PowerPoint プレゼンテーション

第10回
子供のこころの問題
子供の心の問題に対処するために(3)
道案内
なぜ教育心理学を学ぶのか
1
• 効果的な授業をするために
2記憶 3学習 4動機づけ
 生徒を正しく評価するために
5評価
 生徒の心を理解するために
6性格 7性格検査
 生徒の心の問題に対処するために
10子供の心
8心の病気 9治療
 教育をとりまく問題と心理学
11 教育問題
 まとめ 12
メインメッセージ
教師の仕事は
病気の予防とチェック
ADHDとは?
注意欠陥多動性障害
Attention Deficit /
Hyper-activity Disorder
ADHDの診断基準
• [資料10.1]の(1)と(2)のうちいずれかを満たす
(1) 以下の注意欠陥症状のうち6つ以上が少なくとも6ヶ月以
上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に
相応していない。
(2) 以下の多動性−衝動性症状のうち6つ以上が少なくとも6ヶ
月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水
準に相応していない。
ADHDの診断基準
• それらの症状による障害が2つ以上の状
況において存在する
• 社会的、学業的、職業的機能において、臨
床的に著しい障害が存在する明確な証拠
が必要
• その症状が、広汎性発達障害や精神分裂
病や他の精神疾患によるものではない
ADHDへの対処
薬物治療
(リタリン、三環系抗うつ剤など)
副作用(食欲不振、睡眠障害)に注意!
ADHDへの対処
教育現場における対処
• 問題行動の管理:授業の妨害行為と妨害に
はならない行為を区別して対処する
• 問題行動の予防:机の配置:教師に近く、教
室の前方(掲示物は少なく)
ADHDへの対処
教育現場における対処
• 与える課題:1回につき1課題、
体を動かす課題
• 点検:課題ができているかチェックを頻繁
にし、そのたび強化する
ADHDへの対処
教育現場における対処
• スクールカウンセラーとの連係
不登校への対処や保護者との関係など、教
師にはできない部分を援助してもらう
サブメッセージ10.1
子供の行動を「病気」にしない努力
をしよう!
心身症とは?
本来、身体の病気でありながら、
その発症や経過に心理社会的な
要因が強く関与している病気
小児心身症
心身症とその周辺疾患
呼吸器系
気管支ぜんそく
過喚起症候群
心身症とその周辺疾患
消化器系
消化性潰瘍
過敏性腸症候
反復性腹痛
臍仙痛
神経性食思不振症 大食症
周期性嘔吐症 便秘 下痢 嘔吐
心身症とその周辺疾患
心血管系
起立性調節障害 心悸亢進
情動性不整脈
胸痛
偏頭痛
心身症とその周辺疾患
神経系
憤怒痙攣 チック 心因性痙攣
意識障害 視力障害 聴覚障害
運動麻痺
心身症とその周辺疾患
泌尿器系
神経性頻尿 遺糞症
遺尿症
夜尿症
心身症とその周辺疾患
内分泌系
バセドウ病
糖尿病
肥満症
心身症とその周辺疾患
その他
アトピー性皮膚炎 慢性じん麻
円形脱毛症 抜毛 夜驚症
吃音 心因性発熱 めまい
小児心身症の分類
心身反応型
葛藤回避型
身体表現型
心身反応型
• 心理社会的なストレスに直接反応して身
体症状が形成される。
• 幼少児に多く、腹痛や下痢などの単純な身
体症状が多い。
• 多くの場合、ストレスが消失ないし軽減す
ると身体症状も速やかに消失する。
症例1
• A男、5歳、症状:嘔吐
• 幼稚園のお遊戯発表会の前日より頻回の
嘔吐が出現。結局、嘔吐で体力を消耗し発
表会はお休み。
• 発表会が終わった途端嘔吐は消失し翌日
は元気に登園。
• しかし、その後も頻繁に幼稚園で嘔吐を繰
り返すため近医より紹介された。
症例1
• 嘔吐は鎮吐剤(コントミン)で速やかに消
失した。
• 幼稚園担任の話しからお遊戯を一緒にす
ることになっていた男児からいじめられて
いたことが判明し、いじめがなくなったら嘔
吐も消失した。
葛藤回避型
• 心理社会的なストレスに対して葛藤(親子関係
や友達関係などのジレンマ)を抱き、症状形成
によってストレスが回避される状況が意図的で
なく生じる。
• 思春期に生じることが多く、身体症状や意識障害
などが認められる。
• 葛藤が回避される状況では症状が消失ないし
軽減することが多い。
• 経過は慢性化しやすいが、状況の変化によって
劇的に改善することも多い。
症例2
• B子、15歳、症状:胸痛
• 学校で突然胸痛を訴えて倒れ、救急車にて大学
病院に搬送された。
• 心臓や胸部には異常が認められず、心臓専門医
から病気ではないと言われ退院となった。
• その後も学校で連日のように胸痛を訴えて救急車
で搬送されるため当科に紹介された。
症例2
処置
• 胸痛に対して痛み止めと称してマイナートランキラ
イザー(ワイパックス)を投与し、患者にはそれを
服用して保健室で休むよう指示。
• 学校には器質的疾患はないので全く心配ないこと
を説明し、胸痛を訴えた時は持参薬を服用させ保
健室で休ませるよう指示。
症例2
ストレス因
• 友達が自殺したのを同級生から自分のせいだと
言われ思いつめていたこと
• 両親が離婚を巡って言い争うのを本人が仲裁して
いたこと
• 受験が迫っていたが全く準備が出来ず困っていた
こと
症例2
予後
• 胸痛の訴えに周囲が振り回されなくなった頃か
ら情緒状態が不安定になり、メジャートランキラ
イザー(コントミン)を投与したところ症状は落ち
着き始めた。
• その後、両親は正式に離婚し、B子は母親と同
居することを自分で決めた。
• 高校受験も担任の計らいで推薦入学が決まり、
自殺した友達の噂も立たなくなり、症状は自然
に消失した。
身体表現型
• 心理社会的なストレスに対して適切な心理的解
決が図れず、過剰適応(我慢や無理)している
うちにその苦痛が身体症状に置き換わる。
• 年長児に多く、自己表現力が乏しく情緒発達も未
熟な者に多い。
• 直接的ストレスが回避されると症状は軽減する
こともあるが、経過は慢性化・長期化しやすい。
症例3
C子、13歳、症状:腹痛・下痢・吐き気・不登校
• 中学2年の4月中旬から毎朝、登校前に腹痛、下
痢、吐き気を訴え、近医受診。
• 急性胃腸炎と診断され投薬を受け、遅刻早退しな
がらなんとか登校していた。
• 5月下旬から朝の腹部症状のため全く登校できな
くなり、近医より紹介。
症例3
面接
• 小学6年の時、学校で下痢して失禁して皆の前で恥
をかき、今回も「学校で失敗したらどうしよう」と思うと
余計症状がひどくなると訴える。
• 4月に生活委員に選ばれ皆の前で発表する仕事を
任されたり、部活(卓球部)が厳しくて練習の途中で
トイレに行かせてもらえず、辞めたくても辞めさせて
もらえない状況も明らかになった。
症例3
• 薬物は登校前に強力な止痢剤(ロペミン)を予防的
に投与し、絶対に下痢しないことを保証して本人を
安心させて登校を促した。
• マイナートランキライザーと抗鬱剤を併用。
• 両親には焦って登校を強要してはならないが、症状
が和らぎ登校できそうなら、C子がより安心できるよ
う付き添って登校すべきと話した。
• 学校には、本人が希望する時には必ずトイレへ行く
ことを許可してもらい、不安な時には保健室で安心
して受け入れてもらえるようにした。
症例3
• そのような対応を行ったところ、C子は週に2日程度
症状が落ち着いた午後から登校するようになった。
• しかし、それを見た父親が、「行けるじゃないか。そ
れなら毎日、朝から行け」と叱責し、翌日からまた症
状が激しくなりまったく登校できなくなった。
症例3
•
•
•
•
両親への指導
C子は故意に学校を休んでいるのではないこと
症状は緊張すると自然にからだが反応してしまうこ
と
親の役割はC子の緊張感を和らげ、少しでも症状を
セルフコントロールして登校できる自信をつけさせ
ること
それで再び症状が和らぎ1学期が過ぎた。
症例3
• 夏休みに多少元気になったため、父親がまたC子
に「2学期からはもっと頑張る」と言わせた
• 症状が再発。再度父親を指導。
• なんとか症状が和らぎ登校を再開
症例3
• 今度はジャンケンで負けて学校祭の責任者になっ
たことから症状が再発。
• 母を介して担任に責任者を変えてもらい、症状緩
和。
• その後もこのような調子で一進一退の状態が続
いたが、親に辛抱強く子どもをポジティブに評価す
るよう励まし続け、3学期になってだいぶ落ち着い
た。
心身症の個人要因
心身症になりやすい性格を測定する
• P-Fスタディ
• 東大式エゴグラム
P-Fスタディ
絵画欲求不満テスト
P-Fスタディの反応分類
障害優位 自己防衛
他罰
自罰
無罰
問題解決
何でないの?
お兄ちゃんが
ママのばか!
ママのばか!
悪い!
早く買ってよ
私はお腹すいて
ごめん、欲しがっ
ないよ
た私が悪いんだね で買うよ
どうってこと
私は運が
ないよ
わるいなあ
自分のお小遣い
今度にしよう
P-Fスタディと心身症
氏家・手代木(2000)
調査対象 20例
平均年齢:11.8歳(範囲8〜15歳)
就学状況:小学生10例、中学生10例
男女比:男児5例、女児15例
心身症の型:葛藤回避型10例(男3、女7)
身体表現型10例(男2、女8)
他罰反応と心身症
12
10
8
身体表現
葛藤回避型
6
4
2
0
高
中
低
エゴグラム
Adult
Parent
父 母
悪 良
Childい
い
子 子
エゴグラム
A
CP
NP
Cretical Parent
Nurturing Parent
Adult
FC AC
Free Child
Adapted Child
エゴグラムプロフィール
明朗タイプ
CP NP A FC AC
エゴグラムプロフィール
がんこおやじ
おせっかい
CP NP A FC AC
CP NP A FC AC
エゴグラムプロフィール
コンピュータ
CP NP A FC AC
エゴグラムプロフィール
いい子ぶりっこ
わがまま
CP NP A FC AC
CP NP A FC AC
P-Fスタディと心身症
氏家(2000)
調査対象 33例
平均年齢:14.2歳(範囲12〜15歳)
就学状況:中一14例、中二8例、中三11例
男女比:男児18例、女児15例
エゴグラムと心身症
その他
18%
AC優位型
43%
C低位型
18%
FC優位型
21%
サブメッセージ10.2
子どもはストレスを
体で表現する
メインメッセージ
教師の仕事は
病気の予防とチェック