子どもの貧困 - 中央学院大学

子どもの貧困
2312081
小林憲幸
目次
1.貧困とはなにか
2.母子家庭と父子家庭の所得実態
3.所得による学業への影響
4.奨学金制度と学費
5.教育の機会の平等性を図るための対策
貧困とはなにか?
• 絶対的貧困…「衣食住」が最低限満たせる生活
水準以下の状態(英、シウントリー)
国際貧困ラインは1.25$
国、地域にかかわらない基準
• 相対的貧困…その社会における通常の生活以
下の生活水準のこと
国、地域によって変化する基準
OECDが用いる基準であり、日本もこれに倣ってい
る
相対的貧困
貧困線…手取りの世帯所得(可処分所得)の中
央値の半分を貧困のライン
『厚生労働省 貧困の状況』平成25年調査
相対的貧困
子どもの貧困率の推移
35
%
%
(左軸)
63.1
65
相対的貧困率
子どもの貧困率
30
子
ど
も
が
い
る
現
役
世
帯
・
大
人
が
二
人
以
上
60
子どもがいる現役世帯
大人が一人(右軸)
大人が二人以上
相
対
的
貧
困
率
・
子
ど
も
の
貧
困
率
、
54.6
25
20
相対的貧困率
16.3
15
50
16.1
15.1
12.4
10
55
45 一
人
40
35
0
60
昭和‥年
63
3
平成・年
6
9
12
15
18
21
注:1) 平成6年の数値は、兵庫県を除いたものである。
2) 貧困率は、OECDの作成基準に基づいて算出している。
3) 大人とは18歳以上の者、子どもとは17歳以下の者をいい、現役世帯とは世帯主が
18歳以上65歳未満の世帯をいう。
4) 等価可処分所得金額不詳の世帯員は除く。
24
人
が
子どもの貧困率
5
大
30
0
貧困率算定の方法
1.等価世帯所得の個人単位の中央値を計算します。
2.その値の50%を「貧困線」とする。
3.等価世帯所得が「貧困線」未満の人を「貧困」と定義する。
4.貧困の人の割合を計算する。
(子どもであれば、全子どものうち、何%が「貧困」の子どもであるか)
等価世帯所得=(世帯内のすべての世帯員の合算所得)/(世帯人数の平
方根)
例)、223万円/√3.42人=約120万円
ひとり親世帯の割合
母子世帯
父子世帯
1.世帯数(推計値)
123.8万世帯
22.3万世帯
2.一人親世帯になった理
由
離婚80.8%
死別 7.5%
離婚74.3%
死別16.8%
3.就業状況
80.6%
91.3%
うち正規の職員・従業員
自営業
パート・アルバイト等
39.4%
2.6%
47.4%
67.2%
15.6%
8.0%
4.平均年間収入(母又は父 223万円
自身の収入)
380万円
5.平均年間就労収入(母又 181万円
は父自身の就労収入)
360万円
6.平均年間収入(同居親類 291万円
を含む世帯全員の収入)
455万円
(出展)平成23年度全国母子世帯等調査
母子家庭の就業状況
母子家庭になる前
就業
就業状況
不就業 25.4%
73.7%
家族従業者
3.6%
正規の職員
29.5%
就業者の雇用形態
パート・アルバイト等
52.9%
派遣社員
4.5%
自営業
4.4%
その他
4.5%
現在
不就業
15.0%
就業80.6%
就業状況
不詳
4.4%
家族従業者
3.6%
正規の職員
39.4%
就業者の雇用形態
自営業
2.6%
その他
3.7%
パート・アルバイト等
47.4%
派遣社員
4.7%
会社などの役員
0.6%
(出典)平成23年度全国母子世帯等調査
父子家庭の就業状況
不詳
1.4%
不就業
2.9%
父子家庭になる前
就業状況
就業95.7%
派遣社員
1.1%
就業者の雇用形態
自営業
14.9%
正規の職員・従業員
73.6%
アルバイト等
4.5%
家族従業者 その他
1.9%
2.4%
不就業
5.3%
現在
就業状況
不詳
3.4%
就業91.3%
派遣社員
2.0%
就業者の雇用形態
会社などの役員
1.7%
自営業
15.6%
会社などの役員
1.6%
正規の職員・従業員
67.2%
アルバイト等
8.0%
家族従業者
1.4%
その他
4.3%
(出典)平成23年度全国母子世帯等調査
※参考《海外のひとり親家庭の就業率》
アメリカ73.8%
イギリス56.2%
フランス70.1%
イタリア78.0%
オランダ56.9%
ドイツ62.0%
OECD平均70.6% OECD「Babie and Bosses」よ
り(2005年)
世界の貧困率
※データは昨年のもの
現在日本の貧困率は第2位
平均年間就労収入
就業者の雇用形態
平均年間就労収入
181万円
正規の職員・従業員
39.4%
平均年間就労収入
270万円
パート・アルバイト等
47.4%
平均年間就労収入
125万円
就業者の雇用形態
正規の職員・従業員
67.2%
平均年間就労収入
360万円
平均年間就労収入
426万円
パート・アルバイト等
8.0%
平均年間就労収入
175万円
年間収入別の進路
(出典)高校生の進路と親の年収の関連について
(東京大学大学院教育学研究科 大学経営・制作研究センター 2009年)
小学校6年生の学校外教育費の月間支出額と
算数の点数との関係
(出典)学力格差と家庭環境との因果関係
―現状分析と克服に向けた実践事例―
日本の奨学金制度と大学授業料
• 中央学院大学の学費
初年度
入学費300,000、授業料350,000×2
施設設備費300,000、学生会費他46,800
計1,346,800円
次年度以降
前期678,000円 後期350,000円
計1,028,000円
4年卒業で4,430,800円
• 私立大学初年度費用平均
1,443,097円
• 国立大学
834,800円
• 公立大学
952,409円
日本の奨学金制度と大学授業料
• 1944年 財団法人大日本育英会(国の奨学金制度)を創設
• 1984年 日本育英会法全面改正
それまで無利子のみであった奨学金に有利子枠が創設され
た
当初は「育英奨学事業は、 無利子貸与制度を根幹としてその
充実、 改善に努めるとともに、 有利子貸与制度は、 その補完
装置とし、 財政が好転した場合には廃止等を含めて検討する」
としていた
• 2008年 有利子:無利子の予算比率は74:26となった
教育費支出額
日本の進学率
平成24年度
• 高校進学98.3%
• 大学進学53.5%
総務省統計局より
海外教育との差
• 国際人権規約「高校や大学の学費無償化条
項」
→批准していないのは156ヵ国中日本、マダガ
スカルの2カ国だけ
スウェーデンでは、大学含め、学費は無償
「教育とは無償で与えられるべきものである」
という考えが根本にある
海外教育との差
アメリカ
• アメリカの奨学金給付総額は470億ドル(5兆
6400億円)であり、実に日本の奨学金給付額
の10倍ほどである
• ペル奨学金(給付型)をはじめとする、政府が
担保となる奨学金を選べる
日本の奨学金制度の問題点と改善策
問題点
日本の奨学金制度は有償である。
→「教育を受ける権利」 (憲法第26条)に反する
→学費を稼ぐためにアルバイトの矛盾
改善策
有利子奨学金制度を廃止し、 すべて無利子とすること
→有利子の時代は、世帯収入が高い状態が重なったからこ
そ実現できた。現代では非現実的である。
給付型奨学金の導入
授業料が有償でかつ給付型奨学金制度をもたない先進国は
日本だけ
教育に後ろめたさを感じることがない社会
教育に前向きな学生を生み出す