ソニーの経営戦略 517048 金井咲子 はじめに 94年カンパニー制の導入によって成功を 収め、日本企業を騒がせたソニーが、99 年新たに経営改革を行ったのである。カン パニーの再編と上場子会社の完全子会社 化である。この時、日本の企業はこのカン パニー制導入を急いでいたので、このソ ニーの動きに驚いた。ソニーの統合化に 向けた動きは何を意味するのか。 カンパニー制 各事業部門の経営意識を高めて収益の向 上を図ろうというものである。経営面の権 限を大幅に委譲し、自主性を重んじる体制 をとる。ただし、権限は与えるがその代わ り経営責任も厳しくとうというものである。 ソニーは本体中心のエレクトロニクス分野 を10のカンパニーに分けた。 分散型の経営スタイル カンパニーの再編 従来の10のうち8つのカンパニーが、ホー ムネットワーク、パーソナルITネットワーク、 コアテクノロジー&ネットワークの3つのユ ニットと呼ばれる事業部門に集約された。 4つめの事業ユニットとしてゲーム機を扱 う子会社の「ソニー・コンピュータエンタテイ メント(SCE)」が組み込まれた。 完全子会社化 株価交換制度を利用し、「ソニー・ミュー ジックエンタテイメント(SME)」、「ソニーケ ミカル」といった上場会社を非上場会社に し、完全子会社化した。 ↓ 分散型から統合型へ 収益の柱「プレステ」 エレクトロニクス部門の収益低下でソニー 単独では赤字寸前だが、連結では減益に とどまっている。それは、SCEを中心とし たゲーム部門の存在があるからだ。 98年の営業利益でゲーム部門が1370億 円、エレクトロニクスは1250億円と、ゲー ムがエレクトロニクスを上回り、ソニーの利 益部門となった。 プレステ2にかける理由 当面のソニーの収益源の柱であること。 将来のホームネットワーク構想の中核的コ ンピュータ(コントロール装置)にすること。 ↓ そのためにソニーは膨大な投資を行った。 GE成功のポイント 経営者の能力・・・先見力とリーダーシップが不可欠。特 に中長期的なマーケティング環境分析が重要。 ポートフォリオ型多角化戦略…「選択と集中」。リストラな どでリスクを減らし、分析によって成長事業を見つけ出し 多角化戦略を推進こうしたサイクルで半永久的な成長経 営基盤をつくる。 事業競争力強化戦略・・・全体レベルでは変化対応力が 重要。事業部門レベルではナンバーワン戦略が重要。規 模の効果で競争力を高める。 ソニーIT産業制覇戦略 ポートフォリオ型多角化戦略:21世紀の成長分野を生活IT産業と見定め、 進出を図っている。定款の変更で金融業、通信業を加え、これらのITに関連 する事業をすべて自前で立ちあげている。一応、リストラも行う。 バリューチェーン戦略:各事業を連動させ、ITバリューチェーンで収益を拡大 させる。 商品力強化戦略:事業部だけでなくITバリューチェーン全体でナンバーワン を目指す。そして規模の効果で商品力強化。また統合化で変化対応力強化。 ↓ 収益向上=事業収益力の強化 ↓ 資本力強化 ・ 営業利益あげ資本力強化 ・次の成長に向けた資本の活用:高株価などで高まった資本力を活用し 新たな収益源(成長事業)を獲得していく。 ↓ 収益拡大サイクル→半永久的成長経営の実現
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