都市再開発促進の新しい取組と 定期借家制度 山崎福壽(上智大学) 市街地再開発事業(権利変換)のしくみ 六本木六丁目地区第一種市街地 再開発事業 11.0ha • • • • • • • 1990年再開発準備組合発足 1995年都市計画決定 1998年再開発組合を設立(東京都からの認可) 1999年権利変換計画の認可 2000年着工 2003年4月完成 2004年3月再開発組合解散 プット・オプション+権利床 =保険の提供 開発事業者は、従前の土地所有者に対 して、従前の土地と交換に、再開発によっ て生みだされる権利床とこの権利床につ いてのプット・オプションを供与する。この プット・オプションの権利行使価格は従前 の土地の価格と等しく設定する。 従来の問題点とその改善点 •分配上の不公平性(借家人・転出者) •将来の不確実性(資産価値) •居住の安定性 •悪循環:将来の不確実性・不公平感 →権利調整の遅れ→事業の遅れ→ 不確実性の増大 プット・オプションと権利床の総価値 プット・オプションの価値と利害 調整のインセンティブ •リスクの移転 地権者→開発業者 •地権者に協調のインセンティブ(オ プション価値の上昇) •成功確率を高く予想する投資家が オプションを購入(悲観的な地権者 は土地と権利床を売却) ゴネ得とプット・オプションの価値 •効率的な事業への反対行動は他の地 権者に不利益をもたらす •代替的な土地利用計画者は、プット・オ プションを購入して対抗する。 •収用権の必要性 事業の認可基準の問題点 •事業認可には、組合設立・都市計画決定、 権利変換の各段階で全体の地権者の3分の 2の同意が必要(面積要件に変更すべき) ・さらに、一定の基準(権利変換基準)が 定められており、全員同意の場合にしか、 この基準の変更ができない(弾力化の必 要性) 権利調整を阻害する税制と借地借家法 •特例によって、土地譲渡所得税(税率 26%)や登録免許税は免除。 •権利変換以前に事業者に土地を売却して 転出してしまった土地所有者には、この特 例は認められない。 •従前の土地と交換される権利床が、従前の 土地と同一の施工区域と認定されなければ ならない。→買い換え特例 •借地借家人の存在(借家権の金銭補 償) 定期借家の問題点 • 書面による重複説明義務の廃止 • 借家人による中途解約権は転貸とのオプ ションとすべき • サブリース事業への普及促進 (原契約は普通借家減額請求権が発生)
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