「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病合併症 糖尿病網膜症 糖尿病腎症 糖尿病神経障害 動脈硬化性疾患 冠動脈疾患 脳血管障害 下肢閉塞性動脈硬化症 感染症 糖尿病足病変 歯周病 認知症 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病網膜症 1)初診時に眼科受診指導 2)眼科医との連携 眼科受診間隔の目安(原則として眼科医の指示に従う) 正常~単純網膜症初期 1回 / 年 単純網膜症中期以上 1回 / 3~6ヶ月 増殖前網膜症以上 1回 / 1~2ヶ月 3)眼科医の治療が必要な状態 増殖前網膜症、増殖網膜症、黄斑症、白内障、緑内障 急激な血糖値や血圧値の変動に注意! 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病腎症 1)早期腎症の診断 尿中アルブミン排泄量(随時尿) 正常アルブミン尿 微量アルブミン尿 顕性蛋白尿 <30mg/gクレアチニン 30~299mg/gクレアチニン(早期腎症) ≧300mg/gクレアチニン(顕性腎症) 2)顕性腎症以上は、尿蛋白量、血清クレアチニン値等で評価 3)血糖管理だけでなく血圧管理も重要 管理目標:130/80mmHg未満、顕性腎症以上では125/75mmHg未満 ACEIやARBの有用性 4)食事療法 蛋白制限(1日0.8g/kg標準体重以下)の有用性の報告あり 食塩制限(1日7g以下, 高血圧合併例は6g以下) 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病神経障害 • 多発性神経障害、自律神経障害、単一神経障害に大別される。 ①多発神経障害 両下肢のしびれ、じんじん・ピリピリするような疼痛 感覚低下、異常感覚をもたらす。 左右アキレス腱反射、振動覚が低下。 ②自律神経障害 起立性低血圧、胃無力症、便通異常、無力性膀胱、 無自覚性低血糖、無痛性心筋梗塞、勃起障害 ③単一神経障害 外眼筋麻痺、顔面神経麻痺 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病神経障害の簡易診断基準 必須項目 :以下の2項目を満たす 1. 糖尿病が存在する 2. 糖尿病神経障害以外の末梢神経障害を否定しうる 条件項目 :次の3つのうち2項目以上を満たす場合を「神経障害あり」とする 1. 糖尿病神経障害に基づくと思われる自覚症状 (両側性の足趾および足底の「しびれ」、「疼痛」、「異常感覚」のうちの いずれかの症状) 2. 両側アキレス腱反射の低下あるいは消失 3. 両側内踝振動覚低下(C128Hz音叉にて10秒以下) 糖尿病性神経障害を考える会 2002年1月改訂より改変 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病神経障害の治療 多発神経障害 アルドース還元酵素阻害薬、ビタミンB12、疼痛に対しては、 非ステロイド系消炎鎮痛薬、抗不整脈薬(メキシレチン)、 抗うつ薬など 自律神経障害 症状に応じて、血管収縮薬(塩酸ミドトリン、メチル硫酸 アメジニウム)、消化管運動機能改善薬 (ドンペリドン、 クエン酸モサプリド )などを投与する。勃起障害(ED)の治療 の際には虚血性心疾患の有無を必ず確認する。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病足病変 • 神経障害、血管障害、外傷、感染症などが複雑に関与して 下肢に潰瘍や壊疽が生ずる。 • 原因や悪化には神経障害による感覚鈍麻が関与している ことが多い。 • 日常生活における、熱傷、外傷、胼胝、靴ずれなどの予防 および早期発見・早期治療が重要である。 • 足をよく観察し、常に清潔にして、異常があればすぐに受診 するように指導する。 • 爪の変形や白癬菌感染、潰瘍は皮膚科をはじめとする 専門医での治療が望ましい。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病は動脈硬化性疾患発症のリスクを高める ( / 10,000人・年) 140 心血管疾患死亡数 危険因子:高血圧、高コレステロール血症、喫煙 非糖尿病群 100 糖尿病群 60 20 0 0 1 2 危険因子数 3 <MRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial) Diabetes Care 16:434-444,1993 より引用> 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 日本人2型糖尿病患者でも、動脈硬化性疾患、 特に冠動脈疾患の発症頻度は増加している JDCS (9年次) 冠動脈疾患 脳卒中 8.8 7.9 (男性10.7. 女性6.8) (男性8.5. 女性7.0) UKPDS (対照群/強化治療群) 17.4/14.7 5.6/5.0 (1000人/年あたりのイベント発症数) <JDCS(Japan Diabetes Complication Study)医学のあゆみ 220:1275-1281,2007 UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)Lancet 352:837-853, 1998 より引用> 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 血糖コントロールと合併症発症との関連 細小血管合併症の発症は血糖コントロール状態に強く依存するが、 動脈硬化症は軽度の高血糖状態でも発症リスクが高まる ( / 1,000人・年) 合併症発症数 60 冠動脈疾患(心筋梗塞) 細小血管合併症 40 20 0 5.0 6.0 7.0 8.0 HbA1C 9.0 10.0 11.0 (%) <UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)35. BMJ 321:405-412, 2000 より引用> 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 メタボリックシンドローム 内 臓 脂 肪 の 蓄 積 イ ン ス リ ン 抵 抗 性 高血圧 空腹時高血糖 脂質代謝異常 動 脈 硬 化 症 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 ・糖尿病患者の急性心筋梗塞は、はっきりした 症状がないことが多い(無症候性:非定型的)。 ・発症時には冠動脈に多枝病変を有するなど すでに病変の進行した例が多く、心不全、不整脈 を起こしやすい。 ・定期的な心電図評価と共に、原因不明の血糖の 悪化や従来と異なる不整脈の出現などの場合は、 急性心筋虚血を疑い、心電図、心エコー、血液検査 等での評価が必要である。 <冠動脈多枝狭窄病変> ・糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子で、非糖尿病者 の2~4倍高頻度である。 ・脳血管障害では、小さな梗塞が多発する傾向があり、 一過性脳虚血発作や軽い麻痺をくり返し、徐々に 認知能力の低下に至る例もある。 ・頸動脈エコー、頭部X線CT、頭部MRI等で評価する。 ・動脈硬化症の予防・進展防止には、血糖のみならず 血圧、脂質のコントロールが重要である。 <多発性脳梗塞、白質病変> 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 糖尿病を合併する高血圧の治療計画 130~139/80~89mmHg 140/90mmHg以上 生活習慣病の修正,血糖管理 生活習慣病の修正,血糖管理 と同時に薬物療法 3~6ヵ月で効果不十分 降圧目標130/80mmHg未満 薬物療法 第一選択薬:ACE阻害薬,ARB,長時間作用型カルシウム拮抗薬 効果不十分 薬物用量を増加 他の薬物に変更 他の薬物を併用 効果不十分 3薬物併用 利尿薬がまだ使われていない場合は利尿薬を追加する (日本高血圧学会・日本糖尿病学会合同ガイドライン検討委員会;高血圧治療ガイドライン2004 より引用) 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 リスク別脂質管理目標値 カテゴリー 治療方針の原則 一次予防 まず生活習慣の改善 を行った後、 薬物療法の適応を 考慮する 二次予防 生活習慣の改善とともに 薬物療法を考慮する 脂質管理目標値 LDL-C以外の 主要危険因子* LDL-C Ⅰ (低リスク群) 0 <160 Ⅱ (中リスク群) 1~2 <140 3以上 <120 Ⅲ (高リスク群) 冠動脈疾患の既往 HDL-C TG ≧40 <150 <100 *LDL-C以外の主要危険因子: 加齢(男性≧45歳、女性≧55歳)、高血圧、糖尿病(耐糖能異常を含む)、 喫煙、冠動脈疾患の家族歴、低HDL-C血症(<40mg/dL) 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はカテゴリーⅢとする。 (日本動脈硬化学会;「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」より引用) 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 専門医への紹介 1型糖尿病など、2型糖尿病以外が疑われる ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧状態など急性合併症 インスリン治療の導入(不慣れな場合) かかりつけ医 専門医 紹介状への記載項目 紹介目的 これまでの治療の経過・内容 糖尿病合併症の検査結果 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 かかりつけ医への逆紹介 2型糖尿病で治療方針が確立し病勢が安定 1型糖尿病の場合も安定すれば かかりつけ医 専門医 逆紹介状への記載項目 治療の経過・内容 教育の内容 糖尿病合併症の検査結果 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 専門医との連携が必要な場合 - どのような場合に専門医に紹介すべきか • 1型糖尿病(IDDM) • 糖尿病性ケトアシドーシスおよび高血糖、高浸透圧状態 • 妊婦および授乳中の女性 • 膵臓全摘出例 • 重症の感染症、大きな外傷、中等度以上の手術 • 重症の肝臓、腎障害の合併例 • 食事療法、運動療法および経口剤を用いても良好なコントロールが 得られない例や、その他インスリン療法が必要な症例(インスリン治 療に不慣れな場合) • 治療方針がつかない場合。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 専門医との連携のタイミング 症状から見て入院が必要と判断される場合 • 脱水が著明で、体重の減少が著しい • 意識障害を認める。 • 高血糖(300mg/dL以上)で脱水、尿ケトン体陽性の場合 • 肺炎、心筋梗塞など他の疾患を併発して重篤な症状を呈して いる時。 • 著しく血糖値が低く、昏睡状態にあり、ブドウ糖の投与でも 容易に意識が戻らない場合(通常血糖値は50mg/dl以下)。 • 通院がとても困難と判断される状態。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成
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