ソーシャルワーカーの倫理綱領」作成の視点

社会福祉士の将来像と本会の将来構想に
ついて
(社)岐阜県社会福祉士会 会長 宮 嶋
Ⅰ、ソーシャルワークとは何か
「定義」「倫理」「原則と基準」「機能と構造」
Ⅱ、「第一次構想案」とは何か
Ⅲ、会員からの意見と疑問
Ⅳ 今後の課題
淳
ソーシャルワークの定義
– ソーシャルワーク専門職は、人間の福利の増進を
目指して社会の変革を進め,人間関係における問
題解決を図り、人々のエンパワーメントと解放を促
していく。
– ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに
関する理論を利用して、人々がその環境と相互に
影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原
理はソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
ソーシャルワークの拠り所

国際的人権宣言や規約は、共有の達成基準であり,世界
で受け入れられた権利を承認するものである。こういっ
た文書には下記のものがある。
• 世界人権宣言
• 市民権と政治的権利に関する条約
• 経済的・社会的・文化的権利に関する条約
• あらゆる人種差別の撤廃に関する条約
• あらゆる女性に対する差別撤廃条約
• 子どもの権利条約
• 先住民族や部族民に関する条約
価値①

価値の枠組み
– 根本的価値~人権と社会正義
• 基本的人権
・「自由」「平等」「共生・連帯」
• 世界人権宣言等・・7つの規約
– 中核的価値~サービス(貢献)
– 手段的価値~誠実さと専門的力量

価値の構造
– ソーシャルワーク実践との連動
価値②

IFSWの「人権と社会正義」

人 権:
–
–
–
–

自己決定の尊重
参加の権利の保障
個々の人間を全体として捉える
ストレングスとエンパワーメント
社会正義:
–
–
–
–
差別への挑戦
多様性を認識する
資源の公正な分配
不正な政策や実践への挑戦
図4 倫理綱領にみられる「価値」
Value 価値
a b c d e
① Service(to humanity) 人間へのサービス(貢献)
○ ○ ○ ○ ○
② Social justice 社会正義(公正)
○ ○ ○ ○ ○
③ Dignity and worth of the person 人間の価値と尊厳
○ ○ ○ ○ ○
④ Importance of human relationships 人間関係の重要性
○
⑤ Integrity 誠実
○ ○ ○
○
⑥ Competence 専門性
○ ○ ○
○
備 考 :a、アメリカ(1996 年) b、オーストラリア(1999 年) c、イギリス(2002 年)
d、IFSWの定義(2000 年) e、改訂案(2002 年)
倫理の着眼点

価値と思想

歴史性
– 国際ソーシャルワーカー連盟
– わが国のソーシャルワーク職能団体

普遍性
– ソーシャルワークの定義
– 国際的な人権規約

機能と構造
– ソーシャルワーク実践の構造

原則と基準
– ソーシャルワークの原則と基準
歴 史 性

国際ソーシャルワーカー連盟の視点
– 1976年、1994年、2002年、2004年の構造的変化

日本のソーシャルワーク職能団体の取組
– 日本医療社会事業協会(1961年)
– 日本ソーシャルワーカー協会(1969年、1986年)
– 日本社会福祉士会(1993年)
– 日本精神保健福祉士協会(1991、1995、2002年)

国際的動向との連動(2004年)
普 遍 性

社会福祉法とソーシャルワーク倫理(2000年6月)
– 措置から契約へ、上下関係から対等な関係へ

ソーシャルワークの定義の改正(2000年7月)
– 定義における「価値・理論・実践」の明確化

ソーシャルワークの倫理-原則と基準-
– 人権と社会正義
– 専門職
機能と構造

社会福祉援助技術の統合
– ケースワーク、グループワーク、コミュニティワーク

ソーシャルワークの展開過程
– インテーク、アセスメント、ケアプラン、モニタリング

ソーシャルワークの相互作用モデル
– 「人ー環境」「人ーSWer」「環境ーSWer」

ソーシャルワークのスキル
– アドボカシー、エンパワメント、スーパーバイズ、
– コンサルテーション
図2 ソーシャルワークのトライアングルモデル
利用者
システム
個人
または
集団
集団
組織
その他
ソーシャル
ワーカー
出所:岩間伸之『ソーシャルワークの媒介実践論』
図3 社会福祉士事務所のソーシャルワーク
<社会的に機能する力>
(生きる力)
人
対 話
間
環
境
応 答
評 価
選 択
ア
イ
デ
ン
テ
ィ
テ
ィ
対 話
ニーズの充足
担う
変化
貢 献
総合性 / 透明性
多面性 / 現実性
全体性 / 非分業性
方向性 / 調和性
変革性 / 一貫性
信頼と安心
拠 点 == SWer == 創造性
役 割 :
理 想 :
背 景:
風土
セラピー、スーパーバイザー、アジテーター、宗教家、父、
ファシリテーター、社会運動家、伝道師、社会的援助者、
傾聴者、検証者、受け止め役
使命
/
価値
/
時代
/
= 正義/公正
尊敬
= 本質の見方/起源
実 践
と
訓 練
原則と基準

「人-環境」のソーシャルワークの地域展開
– 社会福祉基礎構造改革による福祉の地域化
(2000年6月)
– 第18期社会福祉・社会保障研連報告書
(2003年6月)

「理念」から「思想・哲学」へ
– ノーマライゼーション、インテグレーション、
ソーシャル・インクルージョン
– マルチカルチャリズム、コミュニタリアニズム
実践と倫理の関係

社会的認知
– 「誹謗・中傷」への防衛

法的規制
– 「苦情・信用失墜」への懲戒

自己評価
– 仲間の実践支援の仕組み
– 「資格-宣誓-実践-支援」の仕組み
– 「懲戒-自己洞察」の仕組み
図1 ソーシャルワーカーの倫理システム
利用者・社会
誹謗・中傷
実践
社会福祉士
倫理綱領
(約 束)
処 分
支 援
法律等社会資源
組 織
図5 ソーシャルワークの価値と実践原則の構造
普遍的価値
→
対象:人
対象:社会
価値:人間の価値と尊厳
価値:社会公正
利用者に対する倫理責任
社会に対する倫理責任
場における役割・機能
価値:貢 献
中核的価値
実践現場における倫理責任
手段的価値
→
価値:誠 実
価値:専門的力量
専門職としての倫理責任
特別の役割における倫理責任
社会福祉士
第一次構想案とは何か
 第一次構想案の位置づけ
 本会の将来構想のポイント
 本部と支部の関係
 書けなかった留意すべき事項
第一次構想案の位置づけ

社会福祉士の実践を普及させる将来構想を持ち、
中長期計画を位置づけていく

中長期計画の基本的な構想(骨格)に位置 づ け 、
年次計画における指針としていく。

10年をふり返り、その活動と運営および基本的
視点を総括した上で構築

中長期的な計画に基づき獲得しようとする目標を
構想

中長期的な期間にわたる本会の具体的な取組み課
題や方向性を示すもの
将来構想のポイント

国際的な視点

「日本におけるソーシャルワークを担う」

本会の使命
– 倫理の確立
・専門的技能の研鑽
– 資質と社会的地位の向上
– 人々の生活を権利の擁護
– 福祉の増進
– 社会的活動の展開
・組織基盤の強化
中央と地方の関係
– 本 部
• ソーシャルワークの基盤整備
• ソーシャルワークの実践領域の拡大に向けた社会的活動
• ソーシャルワーカーの労働条件の改善・向上
• 他の専門職との協働・提携体制の確立
• ソーシャルワーク研究への協力・貢献
• 組織の方向づけ
• 財政基盤の構築
• 戦略的な広聴・広報基盤の構築
– 支 部
• 特徴ある具体的実践
• 実践事例の集積
地方への
分権・自立
の促進