主な経口血糖降下薬の特徴 (赤字は重要な副作用) 主な作用臓器と作用 イ ン ス リ ン 分 泌 促 進 系 抵イ 抗ン 性ス 改リ 善ン 系 種類 主な副作用 インスリン分泌 の促進 スルホニル 尿素薬 グリメピリド*(1.3mg) グリベンクラミド*(1.25,2.5mg) グリクラジド#(20,40mg) トルブタミド#(250,500mg) など より速やかな インスリン分泌 の促進・食後 高血糖の改善 グリニド系薬 (速効型イン スリン分泌促 進薬) ナテグリニド(30,90mg) ミチグリニド(5,10mg) 小 腸 炭水化物の 吸収遅延・ 食後高血糖 の改善 a-グルコ シダーゼ 阻害薬 ボグリボース(0.2,0.3mg) アカルボース(50,100mg) ミグリトール(25,50,75mg) 肝障害 消化器症状(放屁・ 下痢・腹満・便秘) 低血糖増強 肝 臓 インスリン 抵抗性の改善 ビグア ナイド薬 メトホルミン(250mg) ブホルミン(50mg) 乳酸アシドーシス 胃腸障害 低血糖増強 脂肪組織 インスリン 抵抗性の改善 チアゾ リジン薬 ピオグリタゾン(15,30mg) 浮腫・心不全 肝障害・低血糖増強 膵 島 食 後 高 血 糖 改 善 系 薬品名 低血糖 *:血糖降下作用が強い #:血糖降下作用が中等度 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 初回治療時の注意点と手順 • 新たに治療を開始する患者において、初診時に、治療方針決定のため に検索すべきポイントは、①血糖値、②体重およびその経過、③尿ケト ン体である。 • 経口血糖降下薬を用いる場合も、食事・運動療法を並行して確実に行 うことが重要である。 • 新規に経口血糖降下薬を投与する場合は、少量から始める。通常2週 間以内に来院させ、血糖値などのデータから反応性を見つつ、投与量 の調節を行う。 • 薬剤の追加や変更は、HbA1c6.5%未満を目指して、通常同一薬剤で2 ~3ヵ月間経過をみてから行う。HbA1c8%以上の場合は薬剤の追加 や変更を考慮しなければならない。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 新規 糖尿病患者 初回治療時の注意点と手順 経口血糖降下薬の特徴・副作用、 患者の病態・意向を考慮して判断する。 インスリンの絶対適応か? ①1型糖尿病 ②糖尿病昏睡 ③重度の肝障害・腎障害 ④重症感染症、中等度以上の外科手術 ⑤糖尿病を合併した妊娠 yes yes 血糖コントロールの評価が 不可に当てはまるか? HbA1c8.0%以上or 空腹時血糖値160mg/dL以上or 食後2時間血糖値220mg/dL以上 no ● 食事・運動療法 食後高血糖があるときには ● ボグリボース0.6mg,アカルボース150mg ミグリトール150mg ● ナテグリニド270mg,ミチグリニド30mgの 開始を考慮 1~2kg /月以上の 体重減少があるか? 生理食塩水の点滴 などを考慮する 空腹時血糖値250mg/dL以上or 随時血糖値350mg/dL以上or 尿ケトン体陽性(+)以上 no 薬剤に対する反応性が なければインスリン治療 や入院へ yes no インスリンの相対適応 (著明な高血糖)か? ● 専門医へ紹介 ● 入院してインスリン治療 ● または、インスリン治療 を開始し入院 注)ここに示す薬剤量は1日の使用量 ● 食事・運動療法に加えて no + ● グリメピリド0.5~1mg ● グリベンクラミド0.625~1.25mgなど ● 食事・運動療法に加えて yes + ● グリメピリド0.5mg,グリベンクラミド0.625mg, グリクラジド20~40mg,トルブタミド250mg~500mg ● ピオグリタゾン15mg ● メトホルミン500mg,ブホルミン100mgなど ● BMI22未満の場合はスルホニル尿素薬を考慮 ● BMI25以上の場合はインスリン抵抗性改善系の薬剤を考慮 コントロール「不良」・「不可」の状態が改善されない場合 (HbA1c7.0%以上、空腹時血糖値140mg/dL以上、 食後2時間血糖値200mg/dL以上の場合) ● HbA1c6.5%未満を目ざして薬剤の増量、変更、併用へ 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 インスリン療法(1) • 絶対的適応(生存のために必要) 1型糖尿病、糖尿病昏睡 重度の肝障害、腎障害 重症感染症、中等度以上の外科手術 糖尿病を合併した妊娠 • 相対的適応(著明な高血糖) 空腹時血糖値が250mg/dL以上 随時血糖が350mg/dL以上 尿ケトン体陽性(+)以上 経口血糖降下薬で良好な血糖コントロールが得られない 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 インスリン療法(2) • インスリン製剤の種類 分類名 一般的な注射の タイミング 持続時間 超速効型 食直前 速効型 食前30分 5-8時間 中間型 ノボリンR、ヒューマカートR、 ペンフィルR 他 ノボラピッド30ミックス、 食直前 18-24時間 ヒューマログミックス25 他 ノボリン30R、ヒューマカート3/7、 食前30分 18-24時間 ペンフィル30R 他 ノボリンN、ヒューマカートN、 朝食前30分 or 就寝前 18-24時間 ペンフィルN 他 持効型溶解 就寝前 or 朝食前 約24時間 超速効型と中間型 混合型 速効型と中間型 3-5時間 主なインスリン製剤 ノボラピッド、ヒューマログ ランタス、レベミル • インスリン製剤の種類(注射法) インスリンカートリッジ製剤(ペン型注入器に装着) インスリンプレフィルド/キット製剤 (薬剤・注入器一体型の使い捨てタイプ) インスリンバイアル製剤 (100単位製剤用インスリン専用シリンジを使用) 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 インスリン療法(3) • インスリン治療の基本は健常人のインスリン変動を再現 基礎インスリン分泌+追加インスリン分泌 • インスリン投与量の変更は「責任インスリン」の増減 「責任インスリン」とは、その時点の血糖値に最も影響を 及ぼ しているインスリン。 • インスリン依存状態の患者では、インスリン注射をどのような 場合でも中止してはいけない • インスリン治療を開始する際は、1日の総量を体重1kgあたり 0.1-0.2単位から開始、血糖値をみながら1-2単位ずつ増量 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 インスリン療法(4) • 注射部位は前回から3cm離して重ならないように指導 (糖尿病療養指導士受験 ガイドブックより引用) 血糖自己測定 インスリン治療をしている場合は、糖尿病の管理を厳格に行うために活用 されている。毎食前・食後の6時点と就寝前を加えた7時点から、インスリン効 果を評価するのに必要なポイントを1日1-3回測定。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 インスリン療法(5) インスリン注射 速効型・超速効型 中間型 持効型溶解 混合型 朝食前 昼食前 夕食前 就寝前 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成 専門医との連携のタイミング 症状から見て入院が必要と判断される場合 • 脱水が著明で、体重の減少が著しい • 意識障害を認める。 • 高血糖(300mg/dL以上)で脱水、尿ケトン体陽性の場合 • 肺炎、心筋梗塞など他の疾患を併発して重篤な症状を呈して いる時。 • 著しく血糖値が低く、昏睡状態にあり、ブドウ糖の投与でも 容易に意識が戻らない場合(通常血糖値は50mg/dl以下)。 • 通院がとても困難と判断される状態。 「健康日本21」の糖尿病対策検討委員会作成
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