有機化合物と無機化合物の特徴 有機化合物: 生物だけが作れるもの → 炭素原子を含んだ化合物 無機化合物との見分け方: 加熱してみる。 生命現象と物質との関係: 「精神と物質」 立花隆、利根川進、文芸春秋社; 図書館にある。) 1 炭素数と骨格異性体数 C の数=6 の場合 C-C-C-C-C-C C-C-C-C-C 右図 C C-C-C-C-C C C-C-C-C C C C C-C-C 炭 素 原 子 の つ な が り 方 C 2 有機化合物の構造 炭化水素基 - 官能基 (炭化水素から H を1つ除いたもの) 有機化合物の性質は、主として官能基によっ て決まる ⇒ 分類の基準: 官能基 3 炭化水素の分類 (ベンゼン環を含まない) (ベンゼン環を含む) 炭化水素: RH 炭化水素基: R- (炭化水素から水素を取ったもの) 4 官能基による有機化合物の分類 この授業では、下線の基を扱う 5 アルコール(R-OH) の反応 RH ⇒ R-OH ← H2O (1) 酸化反応 (2) エステル化(脱水縮合反応) (3) エーテル化(脱水縮合反応) 脱水縮合反応とは: 2つの分子 → 1つの分子 + H2O 6 酸化反応と還元反応 酸化 還元 電子を 失う 得る 酸素原子を 得る 失う 水素原子を 失う 得る 有機化学反応では、O と H の得失で考える 7 アルコールの酸化の例 [O] 酸化 脱水は酸化還元ではない 酸化 → 8 脱水縮合反応(エステル化) RCOOH + R’OH → RCOOR’ + H2O 高級脂肪酸 + グリセリン → 油脂(植物油、脂肪) (カルボン酸) (多価アルコール) (エステル) 9 脱水縮合反応(エーテル化) ROH +R’OH → ROR’ +H2O ブドウ糖 + 果糖 (沢山の)ブドウ糖 アルコール → → ショ糖 デンプン、 セルロース (縮合反応) エーテル 10 メタノールとエタノール ●CH3OH: メタノール = メチルアルコール ① 最も簡単なアルコール ② 天然ガスが原料 → 安い ③ 燃料電池の燃料 ④ エタノールに似た味 ⑤ 有毒 ● メタノール ⇒ 飲むと失明、死亡 CH3OH 酸化(肝臓) ⇒ HCHO 酸化(肝臓) ⇒ HCOOH (ホルムアルデヒド:有毒) (蟻酸:蟻や蜂の毒) ● HCHO はタンパク質を変性 ⇒ ホルマリン漬 ● CH3CH2OH: エタノール = エチルアルコール 酒類(百薬の長)の主成分 11 アルコ-ル醗酵 ● 酒作り: ① 意識的な最古の化学反応 ② ブドウ糖のアルコ-ル醗酵 ● 通常のアルコ-ル醗酵: エタノ-ルの濃度は、 15%以下 例外: 日本酒( 20%) ● 蒸留酒: 醸造酒の蒸留でエタノ-ル分を高めたもの ● アルコ-ル: ワインの蒸留(10世紀, 錬金術師) ⇒ 高貴 薬: 「生命の水」 (ウイスキーも「生命の水」) ⇒ 嗜好品 ● エタノールはタンパク質を変性 ⇒ 殺菌作用 12 醸造酒と蒸留酒 醸造酒 エタノール含量(%) 日本酒 15-23 蒸留酒 エタノール含量(%) ウオッカ 40-50 ジン 37-50 シャンパン 9-14 ブランデー 40-45 ワイン 8-13 ウイスキー 40-45 テキラ 40-43 ラム 37-45 焼酎 20-45 ビール 3-7 13 エタノ-ルの吸収 ● エタノ-ルの吸収: 胃(20-30%)と小腸 ● 胃中に食物(特にタンパク質) ⇒ 吸収が遅れる ● 胃が空の場合: 胃を素通り ⇒ 小腸でのアルコ-ルの吸収は速くて完全 ● 吸収されたエタノ-ル ⇒ 血液 ⇒ 肝臓で酸化分解( 6-8g/h:これ以下では飲酒の影響 はない) ● 2合の酒(約 50gのエタノール)では 処理に7-8時間 ● 酔いの程度: 血液中のエタノール濃度による ● 高エネルギ-: 7 kcal/ g (脂肪: 9 kcal/ g; 糖類、タンパク 質: 4 kcal/ g) ⇒ エネルギ-の過剰摂取 14 アルコール依存症 ● 飲酒人口の3.4%: 酒の飲み方が異常 ● 症状(酒で消失): 痙攣、震え、幻覚、食欲不振、不眠な ど: ● 若い女性、主婦のアルコール依存症が増加 ● 女性は男性より依存症になりやすい(半分の飲酒量で) 節度ある飲酒量(g/日): 男性 20g、女性 10g(ビール 250 mℓ)。 ● エストロゲン(女性ホルモン)が、アルコールの代謝(体内 での分解)を妨げる。肝臓が小さい。 ● 胎盤を通過 ⇒ 血液中のアルコール濃度は母体と胎児と で同じ ⇒ 流産や早産、胎児性アルコール症候群(知能 障害、発育障害など) 15 性別・世代別飲酒率 飲酒率: 男性では低下、女性では上昇。 若い世代では男女差はほとんどない 20代前半では、女性の方が高い(酒豪は女性?) 厚労省 08 アルコールの作用 ● 心地よい酔い: 脳細胞の膜の性質の変化 → 脳の麻 酔作用 ● 前頭葉の新皮質(思考・言語の中枢)の麻痺 → 理性 的抑制の低下 (自己抑制の低下) → 開放感 ● 小脳(運動機能中枢)への血液減少 → 千鳥足 ● 不快な酔い:アセトアルデヒドの作用 → 交感神経を刺激 → 血圧上昇、心拍増加など(吐き気、 頭痛など) ● 顔が赤: 末梢血管の拡張 ● 顔が蒼白: 末梢血管の縮小 → 血圧上昇(高血圧) 17 肝臓でのエタノールの代謝 ● 酔いやすさの個人差: セトアルデヒドの処理速度の差 ● 肝臓で 酸化酵素 CH3CH2OH ⇒ CH3CHO (アセトアルデヒド) アルデヒド脱水素酵素(2種類) CH3CHO ⇒ CH3COOH (酢酸) ⇒ CO2+H2O ● アルコール不耐症: アルデヒド脱水素酵素(高活性)欠損症 (日本人 44%、中国人 41%、朝鮮人 28% ; 欧米人やアフリカ人 では0% ⇒ 白人や黒人は酒に強い) ●アルコール不耐症の人のいっき飲み ⇒ アセトアルデヒドの蓄積 ⇒ 危険 18 酒を飲み続けると ● 飲酒により、肝臓で、新たな薬物分解酵素が分泌され 始める ⇒ ① アルコ-ルが分解されやすい ⇒ 酒に強くなる ② 他の薬も効きにくくなる ● 酒飲み①: ときどき馬鹿飲みをする人 酒飲み②: 毎晩飲む人。こちらの方が健康に悪い。 ● 急性アルコ-ル中毒: ① 強い酒を急ピッチで飲む ② 空腹時や過労時の飲酒 ● 酒の種類を変えて飲むと酔いやすい? ← 飲み過ぎ になりやすいから 19 カルボン酸の反応 酸味=H+の味 (アミノ酸からタンパク質ができるときの反応) ギ酸(HCOOH): 蟻やハチの毒の成分 酢酸(CH3COOH): 食酢の主成分 高級脂肪酸(炭素数が多い): 油脂の構成要素 20 アミン(NR3) ● 反応 ① 塩基として酸塩基反応 ② カルボン酸との縮合反応 ⇒ アミド アミノ酸 ⇒ タンパク質 ● タンパク質の腐敗毒(プトマイン)も アミン ● 熱に安定 ⇒ 加熱で菌は死ぬが毒は残る コンドル、ハイエナ: 腐敗毒を解毒できる ● アルカロイド: アミンの一種;麻薬など 21 魚に酸(レモン汁)をかけると アミン 還元酵素 (CH3)3N =O トリメチルアミンオキシド (旨み物質) H+ (酸) (CH3)3N (塩基) (中和反応) (CH3)3N トリメチルアミン (魚の生臭いにおい) + (CH3)3NH (酸塩基反応) (塩は高沸点=臭いがない) + 22 23
© Copyright 2024 ExpyDoc