講義ガイダンス 「宇宙の物質循環を理解するた めに使われる物理・化学・数学」 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研) 場所: 東京大学・駒場キャンパス 12号館 1222号室 毎週火曜1限(9時00分-10時30分) 私たちはどこから来たのか? • 我々の体・住む世界を構成する元素の大部 分は星の中でつくられた 物質の「輪廻」 ガスと塵(星間空間の物質 の1%は固体微粒子) 星間ガス雲 (“星の胎盤”) 星のガス放出は、 どの進化段階で、 どのように起きる? 超新星は塵を作る? それとも壊す? 星の終焉: ガス放出/超新星爆 発、塵の生成/破壊 星の誕生 2 星内部での重元素生成 授業の目標 • 特に赤外線天文学(可視光~電波天文学も含む)の 研究の現場である「宇宙の物質循環」に関係したテー マを幾つか掘り下げて学習する。 • 大学の1、2年生で学ぶ基礎的な物理学・化学・数学 が、最前線の宇宙科学(特にスペースからの赤外線 天文学)の研究の現場でどのように使われているか、 具体的な例を通じて習得し、基礎科目の学習の重要 性を再認識することを目指す。 • 生まれたての星や銀河とその母胎である星間物質、 原始惑星系円盤や系外惑星など、赤外線天文学の観 測対象について学習するだけでなく、 宇宙飛翔体(天 文衛星・探査機)やその運用・データ処理など、研究を 遂行するために我々研究者が日々の研究や業務の 現場で直面している課題についても紹介する。 授業の方法 • ノートをとることで、できるだけ自主的に理 解してもらいたいので、板書を用いて講義 形式で進める。 • 講義の参考資料等は、下記のホームペー ジにアップする。 • 参考書 – シリーズ現代の天文学 (全17巻、日本評論社) (特に第4、5、6、9、15、16巻) 授業計画 • 第1回:ガイダンス。講師自己紹介。スペースか らの赤外線天文学の歴史 • 第2回:天球座標とその変換 • 第3回:可視光・赤外線・電波天文学の基礎(地 上/スペース) • 第4回:放射輸送の基礎 • 第5回:電磁波放射の素過程その1(黒体放射と その天文学への応用) • 第6回:電磁波放射の素過程その2(制動放射と その天文学への応用) • 第7回:星間物質その1(概観、星間ガスの諸相、 原子・分子スペクトル線) 授業計画 (続) • • • • 第8回:星間物質その2(星間塵) 第9回:分子雲と星形成 第10回:星・惑星系の誕生の現場 第11回:小惑星探査と探査機/天文衛星(「は やぶさ」と「あかり」) • 第12回:銀河とその活動現象 • 第13回:銀河の形成と進化 この他、希望があればJAXA宇宙科学研究所の見 学会を計画する。 成績評価方法 • 毎回の授業の最後に、簡単な演習問題を1 問づつ出題する。 • 第7回の終了時に、それまで出題した問題の 中からレポートを提出してもらう。 • このレポートの内容 と、期末試験の結果で成 績評価を行う。 • 期末試験の内容は後半(第8回以降)に出題 した問題と、全般を通しての内容に関するも のになる予定である。 • なお、内容・進め方は適宜変更する可能性が あるので注意のこと。
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