大阪府立施設削減の促進化の 是非 是の場合 はじめに • 我々が大阪府に求める機能のひとつに、民間経営では 成り立たない「資源配分機能」がある。 • つまり、排除原則(使用者に制限がある)また、消費の競 合性(使用人数に制限がある)、この2つがない「公共財 の供給」を府に求めている。 • しかし、橋下知事は財政再建プログラムという財政改革 の中で、公共財のひとつである、府立施設を削減しようと している。 • 果たしてこれは良いのか悪いのか、大阪府民の視点に 立って、検証する。 大阪府立施設削減の促進化は是である。 • 少子高齢化の促進により、社会保障の給付と負担のバ ランスが悪くなり、世代間の不公平が生じている。 • そのため、後期高齢者医療制度などの新たな負担策が、 今後増えると考えられる。 • 新たな負担は私たちの生活を苦しめる。 • もし、大阪府の財政が回復すれば、補助金を設定して、 府民の生活に影響を及ぼさないようにできる。 • 生きるために必要なサービスこそが府に求める機能であ る。 • 大阪府財政に弾力性(経常収支比率)が必要である。 • 大阪の経常収支比率(=経常費用/経常収入×100)は 、96.6%である。(1番低い東京都は、84.5%) • 府債を新たに発行せずとも、収入の範囲内で、 不足の歳出にも対応できる。 • しかし、現在の大阪府財政では不可能である。 • そのため、次に記述した財政再建プログラムに おいての、府立施設削減の方針に見合うものは 削減していくべきである。 • また、削減によって、府立施設の便利性が上が るため、施設を利用する大阪府民にとってもよい ものになる。 • だから、府立施設削減の促進化は是である。 1)財政再建プログラムにおける 府立施設削減 • 基本的視点 1)今日的意義に照らして必要な施設かどうか検討する。 2)必要な施設であっても府立施設であることが最も有効か 検討し、社会的に有用な資産として最大限有効活用を図 る。 3)多額の府費を投入していることから、施設のやサービス の廃止も含め、徹底したコスト削減を図る。 • 具体的な基準 1)他の方法によるサービス提供が可能で、利用状況や今後の維持管 理コストを勘案すると維持が困難なもの、機能集約が可能なものは 廃止する。 2)地元や利用者管理団体での管理も可能なものは、市町村や民間へ 移管したり、市町村やNPO等との協議による新たな管理形態を追求 する。 3)公の施設としての縦割りを排除することや同種の施設を集約すること で施設の有用性を高められるものは、多機能化・集約化を図る。 4)上記に当てはまらず存続する施設についても、運営を見直す・徹底し たコスト縮減を図る観点から管理経費を見直し、規模の縮小・移転を 行う。また、一定の収益が見込めるものは府への利益還元を高める。 5)加えて、適正な受益と負担となっているかという観点から、使用料の 見直しを行う。 2)橋下知事の財政、行政サービスにつ いての考え方 • 橋下知事 平成20年2月13日記者会見より 「民間レベルの根拠や裏づけをもって、(全ての事 業・出資法人・公の施設を)精査していくことが、 財政改革の命。」 ・橋下知事 平成20年6月15日知事定例会見より 「収入の範囲内で予算を組むため、府民が必要と している行政サービスに優先順位をつけて、今 回の財政再建プログラムができた。」 「個別の行政サービス、個別の施策について は赤字になる。自治体は利益を求める団 体ではないので、お金がかかる事業があっ て当然だが、トータルで自治体運営は収入 の範囲内で予算を組まないといけない。収 入の範囲を超えてしまわざるを得ないとき は、人件費を削る。」 (大阪府ホームページ 知事の記者会見のペ ージより) • 大阪府は、府債返済のための基金からの 借り入れや、府債の借換えによる財政再 建団体(今年度決算より、財政健全化団体 )への転落防止を行ってきた。 • しかし橋下知事は、『減債基金からの借り 入れを原則一切認めない』、『府債発行は 原則一切みとめない』とした。」 • これは、財政再建団体(財政健全化団体) にならないためである。 公の施設についての橋下知事の見解 (平成20年6月15日知事定例会見より) 「公の施設については、自己責任。」 「府民と一緒になって、文化を支えてもらう。」 3)なぜ府立施設を削減するのか? ~財政健全化団体にならないため~ • 2007年6月15日、自治体財政健全化法が成立(2008年度 決算から適用予定)。 →実質公債費比率35%以上 →実質赤字比率・・・都道府県5%以上、市町村10%以上 →連結赤字比率・・・都道府県10%以上、市町村35%以上 上記の内、どれか一つでも当てはまると、財政再生団体に なる。 北海道夕張市のようになってしまうのである。 →市民税UP、施設使用料50%UP、下水道使用料UP、公 立学校閉校、公衆トイレ廃止など市民に負担を強いるこ とになる。 しかし、大阪府は、財政再生団体の一つ前の段階であ る、財政健全化団体(自主的に法に基づく財政健全 化に取り組まなければならない。)にならないように、 今橋下知事の下、財政改革を行っている。の内、一つ でも当てはまれば財政健全化団体になる。 ・財政健全化団体になる基準は、 →実質公債費比率20%以上 →実質赤字比率・・・都道府県3.75%以上 →連結赤字比率・・・都道府県8.75%以上 である。 • 現在大阪府は、 →実質公債費比率16.6% →実質赤字比率0.02% →実質赤字比率・・・該当なし と、財政健全化判断基準に該当していない。 • しかし、大阪府の財政は厳しいものがあり、現在の状態 のままであると、財政健全化団体になる可能性がある。 例えば →経常収支比率・・・96.6%(平成18年度決算)、全国ワース ト5位 →平成19年度(対前年比で)・・・歳入1.8%減、歳出2.2%増 →実質収支・・・10年連続赤字 →法人2税が、今後景気低迷に伴い低下すると見込まれる。 以上の理由から府立施設削減の促進化による財政改革は 必要になってくる。 5)財政再建プログラムでの 公の施設の見直しの方向性図 • G:\橋本紀子ゼミ\財政再建P資料\財政再 建P公の施設図1.xls 6)府立施設削減時の効果額 • 府立施設削減時の効果額.xls 「廃止」を行うもの ~国際児童文学館編~ • 「国際児童文学館」(吹田市千里万博公園10-6) →平成17年度~平成19年度、3年間の平均入館者数・・・54,552人 →利用者1人当りの府費投入額(平成18年度決算)・・・3,672円 →行き方・・・例)なんば⇒地下鉄御堂筋線千里中央駅(北大阪急 行)⇒千里中央(大阪モノレール)⇒万博記念公園(国際文化公園 都市モノレール)⇒公園東口⇒徒歩⇒ゴール →所要時間・・・1時間10分、運賃(片道)・・・670円 ・平成21年度中に中央図書館へ移転、さらに運営効率化 ・施設は、撤去予定。 • 国際規模で児童文学関係資料を収集する国内 唯一の研究機関(通称IICLO) • 明治から現代までの約70万冊にのぼる「子ども の本(絵本、紙芝居、漫画など)」が収められてい る。 • 年間に収集する資料約1万5000点の約6割は出 版社や個人から無料で寄付されている。 • 月3種の無料イベント、講座・講演会、小展示な どを行っている。 • 児童文学の真の発展のために日々研究している 人を顕彰するため、「国際グリム賞」を作る。(賞 品・・・楯、100万円) • 未発表の創作童話と創作絵本を公募し、大賞を 決める「ニッサン童話と絵本のグランプリ」を作る 。(大賞作品は出版される) • これまでの研究として、「0,1,2歳児を対象 にした絵本、その意義と活用」など • 研究情報として、「日本のこどもの本100選 」など • 国際児童文学館から、『国際児童文学館 紀要』が出版、発売されている。 • 日本マンガ学会が「大阪府国際児童文学 館の存続を求める要望書」を府に平成20 年4月10日に提出。(日本マンガ学会HP) • 『大阪維新』プログラム(案)パブリックコメ ント(6.13~7.14)では、総数5,075件の内、 475件が、国際児童文学館の統廃合反対 であった。(大阪府HP) • 大阪府議会教育文化常任委員会が、10月 10日、国際児童文学館の存続を求める請 願を全会一致で採択した。[47NEWS( http://www.47news.jp/CN/200810/CN200 8101001000869.html)] • 大阪府において、開かれていた9月定例府議会( 9月19日~10月15日)において、7月臨時府議会 に引き続き「当館の廃止・移転」という大阪府の 財政再建プログラム案に対して、代表質問、教 育文化常任委員会で質疑が行われた。 • さらに、過日の橋下知事の私設秘書による当館 館内の「無断撮影」についても質疑が行われまし た。 • しかし、大阪府は、「財団は抜本的見直し(21年 度中)、施設は21年度中に廃止し、中央図書館 へ移転する」という方針を変えず。 • [財団法人大阪国際児童文学館HP( http://www.iiclo.or.jp/hp/top.html)] • 国際児童文学館は、価値のある資料を保 有し、催しを行い、国際的研究をし、賞をつ くり、(反対の意見が多数あることから)多く の人に愛された施設である。 • だが、入館者数は、移転先の大阪府立中 央図書館の10分の1である。 • 良い施設なはずなのに、入館者数が少な いなら、入館者数が多い施設に移転した ほうが、資料・サービスを有効活用できる。 大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北57-3) →平成17年度~平成19年度、3年間の平均入館者 数・・・645,205人 →利用者1人当りの府費投入額(平成18年度決 算)・・・1,756円 →行き方・・・例)なんば(地下鉄四つ橋線)⇒本町 (地下鉄中央線)⇒荒本⇒徒歩⇒ゴール →所要時間・・・35分、運賃(片道)・・・460円 国際児童文学館 廃止&移転の利点 • 入館者数が10倍の、中央図書館に移転す ることで、より多くの府民が、IICLOの資料 を利用することができる。 • 8枚目のスライドで言っていたように、人件 費削減になる。 • 施設までの移動時間、運賃が削減され、 利用しやすくなる。
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