Chandra および XMM-Newton による 近傍銀河の大光度X線天体の観測 牧島一夫, 杉保昌彦(東大理), 久保田あや(宇宙研), 水野恒史(広大理) 「あすか」の重要な成果の1つ 『近傍銀河の腕に見られる大光度 (1039.5-40.5 erg/s) のX線点源 (ULX; Ultra-Luminous X-ray Souce)は〜 100M◎のブラックホールで、 Eddington 限界に近い質量降着が起きている』(文 献は予稿集を参照) ⇒ この独創的シナリオを、新世代の X 線衛星を用いて強化したい Chandraで見たNGC4038 2003/3/25 天文学会2003春 Chandra/XMM-Newton 公開データ (1)銀河の選定 Chandra ACIS の 2002年9月までに公開され、 距離 2~30 Mpc, 露光>5 ksec を満たす全NGC/IC 銀河 ・Chandra ⇒ 65銀河(E/S0 19、 渦巻39、Irr 7) ・Newton ⇒ 30銀河 (渦巻/Irr) (2)点源の検出 スペクトルの例 NGC2403 X-3 MCD fit Tin= 1.1 keV L= 2.0e39erg/s 「あすか」 (Kotoku et al. 2001)を再確認 > 2×1038 erg/s ⇒~1000点源 (3)スペクトル解析サンプル >800 cts,非SNR, pileup<10% ⇒ 〜50点源(すべて渦巻/Irr中) 2003/3/25 天文学会2003春 0.5 PL fit 1 2 3 Energy (keV) 5 2つの型のULX(明るい50天体) Power-Lawでのフィット 6 2.0 Reduced Chi-square 4 MCDが良く合う MCD型 PL型 2 1.5 0 1.0 38 39 40 logLX(0.5-10 keV) erg/s 区別不可 PLが良く合う ・ MCD型とPL型のULXが 0.5 ・ 0.5 1.0 1.5 2.0 ほぼ同数(16:18) 「あすか」では10:3 MCD モデルでのフィット ・光度分布は大差なし 2003/3/25 天文学会2003春 H-R図 (Aya plot) MCD型の天体 (降着円盤光度 Lx,内縁温度Tin ) ⇔(BH質量, Lbol/LE) L>1039 erg/s の天体は Tinが高く、見かけ上、 Lbol>LEの領域に来る。 39 Log Lbol △ Lbol □:「あすか」 =Chandra/Newton LE 40 □「あすか」 3衛星を合わせ~10個 の天体を複数回観測 → Rin≠一定の変動 38 「あすか」の結果を確認 (Mizuno et al. 2001) 0.3 2003/3/25 0.5 1 Tin (keV) 2 天文学会2003春 標準降着円盤と解釈 できる天体も発見 (NGC253 Source 1) 状態遷移 MCD 3衛星を通算して、5天体からMCD状態 ⇔ PL状態の遷移を検出 MCD型とPL型は、同じ種族の違う状態 個々の天体では、MCD状態の方が明るい ⇒「あすか」を追認(Kubota et al.2001) M81 X-9 PL 「あすか」 モデル Lbol =LE PL状態の光度 MCD N1313 Src B Newton PL データ 2003/3/25 Tin 〜 1 keV, L 〜 LE で状態遷移が起きる 天文学会2003春 銀河の型との相関(?) Chandraの全点源 サ ンプルの光度関数 E/S0 Sa〜Sbc Sc, Sd, Irr 12 9 X線スペクトルが決 まったULX MCD型 PL型 6 3 0 S0 Sa Sab Sb Sbc Sc Scd Sd Sm Ir 38 39 40 母銀河の形態 log Lx (0.5-10 keV) ULXの性質と母銀河の形態との間 には面白い相関がありそうだが、 選択バイアスは強いと思われる 2003/3/25 天文学会2003春 解釈とまとめ • MCD型のULXは、臨界降着率を超えた質量 降着のもと、BH周りに「スリム円盤」が 形成された状態 (Watarai et al.2001)。 • PL型のULXは、臨界降着率の付近で円盤に 強いComptonizationが生じ、スペクトル が硬くなった状態 (Kubota et al. 2001)。 • 「あすか」の提示した『ULXは降着率の高 い 数十〜100M◎のBH 』という描像が強化 された(Kubota, Done & Makishima 2002)。 2003/3/25 天文学会2003春
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