端末発見問題 - 荒木・岡村・日下部研究室

端末発見問題
情報工学専攻
中村 遼
目次
WPAを用いた端末認証
位置検出技法
Cell-ID方式
TDOA方式
RSSI方式
補足 三点測量
具体例
WPAを用いた端末認証
端末
認証サーバ
AP
①ビーコン
②接続要求
③接続要求通知
④ID/パスワード要求
⑤ID/パスワード送信
⑦接続開始
⑥認証完了
1. 端末は常時起動APのいずれかから
ビーコンを受け取る
(若しくは、端末からのプローブ要求
に対し、プローブ応答する)
2. 端末はビーコンを受け取ったAPに
対し接続要求をする
3. APはその接続要求を認証サーバ
(RADIUS)に通知する
4. 認証サーバはAPを介して端末に
ID/パスワードを要求する
5. 端末はAPを介して認証サーバに
ID/パスワードを送信する
6. 認証サーバはAPに認証完了を通知する
7. APは端末に接続開始する
(このとき、端末はIPアドレスを受け
取る)
位置検出技法 1/3
 位置検出技法には以下の3つの方式がある
 Cell-ID方式
 端末が現在接続しているAPのカバーする範囲(セル)を
現在の端末の位置として推定する方式
 技術:APで接続した端末を発見すること
 特徴:位置推定精度が低い
 使用例:初期のPHS
セル2
セル1
セル4
セル3
位置検出技法 2/3
 電波到達時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)方式
 端末が発する位置要求エコーを、複数のAPが受信し、AP間におけるエ
コー受信タイミングのずれと、各APが保持する内部時計の誤差を加味し
て端末の位置を推定する方式
 技術:APで電波の到達時間を測定し三点測量を行うこと
 特徴:各APが内部時計を持っていることが必要
x軸、y軸、z軸の空間座標を求めるには4つのAPが必要
 使用例:GPS方式やCDMA方式の携帯電話、WiFi端末位置検出
Tn
T1
P1
P
Pn
||P-P2|| - ||P-P1||=c(T2 - T1)
:
||P-Pn|| - ||P-P1||=c(Tn - T1)
T2
P2
※信号の滞空時間から距離を測るTOA方式
というものもあるが、こちらはAPと端末が正
確な時刻同期と時間測定を持つ必要がある
位置検出技法 3/3
 電波強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)方式
 受信電波強度を利用して位置推定を行う方式で、電波強度の利用方法
により更に複数の方式がある
・RADAR:APでのみ電波強度を計測し、端末ごとに独立して位置を測定
・WiPS:全ての無線LAN機器で電波強度を計測
(受信信号強度Pr(d)=P0 – 20log(4πd /λ)) P0:距離0の実測値
・Ekahau:事前に電波強度を測定し、サーバに保存しておく
 技術:電波強度を測定し三点測量を行う
 特徴:電波強度測定のためのハードウェアを設置するか、端末側に予め
ソフトウェア(Network Stumbler 等)を用意させないといけない また、
実際に得られる電波強度は反射などの影響を受け、論理的な値が得ら
れない
 使用例:PHS、Bluetooth端末位置検出
補足 三点測量
 AP端末間の距離が分かれば、三
点測量により、位置を検出できる
d3
d1
P1
P
||P-P1||=d1
||P-P2||=d2
||P-P3||=d3
P3
d2
 尚、高さを固定した場合は2つの
APから測定できる
P2
位置検出
サーバ
具体例① (セルID方式)
接続までの手順
1. 一般的な端末認証と同様に任意
のAPから認証を行う
AP1
AP2
AP3
AP4
AP5
AP6
AP7
AP8
AP9
前提
① APは正方格子状に設置する
(AP1,3,7,9は常時起動)
②隣接するAP間の距離は
50m以上70m未満
③室内に壁などの障害物が無い
④APと端末との高低差を2m
2. 接続を完了させる前に、端末にエ
コーを発せさせ、近隣の常時起動
APで受信する
3. 受信したAPによって、次のように
端末にAPを割り当てる
エコーを受信したAP
端末に割り当てるAP
AP1のみ
AP1
AP1及びAP3
AP2
AP3のみ
AP3
AP1及びAP7
AP4
3つ以上のAP
AP5
AP3及びAP9
AP6
AP7のみ
AP7
AP7及びAP9
AP8
AP9のみ
AP9
特徴 (セルID方式)
 長所
最大100m
2m
最大99.98m
最大70.7m
99.98m
 複雑な技術を必要としない
 最初から位置検出精度は高くない
ので、ある程度の誤差(APと端末
の高低差等)に影響されにくい
 AP間の間隔が広く取れる
 短所
 端末間の距離を制限される
 位置を検出するという動作には特
化していない
具体例② (TDOA方式)
接続までの手順
AP1
AP2
AP5
AP4
AP7
1. 一般的な端末認証と同様に任意の
APから認証を行う
AP3
2. 接続を完了させる前に、端末にエ
コーを発せさせ、近隣の最低3つの
APで受信する
AP6
AP8
AP9
3. 3つのAPでの受信の時間差を調べ、
それを基に方程式を解く
前提
① APは三角格子状に設置する
(AP1,3,7,9は常時起動)
②隣接するAP間の距離は50m未満
③室内に壁などの障害物が無い
④APと端末との高低差を2m
4. 方程式により割り出された端末の
位置から適当なAPを割り当てる
特徴 (TDOA方式)
 長所
 高い精度で端末の位置を測定することができる
 そのため、場所により利用者の統計を取ることも可能
 RSSI方式と違い、特殊な仕様または機器を必要としない
(APの内部時計および外部サーバのみ必要)
 短所
 複雑な計算及び利用者の位置情報を保存するためのサーバが必要
 全ての領域で、少なくとも3つ(高さ可変の場合は4つ)のAPと通信ができな
いといけない
参考
 北須賀輝明、久住憲嗣、中西恒夫、福田晃、
「測位方式WiPSを用いた無線LAN端末の動き検出の応用」
 伊藤 誠悟、河口信夫、
「実環境における無線 LAN を用いた位置推定システムとその応用」