船舶性能設計 ばら積み貨物船ぼりばあ丸折損事故について 2009/06/22 82178130 和田良太 目次 • • • • • • ぼりばあ丸について 建造背景 事故概要 事故原因 剪断応力について 再発防止のために ぼりばあ丸 • 第20次計画造船によって最初に建造された 全長200メートルを超える、54,000重量トン級 のばら積貨物船。日本/米大西洋岸(パナマ 経由)および日本/ペルー間に就航し、主とし て鉱石、石炭の運搬に従事した。 ぼりばあ丸(要目) • • • • • • 総トン数 33,768トン 全長 223.00メートル 幅 31.70メートル 深さ 17.30メートル 満載喫水 11.50メートル 機関の種類・馬力 ディーゼル機関1個・15,000馬力 • 建造年月 昭和40年9月 • 航海速力 14.8ノット 建造背景 • 戦後の高度成長の時代で鉄も石油もない日 本で大量消費が始まった • この需要に応えるために、もっと大きくもっと 早い輸送船の建造が求められた • 国策として「計画造船」が急ピッチで進み、大 型タンカー、バルク・キャリア、鉱石運搬船が 造られた 日本は世界の造船王国に! 事故概要 • 1969年1月5日、野島埼南東沖合、荒天 • 鉄鉱石を運搬中に、突然2番船倉付近から折 損し船首部分が脱落して航行不能 • 機関を停止して遭難信号を発し、救命艇降下 の準備中、船首を下にして沈没 • 乗員2名救助、31名行方不明 事故原因 ①水密隔壁数の不足 ②隆起甲板横造 ③鉱石船、ばら積貨物船の規定ではなく、一般 貨物船の規定で造られていること ④バラストタンクの防食 ⑤高炭素成分を含む鋼材 ⑥溶接不良 事故原因 ①水密隔壁数の不足 NK鋼船規則12編6条によると船長166~186m の一般貨物船は9枚以上必要 船長215mのぼりばあ丸は7枚しかない 船体強度の点からも、遭難時の安全性に 関係する浸水時の浮力の点からも危険 事故原因 ②隆起甲板構造 軸力により曲げ変形を生じるために軸荷重 対する剛性が減る 船体縦曲げに対して弱くなる 事故原因 ③鉱石船、ばら積貨物船の規定ではなく、一般 貨物船の規定で造られていること 剪断力に対する強度不足 ④バラストタンクの防食 ⑤高炭素成分を含む鋼材 高炭素成分を含んでいたため、低温 脆性破壊を起こした ⑥溶接不良 手抜きによるもの 剪断応力について • 大型船が建造されなかった時代には剪断応 力の値は一般に小さかったので、あまり重要 に考えられていなかった • しかし、最近の大型船では船が大きくなった 割には板厚が大きくならないため、剪断応力 の値がかなり大きくなる場合が多い • 今後大型船を設計する場合には剪断応力の 値にも十分注意する必要がある 再発防止のために • 新しい構造の船で基準に定められていないも のを設計、建造するとき • 十分な運航実績を得るまでは積付方法、積 載量等に慎重な配慮を払う • 精度の高い計算を行なう 参考 • 船舶の安全確保に関する研究成果活用に関する調査報告 書(その2) http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2001/00043/contents/0 0005.htm • 海難審判所ホームページ http://www.mlit.go.jp/jmat/monoshiri/judai/40s/40s_boribaa .htm 補足:海運集約 • 昭和30年代半ば、日本の外航海運業界は未 曾有の不況に見舞われ、経営難の会社が続 出していた • 海運業再建のためには合併やグループ化な どの再編成が不可欠との認識が高まった • 1963年6月、「海運二法」が成立(手厚い国家 補助を定めた法律) 補足:計画造船 • 国の計画的な資金援助の下に、民間海運企業 が行う船舶の建造制度のこと。 敗戦後、貿易立国の道を歩まなければならな かった日本の状況下で、海運企業は戦時中の 大量の船腹損失による疲弊から、これにこたえ る船舶の建造能力もなく、膨大な資金調達も不 可能に近かった。そのため、国が 1947 年(昭和 22 年)以降、各年度ごとに船種別の建造量や資 金量を決定し、適格船主に所要資金の相当部 分につき低利長期資金を融資し、船舶建造を促 進してきた。
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