こんにちは赤ちゃん事業 住民とともに,みる,つなぐ母子保健活動 第3分科会 事例提供:大分県竹田市健康増進課 吉田 まり子,伊藤さおり こんにちは赤ちゃん事業の目的 • 乳児家庭の孤立化を防ぎ,乳児の健全な育成環境 の確保を図る • 乳児のいる家庭と地域社会をつなぐ最初の機会を 提供する • • • • • 生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を訪問 母親等から様々な不安や悩みを聴く 子育て支援に関する情報提供等を行う 母子の心身の状況や養育環境等の把握と助言 支援が必要な家庭に対して適切なサービスの提供 につなげる 訪問スタッフの実態 • 訪問スタッフの候補者 保健師,助産師,看護師,保育士,母親クラブ, 母子保健推進員,愛育班員,児童民生委員等 • 有資格者による訪問をスタートさせた自治体が多い 保健師,助産師,看護師,保育士・・ • 有資格者と愛育班や母子保健推進員等を対象により 「使い分ける」自治体もある 第1子は有資格者,第2子以降は愛育班員等 • 事業の目的を考えると・・ 「乳児のいる家庭と地域社会をつなぐ最初の機会 を提供する」という目的を達成するには, どの訪問 スタッフがいいのか? 大分県竹田市 (平成17年4月に合併) • 1市3町の市町村合併の際に母子保健事業の検討 2町のみ保健師による新生児期の全数訪問 1市1町にしか母子保健推進員はなかった • 合併後の母子保健事業 保健師による新生児期の全数訪問を全市で実施 年間150人の出生,母子保健担当は2名 母子保健推進員を全市に拡大 旧小学校区単位に1名ずつ 19名の推進員 妊婦学級を年間4クール実施 市内に産婦人科がなく,妊婦の不安が大きい 乳児健診は1か所に集約して毎月開催 小児科医が市内に1人しかいない ← 医療資源の不足で母子保健事業でカバー 竹田市におけるこんにちは赤ちゃん事業 • 新生児期の保健師による全数訪問 専門職によるリスクアセスメント EPDS,ボンディング(愛着形成),育児支援 • 生後2~6か月に母子保健推進員による全数訪問 訪問を断られるのはわずか2~3名のみ • 母子保健推進員による訪問時の配布物 ハッピーメール (児童民生委員からのメッセージ) 絵本 (ブックスタート事業も活用) 地域の子育て支援に関する資源の情報など • 母子保健推進員のその他の活動 妊婦教室や乳幼児健診の勧奨などもしている 妊娠中から「顔つなぎ」ができている 論点「こんにちは赤ちゃん事業は何のため?」 • 親子と地域を「つなぐ」 「出産おめでとう」のメッセージ 育児サークル,集いの広場などの紹介 「不安なときや困ったときはいつでも相談してね」 必要な場合には保健師など専門職と「つなぐ」 → 母親の孤立化を防ぐ 「見守る」 • 虐待のリスクなどを「診る」 保健師によるハイリスク妊産婦のスクリーニング • この2つの役割を母子保健推進員に期待できるか? 第2子は母子保健推進員にお願いでいいのか? • 竹田市におけるこんにちは赤ちゃん事業はこの2つの 目的を達成するために,保健師と母子保健推進員に よる訪問役割を明確にして2本立てとした! この事例からの学び • 国の実施要綱どおりの事業展開でいいのか? 予算やマンパワーなど,現実的な制約のために, 中途半端な実施要綱になっていないか? • 事業の本来の目的を考えよう 保健師,課内,関係者,住民組織と共有しよう • その目的を達成するための事業の展開を考えよう 当該の事業だけでなく,他の事業との連動も重要 予算の制約の中で既存の事業をうまく活用 NPプログラムの託児に母子保健推進員も参加 今時の母親の子育てについて学ぶ機会に • 「弱み」を「強み」に変える 産科医療機関などの資源が乏しいことが,行政の サービスに対する期待度を高めている
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