Evidence Based Medicine Reviews (EBMR)講習会 Borys Diakonow [email protected] 2015年 目次 Evidence Based Medicine Reviews § § EBMR PICOプロセス Cochraneとは? Cochrane Library ・CDSR ・DARE ・Central /CCTR ・ACP Journal Club Cochrane Systematic Review 2 EBM (Evidence-Based Medicine) EBM(Evidence-Based Medicine)とは現在利用可能な最も信頼できる情(科学的根拠) を踏まえて、患者の臨床状況や価値観に配慮した医療を行うための一連の行動指針。 EBMの5つのステップ 1. 疑問・仮説の定式化 2. 情報収集 3. 情報の批判的吟味 4. 患者への適用 5. フィードバック → 2、3を支援する情報源と情 報サービスが求められる。 EBMについて~医療従事者でない一般市民の方々のために~ http://spell.umin.jp/EBM_citizen.htm 3 PICO Process – 臨床疑問・仮説の定式化 PICO 説明 例 Patient Problem どんな患者が 糖尿病を患う中年男性が Intervention ある治療(介入)を するのは 有酸素運動をすることは Comparison Control 別の治療(介入)と 比較して 運動をしない事に比べて Outcome どうなるのか - 5年以内の死亡減少(Critical) 心疾患イベントの予防 (Important) QOLの改善 (Not Important) 害、副作用 (Harm) 血圧の低下に効果あるか (代理アウトカム) 4 What is Cochrane? Cochraneとは? (Systematic Reviewとは?) コクラン・ライブラリーは、国際的な医療評価プロジェクトで あるコクラン共同計画が発行するデータベースです。 特定の集団を治療群と対照群にランダムに振り分け、治 療群に薬物療法・手術・ リハビリ・ 看護などの医学的介入を 実施し、その効果を比較するランダム化比 較試験(RCT) 論文を世界中から収集し、CENTRALというデータベースに 蓄積します。 その中から科学的に信頼できる試験だけを選び、データを まとめ て総合評価した結果をレビュー論文としてデータ ベースCDSR(The Cochrane Database of Systematic Reviews)に収載しています。( これらをシステマティック・レ ビューといいます) ある治療は有効か、他の治療法に比べてどれだけ優れ ているか、安全かなど、治療・予防の問題解決のための最 優先データベースと言えるでしょう。 東邦大学医学メディアセンターHPより引用 http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mc/cochrane.php 5 What is Cochrane Library? 利用できるCochraneデータベース •Cochrane Reviews:The Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR) コクラン・ライブラリーの中核をなすデータベースです。各種疾患の治療、診断、予防、リハビリテーションなどに関するシステマテック・ レビューの本文、プロトコル(進行中のレビュー)、合わせて約8,700件(2014年5月現在)を越える件数が収録されています。 PubMedでも書誌情報、抄録が検索できます。このデータベースは1誌のジャーナルともみなされ、インパクト・ファクターが付与されて います。 •Other Reviews: Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE) York 大学の NHS Centre for Review and Dissemination で吟味された総説、メタアナリシス論文のデータベースで、構造化抄録を 作成しています。 •Clinical Trials :The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) 学術雑誌などで公表された、RCT(ランダム化比較試験)ないしCCT(比較臨床試験)論文に加え、非公開の臨床試験も含んだ40万件以 上の書誌情報データベー ス。 •Methods Studies: Cochrane Methodology Register (CMR) システマティック・レビューを行うための方法論についての資料集 •Technology Assessments: Health Technology Assessment Database (HTA) 医療技術評価の文献を収録。 •Economic Evaluations: NHS Economic Evaluation Database (NHS EED) 医療の経済効果、費用分析論文のデータベース。 東邦大学医学メディアセンターHPより引用 http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mc/cochrane.php 6 Cochrane Library / Ovid EBM Reviewsの構成 Cochrane Library CDSR システ マテ ィッ ク ・レ ビ ュー 8,734件 DARE EBM文献の構造化抄録 30,175件 CENTRAL/CCTR Ovid EBM Reviews (Cochrane Library + ACP Journal Club) ACP Journal Club シス テ マテ ィ ック ・ レヒ ゙ ュー 及び EBM文献の構造化抄録 ランダム化比較試験(RCT)情報テ ゙ー タヘ ゙ー ス 約786,967件 ・CMR:システマティック・レビューを行うための方法論 ・HTA: 医療技術評価情報 ・NHSEED:医療行為の経済評価資料の構造化抄録 (レコード数: 2014年5月時点) 7 CDSR (Cochrane Database of Systematic Reviews) CDSR システ マテ ィッ ク ・レ ビ ュー DARE EBM文献の構造化抄録 ACP Journal Club シス テ マテ ィ ック ・ レヒ ゙ ュー 及び EBM文献の構造化抄録 CENTRAL/CCTR 比較臨床試験(RCT)情報データ ベース 8 Systematic Reviewとは? “Standing on the shoulders of giants” "discovering truth by building on previous discoveries" “Giants” = ・・・・蓄積・・・・・先人・知識・≒臨床論文・ Standing on the shoulders of giants, Wikipedia 9 CDSR (Cochrane Database of Systematic Reviews) その他文 献CENTRAL →トピック・レビューによる批判的吟味 -トピック(通常は患者の問題点)の識別から始まり、広範な文献調査か ら複数の文献を抽出しシステマティック・レビューにまとめる 10 Cochrane Groups: システマティックレビューを作成するグループ http://access.ovid.com/custom/cochrane/group_list_ja.htm 11 CDSRのデータ数 Review (完成したレビュー), Protocol (未完成を含むレビュー), Updated (更新されたレビュー) 出典:www.cochrane.org 12 Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE) § York大学のCRD teamがEvidence based と判定した文献について作成する構 造化抄録(Structured Abstract) § DAREの特徴、利点 – 構造化抄録:書式が同じなので、文献間の比較に便利 – 臨床医にとって有用なコメントを編集者が付加 – 原文献を読む必要がないほど詳細な抄録(原文献そのものではありません) § DAREのレコードは、Cochrane Systematic Reviewsと同じく作成に時間がか かるので、作りかけのデータも含まれています – レコードが未完か完成品かは、Record Statusで確認可能 § Structured Abstract…構造化抄録作成ずみ § Provisional Record…レビュー予定文献 13 Cochrane Central Register of Controlled Trials § ランダム化比較試験(RCT)登録データベース (書誌&抄録:毎月更新) – CENTRAL:RCTの可能性がある論文を登録したデータベース – CCTR:RCTと確認された時に登録するデータベース § MEDLINE、Embase、その他リソースのレコード70万件以上を含む。 – MEDLINE:米国国立医学図書館が作成する医学を中心とした生命科学の文献 情報を収集したオンラインデータベース – Embase: Elsevier社が提供する薬学・医学文献検索のためのデータベース 14 ACP Journal Club • アメリカ内科学会のAnnals of Internal Medicineの補遺版として1991年より出 版。編集長はHaynes B. (McMaster Univ)。 • EBM文献/EBMシステマティックレビューの構造化抄録 • RCTを中心にしたエビデンスの高い文献、つまり研究デザインがしっかりした臨 床応用できるものを構造化抄録にまとめ、専門家によるコメントを付加。 15 Cochrane Systemic Review 今度はこのシステマティックレビュー文献を用いて説明します。 16 当 Systematic Review の構成 (p.i) 17 当 Systematic Review の抄録 (p.1) 18 PICO (Clinical Question) の確認 PICO 説明 例 Patient Problem どんな患者が 固形癌を有し、化学療法を受ける外来患者 (血栓症形成のリスクが高い) Intervention ある治療(介入)を するのは 抗凝固薬ヘパリン(Nadroparin)を投与する Comparison Control 別の治療(介入)と 比較して 抗凝固薬ヘパリン(Nadroparin)を投与しない (Placebo) Outcome どうなるのか - 全死亡(All cause mortality) - 深部静脈血栓症(VTE)の予防 - 重大な副作用/大量出血(Major bleeding) - 重要な副作用/小出血(Minor bleeding) - その他の軽微な副作用/頭痛など(QOL) 19 “Risk of Bias” Summary (p.12~14) それぞれのRCT文献を批判的に吟味 し、バイアスの有無を一覧化したもの。 アウトカム毎に表が作製されます。 - Random sequence generation (ランダム割り付け) - Allocation concealment (Concealment:隠匿化) - Blinding (Blinding:盲検化) - Incomplete outcome data (症例減少バイアス - 脱落の多さ) - Selective Reporting of Outcomes (アウトカム報告バイアス≒出版バイ アス) 緑:Low Risk of Bias 赤:High Risk of Bias 黄:不明 20 Publication Bias (Funnel Plot) (p.15) 出版バイアス(※)の測定に使用します。(左右の対称性があるかどうか) ※否定的な結果が出た研 究は、肯定的な結果が出 た研究に比べて公表され にくいというバイアス 21 Characteristics of Studies (p.31~) レビューの対象となった研究論文の要点をまとめた資料です。 Akl, Elie A, Gunukula, Sameer, Barba, Maddalena, et al. Parenteral anticoagulation in ambulatory patients with cancer Cochrane Database of Systematic Reviews. 2015;(3). 22 Data Analysis (Forest Plot) (p.72~) 23 Data Analysis (Forest Plot) PICOを表したもの Outcome毎に表が作製される 24 Data Analysis (Forest Plot) それぞれのRCT文献の結果 対象の7文献を統合したデータ 25 Data Analysis (Forest Plot) 介入群が有効(ヘパリン効果あり) 比較群が有効(ヘパリン効果なし) 26 Data Analysis (Forest Plot) 95%信頼区間で1未満 → “Statistically Significant” 27 Heterogeneity(異質性)とは Heterogeneity(異質性)とは: 研究結果(アウトカム)が一致しないこと。 (説明のできない不一致あるということ) 異質性のある研究同士を評価した システマティック・レビュー の結果は、妥当性・信頼性に影響する。 2値の評価基準として・ 一般的なI ・・ ~25% Absence ~50% Moderate ~75% Large ~100% Extreme 28 結論(Abstract より) (p.1-2) 29 日本Ovidリソースセンター: http://access.ovid.com/training/ja お問い合わせ: [email protected] TEL: 03-5427-1950 ご参加、ありがとうございました。 30
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