2002.7.14 朝霞市講演会 フッ素でむし歯予防 -その科学的根拠- 国立保健医療科学院・口腔保健部 安藤雄一 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなもの があるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績(効 果)があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 歯科医療の発展段階 日本の 現状? 第3段階 科 第2段階 第1段階 予防歯 修復歯科 痛みの緩和 むし歯の原因と予防法 はみがき 細菌 甘味の適正摂取 砂糖 むし歯 フッ素を利用 歯質 う蝕予防のために有効な フッ化物応用方法 • 全身応用 • 局所応用 フッ化物を服用 (飲む)方法 局所的にフッ化物を 作用(うがい、塗る) させる方法 フッ化物の全身応用 いずれの 方法も現 在、日本で は行われ ていない • 水道水フッ化物添加 • フッ化物添加食塩 • フッ化物錠剤 • フッ素入りミルク フッ化物の局所応用 •フッ化物配合歯磨剤 •フッ化物洗口(フッ素洗口) •フッ化物歯面塗布(フッ素塗布) など 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなもの があるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績(効 果)があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 「フッ素」と「フッ化物」 • フッ素(fluorine)は、元素 – フッ素元素(F2)は気体 – しかし、天然に元素(気体)の状態で存 在することはほとんどない • フッ化物は、化合物(イオン) – 虫歯予防に用いられるのは、フッ化物 • フッ化ナトリウム(NaF) • フッ化スズ(SnF2) • モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP) – 実際には、イオンが歯に作用する を市 よ販 くの 見歯 る磨 と剤 出の て成 い分 ま表 す示 自然界でのフッ素濃度 • 土壌:300ppm*以下 • 空気:0.02~2.00ppb** • 水 :0.01ppm前後。 地表水:0.05~0.2ppm,地下水:0.1~1.0ppm • 海水:1.3ppm * ppm:100万分の1(1%=10000ppm) **ppb:10億分の1(1ppm=1000ppb) 環境中・人体中における元素の比率 1.酸素 海 水 2.水素 中 3.塩素 の 4.ナトリウム 元 5.マグネシウム 素 の : 比 12.フッ素 率 13.窒素 人 体 中 の 元 素 の 比 率 1.酸素 2.炭素 3.水素 4.窒素 5.カルシウム : 12.ヨウ素 13.フッ素 水道水フッ化物添加が実現するまで の歴史(20世紀前半) • 斑状歯の流行調査(Mckay FS, Black GV) – 原因を特定できず – 飲料水中の何らかの物質が原因 – 斑状歯流行地域では、う蝕が少ない • 原因の特定(Churchill HVほか) – 飲料水中の過量のフッ素が原因である – 動物にフッ素を投与し、斑状歯を発現させる ↓ • Deanの研究へ 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなも のがあるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい 実績(効果)があるのか • • • • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について なぜ虫歯予防が必要なのか 有効とされる虫歯予防法とは まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 世界における各種フッ化物応用の 実施状況(推定値、単位:百万人) 1990年 2000年 日本 210 300 なし 水道水フッ化物添加 0.2 0 なし 学校水道水フッ化物添加 4 97 なし 食塩への添加 0.1 0.2 なし ミルクへの添加 20 15 なし 液剤/錠剤 20 100 約30万人 洗口 20 30 約4割(小児) 塗布 450 1500 約9千万人 歯みがき剤への添加 〈出典〉 Rugg-Gunn A:BDJ, 191(9): 478-488, 2001 水道水フッ化物添加 (水道水フッ素化) (水道水フッ化物濃度調整法) (フロリデーション Fluoridation) • う蝕予防を目的とし,飲料水中に, 天然に存在するフッ素の適正量を 模倣して,人工的にその濃度レベ ルまでフッ化物(フッ素)を調整す る方法 世界における 水道水フッ化物添加の普及状況 • 国民の半数以上が利用; – 米国,カナダ,アイルランド,オーストラリア, ニュージーランド • 全住民が利用; – シンガポール,香港特別行政区 アメリカ合衆国における水道水フッ化物添加 (フロリデーション)の普及状況 50大都市のうち45で水道水フッ化物添加が実施されている 20世紀の米国における公衆衛生の10偉業 Ten Great Public Health Achievements -- United States, 1900-1999 • • • • • • • • ワクチン接種 自動車の安全性 安全な職場 感染症のコントロール 冠状動脈性心疾患と脳卒中の減少 安全で健康的な食品 母子保健 家族計画 • 飲料水のフッ化物添加 • 喫煙を健康障害の危険性があると認知したこと MMRW: April 02, 1999 / 48(12);241-243 日本における水道水フッ化物添加の 実施例 • 京都市(山科) :1952~1965年 • 沖縄本島(返還前) :1957~1972年 • 三重県朝日町 :1967~1972年 1972年以後、28年間、日本では事例が ない フッ化物洗口(フッ素洗口) • 学校・保育園における集団実施方式 • 家庭応用方式(歯科医院管理型) わが国におけるフッ化物洗口実施施設・人数の推移 300,000 2500 人数 施設数 250,000 2000 200,000 人 数 1500 150,000 1000 施 設 数 100,000 500 50,000 0 0 85 87 90 92 94 調査年度 96 98 2000 【注】日F会議(日本むし歯予防フッ素推進会議)の調査 都道府県別にみたフッ化物洗口の 都道府県別にみたフッ化物洗 データは日F会議の2000年度調査 実施者数 80,000 70,000 80,000 都道府県別にみたフッ化物洗口の実施者数(多い順にソート) 60,000 70,000 60,000 実 50,000 実 50,000 施 40,000 者施 000 数 30,000 40, 者 20,000 数 000 10,000 30, 0 小学校の1割以上 が実施 保育所・幼稚園の 5割以上が実施 新 静 京 長 富 鹿 愛 山 山 福 長 佐 北 滋 青 宮 岐 香 福 岩 広 宮 沖 栃 群 島 高 神 岡 和 熊 愛 山 徳 千 埼 三 奈 鳥 秋 茨 東 石 福 大 兵 大 20, 000 潟 岡 都 野 山 児 媛 口 形 島 崎 賀 海 賀 森 城 阜 川 岡 手 島 崎 縄 木 馬 根 知 奈 山 歌 本 知 梨 島 葉 玉 重 良 取 田 城 京 川 井 阪 庫 分 県 県 府 県 県 島 県 県 県 県 県 県 道 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 川 県 山 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 都 県 県 府 県 県 県 県 県 10,000 0 新 静 京 長 富 鹿 愛 山 山 福 長 佐 北 滋 青 宮 岐 香 福 岩 広 潟 岡 都 野 山 児 媛 口 形 島 崎 賀 海 賀 森 城 阜 川 岡 手 島 県 県 府 県 県 島 県 県 県 県 県 県 道 県 県 県 県 県 県 県 県 県 フッ素洗口開始年度にみた12歳児 DMFTの推移の比較 -新潟県6 フッ素洗口経験なし 1986年開始 5 4 DMFT 3 2 1 1977年以前 に開始 1982-85年 開始 0 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 年度 12歳児DMFT市町村別ランキング (新潟県、1983年度と2000年度) 1983年度 10 フッ化物洗口実施市町村 8 6 D M F T 4 4.64 2 0 県 平 均 牧 金 井 京 ヶ 瀬 出 雲 崎 川 西 新 穂 山 北 黒 川 真 野 岩 室 吉 田 小 国 和 島 高 柳 弥 彦 大 島 小 千 谷 加 治 川 妙 高 高 原 安 塚 湯 沢 六 日 町 与 板 西 川 三 島 長 岡 大 和 松 代 名 立 中 之 島 小 出 新 井 浦 川 原 赤 泊 十 日 町 栃 尾 頚 城 両 津 板 倉 湯 之 谷 塩 沢 村 松 堀 之 内 羽 茂 清 里 上 越 栄 寺 泊 吉 川 大 潟 見 附 相 川 佐 和 田 分 水 三 和 潟 東 黒 埼 中 郷 守 門 村 上 新 潟 越 路 畑 野 能 生 川 口 燕 三 川 中 之 口 亀 田 入 広 瀬 刈 羽 小 須 戸 下 田 西 山 中 条 味 方 聖 籠 安 田 津 南 五 泉 新 発 田 笹 神 田 上 中 里 水 原 白 根 豊 浦 柏 崎 青 海 横 越 朝 日 荒 川 豊 栄 小 木 粟 島 浦 新 津 加 茂 神 林 柿 崎 上 川 妙 高 村 山 古 志 糸 魚 川 巻 三 条 津 川 関 川 松 之 山 月 潟 鹿 瀬 広 神 紫 雲 寺 中 之 島 柿 崎 聖 籠 新 穂 豊 栄 豊 浦 山 古 志 大 和 金 井 下 田 2000年度 10 8 31市町村が、 DMFT 1未満 6 D M F T 4 2 0 1.81 県 平 均 粟 島 浦 板 倉 味 方 三 島 大 島 中 郷 牧 小 木 清 里 寺 泊 弥 彦 三 和 出 雲 崎 潟 東 吉 田 松 之 山 西 川 上 川 西 山 真 野 妙 高 高 原 新 井 鹿 瀬 分 水 三 川 赤 泊 妙 高 村 京 ヶ 瀬 岩 室 与 板 堀 之 内 浦 川 原 小 国 月 潟 山 北 黒 埼 吉 川 青 海 安 田 笹 神 川 口 能 生 塩 沢 黒 川 相 川 小 千 谷 和 島 加 治 川 松 代 栃 尾 湯 沢 燕 糸 魚 川 高 柳 上 越 長 岡 越 路 横 越 頚 城 加 茂 安 塚 十 日 町 小 出 湯 之 谷 六 日 町 大 潟 川 西 佐 和 田 津 南 中 之 口 巻 入 広 瀬 紫 雲 寺 村 上 荒 川 関 川 中 里 神 林 広 神 名 立 守 門 新 潟 中 条 小 須 戸 津 川 栄 田 上 新 津 刈 羽 白 根 柏 崎 見 附 三 条 水 原 両 津 朝 日 亀 田 村 松 羽 茂 畑 野 新 発 田 五 泉 フッ素洗口経験別にみた一人あたりの 歯科治療費(10~14歳、1990年) (円) 10000 * 8000 ** 6000 4000 \9,357 ** \8,195 \6,083 2000 \4,801 0 F(-) F(±) F(-):F洗口実施経験なし(37市町村) F(±):F洗口経験年数3年未満 (21市町村) F(+) F(++) F(+):F洗口経験年数6年未満 (21市町村) F(++):F洗口経験年数6年以上 (29市町村) (安藤雄一ほか,1994) フッ素洗口による歯科医療費の 軽減効果 4 3.80億円 3 億 円 2 1 0.38億円 0 歯科医療費の軽減額 フッ素洗口の経費 (安藤雄一ほか,1994) フッ素洗口経験別にみた一人平均むし歯数 ( 西蒲原郡内の高校2年生 ) 10 処置歯 8 喪失歯 6 未処置歯 4 2 0 A A群 B群 C群 D群 B C D : 4歳児より保育園・幼稚園および小中学校の11年間の経験 : 小学校を中心に6~9年の経験 : 園または中学校中心に1~5年の経験(大半は1~2年) : 洗口経験なし (小林ほか,1993) 成人におけるフッ素洗口の効果 自衛隊員に対するF洗口とF歯磨剤の効果 う 蝕 増 加 量 3.5 3.0 2.5 2.0 前歯平滑面 臼歯小窩裂溝 臼歯平滑面 ( D 1.5 M 1.0 F S 0.5 ) 0.0 対照群 F洗口群 F歯磨剤群 〈出典〉郡司島由香:口腔衛生学会誌、47(3)、281-291、1997. ●歯科診療室におけるフッ化物洗口 の実施状況 〈 出典〉 フォー ラム 8020調査 フッ化物 フッ化物 洗口 歯面塗布 よく行う 5% 24% 比較的よく行う 7% 49% たまに行う 25% 40% 行わない 63% 11% フッ化物歯面塗布(フッ素塗布) • 集団実施方式(市町村の保健センターなど) • 診療室ベースでの応用 フッ化物塗布受診者の年次推移 (厚生省歯科疾患実態調査) フッ素塗布(歯ブラシ法)の効果 ① 新潟市におけるF塗布の効果 6 う (蝕 d 4 発 m 生 f 歯 s 2 面 )数 0 0 1 2 3 4 フッ素塗布回数 清田ほか、口腔衛生会誌(1997) フッ素塗布(歯ブラシ法)の効果 ② 笹神村における最近10年間の乳歯う蝕有病状況の推移 12 10 d 8 m 6 f t 4 2 3歳/年少児 4歳/年中児 5歳/年長児 1991年 に開始 0 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 年度 八木ほか、小児歯科学会誌、35(2):212, 1997 フッ化物配合歯磨剤 • 世界の先進諸国におけるう蝕減少に関して、 どの地域でも共通する要因とされている • 世界的には有効性を示す研究報告は多い • しかし、わが国の調査事例は、それほど多 くない • 原因として考えられること フッ化物配合歯磨剤のシェアと – フッ素入り歯磨剤の普及 – シーラントの普及 虫歯(12歳児DMFT)の推移 – 代用甘味料の普及 12歳児DMFT – う蝕診査基準の変化(CO) F歯磨剤シェア 5 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 4 D 3 M F T 2 1 0 86 88 90 92 94 年度 96 F 歯 磨 剤 シ ェ ア 98 2000 35 フッ素入り歯磨剤の効果的使用 • 使用量を多く 少なくとも歯ブラシの毛束長の半分以上 • うがい(洗口)をなるべく少なく 辛くない歯磨剤を使用したほうがよい • 時間帯は「夜」を優先 • 回数は、う蝕のかかりやすい人はなるべく 多く 〈出典〉荒川、飯塚:フッ化物配合歯磨剤の効果的な利用法を考える、歯科衛生士、1996.2 フッ化物配合歯磨剤 エンドウ 豆サイズ 「う蝕ゼロ」モデル:新潟県弥彦小) F洗口実施→シーラント応用 シーラントプログラムの開始前後におけるDMFTの比較 (新潟県弥彦小) 予防メニュー 1970年 F洗口開始前 1978年 F洗口を小学1年生時から継続 – フッ素洗口 – シーラント(CO歯) – 定期歯科検診 1989年 シーラント開始(F洗口を保育所年長児から継続) 1996年 シー ラント開始7年後 4 3 D M 2 F T 1 0 1 2 3 4 5 6 学年 小林清吾ほか:日本歯科評論、No.669、9-11、1998. 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなも のがあるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績 (効果)があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性に ついて • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 フッ化物の安全性 ~ 基本的な考え方 ~ • • • • • フッ素は自然環境物質である。 フッ素はヒトの健康に有益な物質である。 フッ素の危険説は解明されている。 国内外の専門団体が応用を推奨している。 長期間、多地域での応用による実績がある。 欠乏 適量 毒性 効 果 ( 成 長 ) (少ない) 量 (多い) 栄養素(また微量元素)の量と生体への影響 どんな栄養素も“量”が大切です 例えば食塩では… 健康に暮らすため には1日1~2gが 1度に摂りすぎる 適切です 足りないと疲労 と下痢をおこし、 全身の脱力など 長期に摂りすぎる と高血圧、脳卒中 など成人病の原 因に 少ない ← 適量 → 多い 絶対安全なもの ? フッ素は必須微量元素か? • ことばの意義論により決まる(G. Nikiforuk, 1985) • もしも,生命維持のために摂取しなけれ ばならない元素というのであれば,答は, 「いいえ」である。 • もしも,特定な組織の保全や機能に寄与 する栄養物を含めるというのであれば, 答は,「はい」である。 歯のフッ素症(斑状歯)の原因 過量の フ ッ 素 斑状歯 長期間 継 続 歯冠を 形成する 時間 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなもの があるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績(効 果)があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 現在歯数の実態 厚生省歯科疾患実態調査(1999) 30 25 20 現 在 15 歯 数 10 5 0 20- 25- 30- 35- 40- 45- 50- 55- 60- 65- 70- 75- 80- 8524 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 84 年齢 8020:理想と現実 無髄歯数(推定値)の実態 (1993年度 厚生省歯科疾患実態調査) 無髄歯 (神経のない歯) 35 30 健全 充填 C1-2 C3-4 冠 25 一 人 平 20 均 現 在 15 歯 数 10 5 0 5~ 15~ 25~ 35~ 45~ 年齢階級 55~ 65~ 75~ 85~ クラウン装着経験歯と健全歯の 喪失歯率の比較 30 9 8 25 7 20 6 5 15 4 10 3 相対危険度 喪失歯率(クラウン) 喪失歯率(健全歯) 2 5 1 0 0 15~29 30~39 40~49 50~59 60~77 〈出典〉安藤ほか:日本歯科評論,618; 195-205,1994 むし歯は元に戻らない 健全歯 小さなむし歯 充填歯 むし歯のない歯 歯医者へ行く 小さな詰め物 逆向きの矢印はない 大きなむし歯 歯医者へ行く もう抜くしかない 残根 はずれる 金属冠 根っこしかない 歯医者へ行く 大きな詰め物 歯を長持ちさせるための 2大原則 • フッ化物による歯質強化 • 歯間部清掃 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなもの があるのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績(効 果)があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ:明日からできるフッ化物を用いた虫歯 予防方法 う蝕における防御的および病理的要因間の バランス ( Featherstone,1996) 防御的な要因 病理的な要因 唾液の流れと成分 微生物 タンパク質,抗細菌物質 ミュータンス菌,乳酸菌 フッ化物,カルシウム,リン酸 食餌の成分_炭水化物 防御的な食餌の成分 低下した唾液の機能 う蝕なし う蝕あり 奥歯の溝はみがけない 歯ブラシの毛先 入らない 歯の溝 お菓子の中の砂糖 種 類 ケ ー シ ュ ー ク リ ー ド ー ナ カ ス テ ビ ス ケ ッ キ ャ ラ メ チ ョ コ レ ー チ ュ ー イ ン ガ 量 キ ム ツ ラ ト ル ト ム 1個 1個 1個 1切 3枚 1箱 1枚 1箱 砂 糖 16.2g 7.2g 9.6g 20.0g 5.0g 20.2g 20.7g 9.0g 飲み物の中の砂糖 種 類 コ - ラ フ ァ ン タ ヤ ク ル ト ア ク エ リ ア ス ト マ ト ジ ュ - ス ネ ク タ - ポ カ リ ス エ ッ ト カ ル ピ ス 量 225cc 225cc 1本 225cc 100cc 200cc 225cc 1杯 砂 糖 16.0g 22.6g 3.7g 15.0g 6.3g 30.9g 15.4g 19.1g 上手なおやつの食べ方 • 夜食をとりすぎてはいけません 眠くなるし,太る原因です • ジュ-スも一緒です お菓子じゃなくても砂糖は入っています • アメやガムなどを噛みながらの勉強 もよくありません – ただし、キシリトールは虫歯予防に効 果あり スコットランドでう蝕ハイリスク小児 に対して強く奨められている予防法 • 親に対するアドバイス • フッ化物が配合歯磨剤(1000ppm)の使用 – 1日2回みがく – 歯磨きは吐き出すべきで、うがいすべきでは ない • 小窩裂溝(奥歯の溝)に対するシーラント 処置 〈出典〉Scottish Intercollegiate Guidelines Network:Preventing Dental Caries in Children at High Caries Risk. Targeted prevention of dental caries in the permanent teeth of 6-16 year olds presenting for dental care, 2000 (http://www.show.scot.nhs.uk/sign/pdf/sign47.pdf) 本日の話題 • フッ化物による虫歯予防方法には、どんなものがあ るのか • フッ素(フッ化物)とは何か • フッ化物による虫歯予防は、どのくらい実績(効果) があるのか • フッ化物を用いた虫歯予防の安全性について • なぜ虫歯予防が必要なのか • 有効とされる虫歯予防法とは • まとめ: – 明日からできるフッ化物を用いた虫歯予防方法 CDCのF応用に関する推奨(2001.8) 予防法 水道水フッ化物添加 学校水道水フッ化物添加 フッ化物配合歯磨剤 フッ化物洗口 フッ化物補充剤( 錠剤、液剤) 妊婦 6歳未満児 小児( 6-16歳) 16歳以上 フッ化物ゲル フッ化物バーニッシュ エビデン 推奨の 標的集団 スの質 強さ II-1 A 全地域 II-3 C 田舎、非F化地区 I A 全員 I A ハイリスク I II-3 I ¶ I I E C A C A A N one ハイリスク ハイリスク ハイリスク ハイリスク ハイリスク MMWR: August 17, 2001 / Vol. 50 / No. RR-14 http://www.cdc.gov/mmwr/PDF/rr/rr5014.pdf う蝕予防対策として推奨できるもの (現在、国内で実施されているもののみ) 1. フッ化物洗口 学校、保育園における集団実施方式 家庭応用法式(診療室ベース) 2. フッ化物歯面塗布 3. 4. 5. 6. 母子保健現場における集団実施方式 診療室ベースでの応用 フッ化物配合歯磨剤 シーラント サホライド塗布 甘味の適正摂取 〈出典〉フォーラム8020:8020「健闘」資料、2000 厚生省の見解 (2000.12.6 省内担当部局合意文書) • 自治体から、技術支援の要請があれば、応 じる – 水質基準の範囲内(0.8ppm以内) – 関係者(水道事業者・利用者、歯科医師会など) – 厚生科学研究の成果を活用 現在、日本で利用できる フッ化物応用法 • フッ化物配合歯磨剤(フッ素入り歯みがき剤) • フッ化物洗口(フッ素洗口) • フッ化物歯面塗布(フッ素塗布) フッ化物応用を行う「場」 • 自分で行う(Self Care) • 公衆衛生的応用(Public Care) • 専門的応用(Professional Care) フッ素入り歯磨剤の効果的使用 • 使用量を多く 少なくとも歯ブラシの毛束長の半分以上 • うがい(洗口)をなるべく少なく 辛くない歯磨き剤を使用したほうがよい • 時間帯は「夜」を優先 • 回数は、う蝕のかかりやすい人はなるべく 多く (1日2回以上) 〈出典〉荒川、飯塚:フッ化物配合歯磨剤の効果的な利用法を考える、歯科衛生士、1996.2 未処置う蝕の保有状況 (1999年度厚生省歯科疾患実態調査) 70% 5 未処置う蝕保有者率 60% 一人平均未処置歯数(分母=未処置歯あり) 4 一 人 平 3 均 未 2 処 置 歯 1 数 50% 40% 30% 子供だけでなく、大人の 虫歯予防も重要 20% 10% 年齢階級 85~ 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 0 10~14 0% 5~9 未 処 置 う 蝕 保 有 者 率
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