AFM電圧印加による変化した有機単分子膜被覆シ リコンの変成と界面状態評価 ○韓 智元,一井 崇, 邑瀬 邦明,杉村 博之 京都大学大学院工学研究科 材料工学専攻 背景 ◇ Self-assembled monolayer(SAM):特別な制御なしに、厚さ約1-2 nm程度の超薄膜を 均一に形 成する ナノ構造を形成するために最適の材料である。 ◇ 走査型プローブ顕微鏡を用いて局所的に電圧を印加し、ナノスケールで加工。 ◇ 微細な酸化膜の生成の研究(エッチングマスク) ◇ 酸化膜の上に他の分子 を吸着させる研究 ◇ 分子の上にさらに分子を 吸着させる研究 FAS OTS NTS ODS Adv. Mater. 14 (2002) 524. Adv. Mater. 11 (1999) 55. ◇ しかし、SAMとSPMを用いて、印加電圧によってパターニングを行っているほとんどの 研究にお いて、電圧を印加した領域のSAMと基板の界面の変化について何の情報も得られ ていない。 目的 SAMとシリコン基板の間にシリコン 酸化膜が有る状態と無い状態 局所部分に電圧を印加 Lateral Force Microscopy (LFM) Kelvin probe Force Microscopy (KFM) Scanning Capacitance Microscopy (SCM) SAM状態と SAM / シリコン界面の状態 SAM試料の準備 ODS-SAM ◇ 形成したSAMの情報 ◇ 作製方法 ー 水滴接触角 : 103゜ ー 膜厚 : HD-SAM ◇ 形成したSAMの情報 ◇ 作製方法 1-Hexadecene CH2=CHC14H29 ー 水滴接触角 : 109゜ ー 膜厚 : 180 度、2時間 AFMパターニング AFM プローブ: Pt-Ir 両面コーティング、バネ定数 2.2 N/m、共振周波数 74 kHz ODS-SAMのパターニングの環境: 大気中(24 ˚C、35% RH) HD-SAMのパターニングの環境: 大気中(21 ˚C、42% RH) 測定方法 LFM KFM 表面摩擦の変化を測定。 表面の局所的な部分に蓄積された電荷の ドメインを測定。 SCM 絶縁膜と半導体間の界面の電荷の分布と局 所部分のキャパシタンスの変化を測定。 特定部分のキャパシタンスの変化、すなわ ちdc/dvを測定すれば、n-型シリコンのカー ブのピークは下凸となる。酸化膜または酸化 膜と半導体の間の界面に負電荷のトラップ が起ればdc/dvのピークは左側に移動する。 結果および考察 LFM KFM SCM ODS-SAMが 吸着した基板 9Vだけ酸化膜の 生成 すべての領域で電荷のトラップ HD-SAMが 吸着した基板 6Vから酸化膜の 生成 酸化膜がある部分のみ電荷のトラップ 結果および考察 ODS-SAMが 吸着した基板 印加電圧(1-8 V) (9 V) 印加電圧(1-5 V) (6-9 V) HD-SAMが 吸着した基板 LFM測定で、ODS-SAMとHD-SAMの膜厚差と酸化膜の有無によって、SAMの分解や酸化膜の 生成が起こる電圧に差が生じることがわかった。 KFM測定で、ODS-SAMが吸着された試料ではAFMプローブから注入された電荷がすべての領 域でトラップされたが、HD-SAMが吸着された試料では酸化膜が生成した部分でだけ電荷のト ラップが起った。 SCM測定で、酸化膜がなければ電荷のトラップが起らないことがわかった。KFMの結果でも同様 にODS-SAMとHD-SAMの両方の試料において酸化膜または酸化膜とSAMの界面に電荷のト ラップが起こると考えられる。 結果および考察 基準(0 V): 電圧を印加しない場合のdc/dvカーブのピーク 印加された電圧が大きくなるにつれてカーブ のピークが左に移動 1Vから5Vまでの電圧が印加された部分 のカーブのピークは0Vの場合とほとんど一致 酸化膜または酸化膜とSAMの界面に 負電荷がトラップ 酸化膜がなければ電荷のトラップが起らない まとめ LFM、KFM、SCMを用いて電圧が印加された部分のSAMおよびSAMと界面の変化を 観察した。 ODS-SAMとHD-SAMの膜厚差と酸化膜の有無によって、酸化膜の生成の電圧差が 起こることがわかった。 酸化膜がなければ電荷のトラップが起らないことがわかった。 KFMとSCMを用いることで、LFMだけではわからなかった電荷トラップ現象を検出でき た。このように、有機薄膜と半導体間の界面の電気的特性研究にKFMとSCMを用いる ことは重要である。
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