09gairon5

情報科学概論
~記憶回路とコンピュータの構成~
Lecture 5
田中美栄子
今回の目標
論理回路の構成について学び,それらを利用した
コンピュータの仕組み(記憶回路)について
理解する.
コンピュータの基本構成について理解する.
コンピュータの仕組み(復習)
• 論理回路:コンピュータの最小構成単位
• 組み合わせ回路:論理回路を組み合わせた
回路
• 演算回路:組み合わせ回路の一つで
算術論理演算が行われる
• 記憶回路:論理回路を使って状態を保持する
順序回路を構成
演算回路
• 半加算器【HA】
– 2進数1桁の加算(下位桁は考慮せず)
• 全加算器【FA】
– 下位桁を考慮した2進数1桁の加算
• n桁加減算回路
• 論理演算回路
• 算術論理演算部
10001
+ 10010
繰り上がりあり
【FA】
繰り上がりなし
【HA】
半加算器の真理値表と論理関数
被演算数(a) 演算数(b)
加算値(c)
桁上がり値(d)
0
0
0
0
1
0
1
0
0
1
1
0
1
1
0
1
c=a・b+a・b =ab
d=a・b
全加算器の真理値表と論理関数
被演算数
(a)
演算数(b)
下位桁からの
繰り上がり値(c)
加算値(d)
上位桁への繰り
上がり値(e)
0
0
0
0
1
1
1
1
0
0
1
1
0
0
1
1
0
1
0
1
0
1
0
1
0
1
1
0
1
0
0
1
0
0
0
1
0
1
1
1
d=a・b・c+a・b・c+a・b・c+a・b・c =(ab)c
e=a・b・c+a・b・c+a・b・c+a・b・c =(ab)・c+a・b
記憶回路
• コンピュータの主要な構成要素に記憶回路があり,
主記憶やCPU内のレジスタに用いられる.
• 入力が与えられた時,現在加えられている入力のみ
ではなく過去にどのような入力が加えられたかとい
う履歴によって出力が変わる回路を順序回路という.
• 論理ゲートの出力をまた入力に使うことで,外部から
の入力が与えられない限り,1か0の安定した状態を
保持し,入力が与えられると状態が変わる回路を
フリップフロップといい1ビットのメモリとして使われる.
フリップフロップの例
RS-FF(セットリセットフリップフロップ)
S
Q
Q
R
x
z
y
NOR回路
(ORの否定)
x
y
z
0
0
1
0
1
0
1
0
0
1
1
0
フリップフロップの動作(安定状態)
S 0
R
0
S 0
R
0
1
0
0
1
Q
Q
Q
Q
RS-FFの動作(S→1)
S 0 1
R
0
S 0 1
R
0
1 0
0 1
0
1
Q
Q
Q
Q
RS-FFの動作(R→1)
S 0
R
0 1
S 0
R
0 1
1
0
0 1
1 0
Q
Q
Q
Q
RS-FFの意味
S
R
S
R
Q
Q
0
0
Q
Q
0
1
0
1
1
0
1
0
1
1
不定
Q
Q
最後に1の値を取ったのが
SかRかを記憶
JK-FFの意味
S
Q
Q
R
S
R
Q
Q
0
0
Q
Q
0
1
0
1
1
0
1
0
1
1
不定
最後
コンピュータの基本構成要素
• コンピュータ本体
– (算術論理)演算装置(ALU):演算回路
– 制御装置
– 主記憶装置:記憶回路
• 周辺装置
– 入力装置:キーボード,マウス
– 出力装置:ディスプレイ,プリンター
– (補助記憶装置):ハードディスク,FD
コンピュータの基本構成
中央記憶装置
制御装置
演算装置
レジスタ群
入力装置
主記憶装置
補助記憶装置
出力装置
いろいろな記憶装置
• 半導体メモリ(電気的な記憶)
高速に読み書き可能,電源を切ると記憶は失わ
れる,高価
– レジスタ(一時記憶)
– 主記憶
• 磁気的な記憶
速度は遅い,電源を切っても記憶は保持,安価
– 補助記憶
• ハードディスク,FD,CD-ROM,MO
記憶の階層
• 処理に必要な情報に優先順位をつけ,
保存する記憶装置を使い分ける
• 特に高速性を要求されるところに,高速だが
高価な記憶を少量使い,それ以外には
低速だが安価な記憶を大量に使う
– レジスタ:実行中の命令とそのデータ
– 主記憶:動作中のプログラムやデータ
– 補助記憶:その他のデータ
ALUとレジスタ
A+B
A
レジスタ群
B
B
A
CPU内部
データバス
ALU 入力レジスタ
ALU
算術論理演算装置
A+B
バス(bus):装置間を結ぶ電気信号線(nビット)
ALU 出力レジスタ
コンピュータの構成
CPU
CPU内部データバス
演算レジスタ
(アキュムレータ)
命令レジスタ
A
命令デコーダ
データ
バス制御
アドレス
バス制御
主記憶装置 入出力装置
レジスタ群
制御ロジック
ALU
内部制御
信号
システム
制御信号