PR論 第1回 PRとは、広報とは 専任講師 関谷直也 今日のテーマ:PRとは? 広報とは? • PR論の授業は何をするか。 • PRとは?広報とは? • 広告と広報(PR)の違いを理解する。 1 授業の目的 • なぜ、イエス・キリストは世界一有名になったの か? • 「PRする」とはどういう意味か? • 広告と広報の違いは? • 「政府の広告」 は、なぜ政府広報とよばれるの か? • 企業は誰のもの? • 「経済効果」「風評被害」「CSR」とは何のこ と? 「広報」との関係は? • コーポレート・コミュニケーションとは? この授業では、広報・Public Relationsの基礎を学 びます。広告だけではない、組織体のコミュニ 2 1 用語 (1)メディア・コミュニケーションとは? • メディア – Medium→media – 広告関連の業界用語1923「広告と販売」 クスフォード英語辞典 – 媒体(○広告媒体 ×伝達媒体) – テレビ、新聞、雑誌、ラジオ オッ • コミュニケーション – 情報、経験、感情の共有 – 情報が伝達されてなくてもコミュニケーション • リレーション – 関係性 3 1 用語 (2) 広報とは?広告とは? • 広報とは? – Public Relations の訳語 – 組織体(経営体)のコミュニケーション (Corporate Communication) • Public Relationsとは? – 組織(経営体)の、人々との関係性 – 組織体(経営体)のマネージメント手法 – 組織と組織のコミュニケーション • 広告とは? – Advertising、Advertisement – 伝えること、伝える内容 4 1 用語 (3) 宣伝? 広告? 広報? • 宣伝≒Propaganda – 一般的には政治宣伝 – 1633ローマカトリック教会 枢機卿委員会(Congregatio de Propaganda Fide) – 外国へ派遣する宣教師の訓練や監督 • 広告 – 一般的には商業宣伝 – 市場の原理に伴う宣伝 – 広告研究者は宣伝と区別する場合が多い。 • 政府・自治体広報 – 行政の宣伝・広告活動 – 一般的には公共宣伝 5 1 用語 (3) 宣伝? 広告? 広報? • 送り手:識別可能な広告主 • 受け手:特定のオーディエンス • 広告メッセージ:製品やサービスだけでなく、ア イディア(思想、主張)を含む • 有料であること:人的販売、営業、口コミ、パブ リシティとは異なる • 意図(目的):伝達または説得 ※ 口コミ ⇒「何か」を伝えること 6 1 用語 (3) 宣伝? 広告? 広報? 政治広告、プロパガンダポスター 7 1 用語 (3) 宣伝? 広告? 広報? 政治広告、プロパガンダポスター 8 3 広告の定義 (2) 区別 ①広告、宣伝、プロパガンダ • 広告 – 一般的には商業宣伝 – 市場の原理に伴う宣伝 • 宣伝≒Propaganda – 一般的には政治宣伝 – 1633ローマカトリック教会 枢機卿委員会(Congregatio de Propaganda Fide) – 外国へ派遣する宣教師の訓練や監督 • 政府・自治体広報 – 行政の宣伝・広告活動 – 一般的には公共宣伝 ※ 広告研究者は宣伝、広報と区別する場合が多い。 9 3 広告の定義 (2) 区別 ②広告、広報、PR • 広告とは? – Advertising、Advertisement – 伝えること、伝える内容 • 広報とは? – Public Relations の訳語 – 組織体(経営体)のコミュニケーション (Corporate Communication) • Public Relationsとは? – 組織(経営体)の、人々との関係性 – 組織体(経営体)のマネージメント手法 – 組織と組織のコミュニケーション 10 指導方法・成績評価の方法 指導方法 ・広告の提示やビデオを多用します。出席は とりませんが、授業内容を理解する上では、 出席が前提となります。 ・私語や携帯電話・メールの使用は厳禁。欠 席した授業の配布資料は、友人に借りるなり、 とりおいてもらうなり自己責任で対処するこ と。 成績評価の方法 ・中間テストとレポートで評価する。 11 パブリックリレーション論の内容 ■広報・Public Relationの概念・理論 (1)広報の概念 広報の概念、プロパガンダ、マーケティング、 広報 (2)広報の理論・歴史 広告の四類型、社会的増幅理論、広報の遺伝子 論 ■Public Relationの諸相 (1) MR メディアリレーションズ (2) リスク・マネジメント (3) CSR・環境広報―CI、企業市民、社会貢献活動 (4) IR(株主対応) ―企業買収、ホリエモン 12 教科書・参考書 教科書 • 井之上喬『パブリックリレーションズ―最短距離で目 標を達成する「戦略広報」』日本評論社、2006年 参考書 • 井之上喬編・井之上パブリックリレーションズ著『入 門パブリックリレーションズ 双方向コミュニケーショ ンを可能にする新広報戦略』PHP研究所、2001年 • (社)日本パブリックリレーションズ協会『広報の仕 掛け人たち 21のPRサクセスストーリー』宣伝会議、 2006年 • 猪狩誠也・編著『広報・パブリックリレーションズ入 門』宣伝会議、2006年 • ブルース・バートン著・小林保彦訳『誰も知らない男 なぜイエスは世界一有名になったか』日本経済新聞社、 2005年 • 高木徹『ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボス ニア紛争』講談社、2002年 • 世耕弘成『プロフェッショナル広報戦略』ゴマブック ス,2006年 13 PR論 第1回 PRとは、広報とは 専任講師 関谷直也 2 パブリックリレーションズとは 定義 15 2 パブリックリレーションズとは 特徴 特徴 • 広報・PR – 民主的な対話、相互理解 – コミュニケーションの結果つくられる関係 – 経営体のコミュニケーション ▲マーケティング広報 – 報道による経済(効果) – 記者会見は一部 16 2 パブリックリレーションズとは 対象 • パブリック? ディストリビューター (卸売業者) 17 2 パブリックリレーションズとは 対象 • 大学のパブリックリレーションズ? 18 2 パブリックリレーションズとは 種類 19 2 パブリックリレーションズとは 種類 • パブリックリレーションズは、メディアリレーションズではな い。 20 重視する広報活動の対象 21 PR論 第3回 PRの歴史と背景 専任講師 関谷直也 1 パブリックリレーションズ 類型 グルーニックの4類型(1) 23 1 パブリックリレーションズ 類型 グルーニックの4類型(1) 24 2.1 1970年代‐要求された「企業の社会性」 「高度経済成長」時代の裏の「企業批 判」 • 1960年代後半~ 197 0年代中頃 • 万国博覧会や国際収 支黒字など「高度経 済成長」時代、1972 年からの「列島改造 ブーム」という表の 歴史の裏で、企業批 判の時代が続いた。 25 2.1 1970年代‐要求された「企業の社会性」 「高度経済成長」時代の裏の「企業批 判」 ①環境破壊・公害問題 ②列島改造ブームと巨大 建設・公共事業批判 ③テレビの二重価格など 消費者問題 ④1973年だけで14件石油 コンビナートの爆発事故 ⑤1973年11月オイル ショック以降のモノ不足 問題 (巨大企業の利益 独占) 26 2.1 1970年代‐要求された「企業の社会性」 「高度経済成長」時代の裏の「企業批判」 (1)財団法人経済広報センターの設立 • 企業と社会とのかかわり、「企業の社会的責任」が問題に。 • 1974年 経団連、総合対策委員会に「企業の社会性」部会 – 「石油危機に伴う企業批判の実態調査」 (報告書「企業と社会の 新しい関係の確立を求めて」) – 一般市民とのコミュニケーションを行う体制を強化する必要 • 1976年5月 「企業・経済団体の広報活動のあり方」 – 経済団体において広報のための組織を整備・拡充し、情報収集力を 強化し、対社会広報キャンペーンを実施すべきである • 1977年5月 • 1978年11月 経団連定時総会「広報委員会」設置。 「財団法人経済広報センター」設立 – 経済界全体を代表し広報活動を実行に移す機関 27 2.1 1970年代‐要求された「企業の社会性」 「高度経済成長」時代の裏の「企業批判」 (2)「広報部」「広報担当」領域の拡大化・充実化 – 1970年前後、「企業の社会的責任」、「広報」の重要 性が高まってきた – 各企業で「広報部」「広報担当」の領域の拡大化・充 実化が進む。 28 2.2 1980年代 社会貢献、「企業の社会 性」 メセナ・フィランソロピー・CI・企業市民 (1) 「バブル景気」につながる好況 – 企業に「余裕」がでてきた。 – 1980年代中頃から、企業の文化活動、広報イベント、 企業博物館設置が活発化。 – 1980年代末には「メセナ」「フィランソロピー」活 動と呼ばれる。 29 2.2 1980年代 社会貢献、「企業の社会 性」 メセナ・フィランソロピー・CI・企業市民 (2)企業の海外進出・国際化 – 国際的な日本バッシングや進出地域で文化摩擦が問題と なる。 – 繊維業、鉄鋼業中心であった日本の産業 – 1980年代初頭、電気製品、自動車分野を中心に日本企業 の海外進出と各分野の輸出が増加。 – その中で、米国に戦後根付いていた「企業市民」の概念 が輸入された。 (3)アイデンティティの再構築 – 企業経営の多角化、拡大化に伴うCI活動の活発化、宣伝 30 活動の延長線上としてのCIブーム、企業広告。 2.2 1980年代 社会貢献、「企業の社会 性」 メセナ・フィランソロピー・CI・企業市民 (4)経団連の動き – 1987年 「国際広報委員会」を設置し、アメリカにおけ る企業の地域貢献活動の調査研究を行った(『コミュニ ティ・リレーションズ―米国地域社会の“よき企業市民” として』、1988年)。 – 1988年 「国際文化交流委員会」を設置し、アメリカの フィランソロピー活動を調査 – 1990年 「企業の社会貢献活動推進委員会」 – 1991年 「消費者」「生活者」委員会が設置された。 – この延長線として、1990年「1%クラブ」(経常利益の 1%を社会貢献に)、企業メセナ協議会が設置。大企業 を中心に、社会貢献関連の部署設置 31 2.3 1990年代前半-再び「企業の社会的責任」 1990年、バブル崩壊。 (1)1980年代末から企業批判 – – – – ふたたび高まってきていた。 リクルート事件 証券・金融不祥事 一般投資家を犠牲に大口顧客への優遇発覚 ゼネコン汚職 大企業幹部と裏社会との癒着 (2) 「対話」の重視 広報・広聴、企業の社会性 – 1991年4月、92年9月「フリートーク・フォーラム」(経団連、経済 広報センター主催) – 経団連 1991年「企業行動憲章」発表、広報・広聴の重要性、環境 保全、フィランソロピー活動による社会貢献、情報公開のルールな どが明示化 (3)地球環境問題 – 経団連 「地球環境憲章」制定。地球環境問題の隆盛を背景に、環 境対策という側面からも企業の社会的貢献が求められはじめる。 32 2.4 「日本広報学会」の設立 • 「広報」活動の枠組み拡大、 • 経営主体として重要なテーマに – 先に「実践」があった。 – 1970年までの段階で、企業は社会とのコミュニ ケーションの必要性を痛感し、1980年代の好景 気や背景にした企業の成熟化や国際化に伴って、 実践としてのメセナ・フィランソロピー活動、 地域貢献活動が実践され、CI活動を経て企業文 化が成熟してきた。 – この時期、経済広報センターに対し、壱岐晃才 氏、田中靖正氏から、企業と社会の問題、広報 の問題について考える学会組織の設立の提案が33 2.4 「日本広報学会」の設立 • 「広報」関連団体・・・広報に関する交流・啓発 活動 – 経団連、経済広報センター、日本パブリック・ リレーションズ協会 – 日経連社内報センター(社内広報)、日本経営 協会NOMAプレスセンター (社内広報) 、日本 広報協会(行政広報) 問題点・・・・・団体の会員構成と研究者の参画 の少なさ – 企業の広報担当者、PR業、行政の広報担当者な ど分野別:「広報」活動全体を俯瞰した交流・ 研究が行われる場がなかった。 – 研究者の参画が少なく、研究活動との連動が図34 2.4 「日本広報学会」の設立 具体化の動き • 日本経済新聞社から「企業広報講座(5冊組)」 刊行 – 1993年に経済広報センター事務局を中心とし、企業広報 の学問的体系化に向けた動きが胎動を始める。企業と社 会のかかわりや「広報」の研究をする人々、広報に問題 点を感じる人々の交流が積極的に行われはじめた。 • 「日本広報学会」設立準備委員会 – 上述の団体に協力申し入れを行い、1994年7月20日、経 済広報センターを中心に、関係各位によって会合が持た れ、設立準備委員会が発足。 • 1995年3月24日、「日本広報学会」設立 35 1 「概念」の歴史 グルーニックの4類型(1) 1 「概念」の歴史 36 1 「概念」の歴史 グルーニックの4類型(2) 37 3 広報研究とは 報告書 論文 広報学・広報史の体系化の試み 1 広報学の体系化の試み、「広報学」教育 2 広報学史の研究 3 戦中・戦後のプロパガンダ研究 2 2 企業経営と広報 4 経営革新・ガバナンス・C C O 7 企業文化・企業価値・企業倫理・人材 2 3 広報とメディア 5 広告と広報 6 メディア特性・ITと広報の研究 1 4 広報マネジメント 9 広報マネジメント 10 会計と広報 3 2 各論 8 企業の文化活動(メセナ・フィランソロフィー) 11 IR 12 社内広報 13 国際広報・グローバル化と広報 4 2 1 4 3 3 5 2 2 4 2 4 1 1 学会 発表 報告書 3 4 1 5.6% 1 2 1 10 3 1 小計 5.6% 11.1% 小計 5.6% 8.3% 13.9% 9.6% 3.8% 13.5% 8.8% 15.1% 23.9% 小計 2.8% 11.1% 13.9% 3.8% 7.7% 11.5% 3.1% 8.2% 11.3% 小計 8.3% 5.6% 13.9% 3.8% 3.8% 5.0% 1.9% 6.9% 14 24 5 13 8 3 5 2 6 9 11.1% 8 10 9 2 5 1 3 1 1 1 12 5 2 2 1 合計 36 52 1 11 2.8% 11.1% 13.9% 2.8% 小計 他 22 人材採用広報研究 23 パブリック・アフェアーズ研究 99 そのほか 5.6% 2.8% 19.4% 2.8% 5.6% 小計 企業組織以外の広報活動 18 行政広報 19 N P O 広報・N P O と企業 20 大学広報 21 政治・選挙広報 学会 発表 7.7% 5.8% 5.8% 19.2% 小計 危機管理、社会的責任 14 危機管理 15 環境経営 16 C SR 、アカウンタビリティ 17 パブリックアクセプタンス 論文 16.7% 7.7% 1.9% 1.9% 11.5% 1.9% 19.2% 5.8% 1.9% 2.5% 0.6% 5.0% 3.1% 1.3% 3.8% 5.7% 13.8% 26.9% 5.0% 6.3% 5.7% 1.3% 18.2% 5.8% 1.9% 1.9% 1.9% 11.5% 7.5% 3.1% 1.3% 1.3% 13.2% 1.9% 0.6% 6.9% 小計 0.0% 1.9% 7.5% 159 100.0% 100.0% 100.0% 38 3 • • • • 広報研究とは 広報学・広報の体系化 広報マネジメント 広報とメディア 各論 – – – – メセナ・フィランソロフィー IR 社内広報 国際広報 • 危機管理、環境広報、 CSR、PA • 大学、行政、NPO、政治・選挙広報 39 PR論 第2回 PRの研究の歴史と背景 専任講師 関谷直也 PR論 第5回 PRの実務 専任講師 関谷直也 1 広報の実務 名(「広報」という言葉)と実(「広報の指し示すもの」) のずれ • そもそも「広報」をどのように捉えるか – 「企業広報学会」にするという案もあった。 – 設立の中心は経済広報センターや広報関係者であったために、「日本広報学 会」とすることに基本的に異論はなかったという。 – 「経営」ではなく「企業」に関する研究をすることを目的とするという議論 があった。(企業に限定する必要はないことから「企業」は外した) *佐 藤氏による • 設立趣旨 (1)経営体の広報およびコミュニケーション活動全般について、学術的および 実践 的な研究を行い、研究成果を発表しつつ、理論として体系化を目指す。 (2)これからの経営体のコミュニケーション活動のあり方、さらに社会に開か れた 経営体のあるべき姿を 洞察し、必要とされる施策の内容を検討すると共 に、展 開の方法および技法の開発につとめる。 (3)国際社会に通用する広報マインドの醸成に貢献する。 • 「日本広報学会」“Japan Society of Corporate Communication Studies” – このCorporateは、「企業のみならず、行政や各種団体を含み、広く「組織 42 • 名(「広報」という言葉)と実(「広報の指 し示すもの」)のずれ – そもそも「広報」をどのように捉えるか – 「企業広報学会」にするという案もあった。 – 設立の中心は経済広報センターや広報関係者で あったために、「日本広報学会」とすることに 基本的に異論はなかったという。 – 「経営」ではなく「企業」に関する研究をする ことを目的とするという議論があった。(企業 に限定する必要はないことから「企業」は外し た) *佐藤氏による 43 • 設立趣旨 (1)経営体の広報およびコミュニケーション活動全般について、学術的 および実践的な研究を行い、研究成果を発表しつつ理論として体系 化を目指す。 (2)これからの経営体のコミュニケーション活動のあり方、さらに社会 に開かれた経営体のあるべき姿を 洞察し、必要とされる施策の内 容を検討すると共に、展開の方法および技法の開発につとめる。 (3)国際社会に通用する広報マインドの醸成に貢献する。 • 「日本広報学会」“Japan Society of Corporate Communication Studies” – このCorporateは、「企業のみならず、行政や各種団体を含み、広く 「組織体」 を指す、というのがその趣旨」(上野征洋p.149)。 – 設立時にオーソライズされた見解としては、「広報研究」とは 「様々な組織体(経営体)」の「コミュニケーション活動」と「そ のあり方」に関する研究 「設立の趣旨」[online]日本広報学会ホームページhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jsccs/ 44 1 広報の実務 • 実態としては、「広報」の研究対象は、認識は 様々 ①企業の広報活動の範囲の拡大・縮小にあ わせつつ、基本的に「広報部」の活動領 域として社内広報・対外広報を中心に捉 える ②マーケティング・コミュニケーション活 動の一領域 ③IR(Investor Relation)、CR(Customer Relation)、GR(Government Relation、CR (Community Relations)、Press Releaseなどの総体としてのPR 45 1 • 広報の実務 実際の企業の「広報」はどのように変化しているか。 • (1)業務的拡大 – 企業によって、どこまでを「広報」の範疇に含めるかという定義は多 様である。だが、現実的課題であるCorporate Communicationとし て、多くの企業が「広報」に関連し共通して直面する課題の領域は 拡大している。IR(Investor Relation)、CSR(Corporate Social Responsibility)、CG(Corporate Governance)、法令順守 (Compliance)などである 企画課 広報課 社史資料室 例:アサヒビールの広報部の機能の変遷 社外広報 (課制を廃止、社内広報機能をゼネラルサポート部へ) 平成7年 平成10年9月 平成11年5月 平成11年11月 平成14年 平成15年 社外広報、IR室(IR室設置) 社外広報 社内広報 IR室 (社内広報機能をゼネラルサポート部か ら移管) 社外広報 社内広報 IR室、工場見学、HP、CSR、株主総会改革プロ ジェクト 社外広報 社内広報 IR室、工場見学、HP、CSR、個人株主拡大プロ 46 1 広報の実務 (2)組織的変遷 「広報」に直接関連する部門について考えれば、業務拡大に対して 三つの方向性 • 集約化:様々な組織に分散していた広報機能を集約化する対応 – 2000年前後にカンパニー制導入に伴い、日立、三洋電気、 キャノン、富士ゼロックスなど、「コーポレート・コ ミュニケーション」という冠を組織名に付す企業がある – 名称としては、1986年にマツダが「コーポレート・コ ミュニケーション統括室」、1992年にオムロンが「コー ポレート・コミュニケーション本部」を設置しているが、 普及はしなかった • 大幅な変化なし(TOYOTA) – 組織的変更はあまり行わないままでの対応 47 1995年9月~1997年1月 1999年9月~ 会長 会長 経営支援部門 社長 シ ス テ ム 企 画 部 品 質 保 証 部 物 流 部 法 務 部 包 装 開 発 部 資 材 部 秘 書 部 営 業 本 部 総 務 部 人 事 部 生 産 本 部 研 究 開 発 本 部 2000年3月~ 企 業 文 化 部 広 報 部 国 際 部 不 動 産 事 業 部 グループ本社 監 査 部 事 業 開 発 部 財 務 部 経 営 企 画 部 監 査 部 門事 業 推 進 ・ 支 援 部 研 究 開 発 本 部 経営戦略部 営 業 本 部 人事戦略部 財務部 広報部 全 ン社 トマ 本ネ 部ジ メ 国 際 事 業 本 部 総 合 品 質 本 部 総 合 品 質 本 部 経営会議 人事部 監査部 財務部 戦略企画本部 広報部 管理本部 IT部 生 産 事 業 本 部 酒 類 事 業 本 部 国 際 事 業 本 部 商 品 本技 部術 開 発 本 部 SCM 物 ム流 本シ 部ス テ グ 戦ル 略ー 本プ 部経 営 国 際 事 業 本 部 経営戦略会議 R&D 生 産 本 部 全 ン社 トマ 本ネ 部ジ メ 営 業 本 部 経 営 戦 略 会 議 経 営 戦 略 部 社長 事業計画推進 部 研 究 開 発 本 部 物 ム流 本シ 部ス テ 会長 社長 監 査 部 生 産 本 部 人 事 戦 略 部 広 報 部 財 務 部 2003年9月~ 会長 経 営 戦 略 会 議 グループ本社 社長 本 部 総 合 支 援 本 部 グ ル ー プ 48本 社 1 広報の実務 (2)組織的変遷 「広報」に直接関連する部門について考えれば、業務拡大に対して 三つの方向性 • 集約化:様々な組織に分散していた広報機能を集約化する対応 – 2000年前後にカンパニー制導入に伴い、日立、三洋電気、 キャノン、富士ゼロックスなど、「コーポレート・コ ミュニケーション」という冠を組織名に付す企業がある – 名称としては、1986年にマツダが「コーポレート・コ ミュニケーション統括室」、1992年にオムロンが「コー ポレート・コミュニケーション本部」を設置しているが、 普及はしなかった • 大幅な変化なし(TOYOTA) – 組織的変更はあまり行わないままでの対応 • 分散化(NEC) 49 会長・社長 ビ ジ ネ ス ス タ ッ フ 自 動 車 機 器 グ ル ー プ 計 測 器 グ ル ー プ 半 導 体 グ ル ー プ デ ィ ス プ レ イ グ ル ー プ 家 電 グ ル ー プ デ ジ タ ル メ デ ィ ア グ ル ー プ 情 報 ・ 通 信 グ ル ー プ 昇 降 機 グ ル ー プ 産 業 機 器 グ ル ー プ 電 力 ・ 電 機 グ ル ー プ 新 事 業 推 進 本 部 人 事 勤 労 部 財 務 部 投 資 計 画 部 事 業 開 発 質 研 究 開 発 本 部 知 的 所 有 権 本 部 輸 出 管 理 本 部 コ ー ポ レ ー ト ス タ ッ フ 監 査 室 関 連 会 社 室 企 画 室 社 長 室 社長室 コーポレート・コミュニケーション本部 広報 広報グループ IRグループ 宣伝 リスク対策 50 1 広報の実務 (2)組織的変遷 「広報」に直接関連する部門について考えれば、業務拡大に対して 三つの方向性 • 集約化:様々な組織に分散していた広報機能を集約化する対応 – 2000年前後にカンパニー制導入に伴い、日立、三洋電気、 キャノン、富士ゼロックスなど、「コーポレート・コ ミュニケーション」という冠を組織名に付す企業がある – 名称としては、1986年にマツダが「コーポレート・コ ミュニケーション統括室」、1992年にオムロンが「コー ポレート・コミュニケーション本部」を設置しているが、 普及はしなかった • 大幅な変化なし(TOYOTA) – 組織的変更はあまり行わないままでの対応 • 分散化(NEC) 51 総括・企画グループ 交通・環境グループ 社会文化広報室 社会文化ループ 第1企業広報グループ 企業広報室 部 長 第2企業広報グループ 第3企業広報グループ 1999年4月1日現在と、 2005年4月1日現在で、 変更なし。 第1商品・技術広報グループ 商品・技術広報室 第2商品・技術広報グループ 第3商品・技術広報グループ 第1海外広報グループ 2005年4月1日現在 のグループ 第2海外広報グループ 第3海外広報グループ 海外広報室 東京IRグループ 2グループから4 グループへと拡 大 メディアグループ 1999年4月1日現在 のグループ 企画グループ 52 1 広報の実務 (2)組織的変遷 「広報」に直接関連する部門について考えれば、業務拡大に対して 三つの方向性 • 集約化:様々な組織に分散していた広報機能を集約化する対応 – 2000年前後にカンパニー制導入に伴い、日立、三洋電気、 キャノン、富士ゼロックスなど、「コーポレート・コ ミュニケーション」という冠を組織名に付す企業がある – 名称としては、1986年にマツダが「コーポレート・コ ミュニケーション統括室」、1992年にオムロンが「コー ポレート・コミュニケーション本部」を設置しているが、 普及はしなかった • 大幅な変化なし(TOYOTA) – 組織的変更はあまり行わないままでの対応 • 分散化(NEC) 53 ◆NEC全社組織図(2005年4月1日現在) ※ 図中の「BU」は、「ビジネスユニット」の略。 (経営企画機能) 国内営業ビジネスユニット (経理・財務機能) NE モ バ イ ル BU ネ ッ ト ワ ー ク プ ラ ッ ト フ ォ ー ム パ ー ソ ナ ル ソ リ ュ ー シ ョ ン BU コ ン ピ ュ ー タ プ ラ ッ ト フ ォ ー ム BU BU BU BU ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 グ ル ー プ BU ソ フ ト ウ ェ ア ビ ジ ネ ス BU シ ス テ ム ビ ジ ネ ス BU BU ソ リ ュ ー シ ョ ン 社 会 イ ン フ ラ ソ リ ュ ー シ ョ ン MC NES BU 業 種 ソ リ ュ ー シ ョ ン ブ ロ ー ド バ ン ド ソ リ ュ ー シ ョ ン (人事機能) (法務機能) 広報部 CSR推進本部 (プロセス改革機能) 海外ユニット マーケティングユニット (資材・購買機能) 知的資産R&Dユニット (ソフトウェア事業推進機能) スタフ (NTT事業推進機能) 取締役会 監査役 CSR推進機能が広報部から分離し、CSR推進 本部として独立している点が特徴的。 54 1 広報の実務 (2)組織的変遷 – 組織対応策、組織変更の様態は個々の企業によっ てさまざまである – 企業経営の求心的位置づけ(アサヒビールなど)。 – 1990年代、社会貢献関連部署や、環境関連部署 などCC関連分野の組織が設置・拡大。 共通点と相違点 – 組織全体として「コミュニケーション」に関連す る業務範囲は拡大している点は共通。 – だが、部署名称としての「広報」は、各企業に よって、縮小したり、拡大している。 – 「広報」「コミュニケーション」という同じ言葉 55 でも、指し示す範囲は、企業によって多様。 2 広報の体系 領域/機能 対 象 主な手法 ステークホルダー 【情報受信】Input ○企業内外の社会環境調査・情報収集 <ex.法規制、行政指導> 企 業 体 経 営 戦 略 ( 目 標 ・ 方 針 ) コ ー ポ レ ー ト ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン マ ー ケ テ ィ ン グ ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 広 報 活 動 ☆企業認知度の維持・向上 ☆環境理念・方針の理解促進 ☆環境への取り組み内容の理解促進 ☆環境配慮企業イメージの形成 ☆社会環境の把握とフィードバック ★環境商品販売促進支援・経営資源 (人材・資金・原材料・技術・情報等) の確保・社内モラールアップ等経 営上の諸課題を円滑に達成する ための社会的状況の形成 ★ネガティブ問題への対応 発生の予防・解消 【対話・交流・協働・参画・教育・啓発】 【情報発信】Output ●各種PRツール(環境社会報告書等) ●メディア活用 企業パブリシティ(新聞/雑誌/TV…) 編集タイアップ インターネット/ホームページ ●PRイベント、コーポレート・ キャンペーン、社会貢献活動 ●人的接触交流(パーソナル・ コミュニケーション) 消 費 株 企業広告 商品パブリシティ 広 告 ・ 販 促 活 動 ☆環境商品内容(コンセプト、機能、 特性、付加価値)の伝達・訴求 ☆環境商品知名度の浸透・向上 ☆環境商品イメージの向上 ☆環境商品の市場環境(消費者、競合) の把握とフィードバック ★環境商品販売促進(売上げ拡大、 シェアアップ) ★需要開拓/市場開発 ★流通チャネルの活性化・拡大・開発 (サプライチェーンマネジメントの推進) オピニオン・ リーダー メディア 取 引 者 地 域 社 会 主 学 先 消費者団体 NPO/NGO 生 業界・財界 政 界 従 行 自 政 / 治 体 【情報発信】Output ●各種販売促進ツール(仕様書) ●販売イベント・キャンペーン ●消費者等組織化 ●メディア活用 環境商品広告 環境商品パブリシティ(新聞/雑誌/TV…) インターネット/ホームページ ●営業・セールス・流通支援活動等 海 業 員 外 【対話・交流・協働・参画・教育・啓発】 【情報受信】Input ○環境商品の市場環境(消費者・競合) 調査・情報収集 <ex.法規制、行政指導> 56 2 図 広報の体系 広報の総合展開 ・CD-ROM/DVD ・VTR、スライド 広報委員会の組織化 広報組織の整備 問 題 点 の 抽 出 解 決 策 の 抽 出 広報マニュアルの作成 社 内 体 制 の 構 築 広報環境把握調査 ・報道状況分析/論調分析 ・オピニオンリーダー調査 ・企業イメージ調査 ブランド調査 環境経営格付調査 SRI調査 等 総 合 分 析 広 報 計 画 立 案 ・ 決 定 【広報計画】 ・パンフレット ・CSR/環境社会報告書 ・PR誌 ・社内報 環 境 情 報 の 「 受 発 信 」 計 画 立 案 ・企業広告/意見広告 素材の発掘 パブリシティ 素材の分析 情 報 化 ・ニュースリリース ・記者会見、記者発表 ・記者見学会 ・プレスツアー ・個別プロモーション メ デ ィ ア 報道 放映 素材の創造 情 報 収 集 活 動 経営政策 営業販売政策 技術政策 社会環境・市場環境の把握と経営へのフィードバック ・ニューズレター ・プレスパーティ ・記者懇談会 新 聞 雑 誌 テレビ ラジオ インタ ーネ ット タイアップパブリシティ 情報素材づくり ・パブリシティ調査 ・はがきアンケート ・パブリシティイベント ・フォーラム/シンポ 収 集 情 報 の 分 析 ・展示会、ショー ・オープンハウス ・消費者グループ組織 参加 報 道 状 況 モ ニ タ ー ( オ ピ ニ オ ン ・ リ ー ダ ー 、 消 費 者 、 株 主 、 地 域 社 会 、 取 引 先 、 消 費 者 団 体 ・ NPO/NGO 1.広報方針 2.広報目標 3.広報テーマ 4.広報対象 5.広報内容 6.作業体制 7.スケジュール 8.予算 広報課題 情報発信 ダイレクト メディア・リレーションズ ・既存資料収集分析 ・マーケティング調査 ・インターネット/ ホームページ 情報管理体制の整備 ス テ ー ク ホ ル ダ ー 、 行 政 、 従 業 員 な ど ) フォーマル情報 各種調査 インフォーマル情報 情報収集活動 57 2 広報の体系 広報のコンテンツとコミュニ ケーション手法 ( 映 像 ) TVコマーシャル イベント TVニュース 見学会 説明会/懇談会 社員<接触> ( 音 声 ) ラジオ コマーシャル マーケティング・ コミュニケーション (宣伝広告) 検診票の裏面 チラシ、ポスター 新聞広告 雑誌広告 ホームページ (ブログ) パンフレット コーポレート・ コミュニ ケーション (広報/PR) ラジオニュース 新聞記事 (雑誌記事) ( 活 字 ) 主観的 イメージ形成 短期的訴求 客観的 具体的な取り組みの理解促進 中長期的訴求 58 2 広報の体系 コミュニケーション・ターゲッ トと手法の整理 従業員 広 報 ツ ー ル 情 報 発 信 活 動 メ デ ィ ア 活 用 キ ャイ ベ ン ン ペ ート ・ ン ●社内報、告知板 ●報道状況レポート ●広告活動レポート ●広報マニュアル ●広告ガイドライン ●C S R レポート ●電子メール ●イントラネット ●アニバーサリーイベ ント ●モラールアップキャ ンペーン ●広報セミナー(トッ プ、幹部社員) コ ミ ュパ ー ニ ソ ●広報委員会の運営 ケ ーナ ル シ ョ・ ン 情 報 受 信 活 動 情 報調 収査 集・ 等 ●社員アンケート調査 ●社員モラール調査 メディア ●ニュースリリース ●ニューズレター ●データブック ●ファクトブック ●ポジション・ペー パー ●写真・ビデオファイ ル その他報道用資料等 ●C S R レポート オピニオン 消費者 取引先 消費者団体 業界・財界 行政/自治体 N P O /N G O 地域社会 ●C S R レポート ●P R 誌 ●ニューズレター ●学術・技術専門誌 ●その他専門技術レ ポート、論文 ●C S R レポート ●会社案内パンフレッ ト ●一般向け各種広報パ ンフレット ●P R ビデオ ●学校向け教材・副読 本 ●広報出版物 ●その他広報ツール ●P R 誌 ●その他取引先向け 広報ツール ●C S R レポート ●広告(学術専門媒体 等での企業広告) ●企業広告 ●パブリシティプロ モーション ●タイアップパブリシ ティ ●広告(業界専門誌 企業広告) ●パブリシティプロ モーション(専門 誌) ●業界連合広告への参 加 ●記者会見 ●記者発表会 ●記者見学会(工場 等) ●プレスツアー ●学術シンポジウム ●テクニカルセミナー ●関連学会イベント協 賛 ●学術技術研究助成・ 援助活動 ●社会貢献活動 ●文化・スポーツイベ ント ●消費者教育啓蒙活動 ●アニバーサリーイベ ント ●パブリシティイベン ト ●その他コーポレート キャンペーンイベント ●アニバーサリーイ ベント ●その他取引先交流 イベント ●オープンハウス(施 設解放) ●工場・施設見学会 ●業界・財界イベン ●官公庁等主催のイ ●タイアップキャン ●地域イベント等への ト、キャンペーンへの ベントキャンペーン ペーン 参加 参加・協賛 への参加・協賛 ●活動助成制度 ●地域社会貢献活動 ●その他地域社会交流 活動 ●取材対応(平時、緊 急時) ●記者懇談会 ●その他メディア記者 との人的接触、交流 ●オピニオンリーダー 懇談会 ●その他オピニオン リーダーとの人的接 触、交流(トップマネ ジメントレベル/技術陣 レベル/広報レベル) ●ステークホルダー・ ダイアローグ ●消費者相談 ●クレーム対応制度 ●消費者モニター制度 ●ステークホルダー・ ダイアローグ ●顧客訪問(営業活 動) ●地域オピニオンリー ダーとの接触 ●消費者団体幹部との ●地域行政関係者との 接触・交流 ●トップマネジメント ●官公庁関係者との ●ステークホル 接触 ●ステークホルダー・ の財界活動のサポート 接触 ダー・ダイアローグ ●地域メディア記者懇 ダイアローグ 談会 ●地域団体幹部との接 触 ●報道モニター・ク リッピング ●報道状況分析 ●メディアヒヤリング 調査 ●メディアリスト管理 ●オピニオンリーダー ヒヤリング ●オピニオンリーダー リスト管理 ●企業イメージ調査 ●パブリシティ調査 ●取引先意見ヒヤリ ング ●消費者運動情報収集 ●消費者団体幹部意見 ヒヤリング ●消費者団体リスト管 理 ●インターネット・ ホームページ ●ポジションペーパー (特定テーマに関する ●C S R レポート 説明資料) ●C S R レポート ●ポジションペー パー ●C S R レポート ●C S R レポート ●各種広報ツール ●リクルート用映 画、ビデオ ●C S R レポート ●工場・施設案内パン フレット ●工場・施設案内ビデ オ/D V D ●その他地域広報ツー ル ●リクルート広告 ●パブリシティプロ モーション ●タイアップパブリ シティ ●地域媒体での企業広 告 ●パブリシティプロ モーション ●タイアップパブリシ ティ ●競合他社動向情報収 ●官界動向情報収集 ●企業評価調査 集 ●官庁関係者意見ヒ ●N P O /N G O 団体リ ●他社広報活動事例研 ヤリング スト管理 究 ●地域情報収集 ●地域特性分析 ●地域オピニオンリー ダー調査 59 3 様々な組織体の「広報」の変遷と社 会の変化 • 自治体 – 地方分権化が進んでいる。情報公開制度や住民参加など – 行政が「地域」における「コミュニケーション」 「Relation」はますます重要に。 • 政府各省庁 – PI(Public Involvement)手法の導入など、広報・広聴 活動が重視。 • 大学 – 国立大学法人化、少子化が原因。UI(University Identity)、 地域貢献など。 • NPO、医療機関、福祉機関 – NPO法人の増加に伴い、NPOの広報業務も必要とされ てきている。 – 非営利組織の広報業務への関心もたかまってきている。60 3 様々な組織体の「広報」の変遷と社 会の変化 • IT化、情報化と広報 – この10年で、IT化、情報化は進んだ。 – マス・メディアを含めたメディア環境全体の変化と捉え る視点。 • 環境と広報 – ISO14000が浸透し、環境報告書(環境・社会報告書、 CSRレポート)など多くの企業で発行されるように なった。環境広報の本質的変化。 • グローバル化・経済の自由化・情報公開 – 国際広報やIRの重要性も増してきた。 – だが、それらを通して「経営のあり方」を問うていこう という動きまでは、、、。 • 社会的変化に対応した経営体・組織体「あるべき 61 3 様々な組織体の「広報」の変遷と社 会の変化 • 現在の広報研究の問題点 – 広報研究の全体像の不明確性、研究レベルでの 連携の不足 – 「研究」の体系化が不十分である。 – 「定義」「研究領域」の全体像が不明確。 – 研究が個別に行われ、広報研究全体の中で位置 づけが不明確。 – 地方公共団体、NPOなど「広報」が求められる 組織の多様化。 – 行政・政治組織体の広報の研究が不足(実践が 先行)。 • 喫緊の現実の「広報」の課題への貢献の不足 – 広報対応(Media RelationというよりPublic Relations)の 62 3 様々な組織体の「広報」の変遷と社 会の変化 • • • • Public Relations Relationship Marketing Corporate Communication Marketing Communication • • • • ピーアール 「広報」 企業の社会性 企業の社会的責任 63 3 1990年代前半―再び「社会的責 任」 1990年、バブル崩壊。 • 1980年代末から、企業批判 ふたたび高 まってきていた。 – リクルート事件 – 証券・金融不祥事 一般投資家を犠牲にした 大口顧客への優遇が発覚 – ゼネコン汚職 – 大企業幹部と裏社会との癒着 64 3 1990年代前半―再び「社会的責 任」 1990年、バブル崩壊。 • 「対話」、広報・広聴、企業の社会性 – 「対話」 の重視 1991年4月、1992年9月 「フリートーク・フォーラム」 (経団連、経済広報センター主催) – 経団連 1991年「企業行動憲章」発表、企業の広報・ 広聴の重要性、環境 保全、フィランソロピー活動による社会 貢献、情報公開に対する ルールなどが明示化 • 地球環境問題 – 経団連 「地球環境憲章」を制定。地球環境問題の隆盛 を背景に、環境対 65 ■報道と経済被害―風評被害 (1)風評被害の社会心理的メカニズム (2)原子力と環境汚染と風評被害 (3)食品安全と風評被害 (4)企業・金融と「安全」、風説の流布 (5)安全の心理学、安全とセンセーショナリ ズム 66
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