第2週:システムのモデリング 1/15 制御とモデリングの関係 モデリングとは 制御におけるモデリングの重要性 プロセスモデル 電気モデル 機械モデル 線形と非線形 TUT, System & Control laboratory 今週の授業の目的 2/15 今週の大きな目的 モデリングの概念,重要性を学ぶ.また,例題から実対象 のモデリング,モデリングにおける数式について学ぶ.今週 の授業内容は,実対象から数学モデルを導出する際に利用 できる. モデリングの概念を理解する モデリングの重要性を知る プロセスモデルの一例を学ぶ 電気モデルの一例を学ぶ 機械モデルの一例を学ぶ 線形,非線形について学ぶ TUT, System & Control laboratory 3/15 制御とモデリングの関係 ねらいをみつける 現象をみる モデリング 現象を解析する(計測) 因果関係をとらえる ねらいに対して,制御できるか? 制御のコンセプト(アイデア) 制御設計(制御理論) インプリメンテーション(アルゴリズム,プログラミング,実装化) 制御 4/15 モデリングとは 現象の時間的変化を表現する方程式(微分方程式)をその現象 の数学モデルと呼ぶ.また,数学モデルをつくることをモデリング という. モデリングとは一般に考察対象の現象に応じて,質量保存則,エ ネルギー保存則などの保存則を用いて,状態の変化を微分方程 式によって表現すること. 例えば,バネkに力Fを加えたときの変位xは F=kx であり,これはモデリングの一例である.また,一般的な用途とし ては,下記のような入力xと出力f(x)の関係を明らかにして,利用 することである. x f(x) f(・) TUT, System & Control laboratory 5/15 制御におけるモデリングの重要性(1) プラントPに入力rを入力したときの出力yは次の式,次の図である. y=P・r r P y プラント 上記の関係で出力を目標の値にしたいとき,出力の値を確認しな がら入力を調整しなければならない. 例:出力yの値を1にしたい.このとき入力r=1として,y=2であった. また,入力r=2としたときは,y=4であった.これよりプラントP=2と 推測でき,入力r=0.5とすれば出力y=1を得るはず. (実験値によるモデリングの一例) 他の出力値にしたいとき,同様の計算が必要となり,入力rを逆算 する形となる. TUT, System & Control laboratory 6/15 制御におけるモデリングの重要性(2) そこでコントローラ(フィードフォワードコントローラ)Cを用いる.こ れによって y=r という関係になり,目標の出力を得る. r C(=P-1) P コントローラ プラント y コントローラCがプラントPの逆数であることから,入力値を出力と して得ることができる.プラントPを求めておけば,出力yを目標の 値にすることが容易となる. →プラントを求めることは制御にとって非常に重要である. もし,モデリングしたプラントPが誤差を含んでいたら? TUT, System & Control laboratory 7/15 制御におけるモデリングの重要性(3) r C(=P-1) P+DP コントローラ プラント y y ( P DP) C r ( P DP) P 1 r ( I DP P 1 ) r 誤差 目標値に対して DP・P-1・r ずれた値を得る. モデリングでプラントPをうまく得られる場合もあるが,モデル化誤 差DPを含む場合もある.モデル化誤差を有する場合,ここで示し ているフィードフォワードコントローラでは出力yを目標値にできな い. TUT, System & Control laboratory 8/15 制御におけるモデリングの重要性(4) そこでフィードバックコントローラCを用いる. y r C ( P DP) r C ( P DP) 1 C P+DP コントローラ プラント y フィードバックコントローラCをうまく設計すれば,出力yを目標値に することができる.(詳細,設計の仕方は制御工学設計論) ただし,うまいコントローラを作るためにはモデリングにより求めた プラントPが必要. →モデリングは制御にとって非常に重要である. 物理現象から数式モデルを作るモデリングについて授業を行う. 9/15 プロセスモデル qi(t) h(t) C A qo(t) 水槽の断面積 : C[m2] 給水量変化 : qi(t)[m3/s] 流出量変化 : qo(t)[m3/s] 流出口断面積 : A[m2] 水位 : h(t)[m] Δt時間の水位変化をとΔhすると, CDh(t ) {qi (t ) qo (t )}Dt C dh(t ) qi (t ) qo (t ) dt 一方,水槽の流出量変化qo(t)は,水力学の法則から qo (t ) k h(t ) ただし,kは出口の形状係数. 1 v 2 gh 2 qo (t ) Av A 2 gh k h(t ) 2 ベルヌーイの法則より gh v よって, TUT, System & Control laboratory 10/15 電気モデル(1) 抵抗,コイル,コンデンサが電源と直列に接続された電気回路のモデリングを 考える. 抵抗値Rの抵抗,静電容量Cのコンデンサ,インダクタンスLのコイルと電圧Eの 電源からなるRLC回路に電流Iが流れているシステムとする. I R L C E TUT, System & Control laboratory 11/15 電気モデル(2) 電気回路のモデリングにおいて,次の条件が必要である. 1)電流Iと電荷Qには I Q の関係がある. 2)抵抗Rに電流Iが流れるとき, V RI RQ の電圧降下が生じる. 3)コンデンサC前後電圧差をVとすると,コンデンサには電荷Q=CVが蓄えられ る.したがって,V=Q/C. 4)コイルに流れる電流をIとすると,コイルの前後において V LI LQ の電圧 降下を生じる. 5)キルヒホッフの法則:ある時刻における,ある閉回路まわりの電圧降下の代 数和は0である. TUT, System & Control laboratory 12/15 電気モデル(3) 時計回りの閉回路を考え,1)~4)と5)のキルヒホッフの法則を用いると次式 が得られる. (t ) RQ (t ) 1 Q(t ) E LQ C 4) 2) 3) 5) 初期時刻t=0における電荷Qは0,電流 I Q も0とすると,次の初期条件が得ら れる. Q(0) Q (0) 0 これらのモデリング,初期条件を用いることで,RLC回路の電流の時間的変化 や,各素子における電圧の時間的変化を数式から求めることができる. TUT, System & Control laboratory 13/15 機械モデル(1) バネとダンパによって指示された質量に外力が作用するバネ・マス・ダンパの 場合のモデリングを考える(下図) .これは自動車のショックアブソーバの単純 モデルに相当するものである. ここでバネのバネ係数はk,ダンパの粘性減衰係数はc,質量の重さはm,外力 はf(t),静止位置からの質量の変位はx(t)である.外力,変位は上向きを正とす る. x(t) f(t) m c k TUT, System & Control laboratory 14/15 機械モデル(2) 質量mの物体に力Fが作用したときの力方向の加速度をaとすると,ニュートン の運動法則より,次式を得る. F=ma ダンパによる速度 x (t ) に比例した下向きの減衰力 cx(t ) とバネの伸びx(t)に比 例した下向きの力kx(t)が生じる. これらをまとめた a x(t ) F f (t ) cx (t ) kx(t ) をニュートンの運動法則に代入することで,次のバネ・マス・ダンパの数学モデ ルを得る. mx(t ) cx (t ) kx(t ) f (t ) 初期変位をx0,初速度をx1とすると,次の初期条件が得られる. x(0) x0 , x (0) x1 車体重量,バネ,ダンパ,外力の組み合わせを変化させて,モデリング,初期 条件に適用することで,車体の揺れの挙動を求めることができる. TUT, System & Control laboratory 15/15 線形と非線形 線形性: f (x y) f ( x) f ( y) が成立する関係 例1 f ( X ) aX f (x y ) a(x y ) ax ay f ( x ) f ( y ) 例2 線形 f (X ) X 2 f (x y ) (x y ) 2 a 2 x 2 2 y 2 2xy f ( x) f ( y ) ax 2 y 2 f (x y) f ( x) f ( y) 非線形 TUT, System & Control laboratory
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