医療事故

医療事故
2002.6.7
死亡者の可能性
• アメリカのアカデミィ医療研究所による医
療事故の報告書(1999.11)
• ニューヨーク州、コロラド州、ユタ州の1990
年代初頭の調査から、全土を推定
• 入院患者:3360万人(1997)、医療事故によ
る死亡者は毎年、44,000人~98,000人と推
定、交通事故43,458人より多い
• 日本(推測):交通事故死1万人以上か
横浜市大付属病院
• 患者取り違え手術事故(1999.1.11)
• 医師団の誰も取り違えに気づかず、手術
対象部位(心臓と肺)の状態がカルテ記載
の診断事実と違っていたのに、手術を最後
まで行ってしまった
ハインリッヒの法則
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労災事故を調べた
1件の重傷事故
29件の同種の軽症事故
300件の傷害のない事故(インシデント)
数千、数万の危険な行為
• インシデントの発生の原因を探り、事故にならな
かったのはどうしてか、を探るのが重要
失敗情報
• 失敗情報を得るためには、免責が重要
• (トヨタのアンドン)
• 製品の作りこみ
• ミス、問題を個人的に隠すのではなく、問
題点の公開が大事だ
組織事故
• 個人の責任を追及するよりも、システムの
問題を解決することによって、将来の事故
を減らす
• 故意で問題を起こすのではなく、過失で問
題を起こす
医師という専門家
• 外科から内科へ専門を移せる
• 若い時に取った資格が、死ぬまで使える
• 実際上、資格剥奪の行政処分を受けない
事故調査委員会
• 航空・鉄道事故調査委員会は、航空事故、
鉄道事故及び重大インシデントの原因を
科学的に究明し、公正・中立の立場から事
故の防止に寄与するための独立した常設
機関として発足しました。
• 1966年運輸省にはまともな事故調査体制
も方法も技術もなかった(1994年の医療界
も同じ)『緊急発言いのちへⅡ』柳田邦男
4M-4E分析
• 事故要因の分類
• MAN(人間=作業当事者)、MACHINE
(設備、機械、器具等)、MEDIA(環境条
件)、MANAGEMENT(管理)
• どの分野で危険の芽をつむか
• EDUCATION(訓練)、ENGUNEERING
(技術)、ENFORCEMENT(強化・徹底)、
EXAMPLE(模範・事例)
医療訴訟の難しさ
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専門性の壁
密室性の壁
封建制の壁
被害者側による立証責任の壁
– カルテから事実経過を把握、しかし、資料が破
棄されていたり、カルテが書き換えられている
こともある
– 医師同士がかばいあう傾向がある
医療過誤訴訟
• 従来の医療過誤訴訟の原告の勝訴率は
約30%
• 1998年は45%に増加した
• 通常の民事裁判では、原告の勝訴率は7
~8割
過失責任
• 患者が賠償を得るためには、医療者個人
に過失があったことと、その過失によって
被害が発生したことの証明が必要
• 裁判で、医療者の過失および、過失と被害
との因果関係の証明が行われた場合のみ、
賠償が得られる
厳格責任
• 過失があったかどうかは問わず、医療行
為と被害との間に因果関係があれば、組
織(病院)が補償する
• 補償を受けられる人は増えるが、原因の
究明が甘くなりがちで、事故抑止効果が低
くなる可能性がある
社会保障
• 原因は何であれ、被害を受けた人には誰
にでも、社会保障という形の給付金を与え
る
• 誰もが補償を受けられるが、事故抑止効
果は低い
医療事故のリピーター
• 患者から100万円を超える損害賠償を請求され
た医療事故を起こした医師が、95年までの20
年余りの間で511人
• ただ、96年以降の資料を医師会は明らかにして
いない
• 医師の免許は、刑事罰が確定したり、診療報酬
の不正請求で摘発されない限り、取り消しや一
時停止の行政処分を受けることはない
• ★専門家の責任