動物咬傷 - 研修医.com

動物咬傷
~噛みなやな 犬猫どもが ゆめの痕~
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まず、大原則
 猫はやばい!!!!
 猫はやばい。
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問診しよう
 加害動物の種類
 発生時刻
 飼い主は誰か(自宅、隣人、野犬など)
 受傷状況
 受傷部位
 応急処置の有無と内容
 アレルギー、既往(免疫力低下など)
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噛まれることの多い部位
 上肢
←圧倒的に多い
 下肢
←おもに小児
顔の高さと犬の口の高さがほぼ同じ
頬ずりして逆に噛まれる
 顔面
 犬の咬む力が強いため物理的・機械的な粉砕など
による変形も大きな問題となる。
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診察のポイント
 1カ所の大きな傷に気を取られ他の小さな傷を見逃
さないこと。
“動物は何度でも噛む”
 救急外来での最も多いエラー
「異物の見逃し」
「腱の部分損傷」
「関節の開放創」
 感染の徴候(発赤、腫脹、疼痛、滲出液、膿、臭
い)
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創傷処置
 感染菌の除去と感染温床・治癒の妨げになる挫滅・壊死組織
を切除することに尽きる。
 創縁の麻酔と洗浄
 高圧洗浄
⇒サーフローの外筒(やわらかいの)を使う。
書籍『ERの裏技』
生食でルートを作り、先端にサーフローの外筒、三方活栓に
シリンジを。
またはシリンジの先端にサーフローを
『水鉄砲 先が狭けりゃ 強く飛ぶ』
 デブリドマン
 動物咬傷の経験が少ないうちは開放創としたほうが無難
http://www.wound-treatment.jp/next/wound196.htm
↑ナイロンを使用したドレナージについて記載あり。
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原因微生物
多い原因菌
 Streptococcus anginosus
 Staphylococcus aureus
 Eikenella corrodens
 E. nucleatum
 P. melaninogenicus
重要な原因菌
 Pasteurella multocida
 Staphylococcus aureus
 嫌気性菌
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口腔内溶連菌
抗菌薬の必要性
 好気性細菌、嫌気性細菌の混合感染であることを
念頭に置く。
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抗菌薬の選択
 犬、猫、人の咬傷は起炎菌が異なる。
 ペニシリンとβラクタマーゼ阻害薬の合剤がほとんど
すべての起炎菌をカバーしてくれる。
 サンフォードに、犬、猫、人の動物咬傷についての記
載がある。それぞれに。
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抗菌薬の選択
 経口
・アモキシシリン/クラブラン酸カリウム(オーグメンチン)1錠を1日3~4回
・βラクタムアレルギー:
クリンダマイシン150~300mgを6時間ごとに経口投与
+ レボフロキサシン(クラビット)500mg~750mg/dayを分1
→当病院だとダラシンカプセル150mgを4~6錠/day クラビット4~5錠(MAX6錠)

静注
・アンピシリン・スルバクタム(ユナシン-S)1.5~3gを6~8時間毎に点滴
・βラクタムアレルギー:
クリンダマイシン(ダラシンS)600~900mgを8時間ごとに点滴か
ミノサイクリン(ミノマイシン)100mgを12時間ごとに点滴
+ シプロフロキサシン(シプロキサン)400mgを12時間ごとに点滴
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参考書籍:レジデントのための感染症診療マニュアルより
その他
 狂犬病
海外で犬にかまれた場合10日間隔離し様子を観察し、あるいは強
く疑われる場合には脳を調べ狂犬病と判明したらワクチン接種す
ることが推奨されている。日本での報告はないため、日本の犬な
ら患者へ狂犬病の心配はないと告げるだけでよい。また飼い主は
狂犬病予防法により48時間以内に保健所への届け出義務がある。

発生のない国
①台湾②オーストラリア③グアム④ニュージーランド⑤フィジー
⑥ハワイ⑦アイスランド⑧アイルランド⑨英国⑩スウェーデン
⑪ノルウェー

リスクのある動物
犬以外に、コウモリ、猫など。欧米ではキツネ、アライグマなど

曝露後免疫スケジュール
初回接種日を0日目として、3、7、14、30、90日目
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と計6回接種する。
破傷風
 初期免疫が完成している場合は、来院時1回。
 初回免疫未完成の場合は、今後に備えて追加免疫(1ヶ月後、
半年後)が望ましい。
 1968年以前に生まれた人は定期接種がされていない。
 40歳以上は、TIGも考慮
 American College of Surgeonsの判定基準
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Up to dateでは
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そしてIC
 動物咬傷は、後になってから腫れが強くなること
が多いことが知られています。
 高圧洗浄を行い、抗生剤も併用しますが、それで
もなお感染のリスクが高い創であることをご了承
ください。
 猫は腫れがかなり出現し、腫張も強いので、あら
かじめしっかりICしておくことでトラブルを予防
しよう。
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