EBM (Evidence-Based Medicine)

EBM (Evidence-Based
Medicine)
http://www.usaco.co.jp/EBMR.html
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EBMとは
Evidenc-Based Medicine(科学的根拠に基づく医療)は、
現在世界的に急速に広がりつつあり、普及、実践され始
めています。科学的根拠のない治療方法を排除し、根拠
のある医療を推進するのを目的としています。EBMの動
きは、世界中の医療機関 (the Agency for health Care
Policy & Research, the American college of
Physiciaians, the British medical Association、the
Cochrane Collaboration)から支援されています。また医
科大学(Oxford UniversityやMichigan State University
など)は、継続教育にEMBのコースを設置し始めていま
す。
EBMの実践法
EBMを臨床現場に応用するには五つのステップを踏むこと
になります
1.必要な情報を解答可能な質問に変換する。
2.質問に答えるために、根拠のある情報(エビデンス)をつきとめる。
新しい情報源としてEBMR(The Cochrane Database of Systematic
Reviews、Best Evidence)を利用します。
3.その根拠のある情報(エビデンス)の有効性と適切性を評価する。
4.その結果を患者ケアに適用できるか検討する。
5.実際の診療行為を評価する。
Evidence-Based Medicine Reviews(EBMR)
情報源
1.The Cochrane Database of Systematic Reviews : CDSR
The Cochrane Database of Systematic Reviews(CDSR)はコクラ
ン共同計画(The Cochrane Collaboration)のアプトプ ット一
つで、およそ45の臨床上のトピックごとにシステマティック・レ
ビューがなされ、Review(システマティック・レビ ュー)と
Protocol(進行中のレビュー)で構成されています。
コクラン共同計画は、1992年イギリスで開始し、現在世界的に 急速に展
開している医療テクノロジー・アセスメントのプロジェクトです。ランダム化
比較試験(randomized controlled trial:RCT)を中心に、世界中の
Clinical Trailのシステマティック・レビュー(systematic review:収集し、
質評価を行い、統 計学的に統合する)を行い、その結果を、医療関係者
や医療技術者、さらには消費者に届け、合理的な意志決定に供するこ
とを目的としています。
Evidence-Based Medicine Reviews(EBMR)
1.The Cochrane Database of Systematic Reviews : CDSR
システマティック・レビューの過程は次のステップを踏みます。
1. 重要な医学・経済学・社会学のトピックを設定します。
2. MEDLINE、EMBASE、BIOSISなどの代表的なデータベース検索と
ハンドサーチにより世界中の文献を漏れなく収集します。
3. 全ての文献を読み、分類し、最も質の高い文献だけが選出されます。
4. メタアナリシスによる統計学的解析がなされます。
5. トピック・レビューを作成します。
6. 定期的にデータ更新します。
2. Database of Abstracts of Reviews of Effectiveness :DARE
英国ヨーク大学のThe National Health Services’Centre for Reviews and
Dissemination (NHS CRD) のレビューアーと情報スタッフが作成した全世界
のシステマティック・レビューの構造化抄録を収録しています。
Evidence-Based Medicine Reviews(EBMR)
3.Best Evidence
ACP Journal ClubとEvidence-Based Medicineを収録しています。
重要な臨床雑誌から、一定の基準を満たした論文を採択し、
構造化抄録(tructured abstract)の形式で1ページにまとめた
優れた論文の要約集です。質の高い読む価値のある論文を、
最低限のポイントを押さえて、短時間で読むことができます。さ
らに専門家のコメントと参考文献がつけ加えれています。
EBM
• Evidence-Based Medicine
• 科学的根拠に基づく医療
• 保健・看護の分野においても科学的根拠
に基づく行動が要求される
ーーーーーEBN:Evidence-Based Nursing
研究デザインとエビデンスレベル
• Ⅰ 無作為化比較試験
(RCT; Randomized Control Trial)
• Ⅱ よくデザインされた非ランダム化比較試験
(コホート比較)
• Ⅲ 症例対照研究(Case-control Study)
• Ⅳ 専門家委員会の意見、権威者の臨床経験
研究デザインとエビデンスレベル
(2)
• Ⅰ 無作為化比較試験
(RCT; Randomized Control Trial)
• Ⅰa:複数のRCTのメタアナリシス
(Meta-analysis)
• Ⅰb:少なくとも1つのRCT
EBMの実践のステップ
• STEP1: 患者の問題の定式化
(臨床上の疑問点の抽出)
• STEP2: 質問に答えるための質の高い情報
IT化技術
(エビデンス)の収集
• STEP3: 情報(エビセンス)の有効性と
適切性を評価する。
統計学
(critical appraisal)
• STEP4: 患者への適用についての
妥当性の評価
医学関係論文における統計解析
関係の記述のガイドライン
International Committee of Medical
Journal Editors:Uniform Requirements for
Manuscripts submitted to biomedical
Journals
Ann. Intern. Med. 1988, 108: 258-265
「統計ガイドライン」の解説論文
Bailer JC, Mosteller F: Guidelines for Statistical
Reporting in Articles for Medical Journals amplications and explanations.
Ann. Intern. Med. 1988, 108: 266-273
丹後敏郎:消化器病学に関する研究論文での統計
的方法についてーこれだけは知っておきたい基本
的指針ー第3回:統計ガイドライン,日消誌 1992,
1:75-82
医学統計ハンドブック(宮原英夫、丹後敏郎編)、23
章統計手法のまとめ方と英語論文における表現法、
pp.668-677,朝倉書店
統計解析に関する記述を明確に
1)Statistical Analysis
・・・Methodsの中に「Statistical Analysis」のsub-sectionを設定
(1)データ要約方法を明記する:
・mean±SD or mean±SE
・肝機能検査値のように高値に裾を引く場合、percentile median
25%、75%、range
(2)解析目的(仮説検定)を詳述し、適用する仮説検定名の明記
(3)検定の場合、片側検定(one-tailed)か両側検定(two-tailed)
(4)事前に設定した有意水準の明記
統計解析に関する記述を明確に(続)
2)Results
解析結果を示すときには、利用した統計手法を明記。
多くの統計手法を使用した場合、統計手法の併記
3)Tables and Figures
図表において、解析(特に検定)結果を表現する場合は本
文とは独立に、解析内容と使用した統計手法名(検定の場
合は片側、両側の区別)を明記
原文1)Describe Statistical methods with enough detail to enable a
knowledgeable reader with access to the original data to verify the reported
results.
12)Put general description of methods in the Methods section, specify the
statistical methods used to analyze them.
15)Define statistical terms, abbreviations, and most symbols.
信頼区間も報告しよう
検定結果として、p valueだけを報告する傾向があるが、
これは正しくない。探索的名報告ではどこに差がある
かが問題となるので検定が重視されるが、検証的な報
告では検定で有意性を評価するだけでなく、平均値(の
差)の大きさ、有効率(の差)の大きさなどの評価指標の
差、比を推定することに意味がある。
この場合には、そのバラツキの大きさを表現する信頼
区間を併記することが必要不可欠となる。
 原文2)When possible, quality findings and present them with
appropriate indicators of measurement error or uncertainty(such as
confidence intervals)
3)Avoid sole reliance on statistical hypothesis testing, such as the use of
P values, which fails to convey important quantitative information.
研究対象、母集団を明確に
どのような患者、または動物を対象にしているかを
明確にしなければならない
患者特性に関する情報が不明:例“Thirty
consecutive patients with liver cirrhosis who visited our
outpatients clinic were recruited for this study...”
特に臨床試験の中では、少なくともstudy protocol
の中で、患者(標本)のeligibility criteria (inclusion
& exclusion)について明確に記述
原文4)Discussion eligibility of experimental subjects.
ランダマイゼーション
 統計的推測が可能な基本原則「標本が無作為に母集団か
ら抽出されること」・・・ある病院のデータをまとめるとき、研
究目的とする対象疾患の縮図となりうるか?
 処置の比較研究・・・異なる処置を施された患者間の背景
(交絡)因子の比較可能性が重要、「患者の無作為割付」が
必須条件
::方法(単純無作為化、マッチング、層化法)や実施法(電
話法、封筒法)の明記
::多施設臨床試験:施設間差解消のための施設内バランス
をとるための患者割付情報の明示
 原文5)Give details about randomization
標本の大きさを明記しよう
 調査、実験で何例の患者、動物を利用したかは、統計処理
の基本
 比較的大きな患者を要する臨床試験では、想定する仮説を
検証するために必要な標本の大きさを試算しておくことが重
要(患者保護、効率的な研究遂行)
 治療効果の評価:研究期間中の中止、脱落、除外による評
価時点ごとの例数の明記
 原文8)Give numbers of observations.
9)Report losses to observation (such as dropouts
from a clinical trial).
その他
 統計手法の引用は標準テキストを
・原著論文より、わかりやすく例題豊富なtextbookや総説を
・原文10)References for study design and statistical
methods should be to standard works (with pages stated)
when possible, rather than to papers where designs or
methods were originally reported.
 利用した統計パッケージを明記する・・・プログラム名も
・原文11)Special any general-use computer programs used
 統計言語を明確に区別しよう
・原文14)Avoid non-technical uses of technical terms in
statistics, such as ”random”(which implies a randomizing
device) ”normal”,”significant”,”correlation” and ”sample”.
EBMとメタアナリシス
Evidence Based Medicine and Meta-analysis
本多 正幸
長崎大学医学部・歯学部附属病院 医療情報部
Masayuki HONDA
Department of Medical Informatics, Nagasaki
University Hospital
エビデンスに基づく診療ガイドライン
「診療ガイドライン作成の手順」(Ver4.1/2001.4.24)
定義:
診療ガイドラインとは「特定の臨床状況のもとで,
適切な判断や決断を下せるよう支援する目的で体
系的に作成された文書」をいう.
作成の基本原則:
現在,国際的に標準的な方法ときれている「根拠
に基づいた医療evidence-based medicine」の
手順に則って作成する.つまり,根拠を明示しない
でコンセンサスに基づく方法は,できる限り採用し
ない.
エビデンスに基づく診療ガイドライン
「診療ガイドライン作成の手順」(Ver4.1/2001.4.24)
作成の手頼(モデル)
1.診療ガイドライン作成の目的(テーマ)を明
確にする。
2.作成委員会を設置する。
3.実際に行われている診療の現状を把擬し,
疑問点(research question)を明確にする。
4.各疑問点について,文献を検索する。
5.得られた文献について,疑問点との関連性
を中心に、一定の基準に則って,診療ガイドラ
イン作成に採用するもの(included study)と
採用しないもの(excluded study)とに分ける。
6.採用した文敵一つひとつについて,研究デ
ザインの項目を含むあらかじめ作成したチェ
ック項目(abstract form)に則って批判的吟味
を行う。
研究デザインの分類
1.観察研究
1)記述研究:症例報告やケース・シリ
ーズ
2)分析疫学的研究:コホート研究や症
例対照研究など
2.実験研究
1)ランダム化比較試験
2)非ランダム化比較試験
3.データ競合型研究:メタ分析,決断分
析など
文献の批判的吟味
個々の研究論文について,対
象患者での結論がバイアスや
偶然のために誤っている可能
性はないかどうかを判断する
プロセスをいう.
エビデンスに基づく診療ガイドライン
「診療ガイドライン作成の手順」(Ver4.1/2001.4.24)
作成の手頼(モデル)
7.採用する文献については,一定のフォーマットで一覧表(abstract
table)作る。
8.採用する文献,採用しない文献すべてについて,バンクーパー・スタイ
ルにしたがって書誌情報(著者,タイトル,雑誌名,巻,号,ページ)を
記載する。
9.各疑問点について「エビデンスのレベル」分類をする。特定の疑問点に
ついて複数の文献(エビデンス)がある場合には,原則的には,最もレ
ベルの高いエビデンスを採用する。
10.各疑問点について「勧告の強さ」を決定する。
11.全ての疑問点に関する勧告やエビデンスを網羅した診療ガイドライン
を一定のフォーマットに則ってまとめる.
12.作成した診療ガイドラインの質について,作成委員以外の者による評
価を受ける。
13.可能な限り,診療ガイドラインを用いた結果の評価(医師の診療内容
の改薄また は患者の健康アウトカムの改尊を指標とする)を行う。
14.少なくとも3年を目途に改訂の必要性を検討し,必要に応じて改訂作
業に取りかかる。
表1
表2
表1 「エビデンスのレベル」分類の基本的考え方
1.特定の仮説を検証するために行われる実験研究の結
論のほうが観察研究の結論よりも真実を反映する可能性
が高い.
2.実験研究のうち,ランダム化比較試験の結論のほう
が非ランダム化比較試験による結論よりも真実を反映す
る可能性が高い.
3.観察研究のうち,記述研究の結論よりも分析疫学的
研究の結論のほうが真実を反映する可能性が高い.
4.観察研究の結論のほうが,生物医学的原理に基づい
た推測や専門家個人の意見,専門家委員会の報告など
に比べて真実を反映する可能性が高い.
研究結論
高
低
研究結論
表2 「エビデンスのレベル」分類の:質の高いものから
Ⅰ.システマティック・レビュー/メタ・アナリシス
Ⅱ.ひとつ以上のランダム化比較試験による
Ⅲ.非ランダム化比較試験による
Ⅳ.分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究
による)
Ⅴ.記述研究(症例報告やケース・シリーズ)による
Ⅵ.患者データに基づかない,専門委員会や専門家
個人の意見.
メタ
アナリシス
?
高
低
ランダム化
比較試験
メタアナリシスとは?
過去の研究結果を批判的に検討し、統計的に併合する新しい
方法であるが、overview, pooling, combiningといった概念を包
括的に取り扱うことが必要であり、特に臨床試験のメタ・アナリ
シスでは基本的に過去に独立に実施された臨床試験のデータ
を収集した後ろ向きの総合的解析である。(後藤)
チェックポイント
併合に際してデー
タ、方法論、試験
結果についての
均質性と同質性
の点検
後ろ向きであり、いく
つかのチェックポイン
トが存在し、それらを
クリアーして初めて最
も質の高い知見が得
られるレベルⅠ
新医薬品の臨床評価過程におけるメタアナリシス の目標
メタ・アナリシスに関する「考慮すべき事柄(Points to Consider)」
:承認申請ための医薬品の臨床評価過程において,メタアナリシスが適切に実
施されるための指針( Committee for Proprietary Medical Products(2001))
目標
•総合的な治療効果のより精度の高い推定
値を用意する.
•総合的な肯定的な結果が事前に特定した
患者の部分集団でも認められるか否かを評
価する.
•個々の試験では検証できない,あるいは有
効性の結果を評価する.
•患者の部分集団における安全性,あるい
は全集団での稀な有害事象(副作用)を評
価する
•用量反応関係の推定を向上させる.
•見かけ上,相反する試験結果を評価する.
医師の実践的な治療指針を得るため
の目標
•治療の指針となる安定した効果の
推定値を得る,
•結果の一般化を助ける,
•特定の場面で治療を施す場合の実践
的な指針を得る,
•層別名所で,ある治療が効果を発揮
するか否か,発揮しないのはどんな場
合かを探る,
•個別の臨床試験の開始時に提起され
ていなかった問題にこたえる
メタアナリシス の問題点
一般に指摘されている問題点
1.
測定技法、変数(治療成績)の定義、被験者の異なる研究を比較、併合することで論
理的に矛盾のない結論が得られることはない
2.
併合した研究の質に違いがあると、メタアナリシスの結果が解釈できない
3.
公表された文献に偏りがある(有意であった結果のほうがそうでない結果よりも公表
される可能性が高い。)そのため、メタアナリシスの結果に偏りが出る。
4.
同一試験からの結果が重複して用いられるとメタアナリシスは偏ったものとなり、妥
当でなくなる。このため、実際以上に結果の見かけの信頼度が高くなる。これは、こう
した結果が独立でないため惹き起こされる。
5.
研究選定時に偏りの入る可能性が高い。
6.
主効果に重きが置かれる結果、交互作用が無視される可能性が高い。
公表バイアス(Publication bias) の問題(1)
公表された試験結果(統計的有意)
公表されなかった試験結果
候補なる試験のチェック項目
•無作為かの程度(単純割付、
層別割付)
•試験デザイン(並行群試験、
クロスオーバ試験)
•盲検化の程度
•治療薬の用法・容量
•治療期間
•試験の質(GCP遵守の有無)
•対照薬
•患者の選択・除外基準
•主要評価変数
メ
タ
ア
ナ
リ
シ
ス
の
実
行
公表バイアス(Publication bias) の問題(2)
•平成17年7月以降に開始された臨床試験については、臨床試験概要を公的な
組織に事前登録しておかないと有力医学雑誌(11誌)が受理しなくなる
•UMIN(大学医療情報ネットワーク)における取り組み
(臨床試験登録システムの運用開始:平成17年5月のゴールデンウィーク明
け)
•UMINシステムの特徴(シンポジウム2005.2.2より)
●登録対象試験:治験を含むすべての臨床試験を受付ける
●登録できる人:臨床試験を行うすべての研究者、営利企業(製薬企業等)海外からの登録も受付ける
●試験の登録および情報の検索は無料
●登録された試験情報は一般に公開する
●登録された試験情報 ≠ 公開される試験情報
⇒登録された試験情報のすべてを登録直後に公開しなければならないわけではない
●定期的情報の更新を要請
●試験終了後の結果公開を要請
●登録の代行を検討中
公表バイアスの問題へ
の対策となりうるか?
後ろ向きメタアナリシスと前向きメタアナリシス
•最も典型的なメタアナリシスの目標:2つの治療効果
の差検証
(例:2値データに対する対数オッズ比、正規分布に
従うデータの平均値の差)
•治療効果の差を適切に測定する指標を選定し、
個々の試験での差と全体での(併合後の)差を推定
研究の質の違い
•無作為かの程度(単純割付、
層別割付)
•試験デザイン(並行群試験、
クロスオーバ試験)
•盲検化の程度
•治療薬の用法・容量
•治療期間
•試験の質(GCP遵守の有
無)
•対照薬
•患者の選択・除外基準
•主要評価変数
後ろ向きのメタアナリシス
不均一
性のチ
ェック
・試験
選定時
・結果
の解釈
不均一性の抑制
患者集団
治療方法
主要評価方法
測定方法
試験の質
前向きのメタアナリシス
(医薬品開発)
データの併合と統計量の併合(1)
•MAL(meta-analysis of the literature) :統計量の併合(論文ベースのメタアナリシス)
•MAP(meta-analysis of individual patient data):データの併合(患者データを利用し
たメタアナリシス)
MAPの特徴
•他施設臨床試験と同様な解析が可能
•事前に登録されている臨床試験を対象にする場合や製薬企業が自社の新薬のこ
れまでの臨床試験を対象にする場合など限られた適用
MAPの困難性(丹後2002)
1)少なくとも同じ研究テーマに関する研究者間の国際的なネットワークと良好な関係を推持
していないとその計画さえ不可能である
2)データ収集の段階では試験毎に微妙に異なるケースカード(評価基準,コード化などの違
い)から共通ケースカ-ドを作成をLなければならない.
3)個人情報の問題として,国際的なメタ・アナリシスへの患者の同意が得られない場合がで
てくる可能性も否定できない.
データの併合と統計量の併合(2)
MAPの可能性
・UMINなどの臨床試験の事前登録制
Cres九州
長崎県治験ネットワーク構想
・治験ネットワークの整備
・病院内の治験管理センターの充実
・電子カルテの普及
長崎大学病院治験管理センター
目的:医薬品等の臨床試験(治験および市販後臨床試験)の適正
かつ円滑な実施の支援を目的とする
業務:●治験コーディネート業務
●治験のモニタリング・監査への対応
●治験の診療体制の整備
●治験に関わる医師への教育的支援、指導的支援
●治験審査委員会に関わる事務手続
●治験の契約及び実施に必要な手続等の事務手続
●治験の進捗状況の管理
●治験薬の情報収集
●治験薬の管理
●治験に関わる地域との連携
CReS九州 九州臨床研究支援センター
ま と め
•EBMとは、Sackett(1997)によると「個々の臨床の専門的技術を、研
究の体系的再吟味からの最良の利用可能な外的な臨床的根拠と統合
すること」としている。
•外的根拠の体系的再吟味(systematic review)は、研究統合の枠組み
を、メタアナリシスはその結果の定量的評価と要約を提供する。
•EBMレベルとしてメタアナリシスは最上位に位置しているが、さまざま
な問題を内包しており、その問題点のいくつかを議論した。
•統合する研究の選定と解析結果の解釈には、質の不均一性の問題
があり、一方、統合に際し公表バイアスの問題があることを議論した。
•今後のメタアナリシスの展開として注目される方法が「前向き」な方法
であり、「データの統合」であることを指摘し、試験の事前登録制の実
施、治験ネットワークの整備、電子カルテの普及が新しい環境を提供
できる可能性を示唆した。