ベルリン青染色 Berlin blue stain (Prussian blue stain) 目的 フェロシアン化カリウムと塩酸で3価の鉄イオンをフェロシアン化鉄(ベルリ ン青)として検出する方法。 組織標本で鉄染色(ベルリン青染色)の対象になるのは、ほとんど溶血の ヘモジデリン(血鉄素)である。 ヘモジデリンはヘモグロビン由来の黄褐色から茶褐色の色素で、出血後の 組織や細胞内に認められる。 ヘモジデリンの証明法 鉄反応(ベルリン青反応) PAS反応 酸(塩酸、硫酸等による溶解) 結果 青色 淡赤色 溶解 原理 3価の鉄イオン(Fe3+)がフェロシアン化カリウム(黄血塩)K4〔Fe(CN)6〕と 結合し、青色のフェロシアン化鉄(ベルリン青)〔KFeⅢFeⅡ(CN)6〕が形 成される。 この反応は、非常に鋭敏で、3価の鉄イオンのみに特異的に反応する。 Fe3+ + K4Fe(CN)6 KFeⅢFeⅡ(CN)6 ベルリン青 + 3K+ ベルリンブルー アイアンブルーiron blue 暗い紫みの青。 フェルシアン化カリウム溶液に硫酸鉄と酸化剤を加えて作る 青色顔料。「紺青」 理想的な組成式はFe(III)4[Fe(II)(CN)6]3であるが、結晶水を含んでいたり 一部の鉄イオンが置換されていたりすることが多く、一定の組成のものを 得ることは困難である。 ヘキサシアノ鉄(II)酸塩と鉄(III)塩から得られたものはプルシアンブルー あるいはベルリンブルー、ヘキサシアノ鉄(III)酸塩と鉄(II)塩から得られた ものはターンブルブルーというように別の物質と考えられていたが、これ らは実際は同じ化合物であることが確認されている。 結晶構造はFe3+イオンが面心立方格子を形成し、その立方体の各辺の 中点にFe2+イオンが位置している。 そしてFe3+イオンとFe2+の間にはCN-イオンが位置する。 CN-イオンは窒素原子でFe3+イオンに、炭素原子でFe2+に配位している。 このような結晶構造を取る一群のシアン錯体の塩をこの化合物を代表と してプルシアンブルー型錯体という。 面心立方格子 Fe3+ Fe2+ 試薬 • 1液) 2%フェロシアン化カリウム水溶液 フェロシアン化カリウムK4〔Fe(CN)6〕・3H2O 精製水 100ml • 2g 2液) 1%塩酸水 濃塩酸(11.6N) 1ml 精製水 100ml 使用直前に1液と2液を等量混合し、使用液にする。 ※使用液は1度しか使用できない。 混合直後は淡黄色透明であるが、時間の経過とともに緑色が増してくる。 酸の作用によってフェロシアン化カリウムが分解され、3価の第二鉄塩になる。 この化合物が残りのフェロシアン化カリウムと反応してベルリン青を形成し、組織に非特異的 に沈着してしまうので緑色調になった液は使用できない。 染色方法 脱 パ ラ ・ 流 水 水 洗 精 製 水 水 洗 ベ ル リ ン 青 染 色 液 20分 精 製 水 水 洗 ケ ル ン エ ヒ ト ロ ー ト 液 5分 流 水 水 洗 脱 水 ・ 封 入 注意 • 水道水中に鉄分が含有されている可能性があるので、ベル リン青染色を始める間に、染色をする為のビーカー等の器具 をきれいに洗い、蒸留水ですすいでおく。 • 同様に、染色液に入れる前にも蒸留水で十分に切片を洗浄 する。 • ベルリン青の混合液を長時間使用すると、酸とフェロシアン 化カリウムの反応により、非特異的に組織に沈着してしまう ので、使用液は直前に混合した新しいものを使う。 染色結果 ヘモデジリン(鉄) 青色 核 赤色
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