子どもの臨床

•愛着理論を中心
に精神分析理論の
再編:サンドラーから
アンナ・フロイトセンター
を引き継ぐ
•Mentalization
→関係性と相互性
ニューヨークにおけるスピッツの研究
 ロンドンにおけるボウルビィの研究
ボウルビィ、J 1907-1990
1951「母性的ケアと精神保健」
50年代後半に批判を受ける
1969「アタッチメント」を公刊しはじめる
「アタッチメント」「分離」「喪失、悲哀、
モーニング」
 マーラー、M・S.の研究
共生精神病・分離個体化
そしてスターンらの研究へと

Bowlby,John
(1907-1990)
イギリスの医師で精
神分析家、第二次世
界大戦で孤児院での
臨床研究から、子ども
のホスピタリズムなど
を研究して、母子愛着
の理論を体系化して
示した。
 愛着とは特定の対象に対する接近や接触を求
めること:そしてその反応を環境側が提供す
ること。
 ストレンジ状況でのAinsworhの実験
見知
らぬ
人
子供
母親
 子供と母親の愛着がその反応として理解でき
ると考える(Bowlby-Ainsworth)
グループA:Insecure-Avoidant
つまり不安定で回避的なタイプ
グループB: Secureつまり安定的タイプ
グループC: Insecure-Resistant/Ambivalent
つまり不安定で拒否的/両価的
グループD: Disorganaized/Disoriented
つまり混乱タイプ
こうした子供たちがいる。
他者
母
あらゆる関係の
基盤に三角関
係がある=父
親と母親と子ど
も、母親と兄妹
など。
子
まなざしが表情と結び付く発達
微笑み⇒人見知りまで
臨床とまなざし
微笑み⇒自閉
人見知り⇒対人恐怖
 ブタペストで学び、フェレンチィに加わる。
 1910-11年
フロイトから分析を受ける
 32-38年 パリ精神分析研究所教授、その間
ヴューラー夫妻から心理学の指導を受ける。
 38年亡命、ニューヨーク精神分析研究所へ、
さまざまな発達の研究を行う
ルネ・スピッツとローウェンシュタインら、ソシュールと
感情的なときに頭を振る運動
頭部転位運動(消極的)
情動開放的
探索行動によって口や口唇定
位反射を行う(積極的)
緊張放出のための努力
生理的
NO
愛情対象の
禁止の同一
視(発見)や
模倣
YES
対象関係的
意味的
1.対象のない(不鮮明な)段階:生後2ヶ月
知覚と内受容器系に対する刺激
2.対象の前段階:
三ヶ月微笑反応=第一組織因の形成指標
人間の顔の知覚ができるようになる
3.真の対象関係の成立:
八ヶ月頃の人見知り反応=第二組織因の指標
そして15ヶ月頃、第三組織因としてNOという
積極的拒否ができるようになる。
生後15ヶ月から30ヶ月の子どもの施設症
1.抗議protestの段階:「激しい悲しみ、大泣」
から子どもはいくら世話をしてもらっても医
者や看護婦を受け付けない。
2.絶望despairの段階:「なくなった母親に心を
奪われている」、打ちひしがれ、悲しまなく
なる。
3.無関心detachmentの段階:社会性が復活す
るためにしばしば回復と誤解されるが、母親
が尋ねてくると、「母親を知らないかのよう
に振る舞う」
目を向ける、目をかけること
で、私たちの愛着は確認でき
る。
目を向けて顔を読むことで、
私たちの心が成長していく。
相手の具合を考える=発達の
重要な要因になっている。
 スターン(1934-2012)が行った乳幼児の研
究によって乳幼児の主観的な世界が描かれたこ
とで、子供と母親の相互作用を治療的に用いる
研究⇒精神分析の実践 Boston Process of
Change Study Groupに(『解釈を越えて』)
 新生自己-中核自己-主観的自己-言語的自己-ナ
ラティブ自己といった層化した自己を考えた。
 さらに社会的自己とプライベートな自己、そし
て否認された自己の三つの側面からその人の在
り方を捉えなおす提案をした。
⇒精神分析の実践では関係性の一致と不一致
 生きた瞬間L-モーメント:特定の相互作用の
瞬間、現実における生の経験
 瞬間の記憶M-モーメント:L-モーメントが記
憶の中で符号化されたもの。エピソード記憶
 瞬間の概括化された表象R-モーメント:機能
的にカテゴリー化された表象。乳児は経験の
不変特性を見つけ、カテゴリー化し、プロト
タイプを作る。
プロトナラティブを精神分析の実践のなかで実
現させるために、表象を形成していく継時的な
プロセスを臨床と見なした⇒関係精神分析
 赤ちゃんがまなざしを向けて、対象をにんち
できるようになってくると母親の表情を承認
、認識の基盤につかっていることがわかる。
 相互にまなざしでやりとりしているとき
→STILL FACEを導入する
赤ん坊が期待していた承認を得られなくなる
→反応が徐々になくなる
まなざしの交流が乳児において大事だという
ことがわかる実験→相互交流とまなざし
 Burnnerが指摘した「共同注視」のプロセ
スは、情緒と知的な発達の重要な指標に
なっている。
 共同注視テストによって、さまざまな障
害の差があぶりだせると考えられており
、特に自閉症スペクトラム障害では、共
同注視が著しく低下するということにな
っている。
 心の理論=相手に心があるという理解=
メンタライゼーションの発達の指標の一
つ
日本の浮世絵を
用いて、共同注視
から、共に視るこ
との臨床的な関係
までを取り扱った
研究
therapist
子供
重なる場所
play ariea
他者
もの
母
あらゆる関係の
基盤に三角関
係がある=父
親と母親と子ど
も、母親と兄妹
など。
子
風流には嫉妬はない。
利己的なものもない。
没我的であり、非人工的なものである。
武者小路実篤
ともに見ている感覚のなかには、どちらかという
と互いに見る=承認するという感覚がかけている
ことが多い
 ともに見る同時にお互いを見るという関係が相互
に移行的に発展していくことが望ましいと考えて
いる。
 西洋では一人で見ることからお互いを見ることが
愛情表現の重要な移行と考える傾向がある。

 互いに見る機能
見つめあう発達のプロセスでは、最初に模倣
をする=ミラーニューロンを使って、相手に
合わせる=じっとみることで、共鳴する→模
倣、学習+共鳴
 何かを一緒に視る機能
共同注視=共視体験は、それを見ることで観
察する能力を上げる=共に視ることで一緒と
いう感覚を強める。
→発達は共鳴から共感を生み出すように進んで
いる。思考と情緒で心の理論ができていく。
 バロンーコーエンの詳細な調査によって、
自閉症の子供がもっとも苦手な認知は、
joint-attensionによって生じるメンタライ
ゼーションであることが分かっている。
 メンタライゼーションは、Fonagyらによれ
ば、境界例パーソナリティ障害において、
治療的に最も重要な要素であると考えられ
るようになっている。
⇒愛着ベースの心理療法は、相手の心とどの
ように交流するかを考える心理療法である。
 思いやりの段階=抑うつポジション(クライ
ン):Winnicottが指摘した段階。クライン
の精神分析では子どもが抑うつ的になるポジ
ションを発達の一部にとらえたが、彼は子ど
もが無慈悲な状態から思いやりを持つ段階と
呼び変えた。
 他人の心モデル(心の理論ともつながってい
る):Fonagyは現代の精神分析を総括しなが
ら、人の発達において最も重要なことは愛着
を基盤にしながら、他人の心を思うことであ
るとした(メンタライゼーション)。
Incongruent/unmarke
d contingent
mirroring
一貫しない照らし返し
Disorganized
Attachment and
Self
ばらばらな愛着
Non-secure base
安全ではない
Enfeebled Affect
representation and
Attention control
systems
情動表現が乏しい
Failure of Mentalization
Controlling IWM
Teleological stance
Psychic equivalence
The Alien Self
Lack of playfulness
遊びがない
Trauma:
Early or late
トラウマ
Arousal
‘switch’
Pretend mode
愛着対象
推測
幼児
内在化
幼児の心的状
態についての
表象
心理的自己の核
境界例の治療における原則
メンタライゼーションを高める
mentalization
情動とその表象の間のギャップを橋渡
しする。
ほとんど現在の精神状態でワークする
患者の欠損を頭に置き続ける。
治療を構造化しつつ、目標を明確に定めること
で治療関係に「愛着」を再構築するようにする。
 夫婦仲が悪く、子供(特に中の悪い異性)
に対して愛情がわかない
 親から虐待を受けてきたのでそれが愛情だ
と思っている、相手の気持ちは考えないで
よいと思っている
 同居家族、日本では嫁姑が多いが、夫婦の
関係が親密さを維持できず、つねに子供が
自分の子供と思えないような状況が繰り返
されている。
 親自身が病気で思いやりや養育の余裕がな
い。
 子どもの心理状態について愛着的人物が思い
描く=心的表象=物思い
 子どもはそれを内在化させる
 反応を見て、さらに親は相手の気持ちを推測
する
逆に子どもの状態について親が推測しない、で
きない場合
 子どもは自分の状態を表現しても、その投影
は失敗する
 親は相手の心がわからない
 子どもは自分の中に心理的な核を置くのでは
なく、自分の中に「異物」を置く
愛着対象
失敗した投影
幼児
内在化
幼児の心的状
態についての
表象の欠如
異物
自己表象
自己表象
外在化
知覚された他者
知覚された他者
自己が一貫性がない
という体験をもたらす
他人が異質な対象とし
て認知される
異物が自己の中にある
他人が異物と知覚される
愛着対象
推測
幼児
解釈
心的状態につ
いての表象
治療者は患者の状態を推測して、そ
れを解釈する
情動の適切な表現を発見し手、表現する。
Identification and appropriate
expression of affect
安定した内的表象を発達させる
Development of stable internal
representations
一貫性のある自己の感覚を形成する
Formation of a coherent sense of self
安定した関係を形成する能力を形成する
Capacity to form secure relationships