人口経済論 第1回 2006年4月17日(月) 担当:辻明子 [email protected] [email protected] 本日の内容 1. 「人口経済論」の進め方 1-1. 講義のねらい 1-2. 1年間の大まかなスケジュール 1-3. 講義の進め方とテキスト 1-4. 成績評価 1-5. 受講者に対する要望 1-6. その他 2. 本論(講義) 1-1. 講義(人口経済論)のねらい この講義では、人口と経済の間に存在する 多様な関係を理論・実証の両面から検討し ていく。特に少子化、人口高齢化といった人 口現象については、それをもたらしたもの (原因)と発生メカニズム、そしてそれがもた らす諸問題(帰結)について明らかにし、現 在日本が直面している課題について科学 的な理解を深めることをねらいとする。 1-2. 1年間の大まかなスケジュール (1)前期 1.序論:人口学研究の方法論 2.人口分析の基礎知識 3.長期的人口成長の趨勢と展望 4.地球環境と食糧需給 5.人口と経済の南北問題 6.人口転換理論と実証分析 7.マルサスの人口論 8.人口と成長の限界 1-2. 1年間の大まかなスケジュール (2)後期 9.少子化の現状とメカニズム(1)出生行動の変化 10.少子化の現状とメカニズム(2)結婚行動の変化 11.人口高齢化の進行とメカニズム(1)死亡構造の変 化 12.人口高齢化の進行とメカニズム(2)家族構造の変 化 13.少子高齢化社会と財政・社会保障 14.労働力人口と扶養負担 15.将来労働力人口の可能性:女性、高齢者、外国人 16.人口に関する政策とその評価 1-3. 講義の進め方とテキスト 講義によって、指定のテキストを中心に進める場 合がある。その際は前の授業でその旨を指示す るので、あらかじめ授業の前に該当部分を読んで おくことが望ましい。 阿藤誠,2000,『現代人口学:少子高齢社会の基 礎知識』日本評論社. 必要に応じ、レジュメや関係資料を配布する。ま た、随時、パワーポイントを使用して問題点(講義 のポイント)を提示する。 なるべく人口に関連するホットイシューを授業の冒 頭もしくは最後に紹介する。 1-4. 成績評価 年間数回行なう課題エッセイと学年末試験 の結果とを考慮に入れて成績を決定する。 中間試験は実施しない。 注:出席はとらない 1-5. 受講者に対する要望 授業開始後に教室へ入ることは認めないの で、遅刻をしないように出席すること。 テキストおよび新聞をよく読むこと。 他の授業もきちんと受けること。 1-6. その他 質問や意見等がある場合は、授業終了後 (月曜5限・6限)に直接もしくはe-mail ([email protected] , [email protected])、 ブログ:人口研究(http://tsujicom.teanifty.com/pop/)にて受け付ける。 授業で利用したパワーポイントは、ブログ (http://tsujicom.tea-nifty.com/pop/)に載 せる予定。 人口経済論 序論:人口学研究の方法論など 人口(population)とは:人口の定義 「人口」は常識的には、「人間の数」 学問的には、「何らかの標識(めじるし)に よってとらえられる『人間の集団』」 「日本にいる」という標識によってつくられ る人間の集団が「日本人口」。 人口の量と構造 人口には、 ・集団の大きさ・量(形式) ・集団の構造 人口の量 2000年の日本人口 人口の構造 高齢化率、男女比率 人口変動の基本要因 人口は、出生だけ増加し死亡だけ減少する。死亡 に対する出生の超過だけ人口は増加するが、こ れを「自然増加」という。 また、人口は転入によって増加し転出によって減 少する。転出に対する転入の超過を「社会増加」 という。また転入と転出とを、「人口移動」と呼ぶ。 人口学の基本方程式 人口変動=(出生ー死亡)+(転入ー転出) = 自然増加 + 社会増加 人口静態と人口動態 人口静態 人口は常に変動している。しかしこの変動している 人口を一つの瞬間に切断して観察した場合、これを 人口静態という。 人口状態統計は、瞬間で人口静態をとらえた統計。 (2000年10月1日人口など) 人口動態 人口の変動している状態。 人口動態統計は、人口変動要因、すなわち、死亡、 出生、結婚や離婚などについての統計。 人口学の分析対象 人口の量や構造 その現象(人口の量や構造)とそれをもたら したもの(変動要因) 人口の量と構造によってもたらされた諸問 題 上記2点に対する正確な知識を得ることが重 要 新聞記事の用語: 人口減少社会への試金石 人口減少社会(日本の場合2007年が人口のピーク?) 団塊世代 国勢調査:調査時に日本に居住するすべての人(外国人を 含む。)を対象に、人口、世帯に関し、男女、年齢、国籍、就 業状態、仕事の種類、世帯員の数などを調べる(センサス)国 の最も基本的、かつ、規模の大きな調査(5年ごと)。総務省 統計局 高齢者 労働力率 高年齢者就業実態調査:高年齢者の就業実態、就業意識 とその背景及び事業所における高年齢者の雇用状況、雇用 上の問題点、公的援助へのニーズ等を的確に把握し、今後 の高年齢者雇用・就業対策に資することを目的として、行わ れた調査。厚生労働省大臣官房 新聞記事の用語: 人口減少社会への試金石(つづき) 労働力人口(就業者+失業者) 生産性(この場合労働生産性。例:労働投入量一単位当たり生 産量) 家計貯蓄率(貯蓄額÷可処分所得) 改正高年齢者雇用安定法:急速な高齢化の進行等に対応し、 高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため、事業主は、(1) 定年の引上げ、(2) 継続雇用制度の導入、(3) 定年の定め の廃止、のいずれかの措置を講じなければならないこととする とともに、高年齢者等の再就職の促進に関する措置を充実する ほか、定年退職者等に対する臨時的かつ短期的な就業等の機 会の確保に関 する措置の充実を図ることを内容とする改正高 年齢者雇用安定法が平成16年6月5日に成立し、平成16年1 2月1日から施行(高年齢者の安定した雇用の確保等を図るた め措置については平成18年4月1日から施行)されます。 ワークシェアリング:定義の1例「雇用の維持・創出を図ることを 目的として労働時間の短縮を行うものであり、雇用・賃金・労働 時間の適切な配分を目指す」
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