけ与えられているか不 明 権利が行使された時点で 必要な費用が不明 エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 38/36 課題とその現状 • 取締役会の監督機能を強化、 監督責任を厳格に求めるべき • コンサルティング業務と 会計監査業務は分離すべき → 法的改善がなされ、一部企業ではそれに沿って 企業統治が見直され始めている • ストックオプションを費用として計上すべき → 一部では採用されている(コカ・コーラ)が、 法的に義務づけられてはいない エンロン~最も革新的と呼ばれた企業 39/36
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