疾病に寄与する4つの要因とその比率 ◆ 不健康な生活習慣・行動様式 50 % ◆ 環境要因 20 % ◆ 人間遺伝学的要因 20 % ◆ ヘルスケア・システムの不適切さ 10 % 「成人病」から「生活習慣病」に変更 (平成8年) 良い生活習慣の獲得を目指す 各種体力の加齢による変化 Total Health Promotion Plan(THP) (S.63 年) 労働安全衛生法の一部改正 第69条:事業者は労働者に対する健康教育 及び健康相談その他労働者の健康保持増進 を図るため必要な措置を継続的かつ計画的 に講ずるよう努めなければならない 2. 労働者は前項の事業者が講ずる措置を利 用して、その健康増進に努めるものとする THPの実践 1. 事業場自ら単独で健康測定・健康指導を実施 2. サービス機関などによる支援体制 外部の専門機関の支援のもとに労働者の 健康保持増進措置を実施する a) 労働者健康保持増進指導機関 = 運動指導 b) 労働者健康保持増進サービス機関 = 健康測定 + 健康指導 労 働 者 THPの体制 健康測定 (産業医) ・問診・生活状況調査・診察 ・医学的検査・運動機能検査 ・指導票の作成 労働者全員 運動指導 ・運動指導プロ グラム作成・ 実践指導 =運動処方 保健指導 勤務形態や生活 習慣に配慮した 健康的な生活指 導・教育 産業保健 運動指導担当者 指導担当者 運動実践担当者 特に必要な労働者 心理相談 ・メンタルヘルス ケアの実施 ・ストレスに対す る気付きの援助 ・リラクセーショ ン指導 ・快適職場形成 心理相談担当者 栄養指導 食習慣・食行動の 評価とその改善の 指導 産業栄養 指導担当者 某大企業のTHPルーム 健康測定 健康測定 問 診 H . 1 2 年度改訂 1. 既往歴 2. 業務歴 3 . 家族歴 4. 自覚症状 診 察 1. 診察所見 形 態 5. その他 1. 身長 2. 体重 3 . 皮下脂肪率 またはB M I 医 循環機能 1. 血圧 2. 心拍数 3. 安静時心電図 学 血 液 1. ヘモグロビン 2. 赤血球数 4 . 運動負荷心電図 3. 総コレステロール 4 . H D L -C 5. 中性脂肪(空腹時) 6. 血糖(空腹時)又はH b A1 C ⑦. 尿酸 的 検 ⑧. クレアチニン又はBUN 9. G O T 1 0 . G P T 1 1 . γ-G T P 査 呼吸機能 尿 ①. %肺活量 ②. 1秒率 ①. 糖 ②. 蛋白 その他 1. 胸部レントゲン 生活状況調査 1. 仕事の内容 2. 通勤方法 3. 生活リズム 5. 運動習慣 6. 食生活 4. 趣味・し好 7. メンタルヘルス 8. 口腔保健 9. その他 運動機能検査 ①. 筋力 ②. 柔軟性 ③. 敏捷性 ④. 平衡性 5. 全身持久力 ◯印は省略可能な項目 運動負荷テストの目的 心電図変化がないことの確認:事故予防 最適な50%負荷(=最大能力の半分) 等尺性運動と等張性運動 等尺性収縮 等張性収縮 短縮性収縮 伸張性収縮 漸増運動負荷によるガス交換パラメーターの変化 Key Words 呼気ガス分析 酸素摂取量 最大酸素摂取量 無酸素作業閾値 有酸素運動と無酸素運動 運動時の筋収縮の直接のエネルギー源は ATPであり、供給源により2種に大別される 運動強度が増すと酸素の需要は供給に追いつかず、 エネルギー供給は無酸素的代謝過程に依存する。 強 無酸素エネルギー: 有酸素エネルギー: 弱 1.非乳酸性エネルギー 酸素の供給によって 運動強度 ATPとクレアチン燐酸 TCA回路を介して (筋肉中に備蓄) ATPを産生 2.乳酸性エネルギー: 長時間運動持続可能 解糖系(グルコース →ピルビン酸→乳酸) 無酸素作業閾値(AT) 無酸素性代謝のはじまる 直前の運動強度 50% VO2max強度トレーニングの特徴 運動強度 運動強度の表現方法 各人の体力、生理機能に応じて相対的に強度を 設定する方法が専ら用いられる。 • 絶対値:watt(1 joule/sec) • 相対値:運動能力のパーセント ・酸素摂取量(VO2) ・心拍数(HR) ・自覚的運動強度(RPE) ・METs ※血中乳酸蓄積開始点 自覚的運動強度(RPE) Rating of Perceived Exertion RPE応答は酸素摂取量, 心拍数, 換気量, 血中乳酸 濃度等と高い相関 RPEは運動処方を修正す る際のガイドラインとし て利用できる。 RPEスケール(Borg) 6 7 非常に楽である 8 9 かなり楽である 10 11 楽である 12 13 ややきつい 14 15 きつい 16 17 かなりきつい 18 19 非常にきつい 20 メッツ: METs (Metabolic Equivalents) 運動時の酸素消費量が、安静時の何倍に 相当するかを示す運動強度の単位 METs = 運動時酸素消費量 安静時酸素消費量 * 1MET=3.5mL O2/kg/min 例 1.2 METs : 座位、安静 1.5-2.0 食事、会話 4.0-5.0 ゴルフ、歩行(4.8 km/h) 6.0-8.0 階段を昇る etc. 運動処方に必要な全身持久力(自転車エルゴメーター) の測定 心拍数による運動処方 ● 運動時心拍数と酸素摂取量 (METs, ・ VO2max)の関係 を示す直線をプロットする→実習 ● 運動時最大心拍数(HRmax)と安静時心拍数(HRrest)の差 (心拍数予備)の%をとる ・ ※心拍数予備の50〜80%≒運動能力(VO2max)の50〜80% (例) ・ 2maxの運動強度(HR)=(HRmax-HRrest)x0.5+HRrest 50%VO ● その他 ・ 50%VO2maxの運動強度=138ー(年齢)/2 40歳なら脈拍が 50歳なら脈拍が 60歳なら脈拍が 138 - 20=118回/分、 138 - 25=113回/分、 138 - 30=108回/分の運動に相当 50% VO2max強度トレーニングの特徴 運動強度 健康開発科学研究室のこれまでの実績紹介(池田正春先生、太田雅規先生) 健康へのパスポート事業:運動と食事指導プログラム 栄養:問診:栄養士による個人指導を2回実施。 各個人別に食行動目標の設定、実践の確認。 運動:有酸素運動1回60分間, 週 2-3回、12 週間 (ウォーキング, 自転車エルゴメーター, エアロビクス) ・ 50%VO2maxの 運動強度 プログラム参加と自己管理 高血圧を伴う肥満者に対する健康指導の効果 運動および食事指導プログラム 食事指導 運動指導 測定項目 指導・検査 食行動調査より目標摂取カロリー設定 各個人別に4ー8項目の食行動目標設定 栄養士による講義、個人指導、料理実習実施 運動機能検査(全身持久力テストなど) 運動処方(AT相当の強度の運動) トレーニング1回60分、週3回 身体形態、最大酸素摂取量、血行動態、 血液生化学、生活状況・栄養調査 指導実践 3ヶ月 経過観察(自己管理) 12ヶ月 生活習慣改善指導 北九州市 「健康へのパスポート事業」 運動・食事指導の効果 •肥満の是正 体重の改善 体 重 変 化 •血圧の低下 体重前値(kg) 収縮期血圧の降下 •脂質代謝異常の是正 •心肺持久力の増加 •インスリン抵抗性の改善 •メタボリック症候群の是 正 30 r= -0.396(p<0.0001) 20 10 0 -10 -20 -30 40 60 80 100 120 血 圧 変 化 60 40 20 0 -20 -40 r= -0.501(p<0.0001) 100 120 140 160 180 収縮期血圧前値(mmHg) 介入指導の効果と継続:体重と血圧の推移 mmHg kg 160 100 80 体 86.7 80.9 81.3 重 60 収 120 縮 期 血 圧 80 144 131 128 40 40 20 0 0 指導前 3ヶ月後 プログラム 指導期間 1年後 自己管理 指導前 3ヶ月後 プログラム 指導期間 1年後 自己管理 介入指導の効果と継続: 中性脂肪とHDLコレステロールの推移 mg/dl 80 mg/dl 300 250 HDL 中 性 200 脂 肪 150 170 140 100 105 60 コ レ 40 ス テ ロ ー ル 20 56 46 49 50 0 0 指導前 3ヶ月後 プログラム 指導期間 1年後 自己管理 指導前 3ヶ月後 プログラム 指導期間 1年後 自己管理 健康づくりのための運動指針2006 〜生活習慣病予防のために〜 <エクササイズガイド2006> • 身体活動=運動+生活活動 • エクササイズ:Ex( METs ・時)= 身体活動の強さ( METs )×量(時) – 普通歩行(3 METs )×1時間=3Ex • 目安:週23 Ex以上 • 4Ex以上は3METs以上の活発な運動 運動に関する行動変容 • 無関心期:運動するつもりがない →過去の運動経験を聞く →運動しないことのデメリット →少しでも身体を動かすこと • 熟考期 :運動を始めるつもりがある →生活活動を増やす • 準備期 :ときどき運動している →継続するためのアドバイス • 実行期 :最近6ヶ月、23エクササイズ運動 • 維持期 :6ヶ月以上、 23エクササイズ運動 環境整備:THPルーム、運動のイベント、 自転車エルゴを各職場に配置 1日のエネルギー消費量の割合 運動しない人たちの中でやせている人と太っている人の行動分析 運動 NEAT 立位& 歩行 526分 座位 407分 やせた人 熱産生 姿勢配分(分) 352 ± 65 kcal/day 安静代謝率 立位& 歩行 373分 座位 571分 肥満者 NEAT: non-exercise activity thermogenesis 運動によらないエネルギー消費 1日のエネルギー消費の内訳:やせた人と肥満者との比較 やせた人と肥満者の1日のエネルギー消費量の差は、NEATの姿勢配分の違いにあり、 その差は352 ± 65kcal/dayであった。(Science 307: 530, 2005より改変) 運動に関する行動変容 • 無関心期:運動するつもりがない →過去の運動経験を聞く →運動しないことのデメリット →少しでも身体を動かすこと • 熟考期 :運動を始めるつもりがある →生活活動を増やす • 準備期 :ときどき運動している →継続するためのアドバイス • 実行期 :最近6ヶ月、23エクササイズ運動 • 維持期 :6ヶ月以上、 23エクササイズ運動 環境整備:THPルーム、運動のイベント、 自転車エルゴを各職場に配置 身体活動と運動 QuickTimeý Dz TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ Ç• ÅB ① 身体活動:安静にしている状態より多くのエネルギーを消費する全て の動きのこと(①=②+③) ② 運動:身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図 的に実施するもの ③ 生活活動:身体活動のうち、運動以外もの。職業活動上のものも含む 厚生労働省 運動所要量・運動指針の策定検討会:健康づくりのための運動指針2006、平成18年7月 目標は、 週23エクササイズ(メッツ・時)の活発な身体活動(運動・生活活動)! そのうち、4エクササイズは活発な運動を! ・これから運動を始める人 :週2Exから始めて ・運動量が4Ex未満の人:週4Exを目標に ・運動量が4Ex以上の人:10Exを目標に 身体活動量評価のためのチェックシート 1エクササイズに相当する活発な身体活動 運動 強度 強度 生活活動 運動 生活 活動 合計 月 Ex Ex Ex 火 Ex Ex Ex 水 Ex Ex Ex 木 Ex Ex Ex 金 Ex Ex Ex 土 Ex Ex Ex 日 Ex Ex Ex Ex Ex Ex 3メッツ 3メッツ 軽い筋力トレーニング バレーボール:20分 :20分 活動内容 歩行:20分 4メッツ 速歩:15分 ゴルフ:15分 自転車:15分 子供と遊ぶ:15分 6メッツ 軽いジョギング:10分 エアロビクス:10分 階段昇降:10分 合計 8メッツ ランニング:7~8分 水泳:7~8分 重い荷物を運ぶ:7~8分 厚労省生活習慣病対策室 内臓脂肪(1kg=7000Kcal) 減少のための身体活動量の 目標設定 腹囲:90cm 目標:85cm 5cmを5ヶ月で QuickTimeý Dz TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 35,000kcal 減らす必要あり 1日当たり 233kcal減らす 70kgの人が 1日に233kcal減らすには、、、 233kcal÷1.05÷70kg= 3.2Ex 厚生労働省 運動所要量・運動指針の策定検討会:健康づくりのための運動指針2006、平成18年7月 心拍数による運動処方 ● 運動時心拍数と酸素摂取量 (METs, ・ VO2max)の関係 を示す直線をプロットする→実習 ● 運動時最大心拍数(HRmax)と安静時心拍数(HRrest)の差 (心拍数予備)の%をとる ・ ※心拍数予備の50〜80%≒運動能力(VO2max)の50〜80% (例) ・ 2maxの運動強度(HR)=(HRmax-HRrest)x0.5+HRrest 50%VO ● その他 ・ 50%VO2maxの運動強度=138ー(年齢)/2 40歳なら脈拍が 50歳なら脈拍が 60歳なら脈拍が 138 - 20=118回/分、 138 - 25=113回/分、 138 - 30=108回/分の運動に相当 運動・身体活動に関する働きかけ 環境づくり:THPルーム、ウォーキングロードの整備、 ウォーキングイベントの開催 運動の例(60kgの男性) • 博多駅→渡辺通: 速歩13分 1628歩 59Kcal • 新橋周辺: 速歩55分 8200歩 280Kcal • 自宅→折尾: 速歩20分 2400歩 90Kcal • 速歩は1歩で0.035Kcal • 10分=1000歩=35Kcal • 自宅→産医大: 遅いジョグ12分 1730歩 89Kcal • 北上川: ジョグ60分 10000歩 520Kcal • ジョグは1歩で0.055Kcal • 10分=1400歩=80Kcal 喫煙室を小型THPルームに改造 いつでもこげる 場所に 自転車 パソコンでDVDを 観ながら運動 最大酸素摂取量 38→ 42→ 44 ml/kg/min デスクから1,2分の場所に自転車エルゴメーターがあれば 運動を始める、継続できる人が増えます。パソコンでDVDを見 ながら昼休み、仕事帰りに30〜 60分のフィットネス! 産業医科大学 産業生態科学研究所の運動施設 西棟に1カ所 東棟に 1カ所 産業医科大学 産業生態科学研究所 東棟の運動施設 自転車エルゴメーター1台→3台に増やし、 教職員を対象とした運動習慣定着への介入研究中
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