社会学

電気通信大学 2015年度前期 水曜5限
社会思想史A
(新C303教室)
担当講師:庄司 俊之
受講者:あなた
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本年度の講義における主人公
哲学者、政治学者ハンナ・アーレント
(1906~1975)
ユダヤ系ドイツ人女性
第2次世界大戦前後から戦後にかけて活動
最初の亡命先フランスで収容所を体験
その後アメリカに亡命し、没するまで言論活動をつづけた
ウーマン・オブ・センチュリーに選出されたことも。
2
アーレントとヒトラー
3
代表作、そして今年の講義で扱う著作
『全体主義の起源』
原題:エレメンツ・オブ・トータリアニズム
第1巻:反ユダヤ主義
第2巻:帝国主義
第3巻:全体主義
自分が経験した「ナチスの恐怖」とは何だったのか?
(単なる差別意識であれだけの虐殺ができるのか?)
「あの恐怖」はどこからきたのか?
「あの悪」の本質は何か?
克服できるのか、するにはどうしたらいいのか?
4
社会思想史とは・・・
●社会とは何か?
→コミュニケーションの束。では、どんなコミュニケーション?
→その問いに対し、あれではなくまさにこれ、というかたちで一定の答えを示す。
→<「現代日本社会」とは「アメリカ社会」でもなく「伝統日本」でもなく、まさに○○である>
●思想の諸レベル・・・哲学者/民衆/語られぬもの
●「すべての歴史は個性的な存在である」
↑
(「普遍的な歴史」など存在するか?)
5
本年度の講義のテーマ
「悪の諸類型」
差別することは悪だが、その先にそれ以上の悪がありうる。
殺すことは悪だが、殺すこと以上の悪がありうる。
過剰な権力は恐しいが、権力の空白にも別種の恐しさがある。
他人の自由を侵害することは悪だが、そもそも自由が成立しない、
自由を根こそぎにする悪がありうる。
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授業計画
1.授業のテーマとすすめかた
2.映画「シンドラーのリスト」
3.映画「モダンタイムス」
4.映画「もののけ姫」
5~12.アーレント「全体主義の起源」を読む
6.小説「すばらしい新世界」と「1984」
7.日本の場合、戦後世界、そして現在について
7
テキスト/参考資料
●太田哲男『ハンナ=アーレント(Century Books-人と思想)』清水書院
川崎修『アレント 公共性の復権(現代思想の冒険者たちシリーズ)』講談社
その他、必要に応じて資料を配布する
※ 太田の著作のうち該当する箇所は後日コピーして配布する。
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成績評価の仕方
1.出席、ときどき確認のためにとります。
(出席簿をまわすので各自サインしてください)
2.かんたんな語句テスト
(穴埋め問題、30題くらい。ノート持ち込み不可)
3.レポート
(出題内容未定、講義のポイントを文章でまとめてもらいます)
2と3の配点は後日決定します。
テストは実施しません。
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映画「シンドラーのリスト」
(1993)
監督・S.スピルバーグ
ナチス党員シンドラーがユダヤ人を救う物語
この映画監督のライフワークのひとつ
ナチスがやったことを克明に、かつわかりやすく多面的に描く
※ これを歴史的事実と思って鵜呑みにするのでなく、あくまでイメージをつか
むためのイントロダクションとして見る。
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■なぜ映画か?
→ 映画は20世紀とともに歩んできた。
それは時代を映すとともに、時代に対して創造的にはたらきかける
(→後日、映画「モダンタイムス」のところで再度説明)
■スピルバーグとは何者か?
→ ユダヤ系アメリカ人
娯楽色の濃い作品を多くつくってきたが、そのなかにもユダヤ文化が影を落としている
(→後日、「全体主義の起源」第1巻のところで再度説明)
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みどころ
●シンドラーとは何者か?
・・・その心理が変化していく描写がみどころのひとつ
●ユダヤ人弾圧の諸段階
・・・アウシュヴィッツにいたるまでにはいくつものステップがある
●映画のドラマツルギー
・・・冒頭と末尾の対照、祈る場面が意味するものは?など
●この映画に足りないものは何か?
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