PowerPoint プレゼンテーション

英国における電力制度改革の動向
平成13年11月14日
大阪ガス株式会社
ご説明内容
 英国の電気事業
 新卸電力取引制度(NETA)
 送電料金制度
 まとめ
1
英国の電気事業
英国の電源構成の推移
 ピーク需要:57GW、総発電設備容量:72GW(1997)
– 参考)東京電力 ピーク需要:58GW(1999)
 天然ガス発電のシェアが年々増加傾向
– 0%(1990)→38%(1999)
燃料別発電量シェアの推移(%)
100%
80%
1
8
04
1
9
18
20
1
60%
40%
6
9
38
23
0
23
69
46
20%
水力他
輸入
ガス
石油
原子力
石炭
24
0%
1990
1995
1999
3
History 1880~1940
1881:London近郊にて初の電力供給事業開始
1900:400を超す電気事業者
(電圧、周波数、AC/DC混在)
1926:中央電気局設立→全英基幹系統の建設
1935:132kV全国送電網完成
(配電部門は多事業者混在)
History 1940~1980(国営化・統合)
北スコットランド水力電気局(1947:NSHEB)
(発送配電一貫)
北アイルランド電気局(1931:NIES)
南スコットランド電気局(1955:SSEB)
(発送配電一貫)
(発送配電一貫)
電気会議(EC:1957)
中央発電局(CEGB:1957)
(発送電)
Central Electricity Generating Board
12地区配電局(REB:1957)
(配電) Regional Electricity Board
132kV全国送電網完成(1935)
History 1989 電気法(分割・民営化)
スコットランド
発送配電一貫のまま株式会社化
Scottish Hydro Electric
Scottish Power
北スコットランド水力電気局(NSHEB)
南スコットランド電気局(SSEB)
1979年 保守党サッチャー政権
→国有企業の民営化
1987年 電力民営化選挙公約
1989年7月 法制化 「1989年電気法」
1990年3月31日 施行
(イングランド・ウェールズとスコットランドのみ)
Scottish Nuclear社の設立
北アイルランド
1992.3:全発電設備売却
送配電会社として民営化
(NIE)
3社に224万kWを売却したが長
期電力購入契約状態で
参入者もなく競争なし
NIES
イングランド・ウェールズ
アイルランド
中局発電局
(CEGB)
12配電局
(REB)
132kV以下
分割&株式会社化
発電3社
・ National Power
・ Power Gen
・ Nuclear Electric
送電1社
・ National Grid
12配電会社
RECs(Regional Electricity Companies)
Privatization
民営化施行(90.3)
順次全面的株式公開(買収可能)
90年 RECs
91年 発電会社・スコットランド
95年 National Grid、REC政府株
96年 原子力会社
91.6(100%株式公開)
98 Southernと合併
Scottish Hydro Electric
Scottish Power
Scottish Nuclear
Scottish & Southern Energy
91(民営化)
原子力会社についても民営化決定(95年)
British Energy
93.6(100%株式公開)
96.7(100%株式公開)
・Magnox Electricと原子燃料会社
NIE
(92.3 民営化)
設立(NEとSNの持株会社:96)
Nuclear Electric
National Power
Power Gen
National Grid
RECs
91.3(60%)
95.3(40%)
2000.10 分離
Innogy(国内)
International Power
90年(12RECsに割当)
95年(一般公開)
90.12(100%株式公開)
95.5 政府所有特別株の効力消滅
→買収自由化
英国の電力供給システム構造(1990-2001)
 1990年に国有電気事業の再編・民営化を実施。
 発送配電分離と卸電力取引制度(強制プール)を導入
 90年4月以降、順次小売自由化範囲を拡大し、99年5月に
小売全面自由化を完了。
(主要 3 社)
発電
送電
(N G C )
配電
供給
NP
PG
BE
IP P
(約 30 社)
その他
発電
電力プール(N G C が運営)
配電会社
IP P 系小売
他小売
(12 社)
需要家
需
要 大口需要家
家
8
自由化の進展状況
 新規事業者の参入
– 発電ライセンス保有者:7社(90)→49社(98)
– 小売ライセンス保有者:37社(98)
 新規事業者へのスイッチ
– 乗換え率:27.4%(781万件/全体2850万件)
9
発電事業者シェア
100
1.7
7
0
17.4
80
%
60
40
20
旧
国
営
会
社
系
21.5
36.2
7.8
8.1
45.5
25.5
8.8
5.8
22.4
19.7
12.1
28.4
17.4
14.8
98 winter
99 summer
IPP etc
EDF+Scott
Eastern
BE+ME
National Power
PowerGen
0
1990
10
1MW超市場における事業者シェア
1990 Competitive Retail to 1MW over
100
80
60
39
47
42
43
48
51
53
50
48
20
26
32
27
24
20
1996
1997
1998
4
7
12
15
40
57
20
46
46
42
15
37
16
33
to new comer
to other LDC
stay
0
1990
1991
1992
1993
1994
1995
11
100kW~1MW市場における事業者シェア
1994 Competitive Retail to 100kW-1MW
100
80
60
8
11
14
34
39
18
22
30
41
70
59
40
20
13
53
to new comer
to other LDC
stay
47
41
1997
1998
0
1994
1995
1996
12
電力料金の推移
 自由化開始時点(1990)と比較すると、電力料金は名目価格で
横ばい~若干の低下。
名目価格:p/kWh
 しかし、インフレ率を加味した実質価格では30~35%の低下。
10
200
9
166.4 180
8
7
7.86
7.75160
7.47 140
7.77
6
5
4
120
117.4
4.43
4.67
80
3.92
3.66
3
90
100
家庭用
小口商業用
小口産業用
大口産業用
物価指数
91
92
93
94
95
96
97
98
99
60
13
新卸電力取引制度(NETA)
従来卸売制度(強制プール)の問題点
 市場が一つであり、市場間の競争が働かない
 大規模事業者が価格操作を行いやすい
 プール価格が低下しにくい価格決定方式
 市場参加者が売り手(発電側)のみであり、買
い手(需要側)不在の市場である
 相対契約をベースとした、ガス市場取引との取
引ルールの違い
15
英国の制度見直しポイント
NETA(New Electricity Trading Arrangements)
 強制プール制度から任意プール制度へ
→相対取引や取引所取引をベースとする
 National Grid(NG)社は、系統運用者(SO)とし
ての役割に限定
 Balancing Mechanism(需給調整)市場
 Imbalance Settlement(インバランス決済)
16
英国の新取引市場
時 期
先渡・
先物市場
短期契約市場
需給調整市場
(BM市場)
インバランス
決済
1年程度前
~前日
前日~
3.5時間前
3.5時間前~
受渡時点
受渡終了後
役 割
長期契約締結
運営者
私設取引所 or
なし(相対)
参加者
価格
決定
リアルタイムの
長期契約と想定
需給アンバランスを
需給の差を調整
調整
私設取引所 or
なし(相対)
System Operator
(NGC)
任意 (発電者、供 任意 (発電者、供 任意 (発電者、供
契約量と実取
引量の差分を
決済
Central Settlement
(NGC)
強制
給者、需要家等)
給者、需要家等)
給者、需要家等)
(全市場参加者)
市場価格 or
相対取引価格
市場価格 or
相対取引価格
入札形式
(応札価格)
SOの需給バラン
スサービスコストに
基づき算定 17
英国の新取引市場
1年程度前~前日
前日~3.5時間前
先渡・先物市場
短期契約市場
発電
発電
発電
私設取引所
供給
供給
発電
発電
発電
相対
契約
私設取引所
相対
契約
供給
供給
供給
3.5時間前~受渡
需給調整市場
発電
発電
Bid/Offer入札
SO
(NGC)
インバランス決済
発電
発電
差分決済
CS
(NGC)
供給
Bid/Offer入札
契約情報
受渡後
契約情報
供給
供給
計
量
値
差分決済
供給
供給
発電量/需要量
(30分単位)
18
主な新規参入私設取引所
取引所名
内
容
UKPX
・スウェーデンの商品取引会社OMグループが母体
IPE
・石油・ガスの先物を専門とする欧州最大の事業者
・英国における認可取引所の有資格事業者
APX
・米国での実績を有する電力取引所
・先物、スポットのほか、第三者への決済サービスも提供
Power Ex
EFA
EnMO
・ネット上で先物、スポット、決済サービスを提供
・従来のプール制の下で仲介業を展開
・NGC社とNord Pool社が共同設立
・英国のガス・スポット取引にも参入
19
Balancing Mechanism(需給調整)市場
 先物/先渡市場を想定需要に沿うように調整する市場
 市場参加者とSO(NGC)との間で取引
 Offer入札(発電増 or 需要減)は安いものから落札
 Bid入札(発電減 or 需要増)は高いものから落札
MW
Pair 2:
Offer £40/MWh
Bid £38/MWh
Offer 2 購入
Offer 1 購入
実需要
Pair 1:
Offer £30/MWh
Bid £28/MWh
最終給電計画(FPN)
Pair -1:
Offer £20/MWh
Bid £18/MWh
Bid -1 購入
Pair -2:
Offer £10/MWh
Bid £8/MWh
16:00
16:30
20
インバランス決済
 各事業者の計画発電量(需要量)と計量値との差分
は、インバランス価格で決済される。
 インバランス価格はSSPとSBPから成る。
◎SSP(System Sell Price:系統販売価格)
BM(需給調整)
事業者が発電超過あるいは需要不足の際に、
電気
SOから各事業者へ支払われる価格。
BM市場
SO
Bid応札者への販売収入より決定。
Bid価格
インバランス決済
発電超過
事業者
SSP
◎SBP(System Buy Price:系統購入価格)
事業者が発電不足あるいは需要超過の際に、
電気
各事業者からSOへ支払われる価格。
BM市場
SO
Offer応札者からの調達コストより決定
Offer価格
発電不足
事業者
SBP
21
インバランス価格の推移
 SSP(発電超過時:SO→事業者への支払い)は安定しているが、SBP
(発電不足時:事業者→SOへの支払い)のボラティリティは高い。つまり、
同じインバランスを発生させた場合でも、発電不足(需要超過)の方がリス
クは大きい。
 そのため、出力調整の容易な電源(揚水、ガスタービン等)が重用されて
いる模様。
S S P /S B P 0 1 /0 8 /2 0 0 1
250
S ys te m S e l l P r ic e ( S S P )
S ys te m B u y P r ic e ( S B P )
£/M W h
200
150
100
50
0
0
6
12
18
24
30
p e r io d ( 3 0 分単位)
36
42
48
22
System Operator(NGC)の役割
 従来の役割である中央給電指令機能は廃止
 NETAの下での役割
①エネルギー・バランス・サービス(EBS)
・各事業者から提出された取引量と、SOの想定需要量を比較しながら、
電力システム全体の需給バランスを調整する。
・調整方法としては、BM市場での調達のほか、SO自身が相対取引や先
物取引により、必要な電力を調達することも可能。
②システム・バランス・サービス(SBS)
・電力の品質を維持するために、電圧維持や周波数制御、無効電力供給
などの補助(アンシラリー)サービスを行い、系統を安定化。
※)これらの費用の回収方法については後述
23
プール制度とNETAの比較
Pool
市場形態
市場形態
参加の必要性
公設
強制
参加者
ライセンス所有者
プール
(CfD)
取引価格
需給均衡価格
上限価格
価格規制
£2.9/kWh
(VOLL)
インバランス決済
なし
価格情報
プール価格
プール
補助サービスコスト
送電サービス料金
プール
送電制約解消コスト
送電サービス料金
プール規則
ルール
プール決済規約
市場操作の罰則
なし
規制者
直接的な規制者なし
取引の種類
価格
ルール
NETA
Usual Market
Balancing Market
私設
公設
任意
任意
任意
任意
BSC party
相対取引
BN市場取引
取引所取引
インバランス決済
no rule
応札価格(BM)
none
あり
市況価格
送電(バランス)料金
送電(バランス)料金
(将来は送電権市場取引)
需給調整決済コード
1998年競争法
OFGEM
24
送電料金制度
現行の送電料金制度
送電料金(Transmission Charges)
①送電線使用料金(Transmission Network Use of System Charges)
・・・送電設備の資本コスト、維持管理コスト
②接続料金(Connection Charges)
・・・NGCが所有する基幹系統網と発電所を結ぶ設備(電源線等)の資本コスト
③バランシング・サービス料金(Balancing Services Use of System Charges)
・・・SO(NGC)が行うEBS、SBSに要するコスト
④送電ロス(Transmission Losses)
・・・送電ロスによって生じる、総発電量と総需要量の差分の調整
26
送電線使用料金
 NGCが送電線所有者(Transmission Owner)として機能す
ることにより発生する費用(建設コスト、維持管理コスト)
を回収。
 発電側料金(15地域)と需要側料金(12地域)に区分。
 発電所立地のアンバランスを解消するために、料金に傾
斜をつける。
→ex)ロンドン市内(需要密集地)での発電側料金はマイナス
 プライスキャップによる料金規制
→現行料金水準は、90-92年度比▲37%
27
バランシング・サービス料金
 ①エネルギー・バランス・サービス(EBS)=電力系統全体の需給バランス調整
・計画と実量との乖離がある事業者から、インバランス料金として、回収。
・料金水準は、SOの調達コスト(先物市場、BM市場)にて決定。
・ただし、EBSコストのうち、BM市場での取引コスト、補助サービス契約コストなどは、系
統使用料金として全員から回収。
 ②システム・バランス・サービス(SBS)=電力の品質維持、系統安定化
・系統使用料金として利用者全員から回収。
 ①EBS、②SBSとも、系統使用料金については内部費用はプライス・キャップ、
外部費用はスライディング・スケール方式によるインセンティブ規制を受ける。
SOと事業者が
損失折半
損失上限
損失配分ゾーン
基準コスト範囲(デッドバンド)
利益上限
SOと事業者が
利益折半
利益配分ゾーン
28
接続料金/送電ロス
 接続料金
– 基幹系統網と発電事業者をつなぐ接続設備(電源線等)に
かかる建設コスト、維持管理コストを当該事業者より回収。
– 料金は総括原価方式により決定。
 送電ロス
– 系統全体の送電ロスを、45:55の比率で発電側と需要側に
課す。
– 地域毎の送電ロスの相違は考慮されていない。
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現行送電料金の問題点
 NETAとの関連
 送電ロス、送電制約が適切に考慮されていない
 NGCの送電線建設投資に対するシグナル、イン
センティブがない
 ガスの輸送制度との整合
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送電料金制度改革の方向
 ガス電力市場局(OFGEM)は、2002年4月からの
新送電制度導入を目指し、検討中。
 新制度の柱は以下の2点
①送電線利用権(Transmission Rights)の設定
・送電線の容量を権利化し、独立した「利用権取引市場」に
て取引を実施
②地点別限界送電ロス(Locational Marginal Losses)の考慮
・現行とは異なり、地域毎の送電ロスを考慮
31
送電利用権制度の枠組み
 原則:物理的電力取引量と利用権量を一致させる。
 NGCが「利用権市場」を運営。
NETA
利用権取引
先渡・先物市場
初期配分
各事業者は、自らの取引量に見合っ
た利用権をNGCから取得。(競売 or
設定された料金)
短期契約市場
二次市場
短期契約市場の取引に合わせ、利
用権容量を調整。
BM市場
BM市場連動
BM市場のBid/Offer入札に連動させ、
市場参加者の利用権量を調整。
インバランス決済
インバランス決済
利用権と実際の使用量に過不足が
生じる場合はインバランス決済。
32
まとめ ~我が国の送電制度改革への参考点~
 強制プール(公設)の失敗を経て、任意プール(私設)への転
換
 系統運用者による需給調整を、中央給電指令方式から市場
原理による調整へと転換
 事業者への同時同量インセンティブの与え方
→インバランス決済
 送電料金の構成
→資本コスト、SOコスト、送電ロスを区分
 送電権の導入
33