財政-第17講 5.財政赤字と公債理論(2) 2008年6月10日 第1限 1 財政赤字の問題点 世代間の不公平 所得格差の拡大 クラウディング・アウト 財政の硬直化 主要先進国の財政健全化への取り組み 2 財政赤字の問題点 3 国債の保有者=国の借金先…資料17-1 →大部分は国内(国民)資金 ⇒国家破産の可能性はない ⇔財政は持続不可能=財政破綻(←第16講) 財政赤字の問題点 世代間の不公平 所得格差の拡大 クラウディング・アウト 財政の硬直化 4 世代間の不公平 現在世代 税収入-財政支出<0 →国債発行(国の借金) or 増税 ⇒(安易に)国債発行に依存 将来世代 元利償還(借金返済) ⇒増税が必要に 5 バローの中立命題 現在世代 国債発行=将来の増税につながると予測 ⇒消費減少=貯蓄増加→将来世代への遺産 将来世代 現在世代からの遺産→増税分に充当 ⇔現実的とはいい難い? ⇔元利償還のための増税が具体化されると 現実味を帯びてくる? 6 所得格差の拡大 低所得者:元利償還のための税負担増加 高所得者:元利償還のための税負担増加 +(国債保有による)利子収入増加 ⇒所得格差の拡大(+所得税の累進性緩和) 7 クラウディング・アウト 国債発行(国の借金)による資金の流れの変化 国債発行前: 銀行→企業 国債発行後: 銀行→企業+銀行→国 ∴銀行→国⇒財政支出が増加 ⇔(貨幣供給量一定の場合) 貨幣市場で利子率上昇 =銀行から企業への貸出金利上昇 ⇒銀行→企業が減少 ⇒クラウディング・アウト 8 日本の財政赤字は深刻な状況(←第16講) ⇔クラウディング・アウトは発生していない ←日銀の金融緩和政策(2001年3月~06年7月) 量的緩和政策 =銀行保有の国債・株式買入 ゼロ金利政策 =無担保コールレートを実質ゼロに ⇔解除(2006年7月~)後は? 9 財政の硬直化 国債残高の増加 →義務的経費である国債費の増加 =歳出に占める国債費の割合上昇…資料6-6 ⇔裁量的(政策的)経費である一般歳出の 割合低下 ⇒財政の硬直化(←第6講) 10 主要先進国の 財政健全化への取り組み 11 財政赤字関連指標の国際比較(←第16講) 財政収支(国+地方)の対GDP比…資料16-4 債務残高(国+地方)の対GDP比…資料16-5 ⇒日本は深刻な状況 ←1990年代:主要先進国は財政赤字縮小に成功 ⇔日本は失敗 財政健全化への取り組み 主要先進国 日本(→第19講) 12 1990年代の財政赤字削減策…資料17-2 財政健全化目標の設定 ※EU通貨統合(1999年~)への参加条件 ←マーストリヒト条約(1993年) 財政赤字(国+地方)の対GDP比→3%以下 債務残高(国+地方)の対GDP比→60%以下 増税 財政支出の抑制 or 財政支出増加に上限 ⇒財政赤字縮小 13 第18講の予定 5.財政赤字と公債理論(3) 公債の制度 国債の種類 国債の発行 国債の償還 公債政策の推移① 14 参考資料の出典等 資料6-6…財務省[2006]『日本の財政を考える(パンフレット)』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014_1809.pdf 資料16-4…財務省[2007]『日本の財政を考える(パンフレット)』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm 資料16-5…財務省[2007]『日本の財政を考える(パンフレット)』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm 資料17-1…財務省理財局[2008]『債務管理レポート2008』 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/saimukanri/2008/saimu.pdf 資料17-2…財務省[2007]『日本の財政を考える(パンフレット)』 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm 15
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