プロバイダ責任法制 判例概観 南山大学法学部 町村泰貴 プロバイダ責任制限法以前 ニフティFSHISO事件 東京地判平成9年5月26日判タ947号125頁 パソコン通信サービスのフォーラムを舞台とし たもめ事で、シスオペ(フォーラム責任者)の 責任が問われた。 シスオペの削除義務違反責任を肯定 東京高判平成13年9月5日判タ1088号94頁 シスオペの責任を否定 都立大事件 東京地判平成11年9月24日判時1707号139 頁 ウェブページで中傷された学生団体が削除 を求め、削除に応じない都立大学の設置主 体である都の国家賠償責任を追及したが、 裁判所は責任を否定 ニフティFBOOK事件 東京地判平成13年8月27日判時1778号90頁 ニフティ・フォーラムでのもめ事で、会員の一 人が他の会員の個人情報開示を求め、ニフ ティを訴えた。裁判所は名誉毀損に当たらな いとして請求棄却。 動物病院対2ちゃんねる事件 東京地判平成14年6月26日判時1810号78 頁、判タ1110号92頁 東京高判平成14年12月25日(控訴審) T動物病院を誹謗中傷した2ちゃんねるの書 き込みについて、2ちゃんねる管理人の損 害賠償責任を認めた事例 その他(法制定後) DHC損害賠償事件など プロバイダ責任制限法の下で の開示関係裁判例 眼科医対Yahoo!掲示板事件 東京地判平成15年3月31日 発信者の住所氏名を知りながらIPアドレス の開示を請求し、認められた事例 羽田タートルサービス対So-net事件 東京地判平成15年4月24日 ■ アクセスプロバイダは開示義務なしと判断 WinMX(パワードコム)事件 東京地判平成15年9月12日 P2Pのファイル送信者について、アクセスプ ロバイダに発信者情報開示を命じた事例 羽田タートルサービス代理人事件 東京地判平成15年9月17日 アクセスプロバイダに発信者情報の開示を 命じた事例 全体の傾向 プロバイダの発信者情報開示義務の存否 が本格的に争われたケースはない。 課題 発信者情報、特に通信履歴の保存が課題 本来の紛争当事者ではないプロバイダの当 事者適格 最も利害関係のある発信者の手続保障 残された問題 ■ 発信者とアクセスプロバイダとをつな ぐ電話会社は開示関係役務提供者か? 本訴訟でしか開示を求められないか、 訴訟外の解決や仮処分による命令は妥 当か? 匿名性の保護をどう確保していくか ■ 情報ネットワーク・ローレビュー第2巻 (近刊)掲載の藤村論文参照 羽田タートルサービス事件 (1)東京地判平成15年4月24日(平成14年(ワ)18428号) (2)東京地判平成15年9月17日(平成15年(ワ)3992号) 派遣をめぐる掲示板書込み 著作権に配慮し、省略 第1事件の事案 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 羽田タートル 発信者の 発信者 情報要求 サービス アクセスプロバイダ ウェブオンライン 誹謗中傷 削除要求 発信者の 情報要求 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB レンタルサーバ ゼロ 第1事件判決 So-net会員である発信者を特定する情報に ついて開示を求めたが、請求棄却 アクセスプロバイダ(経由プロバイダ)は特 定電気通信役務提供者に当たらない 経由プロバイダから掲示板までの通信は一対一通 信で、特定電気通信ではないため 侵害情報削除の時点ではプロバイダ責任制限 法施行前であり、本件に法は適用されない 第2事件の事案 羽田タートル サービス QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者 代理人 弁護士 発信者の 情報要求 アクセスプロバイダ PRIN QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 削除要求 DQN 弁護士 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâ ÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者の =和解 情報要求 2ちゃんねる 第2事件判決 羽田タートルサービスの代理人であっ た弁護士が、掲示板で非難されたため、 自ら当事者となって発信者情報開示請 求 アクセスプロバイダであっても特定電 気通信役務提供者に当たり、発信者情 報開示請求可能 第1判決の理解 特定電気通信 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 経由プロ バイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB サーバ プロバイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 第2判決の理解 特定電気通信 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 経由プロ バイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 発信者 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB サーバ プロバイダ QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkÇ »ÇµÅj êLí£ ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈÇ žÇ½Ç…ÇÕïKóvÇÇ• ÅB 開示義務をめぐる解釈私見 発信者からウェブサーバまでとウェブサーバ から受信者とをあえて区別する根拠は薄弱 一対一か一対多かは区別が困難 不特定の者に送信する目的を持つ行為者は発信 者であり、アクセスプロバイダを経由する情報 の送信もその目的でなされる 被害者のための発信者情報開示を実現するた めには、アクセスプロバイダの情報開示義務 が必要。 法律制定時でも当然の前提 羽田タートルサービス代理人事件の判決が妥当。
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