北米医療IT調査報告 平成17年7月1日 (JAHIS業務報告会) 常任顧問 尾崎 忠雄 北米医療IT調査実施内容 1.目的 米国、カナダの最新医療IT状況調査 2.日時 平成17年2月7日(月)~2月19日(土) 3.訪問先 米国保健省(ワシントン) カナダEHR推進組織 Infoway(トロント) HIMSS2005(ダラス) 4.調査団メンバ 田中 博 日本医療情報学会 清谷 哲朗 関西労災病院 尾崎 忠雄 JAHIS 香川 正幸 JAHIS 長谷川英重 JAHIS 飯田 博文 JAHIS 米国医療IT推進責任者 ブレイラー博士と調査団メンバー ブレイラー博士 〈平17.2.8 於:ワシントン〉 〈平17.2.8 於:ワシントン〉 カナダInfoway総裁 アルバレス氏と調査団メンバー アルバレス氏(左) 〈平17.2.9 於:トロント〉 〈平17.2.9 於:トロント〉 1.開催日時:平成17年2月13日~17日 2.開催場所:米国ダラス 3.内容 :セッション、展示会共大盛況 1)参加者 23,125人 2)セッション数 305 3)講演者 352人 4)展示参加企業 701(内193初参加) 5)キーノート演説 大物5人(チェインバース シスコ社長、 バーバラ ブッシュ、 ブレイラー博士、他) 6)テーマ EHR、Patient Safety、IHE、case study、他 HIMSS 2005 展示会場風景 〈平17.2.14~2.17 於:ダラス〉 HIMSS 2005 ブレイラー博士のキーノート講演 〈平17.2.17 於:ダラス〉 HIMSS 2005 バーバラ ブッシュさんの キーノート講演 〈平17.2.16 於:ダラス〉 JAHIS、JAMI,MEDIS共催 アルバレス氏講演会 <平17.6.3 於:東京> アルバレス氏を囲むシンポジウム 同左 Ⅰ.医療IT戦略先進各国の状況 1.オーストラリア Health Online 第2次 2.英国 2001年~ NPfIT(National Program for IT) 2002年~ 第1段階:~2005年夏 すべての外来予約が可能 第2段階:~2006年夏 医療従事者がMRにアクセス可能 第3段階:~2010年 3.カナダ Infoway 4.米国 Healthcare IT(NHIN) 5.他 2002年~本格化 2004年~ フィンランド、オランダ、デンマーク 米国ブッシュ大統領の発言、指令 1)平16.1 年頭教書 「医療情報をコンピュータで処理す ることによって危険な医療過誤を 回避し、コストを削減し、ケアを 改善できる」 2)平16.4 大統領指令 「10年以内にEHRを全米国民に 普及する」 米国、カナダの医療体制 米国 カナダ 体制 自由診療 民間保険+一部公的保険 (Medicare,Medicaid) 公的医療 公的医療保険完備 病院種別 民間病院、地域病院 軍、退役軍人病院 州立病院中心 開業医 民間 GP(グループ形成 ) 医療システム 標準化への 取り組み HL7、DICOM、SNOMEDな どで 世界を先 導 、多数の 標準化団体活動活発、IHE 主導 ISO/TC215などで 国際貢献 HL7,IHE な ど 重 点 的 に 活動 医療費(対GDP) (OECD2004) 13.9% 9.4% (日本 7.8%) 米国、カナダの 医療IT戦略的取り組み比較 米国 カナダ 1.推進方法 National Coordinator 実行推進組織Infoway 設立 (国家推進責任者)による 調整 2.組織 ONCHIT (NHSS下のオフィスでス タッフ約10人) Infoway (非営利投資組織、 スタッフ約100人) 3.目標 EHRの全国民への普及 (大統領命令) 相互運用性のあるEHR普及 4.スケジュール 10年以内(2014年まで) 1)2009年まで国民の50% 2)2020年まで100% 5.主要戦略 米国 1.臨床の場での コンピュータ利用推進 ・開業医へのインセン ティブ 2.医者同士の情報交換 ①地域間の協力推進 ②国情報ネットワーク 開発 3.患者個々人に適したケア ①PHR利用の促進 ②患者の選択(医者や 病院)機能の拡大 4.公衆衛生の改善 ①医療の質監視の合理化 ②エビデンス研究と普及 の加速 カナダ 1.9分野への重点投資 ①Infostructure ②Registries:医療施設や患 者の特定、登録 ③薬剤情報 ④診断イメージ ⑤臨床検査システム ⑥遠隔医療、他 2.戦略的投資 再利用可能なEHRシステム への投資 3.公共セクターとの協調 州、テリトリーとの連携、 共同出資 4.民間部門との戦略的アライア ンス ベンダーの先行投資の誘発 6.重要根幹方針 1)個人アイデンティ フィケーション 2)国家NHR データベース 7.ITベンダーの特徴 米国 カナダ 1)採用方式未定、 National ID方式 取らない 2)中央化せず。 Regionごとにデー タベースを持ち、相 互利用 1)州ごとに個人医療ID 大手から中小ベンダーま で多数、活況 米国企業依存度高い (優良カナダ企業も米国 に買収されている) 2)州毎にrepository を持ち州間相互利用 Infoway構想におけるEHRとEHRS Ⅱ.わが国の医療IT戦略の提案 わが国の最近の医療IT政策と最新状況 1)現状の電子カルテ、レセプト電算処理システムの 普及率の遅れ 普及率 日本 米国 カナダ 電子カルテ―病院 ―開業医 4.2% 3.6% 13% 14から28% (新医療‘04) (HIMSS‘02) 28% 3.1(100% 電 子 化)+24.1%(混在) (Infoway‘03) オ ー ダ リ ン グ シ ス テ ム 13.5% (病院) (新医療‘04) 20.6% (HIMSS‘02) 13% (Infoway‘03) レセプト電算処理 システム(オンライン) 90%以上 (HIPAAにより標 準化進む) 98% (Infoway‘03) 0% わが国の最近の医療IT政策と最新状況 2)データの相互利用可能な電子カルテ、レセプト電算処理 システム構築の立ち遅れ 3)医療の質向上のための診断ガイドラインや診断支援シス テム等充実の必要性 4)医療の安全性確保支援 5)患者さん指向のシステムの必要性 6)膨れ上がる医療費の抑制 7)地域間医療格差をなくすための遠隔医療システムの遅れ わが国の医療IT戦略立案への提案 1)医療ITについて国策のひとつとして、中長期に取り組むことの 決定 2)端的な目標、実現のための端的な戦略の明示 例.目標:医療の質の向上、安全性の確保、医療費の 効率化 戦略:国内どこからでも相互利用可能な電子カルテ の普及 3)医療IT戦略立案と推進のために中長期の専門組織設立と 責 任、権限の明確化 わが国の医療IT戦略立案への提案 4)専門組織のもとで、下記の施策の推進 ① 医療ITの国家レベルでの及び個々の施設で の経済性、医療面での効果について評価研究 推進 ② 主要項目について具体的な戦略とアクション プラン、中長期計画を立案 ③ 国民への広報、意見の吸収 米国、カナダでの「提案の施策」取組状況 提案の施策 米国 カナダ 1)国策として中長 期に取り組むこ との決定 2)端的な目標、 戦略 大統領の命令 国の指針 目標: ①医療事故の削減 ②医療の非効率部分改善 --医療費増大の抑止 ③医療の質の向上、 国民へのサービス向上 ④公衆衛生の改善、 医学の向上 戦略: 10年以内に(安全でプライ バシーを確保した)EHRを全 アメリカ国民に普及 目標: ①医療事故の削減 ②医療の効率化 ③医療の質の向上 戦略: 相互利用可能なEHR を、2009年までに国民 の50%、2020年までに 10%まで普及 提案の施策 米国 3)推進組織と 責任,権限 責 任 者 と し て National 政府、州の出資による Coordinator(NC)がNHSS NPOのInfowayを設立し、 長官より指名され、責任と 責任と権限明確化 権限を持つ。 NCを支えるスタッフ組織 (ONCHIT)あり。 4)①医療IT施策の 経済性効果評価 研究 安全性対策、検査の無駄、 経済性評価など各種 医療費削減効果などの定 評価実施 量的評価多数あり ②具体的な戦略等 の中長期計画 例.各種標準化の開発 推進 NCが、戦略作成推進中 例.20の標準化推進団体 とHL7の連携により、 EHR標準化の加速。 医療用語については、 SNOMED-CTを、国 が買い上げ利用促進 カナダ Infowayが、中長期計画 に基づき年次計画を立 て推進 例.CIHIの主導により 標準化強力推進 提案の施策 米国 カナダ 例.インセンティブ 直接的なメリットが少ない医 州により調達や保守に関 師に対してEHR採用報奨金 す る 費 用 支 払 い 。 ア ル 提供など積極的。 バータ州では、EHR使用 医師に金銭的インセン ティブ供与。 ONCHIT全体予算: Infoway資金: ‘05 2。2億ドル ‘05 12億カナダドル ‘06 1億ドル(現時点) 例.電子カルテ先進 システム開発、 運用支援 DoDやVA病院での先進シス 各州でのモデルシステム テムの民間への普及注力 開発支援により普及拡大 例.ネットワーク開 発支援 地域ネットワーク推進組織 州毎のネットワーク推進 のRHIOを活用しながら、国 全体の医療情報ネットワー クNHIN推進 提案の施策 米国 カナダ 例.レセプト電算処理シ ステムのオンライン 化促進 HIPAA法により、各種医 NeCST に よ り 、 医 療 報 療 保 険 事 務 の 効 率 化 、 酬支払いに関する標準 患者サービスの向上を目 をHL7V3により確立 指して、情報交換、コード、 プライバシー、セキュリ ティなどの標準化推進規 制遵守の法的罰則あり 例.ネットワーク基盤の 整備 他の国の機関と協力して 標準化された各州ごと 暗 号 化 を 始 め と す る セ の分散ネットワークによ キュリティ対策を推進 り、国としてのデータ交 換、相互利用達成を目 指す。 例.患者さん中心の システム PHRの整備、治療診断関 治療診断関連情報の提 連情報の提供 供 例.遠隔医療システム推 進 軍 関 係 の 先 進 シ ス テ ム 薬剤、診断イメージ、臨 普及推進 床検査と並んで重点施 策のひとつ テーマ 「医療におけるITの戦略的活用..…質の向上と効率化の両立」 大会長 金杉 明信 (保健医療福祉情報システム工業会) ◇開催期間 ◇開催場所 ◇大会長 大会長補佐 プログラム委員長 プログラム副委員長 実行委員長 実行副委員長 総務委員長 平成17年11月24日(木)~26日(土) パシフィコ横浜会議センター 金杉 明信 (保健医療福祉情報システム工業会) 尾崎 忠雄 ( 同 ) 宮本 正喜 (兵庫医科大学) 大江 和彦 (東京大学) 星 久光 (保健医療福祉情報システム工業会) 中村 清吾 (聖路加国際病院) 木村 通男 (浜松医科大学)
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