スライド 1 - 静岡大学 桑原義彦 研究室

5.3 接地アンテナ
素子の1つを接地して使用する線状アンテナ
5.3.1 映像アンテナと電流分布
接地アンテナの放射界:地表に対して対称な位置にある影像アンテナ
を考える
大地:完全導体の平面と仮定
地表に垂直に設置したアンテナ:電流は同じ方向
地表に水平に設置したアンテナ:電流は逆方向
接地アンテナの放射界:2つのアンテナからの放射界の合成波
5.3.2 λ/4垂直接地アンテナとその放射特性
アンテナ高λ/4の垂直接地アンテナの電流分布
実効高:半波長アンテナの半分
[1] 放射界
接地アンテナの放射界:実アンテナと影像アンテナからの放射界の合成
波。λ/4垂直接地アンテナの放射界は半波長アンテナの放射界と同じ
[2] 放射電力と放射抵抗
λ/4垂直接地アンテナの放射電力は半波長アンテナの放射電力の半分
放射抵抗
[3] 指向性係数
[4] 最大放射方向の電界強度
I0 
Wr
36.57
E90 
98.4Wr
60
60 Wr
I0 

r
r 36.57
r
5.4 アンテナの利得
利得:目的とする方向にどれくらいの電力を放射しているかを表す指標
5.4.1 利得の定義
最大放射方向へどれくらいの電力を送信または受信できるかを基準アンテナと比較
供試アンテナにWの電力を与えたとき距離rでの最大放射方向の電界をE
基準アンテナにW0の電力を与えたとき距離rでの最大放射方向の電界をE0
絶対利得Ga:等方性アンテナを基準とした利得
(単位dBi)
相対利得Gh:半波長アンテナを基準とした利得(
単位dB)
放射効率η:放射電力Wrと入力電力Wの比(η
=Wr/W)
5.4.2 等方性アンテナ
点波源から一様に電波が放射される仮
想的なアンテナ
2
W
/(
4

r
)
放射電力Wr,距離rでの電界強度をE0とすれば電力密度は r
2
この点でのポインチング電力は E0 /(120 )
30Wr
E02
Wr
120Wr 30Wr
2


E



E

0
0
r
4r 2 120
4r 2
r2
(5.34)
5.4.3 利得を用いた電界強度表示
利得Gが既知なら,最大放射方向の電界強度Eを,入力電力Wから求
められる。式5.33からW0=GW
[1] 絶対利得による電界表示
式5.34にE0=EとWr=GaWを代入
[2] 相対利得による電界表示
半波長アンテナの電界強度
Wr=GhWを代入
G
W0
W
5.33
両者は同じ電界強度で
これより
例題5.6 微小ダイポール,等方性アンテナ,半波長アンテナ,λ/4垂直
接地アンテナの絶対利得と相対利得
微小ダイポールの最大放射方向の電界強度
絶対利得による電界表示
これよりGa=1.5
相対利得による電界表示
これよりGh=0.91
5.5 受信アンテナ
5.5.1 受信開放電圧と受信電流
実効長heのアンテナを到来電波の電界と平行に置いて負荷ZLを接続
E
する。電界 の電波を受信したとき端子AB間には
の電圧が発生(受信開放電圧)
アンテナの入力インピーダンスをZ とすれば負荷に流れる電流Iは
5.5.2 受信電力
負荷インピーダンスZ L  RL  jX L
アンテナの入力インピーダンス Z  R  jX
負荷で消費される電力は
2

V
1
0
W  RL I  RL
 RLV02
R  RL   j  X  X L 
R  RL   j  X  X L R  RL   j  X  X L 
RLV02

R  RL 2   X  X L 2
2
負荷インピーダンスとアンテナの入力インピーダンスを共役にすると最
大電力が負荷に供給される
アンテナに捕捉された電力は半分
が負荷で有効電力として消費され,
半分が再放射の散乱電力となる。
例題5.7 受信機の端子電圧の実
効値VLを受信開放電圧V0で表す。
例題5.8 半波長アンテナから取り出せる受信最大有能電力
周波数:150MHz(λ=2m),電界強度80dBμ(1μVを基準とした値)
半波長アンテナの実効長
he=λ/π
5.5.3 受信アンテナの利得
Wa:供試アンテナで受信したときの受信最大有効電力
Wa0:基準アンテナの受信最大有効電力
両アンテナの受信点,受信電界強度は同じ
送信アンテナとして使用したときの利得に等しい
放射抵抗Rr,実効長heの受信アンテナの相対利得
相対利得Gh,放射抵抗Rr,実効長heの関係
Ga=1.64Ghより
5.5.3 受信アンテナの実効面積
受信最大有効電力Waが面積Aeを通過する電波の電力に等しいとき
Aeを実効面積と呼ぶ。Pをポインチング電力とすると
[1] 実効面積と相対利得の関係
放射抵抗Rr,実効長heの受信アンテナの実効面積
を代入する
30
Ae 
Rr
Rr
30

G

2Gh  0.132Gh
  h
73.13 73.13
 
2
半波長アンテナの実効面積(Gh=1から)
(5.49)
半波長アンテナ
はおおむね
λ/2☓λ/4の長方
形を通過する電
波を捕捉してい
る。
例題5.9 微小ダイポールアンテナの実効面積
Gh=0.91から Ae  0.132Gh  0.1182
[2] 実効面積と絶対利得の関係
を(5.48)に代入する
30   
Rr
30 2
2Ga
Ae 

 Ga 
  Ga
Rr   
120 120
4
2
λ2/4πは等方性アンテナの実効面積
5.5.5 フリスの伝達公式
送信電力と受信電力の関係,通信回線の設計に用いられる
送受信アンテナ間距離r[m],波長λ[m]
送信アンテナの絶対利得Ga1,供給電力W1[W]
受信アンテナの絶対利得Ga2,受信可能最大電力W2[W]
送信アンテナの最大放射方向にGa1 W1の電力が放射される
受信点の電力密度: Ga W1
1
4r 2
受信アンテナで受信可能な最大電力:実効面積☓受信点の電力密度
2Ga Ga W1   2
W2 

 Ga Ga W1 [W]
2
4 4r
 4r 
2
1
1
2
(5.52)
自由空間基本損失
例題5.10
送受信アンテナ間距離
r=100[km],周波数5GHz
(波長λ=0.06[m])
送信アンテナの絶対利得
Ga1=30dB,受信アンテナ
の絶対利得Ga2=20dB
供給電力W1=10 [W]=
10000[mW]=40[dBm]
自由空間基本損失[dB]は
 4 105 
 4r 

L0  10 log
  10 log
  
 0.06 
 146.42[dB]
2
2
受信可能最大電力W2[dBm]は
40+30+20-146.42=-56.42[dBm]