情報科学概論 ~記憶回路とコンピュータの構成~ Lecture 5 田中美栄子 今回の目標 論理回路の構成について学び,それらを利用した コンピュータの仕組み(記憶回路)について 理解する. コンピュータの基本構成について理解する. コンピュータの仕組み(復習) • 論理回路:コンピュータの最小構成単位 • 組み合わせ回路:論理回路を組み合わせた 回路 • 演算回路:組み合わせ回路の一つで 算術論理演算が行われる • 記憶回路:論理回路を使って状態を保持する 順序回路を構成 演算回路 • 半加算器【HA】 – 2進数1桁の加算(下位桁は考慮せず) • 全加算器【FA】 – 下位桁を考慮した2進数1桁の加算 • n桁加減算回路 • 論理演算回路 • 算術論理演算部 10001 + 10010 繰り上がりあり 【FA】 繰り上がりなし 【HA】 半加算器の真理値表と論理関数 被演算数(a) 演算数(b) 加算値(c) 桁上がり値(d) 0 0 0 0 1 0 1 0 0 1 1 0 1 1 0 1 c=a・b+a・b =ab d=a・b 全加算器の真理値表と論理関数 被演算数 (a) 演算数(b) 下位桁からの 繰り上がり値(c) 加算値(d) 上位桁への繰り 上がり値(e) 0 0 0 0 1 1 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 1 0 1 0 0 1 0 0 0 1 0 1 1 1 d=a・b・c+a・b・c+a・b・c+a・b・c =(ab)c e=a・b・c+a・b・c+a・b・c+a・b・c =(ab)・c+a・b 記憶回路 • コンピュータの主要な構成要素に記憶回路があり, 主記憶やCPU内のレジスタに用いられる. • 入力が与えられた時,現在加えられている入力のみ ではなく過去にどのような入力が加えられたかとい う履歴によって出力が変わる回路を順序回路という. • 論理ゲートの出力をまた入力に使うことで,外部から の入力が与えられない限り,1か0の安定した状態を 保持し,入力が与えられると状態が変わる回路を フリップフロップといい1ビットのメモリとして使われる. フリップフロップの例 RS-FF(セットリセットフリップフロップ) S Q Q R x z y NOR回路 (ORの否定) x y z 0 0 1 0 1 0 1 0 0 1 1 0 フリップフロップの動作(安定状態) S 0 R 0 S 0 R 0 1 0 0 1 Q Q Q Q RS-FFの動作(S→1) S 0 1 R 0 S 0 1 R 0 1 0 0 1 0 1 Q Q Q Q RS-FFの動作(R→1) S 0 R 0 1 S 0 R 0 1 1 0 0 1 1 0 Q Q Q Q RS-FFの意味 S R S R Q Q 0 0 Q Q 0 1 0 1 1 0 1 0 1 1 不定 Q Q 最後に1の値を取ったのが SかRかを記憶 JK-FFの意味 S Q Q R S R Q Q 0 0 Q Q 0 1 0 1 1 0 1 0 1 1 不定 最後 コンピュータの基本構成要素 • コンピュータ本体 – (算術論理)演算装置(ALU):演算回路 – 制御装置 – 主記憶装置:記憶回路 • 周辺装置 – 入力装置:キーボード,マウス – 出力装置:ディスプレイ,プリンター – (補助記憶装置):ハードディスク,FD コンピュータの基本構成 中央記憶装置 制御装置 演算装置 レジスタ群 入力装置 主記憶装置 補助記憶装置 出力装置 いろいろな記憶装置 • 半導体メモリ(電気的な記憶) 高速に読み書き可能,電源を切ると記憶は失わ れる,高価 – レジスタ(一時記憶) – 主記憶 • 磁気的な記憶 速度は遅い,電源を切っても記憶は保持,安価 – 補助記憶 • ハードディスク,FD,CD-ROM,MO 記憶の階層 • 処理に必要な情報に優先順位をつけ, 保存する記憶装置を使い分ける • 特に高速性を要求されるところに,高速だが 高価な記憶を少量使い,それ以外には 低速だが安価な記憶を大量に使う – レジスタ:実行中の命令とそのデータ – 主記憶:動作中のプログラムやデータ – 補助記憶:その他のデータ ALUとレジスタ A+B A レジスタ群 B B A CPU内部 データバス ALU 入力レジスタ ALU 算術論理演算装置 A+B バス(bus):装置間を結ぶ電気信号線(nビット) ALU 出力レジスタ コンピュータの構成 CPU CPU内部データバス 演算レジスタ (アキュムレータ) 命令レジスタ A 命令デコーダ データ バス制御 アドレス バス制御 主記憶装置 入出力装置 レジスタ群 制御ロジック ALU 内部制御 信号 システム 制御信号
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