ブルウィップ効果 Bullwhip Effect

ブルウィップ効果
Bullwhip Effect
情報の歪み
 歪みの概念
– 歪み=真実ーα+β
– 歪みは情報伝達時に常に発生する。
• 例1:口コミ
– 棒で殴った→どうなった→頭を殴ったなら大変
– 棒で頭を殴ったらしい→病院にいったの?→当然救急車でしよう
• 例2:絵で動物を伝える
– 猫を見せる→トラに見えた→チータに見えた→しま馬に見えた
– 対策
• 対策1:真実を文書に書きこむ
– 5W1H
• 真実を取り巻く各種情報はどうするか?
• 対策2:解釈の権限を規定する
• 憲法解釈の問題
→オリジナル情報を共有すること!
 サプライチェーン上の情報の歪み
– お客さんの小売での購買データσ=1
– 小売から卸への発注情報
– 卸からメーカーへの発注情報
σ=10
σ=100
ブルフィップ効果
M
W
D
R
C
Bullwhip効果の発生原因
 現象発見
– Forrester のIndustrial Dynamics,1961
– Burbidgeの他段階情報流(multi-phaseing of the
information flow),1983
– Sterman (MIT)におけるビア-ゲーム,1989
– 日本の大学における教育,1989
• 生産計画における変動の増幅
 原因究明
– Stanford大学のHau L. Leeらの研究(1997)
• 本格的に原因を究明し,解決策を探求
 Forrester(1961)
– メーカーの需要変動 >> 小売の需要変動
– 複雑なサプライネットワーク
– 多様な変動要因
– 解決方法論として、システムダイナミックスを
提案(シミュレーションの一種)
 Burbidge (1983)
– Five golden rules to avoid bankruptcy
– 生産の不連続とsharp edgedの価値を強調
– 情報の寸断によるシステム制御の影響
 J.D.Sterman(1989)ビアゲーム
– ビルの小売、販社、工場における販売と受注
のゲーム
– 例:
• 一週間毎日需要10梱
• 次の週毎日需要15梱
• 小売、販社、工場の受注量の変動を観察する
在庫の変動
発注方式:発注店方式
時間
小売
0
卸の在庫
30,30,1
発注量
60,60,1
メーカーの在庫
50
70
70
1
10
40
2
10
30
3
10
50
100
4
10
40
100
5
10
30
6
10
50
70
7
10
40
70
8
10
30
9
10
50
100
10
10
40
100
11
15
25
12
15
40
13
15
25
14
15
40
15
15
25
16
15
40
17
15
25
18
15
40
19
15
25
20
15
40
21
15
25
30
30
30
30
40
卸の発注量
60
70
40
60
70
70
30
40
60
100
30
70
70
30
40
60
100
30
70
70
30
40
60
発注点、発注量、リードタイム
卸:30、30、1
メーカー:60,60,1
在庫の変動
120
100
小売
卸
メーカー
60
40
20
時間
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
在庫
80
卸の発注量を小売需要の2倍、
メーカーの発注量を卸発注量の2倍
小売
卸の在庫
メーカーの在庫
在庫の変動
140
120
80
60
40
20
時間
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
在庫
100
MRPロット編成問題
ロット編成: 2期まとめ方法
期
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
組立品
10
20
10
20
10
20
10
20
10
20
10
20
サブ組立品
30
0
30
0
30
0
30
0
30
0
30
0
部品1
60
0
0
0
60
0
0
0
60
0
0
0
ロット編成とブルウィップ効果
70
ロットサイズ
60
50
40
30
20
10
0
1
2
3
4
5
6
7
時間
8
9
10
11
12
Hau L. Leeらの研究(4つの原因)
 需要データの処理
– 需要予測と発注意思決定(標準偏差拡大)
 ロットサイズ
– 直列型,分枝型
 販促などによる価格変動
 売れ筋商品の取り合いゲーム
 需要データ処理(AR(1))
Dt  d  Dt 1   t
Yt  Dt  ( St  St 1 )
St  mt  k 
l 1
d
 (1   l 1 )
j
mt 
{(l  1)    } 
Dt
1 
1


j 1

1
(1   ) 2
k   1 (
l 1
 (1  
j 2
)
j 1
p
)
ph
 (1   l 1 )
Yt  Dt 
( Dt  Dt 1 )
1 
2  (1   l 1 )(1   l  2 ) 2
Var (Yt )  Var ( Dt ) 
 0
(1   )(1   ) 2
 最適意思決定とブルフィップ効果
① 需要のダイナミック変動
② 売れ筋商品の獲得ゲーム
③ ロットサイズ
④ 価格変動
① 需要のダイナミック変動
–
小売とデーラーからなる2段階のSCを考える.
equation1.pdf
② 売れ筋商品の獲得ゲーム
商品が足りないので生産者はある一定比率で各小売
の注文量に比例して配分するとしよう.これを分かっ
ている小売は100個を獲得するために120を注文する
など必要量以上に割増注文を行う.しかし,各小売に
おけるコスト構造はそれぞれ異なるので,
最適な注文量はそれぞれ異なり,従って,どれぐらい
の割増をすればよいかは,
やはり競合する小売の発注量を考慮して自分の最適
補充水準を求める必要がある.
これをモデル化すると小売$i$のコスト$C_i$は以下の
ようになる.
equation2.pdf
–
③ ロットサイズ発注
毎回の発注に固定費用がかかる場合には一定量のロットサイズに
まとめて処理したほうが発注コスト上は有利である.このロットサイ
ズ発注のもとでは,小売の需要の分散より卸売りの需要の分散が
大きいこと,すなわち,ブルフィップ効果の存在が証明できる.例え
ば,ある卸売りがN個の小売に商品を供給する場合,小売は一定
期間R中の平均需要をまとめて発注とすると,ある特定日に小売
が発注を行う確率は1/Rとなり,同じ日に卸売りに注文を行う小売
からの数nの平均はN/R,分散はN(1/R)(1-1/R)となる.小売におけ
る毎日需要の平均を\mu,ばらつきを\sigmaで表すと,合計発注量
の平均はE(nR\mu)=N\muとなり,分散はN\sigma ^2+\mu^2N(R-1)
となり,小売における需要の分散の合計のN\sigma^2より大きい.
もっと簡単な例をあげよう.ある小売における毎日の需要が平均10,
標準偏差1であり,発注のロットサイズが100であるとする.卸売り店
においては平均10日に1回注文が発生し,残りの9日間の需要はゼ
ロである.従って,卸売りにおける需要の平均は100/10=10, 標準
偏差は,
1
9
2
(100 10)  (0  10) 2  30
10
10
となり,標準偏差が30倍に拡大されてしまう.
④ 価格変動
供給者がプロモーションや先行購買や量販ディスカウントなどを行う
ときには通常より低い価格で販売する場合が多い.小売が低い価
格のもとで最適な発注量を決めるときには,他の条件が変わらな
ければ明らかに発注量を増やすに違いない.これに対して,最終
需要量が増えなければ通常価格になった時には割引時に多く購
入した分発注量を減らさなければならないので,小売での需要の
分布が安定していたとしても供給者の価格の変化に追随して発注
量が変化し,そのために供給者の受注量のばらつきは価格変動
がないときに比べて大きくなるわけである.
⑤ 解決方法
A) 集中意思決定
B) 情報共有