第3章 責任センター:収益センターと費用センター

第3章 責任センター:収益セ
ンターと費用センター
3章から6章までは、この責任センターの説明。
責任センターでのマネジャーの行動にMCSは、関連する。
ここでは、先に述べた、2つのセンターのタイプを説明する。
このうち、費用センターは、2つに分かれる。1つは、エンジニアード゙費用
センター、もう一つは、裁量的費用センター。
後者はさらに、管理と支援のセンター、研究開発センター、マーケ
ティングセンターに分ける。
1 責任センター
1)責任センターは組織でありそれは、そこでの活動に
責任を有する管理者により運営される(headed)。
2)責任センターは階層構造で、入れ子になっている。
3)責任センターの本質
責任センターは、複数の目的を達成するために存在
する。
目的を達成するための上級の経営管理者は、一連
の戦略をたてて、その実施により組織全体のゴール
を達成(実現)する。
責任センターの構造
インプットー>仕事(work)アウトプット
コストで測定される
財・サービス
資源
資本(運転資本、
設備資本)
収益は、これらのアウトプット提供から得られる価値総額である。
収益は、組織の外部に提供されたアウトプットで計算される。
組織は、各センターが入れ子あるいは、連鎖した構造であり、内部のセンター
のアウトプットには、外部アウトプットとは別の価格付けがなされる。
イ
ン
プ
ッ
ト
入れ子構造としての組織
ア
ウ
ト
プ
ッ
ト
インプットとアウトプットとの関係
1)マネジメントとはこのインプットとアウトプットとの
最適な関係を確保することにある。
2)コントロールとは、妥当な仕様、品質標準、、必
要な提供時点、それに要求量を満たすアウトプッ
トを最小のインプットを利用して達成することであ
る。
3)しかし、この関係を見出すのは、難しい。
とりわけ、R&Dセンター、マーケティングセンター
など。
インプットとアウトプットを測定する
1)MCSでは、多数のインプットについて、貨幣でそ
の投入量(価値)を計算・測定する。これはコスト
(cost)と呼ばれる。
2)アウトプットよりインプットの価値測定が容易で
ある。
3)測定されたインプットは、その時のアウトプットに
影響を与えるかどうかは、分からない(タイミング
問題)
4)組織のタイプ(利益組織、公共組織、非営利組
織)では、アウトプットの測定も容易でない。
能率性と効果性(efficiencyとefffectiveness)
1)この2つの用語は、センターの業績
(performance)を判断するのに重要である。
2)この用語はどのレベルがもっとも良いかと
いうより、比較で分かる概念である。
3)能率性はインプットのみの基準であり、
一定のアウトプット価値をより少ない量のイ
ンプットで生み出せるかである。
4)有効性は、責任センターのアウトプットとそ
れの目的との間の関係により決定される。
利益の役割
1)利益は、利益獲得のための組織における
能率性と有効性の両方を測定する。
2)利益は、収益と費用の差額である。
2 収益センター
定義:収益センターでは、アウトプットは貨幣価値で測
定される。しかし、それをインプットに関連ずける試
みは、公式的にやっていない。
1)例えば、販売組織は、収益センターの場合に、価格
設定、そのセンターに関わる
マーケティングの費用は関係しない。
2)よって、インプットとアウトプットとの関係性はない。
113ページの図参照。
3 費用センター
1)2つのコスト(費用)センター概念がある。
2)1つは、エンジニアードコストセンター
3)2つめは、裁量的コストセンター
4)エンジニアードコストセンターでは、アウトプットは生産され
るべきものの標準価格で算定され、それを元にイン
プットが測定される。
5)エンジニアードコストセンターでは、コストだけで成果を測定で
きないケースがある(物流データ)
裁量的費用センター
1)このセンターには、管理部門、支援部門、研究・開
発部門が入る。
2)掛かるセンターのアウトプットは、貨幣価値では
算定困難。
3)裁量というのは、「あいまい」であるというより、
一定のポリシーや判断が反映するということ。
4)裁量センターでは、予算と実績との差は、能率性を
示さない。
一般的管理システムの特性
1)予算編成
エンジンニアード費用センターではインプットの標準が指定できるが、裁量的セン
ターではそれがないので、よさは、仕事強度(負荷)を予定して予算が決まる。
2つの予算方法(増分、ゼロベース)が後者で利用される。
2)増分予算
この方式は欠点をもつ:支出水準をレビューしぬくい。追加的な仕事には追加
予算が必要で、しばしば、パーキンソンの第2法則と呼ばれる。
3)ゼロベース基準
何年かで、予算をゼロからレビューして見直す。
これをゼロベースレビューと呼ぶ。
4)コスト変動性
コストが、短期的には、ボリュームの変化にたいして鈍感である。
5)財務コントロールのタイプ
裁量的コストセンタでは予算は、情報の共有により策定され、計画段階が重要。
6)業績則定
財務レポートは、裁量的費用センターでのマネジャーの能率性評価の手段でない。
5 管理および支援のセンター
1)支援センターの機能は他のセンターにサービスを提供す
ること。
2)コントロール問題:組織の部分と全体との目標整合
性問題、アウトプット測定の困難さ。
目標整合性の解消手段:費用の配賦
3)予算編成
センターの基本活動、センターの裁量的活動、予算のイン
フレ以外の増分提案、以上の詳細を要求する。
6 研究と開発のセンター
1)コントロール問題
成果とインプットとの関係、目標整合性の欠如
2)成果をインプットと関係づける。
むつかしい。アウトプットの性質、形態、タイミング
3)目標整合性
研究活動と経営目的との不整合性
4)研究開発の継続性
どこで、研究・開発の経済性を決めるか、財務では無理である。それ
は、例え一連のプロジェクトであるとしても。
5)R&Dプログラム
研究開発プログラム予算は、一連のプログラムのリストと予想外の活
動への手当て分として設定。
執行状況は、研究委員会でレビューされる。
研究開発プログラムは、承認されたプロジェクトの総額を計算すること
でなく、もっとも価値をうみとおもわれるパイの配分である。
6)年次予算
R&D予算編成は、研究開発プログラムが決まっておれば、
それを単年度に落とし、必要な金額を持つもり、支出ス
ケジュールを確定すること。
予算は、現金予算と人件費予算である。
しかし、予算化するこで、R&Dプログラムは、次の質問を
経営者が立てることができる「我々の分かっていることか
らみて、この資源利用は、次年度で最善のものか」
7)業績の測定
有効性を判断する最良の方法は、予算と実績の分析でな
く、ファイツフェイスの議論である。
R&D活動については、マネジャーは2つのレポートをもら
う。1つは各プロジェクト別の予算支出計画と支出実績。
もう1つは、責任センター別予算支出計画・実績。
7 マーケティングセンター
マーケティング活動には、注文履行活動と注文獲得活
動というタイプの異なる2種類の活動があり、後者を
本当のマーケティング活動とみている。
1)ロジスティクス活動(注文履行)
ここでは、予算や標準原価がコントロールに有効で
ある(能率性)。
2)マーケティング活動
テストマーケティング、市場確立、訓練、販売員監督、
広告、販売促進などある。アウトプットの測定は容
易であるが、有効性の評価はむつかしい。
8 要約
コントロールの難しさ
1)有効性の実現すること。資源の消費がその
目的に有効に機能しているのか。
2)能率性には、標準の設定が重要である。
3)予算による財務のコントロールは次の順で
難しいものから簡単なものに並ぶ。
R&Dセンター、マーケティングセンター、管理およ
び支援センター、生産センター(部門)。