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画像処理基礎理論
松下孝太郎
東京情報大学 総合情報学部
学校法人 東京農業大学
東京農業大学 東京情報大学 附属第一高等学校・中等部 附属第二高等学校 附属第三高等学校・中等部
連絡先
■Tel/Fax 043-236-1349(研究室直通)
■E-mail [email protected]
■HomePage http://www.tuis.ac.jp/~matusita/
学習目標
画像処理の基礎理論の概要を理解する
ことを目指します。
ディジタル画像
画像を格子状(マス目)の画素に分割し、
その各々の画素にその位置の明るさを数
値で入れたもの。
画素
画素(Pixel)とはディジタル画像の最小構成要素のこと
をいう。パソコンモニタやディジタルカメラの画像表示
部も画素の集合により構成されている。
拡大すると小さな点(画
素)から構成されている
ことがわかる。
ディジタル画像の分類
■ビットマップ画像(ラスタ画像)
画素の集合として表現。
拡大するとギザギザしている。
■ベクトル画像
線の起点・終点の位置などで表現。
拡大してもギザギザしていない。
ディスプレイの解像度
呼び名
縦横の画素数
VGA
640×480
SVGA
800×600
XGA
1024×768
WXGA
1280×768
SXGA
1280×1024
UXGA
1600×1200
WUXGA
1920×1200
画像処理
画像処理(Image processing)とはディジタ
ル画像に対して、加工、認識、計測、伝送
などの処理を行うことである。画像処理に
は、画像の強調、画像の特徴抽出などさま
ざまな種類がある。
画像の座標系
画像の座標は左上隅を原点(0,0)とし、右方向
へX座標、下方向へY座標をとる。
X
(0,0)
(0,1)
(0,2)
:
Y
(1,0)
(2,0)
..
画像の座標表示の一般形
画像における任意の位置(i,j)は下記のように
表わすことができる。
X
Y
(i-1,j-1)
(i,j-1)
(i+1,j-1)
(i-1,j)
(i, j)
(i+1,j)
(i-1,j+1)
(i,j+1)
(i+1,j+1)
画像の濃度
画像の濃度はf(x,y)で表わされる。
※書籍によってはE(x,y) I(x,y)と表示している。
X
Y
f(i-1,j-1)
f(i,j-1)
f(i+1,j-1)
f(i-1,j)
f(i, j)
f(i+1,j)
f(i-1,j+1)
f(i,j+1)
f(i+1,j+1)
画像の濃度範囲
画像(白黒濃淡画像)の濃度は以下の値をとる。
■1バイト階調(8ビット階調)画像
0~255 (28=256)
■2バイト階調(16ビット階調)画像
0~65535 (216=65536)
濃度ヒストグラム
濃度ヒストグラムとは画像の濃度分布の状態
を表したものである。下の画像では薄い背景
領域と濃い人物領域にヒストグラムのピーク
が出ている。
0
255
濃度変換
濃度ヒストグラムの形状を変換(調節)やダ
イナミックレンジ(濃度の最大値と最小値の
間)の変換によりコントラストを改善すること
ができる。
二値化
閾値処理を行うことにより濃淡画像を二値化
することができる。閾値処理とは任意の濃度
で背景と対象に分割する処理のことをいう。
平滑化
平滑化により画像の雑音をぼかしたり、雑
音を除去したりすることができる。
フィルタリング
フィルタリングとはオペレータを用いて画像を変換す
ることである。
h(i-1,j-1)
h(i,j-1)
h(i+1,j-1)
f(i-1,j-1)
f(i,j-1)
f(i+1,j-1)
h(i-1,j)
h(i, j)
h(i+1,j)
f(i-1,j)
f(i, j)
f(i+1,j)
h(i-1,j+1)
h(i,j+1)
h(i+1,j+1)
f(i-1,j+1)
f(i,j+1)
f(i+1,j+1)
3×3オペレータ
画像
注目画素の出力F(i,j)は次式で求められる。
フィルタリングにおける画像のスキャン
オペレータを用意したら、画像の左上から右下に向
けて順次オペレータを移動し、新たな画像を生成し
ていく。
:
:
:
:
画像
平滑化フィルタ
平滑化フィルタのオペレータは次の形状である。
1/9
1/9
1/9
1/9
1/9
1/9
1/9
1/9
1/9
エッジ検出
エッジ検出フィルタを使用することにより、画
像のエッジ(境界)を検出することができる。
エッジ検出には1次微分と2次微分がある。
■1次微分(グラディアント)
プレウィットフィルタ(Prewitt filter)
ソーベルフィルタ(Sobel filter)
ロバーツフィルタ(Roberts filter)
■2次微分(ラプアシアン)
ラプラシアンフィルタ(Laplacian filter)
1次微分と2次微分の特徴
1次微分と2次微分にはそれぞれ次のような
特徴(違い)がある。
■1次微分(グラディアント)
・方向依存性がある(ベクトル量)。
■2次微分(ラプアシアン)
・方向依存性がない(スカラー量)。
1次微分
1次微分は隣り合った画素の濃度の差をと
ることにより求まる。
X方向,Y方向の1次微分を合成して勾配を算
出するのが一般的である。
2次微分
2次微分は1次微分を2回連続して行い、最後に
それらを合計することにより求まる。
2
∆
プレウィットフィルタ
1次微分のプレウィットフィルタのオペレータ
は次の形状である。
1
0
-1
1
1
1
1
0
-1
0
0
0
1
0
-1
-1
-1
-1
X方向
Y方向
ソーベルフィルタ
1次微分のラプラシアンフィルタのオペレー
タは次の形状である。
1
0
-1
1
2
1
2
0
-2
0
0
0
1
0
-1
-1
-2
-1
X方向
Y方向
ラプアシアンフィルタ
2次微分のラプラシアンフィルタのオペレー
タは次の形状である。
0
1
0
1
-4
1
0
1
0
参考文献

画像工学
– 南敏、中村納著
– コロナ社
– ISBN:4-3390-1062-6

ディジタル画像処理
– 酒井幸市著
– コロナ社
– ISBN4-3390-0684-X
Tokyo University of Information Sciences
Lab. Homepage
http://www.rsch.tuis.ac.jp/~matusita/