LCA上智大学2005

ライフサイクルアセスメント
環境負荷を総合的に評価する
国際連合大学
安井 至
http://www.yasuienv.net
から本日の資料のダウンロードが可能
1
Ylab
CREST
リアクションペーパーへの希望


環境に関する「トレードオフ」の実例を考え
よう。
課題は最後に。
2
Ylab
CREST
循環型社会基本計画
2003年3月14日に閣議決定
3
Ylab
CREST
目標
4
Ylab
CREST
目標
5
Ylab
CREST
目標
6
Ylab
CREST
ヨハネスブルグWSSD実施計画






貧困の撲滅
持続可能でない生産・消費形態の変更
経済・社会的開発の資源的基盤の保護・
管理=生物多様性、水産資源、etc.
健康と持続可能な開発=HIV、etc.
その他の地域イニシアティブ=アフリカ
実施の手段
7
Ylab
CREST
持続可能でない生産・消費形態の変更




先進国が主導し、すべての国が持続可能な生
産・消費形態を促進しなければならない。
そのための10 年事業計画の策定を促進する。
途上国の持続可能な生産・消費を阻み、環境
に有害で貿易をゆがめる補助金の改革を促進
する。
環境コストの内部化や経済的手法を促進する。
8
Ylab
CREST
持続可能でない生産・消費形態の変更




環境管理システム等を通じた企業の社会的・環
境パフォーマンスの向上促進。公共調達のグ
リーン化促進。
環境上健全で社会的に受け入れられやすい自
動車技術の開発。
予防的アプローチに留意しつつ2020 年までに化
学物質の使用・製造による健康や環境への重大
な悪影響を最小限に抑える。
再生可能なエネルギーを各国の自主性を確保し
つつ、全世界に占める割合を十分に増大させる。
9
Ylab
CREST
持続可能型社会



1984~87年のブルントラント委員会の最
終報告書で、「持続可能な開発
(Sustainable Development)」という言葉
が使用された。
development that meets the needs of
the present without compromising the
ability of future generations to meet
their own needs.
1992年の地球サミットでは、標語になり、
アジェンダ21のなどの規範となった。
10
Ylab
CREST
地球のエネルギーバランス
Ylab
CREST
Non-Sustainable
Sustainable Human Activities
Renewable Energy
Renewable Resources
Fossil Fuel
Minerals
Ores
Capacity of Waste Management
Decompose Toxic Substances
Cosmic
Space
Input
Human Activities
Output
12
Ylab
CREST
再生可能資源
すべて太陽エネルギーの変形





森林資源
その他の植物
漁業資源
放牧
自然農業
再生量の範囲内で使用すれば。
 水力発電
 太陽光発電
 風力発電
 波力発電
など
Ylab
CREST
地球の持つ2種類の能力

環境処理能力&一次生産能力





太陽エネルギーを駆動力としている
ソフトパスエネルギーの提供
再生可能資源の提供
植物資源の提供
備蓄資源提供能力


地下金属資源
化石燃料
14
Ylab
CREST
環境中心の持続可能性の記述
Economic
Aspects
Social
Aspects
資源/エネ
ルギー限界
資源/
エネルギー消費
Fairness
& Justice
貧困の撲滅
2種の
地球
限界
ヒトの健康影響
Environmental Aspects
生態系への影響
途上国
公平性
生態系限界
先進国
15
Ylab
CREST
地球インパクト評価
LCAの定義
ある製品やサービスの地球インパクト、
すなわち、環境への負荷、資源・エネル
ギーの消費量などによる総合的評価

Ylab
CREST
LCAの歴史
Ylab
CREST
製品のライフサイクル
Ylab
CREST
飲料容器のLCA
容器間比較研究会
19
Ylab
CREST
500mlの飲料容器



ライフサイクルアセスメントによる比較
容器のライフサイクル全体に渡る負荷
環境負荷項目



二酸化炭素、エネルギー消費
SOx、NOx、BOD、COD、水
固形廃棄物
20
Ylab
CREST
二酸化炭素排出量(kg)
0 .0
ペッ トホ ゙ トル
ワンウェイびん
0 .1
0 .2
0 .3
C O 2 (kg)
ワンウェイ未来
リターナブ ル 5
リターナブ ル 5 未来
リターナブ ル 2 0
リターナブ ル 2 0 未来
アル ミ 缶
アル ミ 缶未来
ス チール 缶3 P
ス チール 缶2 P
紙容器
紙容器ハ ゙ イオ
21
Ylab
CREST
SOx、NOx排出量(g)
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
SOx(g)
リターナブル20
NOx(g)
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
22
Ylab
CREST
水使用量(kg)
0
2
4
6
8
10
12
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
水(kg)
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
23
Ylab
CREST
エネルギー消費量 kcal
0
200
400
600
800
1000
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
リターナブル5未来
エネルギー消費量 kcal
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
24
Ylab
CREST
固形廃棄物量 kg
0.00
0.02
0.04
0.06
0.08
0.10
0.12
ペットボトル
ワンウェイびん
ワンウェイ未来
リターナブル5
固形廃棄物量 kg
リターナブル5未来
リターナブル20
リターナブル20未来
アルミ缶
アルミ缶未来
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
25
Ylab
CREST
CO2排出量 ステージ別
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.35
CO2排出量(kg)
ペットボトル
ワンウェイびん
リターナブル2.5
リターナブル5
リターナブル20
製造
製造輸送
廃棄
廃棄輸送
アルミ缶
スチール缶3P
スチール缶2P
紙容器
紙容器バイオ
26
Ylab
CREST
ミツカンのワンウェイ化

500ml、900mlのミツカン酢の瓶は
リターナブルだった!
しかし、1.1回しか回っていない
リターナブル瓶は20%以上重い
となると、ゴミも増えている
最低でも3回は回らないと
回収、洗浄の負荷が増える

結局、無色瓶のワンウェイに





27
Ylab
CREST
食酢瓶のLCA
CO2,廃ガラス
28
Ylab
CREST
リターナブル容器の成立条件

複数本の容器が消費サイトに存在する







お酢の場合には、家庭内には1本
業務用は全く異なった容器
可能と思われるもの
歴史的には、ビール、牛乳
あとは、ミネラルウォータぐらいか
ミネラルウォータならPETリターナブル
なによりも、流通業界がイニシャティブを
29
Ylab
CREST
容器材質推薦順位(私案)










1.ペットリターナブル:ミネラルウォータ
2.ガラスリターナブル:ビール、牛乳
3.紙の1リットル:冷蔵庫に入れる飲料
4.紙の小型容器:自動販売機なら
5.アルミ缶:ビールと炭酸飲料
6.スチール缶:ホットで飲みたければ
7.ガラスワンウェイ瓶
8.PET被覆スチール缶
9.500ml&小型のペットボトル
10.大型のペットボトル
30
Ylab
CREST
環境リスクの総合評価
LCA的考え方の原理
31
Ylab
CREST
問題

ダイオキシン1μgの発生を抑制するた
めに、二酸化炭素1トンを放出するこ
とは正しいか?
このような問題に答えはあるか?
32
Ylab
CREST
物質消費&放出
CO2
エンドポイント
温暖化
フロン
CH4
PFC
カテゴリー
NOx
SOx
ベンゼン
ダイオキシン
鉄、アルミ、紙
石油、石炭、水力
焼却灰、プラ埋立
オゾン層破壊
生態系影響
酸性化
有害化学物質
人体影響
指標
資源使用
エネルギー使用
資源枯渇
固形廃棄物
その他
33
Ylab
CREST
温暖化ガスのClassification



温暖化ガスの特定
二酸化炭素、メタン、一酸化窒素、
フロン類、オゾン
COP3の対象ガス
CO2,CH4,N2O,PFC,HFC,SF6
GWP
T
 a (t )  c (t )dt
i
GWPi 
i
0
T
a
CO 2
(t )  cCO 2 (t ) dt
0
34
Ylab
CREST
物質消費&放出
CO2
エンドポイント
温暖化
フロン
CH4
PFC
カテゴリー
NOx
SOx
ベンゼン
ダイオキシン
鉄、アルミ、紙
石油、石炭、水力
焼却灰、プラ埋立
オゾン層破壊
生態系影響
酸性化
有害物質放出
人体影響
指標
資源使用
エネルギー使用
資源枯渇
固形廃棄物
その他
エンドポイントバイ
パス型もある
35
Ylab
CREST
2.環境負荷の1年分とは?
人間活動
or
Earth
Environmental
Crisis
環境危機
Earth
When?
How serious?
いつ?
深刻?
Environmental Emission for 1 Year
1年間の人間活動による環境負荷は、
= Consuming 1 Year to the Crisis
危機に至るまでの時間を1年分消費していることと等価
36
Ylab
CREST
環境負荷を時間へ変換


1年分の環境負荷を1年という時間に等しいと
仮定すれば、基本式は次のようになる
時間(年)=
その製品による環境負荷
ある範囲内の1年分の環境負荷

ある範囲としては
地球レベル、国レベル、地域レベル
37
4
枯渇
3
温暖
2
大気
1
水質
個
人
の
環
境
問
題
重
み
付
け
の
例
5
固形廃棄物
6
重金属
7
オゾン
Ylab
CREST
30
48
72
47
29
59
28
27
89
58
26
57
88
25
24
23
22
78
46
56
21
71
91
77
55
45
20
19
87
70
86
85
54
44
84
43
42
18
17
83
16
41
40
69
39
15
76
68
38
14
67
53
66
75
13
65
82
12
64
63
62
11
37
36
35
52
34
74
10
9
8
7
51
81
80
33
79
6
61
5
50
4
32
73
49
3
2
31
90
1
60
0%
20%
40%
60%
80%
100%
38
Ylab
CREST
統合用重み付け
39
Ylab
CREST
40
Ylab
CREST
ダイオキシンとPOPS
日本における環境問題の
推移。ただし、ごみの最終
処分問題を除く。
大気汚染
環境ホルモン
オゾン層破壊
水質&海洋汚染
土壌&底質汚染
資源・エネルギーの消費
地球温暖化
1970
2000
2050
41
Ylab
CREST
環境省発表
水質基準未達成地点の割合
真実:データの示すところによれ
ば、昭和46年当時に比較して、
格段に改善されていて、水道水
の品質についても同様。
42
Ylab
CREST
母乳中のダイオキシンの濃度
43
Ylab
CREST
益
永
先
生
の
研
究
三井化学が大反発、しかし部分的に認めた
44
Ylab
CREST
具体的問題
トレードオフという考え方
&
LCA的考え方の訓練を
45
Ylab
CREST
46
Ylab
CREST
各セクター別の増加量



2003年排出量速報値
13億3600万トン 前年比+0.4%
1990年比で+8.0%





産業部門
業務部門
家庭部門
運輸部門
+1.7%(1990年比
+0.1%(1990年比
+0.1%(1990年比
-0.8%(1990年比
-0.02%)
+36.8%)
+28.9%)
+19.5%)
2004年の排出は、非常に多いだろう。
47
Ylab
CREST
各セクターからのCO2排出量
48
Ylab
CREST
それぞれの増加要因

業務部門


家庭部門




エアコンの増加、パソコンの増加、残業の増加
エアコンの増加、オール電化、大型テレビ、夜
型の生活習慣、お湯使用量の増加、
自家用車の台数増加:+60%(1990比)
減少要因:冷蔵庫、エアコンの効率増大
運輸部門

物流量の増大(通販の増加)
49
Ylab
CREST
環境省案
増
加
量
産業経済省案
森林吸収
3.1%
環境税4%
14.1%
自主的取組4%
増
加
量
省エネ法強化5%
11.0%
その他 2%
京都議定書の目標値 90年比 -6%
代替フロン2%
京都メカニズム1.6%
50
Ylab
CREST
首相官邸案
森林吸収
3.1%
増
加
量
12.0%
省エネ強化7%
代替フロン他0.3%
京都議定書の目標値 90年比 -6%
京都メカニズム1.6%
51
Ylab
CREST
二酸化炭素排出 2010年期待値
百万トン
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
産業部門
業務部門
家庭部門
運輸部門
エネルギー転換
1990年
2002年
2010年
52
Ylab
CREST
New PriusのLCA

TOYOTA製のハイブリッド車
Engine
Power Splitter
Generator
Ni-H Battery
Inverter
Motor
Transmission for Hybrid
53
Ylab
CREST
二酸化炭素放出量の比較
New Prius
Materials
Assemble
Gasoline
Maintenance
Waste
Gasoline
0
5
10
15
20
25
30
35
40
tons
Assumptions: 100,000km Driven in Tokyo
Fuel Consumption: 18km/L for Prius, 8km/L for Others
54
Ylab
CREST
プリウスと燃料電池車の効率
55
Ylab
CREST
リサイクル効果判定
リサイクル一般論へ
リサイクルをすればするほど、コストは掛かる。
しかし、エネルギー消費量、環境汚染は低下。
56
Ylab
CREST
二酸化炭素放出量と再生パルプ含有量
CO2 bound and CO2 emission (kg)
4000
バイオマス起源
3000
CO2 from
biomas
2000
化石燃料起源
CO2 from fossil
1000
fuels
0
CO2 bound
固定された二酸
化炭素
-1000
-2000
-3000
0
0
25
25
50
50
DIP content (%)
75
75
100
100%
再生パルプ含有量
Fig.3.13 Relationship between DIP content and CO2 bound・CO2 emission
for a life cycle of woodfree paper (woodfree paper:1,000kg).
57
Ylab
CREST
ケナフパルプの名刺
バイオマス起源
CO2 bound and CO2 emission (kg)
5000
4000
CO2 from
biomas
3000
化石燃料起源
CO2 from
2000
fossil fuels
1000
0
CO2 bound
固定された二酸
化炭素
-1000
-2000
-3000
-4000
Wood pulp
100%パルプ
(100%)
Bagasse pulp
Kenaf pulp
DIP (25%)
バガス入り
ケナフ入り
再生入り25%
(25%)
(25%)
Fig.3.2 CO2 bound・CO2 emission from biomas and fossil fuels for a life
パルプ質と二酸化炭素放出量比較
cycle of woodfree paper containing bagasse pulp, kenaf pulp and DIP of
25%, and hardwood pulp only (woodfree paper:1,000kg).
58
Ylab
CREST




植物樹脂を使用した製品
しょせん、食糧からの樹脂。家畜用飼料とし
てのトウモロコシのようではあるが。
LCA的に、良いというが、プロセスエネル
ギーは現状ではかなり高いはず。
米国の食糧戦略の中に組み込まれた商品
を、日本がやすやすと受け入れて良いの
か?
生分解性が活かせるのは、農業・土木用途。
詳しくは、HPの9月12日号参照
http://www.yasuienv.net/BioPlastics.htm
59
Ylab
CREST
飛行機か新幹線か





広島に行くとき、どちらを使うか
LCAデータ
飛行機の方が、CO2,NOx、SOx数倍
それを考えた上で、価格、時間を考えるか?
その他の要素で決めるか?
60
温暖化ガス排出削減
個人的に可能な対応
61
Ylab
CREST
1kgCO2排出でできること
電気器具を使う
大型プラズマテレビ
普通のブラウン管テレビ
パソコン
ノートパソコン
冷房・暖房
オイルヒーター
乾燥型生ごみ処理
照明蛍光灯40W
照明白熱電球100W
照明100W相当蛍光灯
携帯電話
5~6時間
15時間ぐらい
25時間ぐらい
50~200時間
2~3時間のフル運転
2時間
1回
60時間
25時間
150時間
10000時間
62
Ylab
CREST
1kgCO2排出でできること
自動車を走らせる
1.8L級
ベンツSクラス
プリウス
軽自動車
都内3km、郊外5km
都内1km、郊外2.5km
都内6km、郊外9km
都内4km、郊外6km
新幹線
電車
国内航空
50km
65km
9km
公共交通
63
Ylab
CREST
1kgCO2排出でできること
消費
雑誌300g
ダンボール550g
水道水
容器:アルミ缶
容器:ペットボトル
容器:ビール瓶
レジ袋
1冊
1箱
10杯風呂桶
6缶
7本(500mL)
12本(大瓶)
60枚
トマト(路地)
トマト(温室)
40個
2個
調理強火
調理トロ火
お風呂を沸かす
お湯を使う
1.3時間
17時間
1~2回
200L
野菜
ガスを使う
64
Ylab
CREST
購買活動による排出
プリウス購入
普通の車購入
冷蔵庫購入
デジカメ購入
FAX購入
ノートパソコン購入
コンクリートの家
木の家
5500
4000
200
5.8
38.9
96
20000
4464
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
1Wm=1kgCO2
65
Ylab
CREST
個人活動による排出量
プリウス
飛行機
紙
お湯(風呂など)
照明
冷房・暖房
太陽電池
6000
60000
200
150
438
2250
-3300
km
km
kg
回
kWh
時間
kWh
830
6660
524
100
178
375
-1343
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
Wm
1Wm=1kgCO2
66
Ylab
CREST
結論:LCAは持続性を総合的に
判断するための道具






LCAの意味とデータの見方
LCA的考え方を身に付ける
あらゆる行動判断に使える
厳密なデータの議論より、ライフサイクル全体
を考えるという思想が重要
今後は、資源生産性というものを重視する
地球レベルの持続可能性が最終目標
67
Ylab
CREST
リアクションペーパーへの希望


環境に関する「トレードオフ」の実例を考え
よう。
課題:その実例について、自らの選択とそ
の理由を述べよ。
68