地域SNSで連携して全国から被災地へ虹の橋をかけよう 地域SNS連携による震災救援プロジェクトについて 報告者:プロジェクト監査担当 中原 新太郎 KANSAI@CANフォーラム運営委員 1 本プロジェクトの概要 ・リクエストも地域SNS、応えたのも地域SNSという民-民プロジェクト ・20の地域SNSが参加、夫々が物資を集め、 リレー形式の「村継ぎ」で搬送 ・第一回:山武市への古タオル発送 ・第二回:盛岡へ児童むけ学用品とランドセル(新品)を発送 (モリオネット発「学び応援プロジェクト」) 背景 ・職員/庁舎が被災→自治体機能低下/消滅 →被害/必要な物資の把握困難 ・個社/業界団体は既に赤十字/共同募金に寄付 ・個社/業界団体は特定地域のみを優遇できず→どこに救援を求めてよいかわからない ↓ 個人やNPOへの依存比率の拡大(活躍の余地) 「信頼と互酬性」という日本人が持つ空間の履歴を 村継ぎ:江戸時代、 SNSというITで蘇らせた世界初のプロジェクト 巡礼の際に病気に なった人をリレー形式 ↑ 環境宗教学(お遍路さん研究)+ITのコラボ で運んだ風習 温故知新と異分野研究者ネットワークが新しい価値を生み出す 2 地域SNS連携による震災救援プロジェクト 近畿は姫路、関東は葛飾に集積 第一回:山武向け 浸水対策タオル約2万本 第二回:盛岡向け搬送 段ボール230箱分の 新品学用品や ランドセルを搬送 同 :物資集積 福井 松江 熊谷 宍粟 三田 佐用 上五島 尾道 盛岡 伊丹 姫路 宇治 上田 桐生 春日井 掛川 栃木 葛飾 山武 南房総 収入 支出 差 第一回 75,000 58,000 17,000 第二回 364,000 126,762 237,238 計 439,000 184,762 254,238 3 地域SNSとは • • • • • • • • • 規模は様々だが全国で500以上 会員数は100名前後から数千名まで オープンソース使用により初期費用節減 運営の主体は様々:自治体、私企業、NPO 通常から知見交換の交流有 半年毎に全国フォーラム開催 被災地への応援実績有:2009年の台風9号 上下関係よりも緩やかな連携を重視 実名で招待登録で匿名性は薄い 4 第一回救援活動:山武市向け 3/21出発 姫路 洪水の後始末に吸水性が高い 古タオルが緊急に必要と連絡。 台風9号の被害で同じく古タオル を全国のSNSから集めた兵庫 から約2万本を陸送 総経費\58,000 3/22到着 春日井 葛飾 山武 5 第二回救援活動:盛岡市向け 「学び応援プロジェクト」 +村継ぎ 近畿は姫路、関東は葛飾に集積 盛岡の地域SNSから流された学用品の代わりを 届けて欲しいと連絡。全国のSNSから協力表明。 現代に「村継ぎ」を蘇らせ応援メッセージもリレーしよう。 段ボール230箱分の学用品搬送。総経費\126,762 熊谷 宍粟 上五島 尾道 4/6 4/9 福井 松江 佐用 盛岡 三田 伊丹 宇治 桐生 上田 栃木 4/7 姫路 4/7 春日井 葛飾 掛川 山武 4/8 4/8 南房総 6 プログラム設計方針 1.継続性を重視:一過性に終わらせない 2.負担の公平感:数字として正しいではない 3.適度な負担感:多少汗をかかないと参加意識をもてない 4、最終的な収支ではなく、資金繰りを重視 5.参加SNSの段階的な拡大:最初はコアを固めて、後に拡大 6.参加メンバーに「プロ」としての力を発揮できる環境を提供する 7 実際の運用 1.継続性を重視→負担の集中の是正 2.負担の公平感→集めた物資に応じた経費負担(一箱千円) ↑ SNSによって、会員数も経過年数も異なり、またコアメンバーも 異なるので、頭割りでは新興・小規模SNSに過度の負担 3.適度な負担感→上記 4、資金繰りを重視→一旦「ひょこむ」が全経費を即時支払い、 他のSNSからは経費清算後に通知、徴収 初期段階で手元資金を厚めに確保 5.参加SNSの段階的な拡大→山武をテストランと位置付け、盛岡で実績 制度設計段階から、外部公開掲示板でオープンに議論 →後からの参加者も事前に議論が追える 8 課題・感想1 1.安全確保:余震が続き、高速道にも10cm程度の段差 最終が深夜の長距離となった →中間集積地/前進基地設置で調整中 2.ドライバーの確保:平日ということもあり、少数で回した。 最長は約1100km:60歳の女性 →関東地区での車輌とドライバー確保への調査開始 3.資金;初期費用で2回分の運送費を予め確保 緊急物資車輌認定で高速道路無料←プロの仕事 4.出発時に数少ない明るい話題として新聞報道、地域SNSの認知 子供から尊敬されるようになった父母も。親子での参加も。 5.次回に向けた議論が現在進行形で続いており、記憶の風化から 逃れられる見込み⇔阪神淡路は3月の地下鉄サリン事件発生で 被災地以外の人間の記憶から薄れてしまった 9 10 11 近藤修司氏による 我ら「大震災【村つぎ】リレー」プロジェクト輸送隊 ★プロジェクト参加サイト(2011年4月5日現在) モリオネット(岩手県盛岡市) 1183名 桐生SNS(群馬県桐生市) 131名 あついぞhotコム(埼玉県熊谷市)779名 さんむSNS(千葉県山武市)136名 eじゃん掛川(静岡県掛川市) 2511名 愛っち!(愛知県春日井市) 315名 いたまちSNS(兵庫県伊丹市)1568名 さんでぃ(兵庫県三田市) 593名 さよっち(兵庫県佐用町) 547名 ひょこむ(兵庫県姫路市) 6025名 e-とちぎどっとこむ(栃木県宇都宮市)583名 かちねっと(東京都葛飾区) 841名 お茶っ人(京都府宇治市) 2017名 E-宍粟(兵庫県宍粟市) 394名 おのみっち(広島県尾道市) 498名 2011/4/9 10:00 岩手県盛岡市 2011/4/8 10:00 愛知県春日井市 2011/4/6 12:00 広島県尾道市 2011/4/710:00 兵庫県姫路市 2011/4/8 14:00 静岡県掛川市 2011/4/8 23:00 東京都葛飾区 「ひょこむ」 代表 和崎氏提供 12 その他 • 被災地からの通信の切り札となった 衛星携帯電話には、筆者の特許や ノウハウが活きています。 • 社会人となってからの各段階 研究所技術者、地域情報化/地域活性化、 マネジメントと総ての段階での成果が役立って いるのは、望外の喜びです。 先は長いです。息切れせぬよう、共に歩みましょう。 13 課題・感想2:個人として(学んだこと) 1.自分の役割:情報集積点、異分野組織仲介/調整役、環境整備/組織運営者。 2.自分の周囲:評論家より実践者が多い。文句を言う前に自ら動く。 3.結局最後は人 ・組織の看板を背負う人の方が、その看板に潰されて動けなかった。 ・根底にあるのは、普段からの人付き合いや結び付き。 ・地位があっても、普段偉そうにしていても、動けない人、敵前逃亡する人、 何も声さえかけてもらえない(誰からも期待されない)人がいる一方、 皆から心配されて、応援が集中する人もいる。 4.女性パワーは凄い:行政に代わって奮闘する人間の多くが女性。 5.個人集団と組織人のコラボの有効性 ベンチャーやNPOという組織よりも個人を前面に出す集団は推進力、 瞬発力は凄い。しかし、持続力とか、根回しは不得手。そこを組織人が補完 6. 「生かされている」感が上昇 衛星携帯電話、ベンチャー支援、地域振興と活動総てが役立つという稀有な例。 7.当分引退は無理か ベンチャーやNPOという組織よりも個人を前面に出す集団と組織人は 水と油のように発想から行動原則まで異る。 従って、その仲介ができる人間は、まだまだ少数派。 14 課題・感想3:コーディネーター考 1.コーディネーター、ファシリテーターが大量に必要との意見に違和感。 2.コーディネーターとは?武士(もののふ)の心を有する専門家。 ・そもそも稼動がかかった時点で負け戦:現場だけで回るなら不要。 撤退戦の殿(しんがり)を志願するようなもの。 ・周囲は皆敵:自分達ができなかったことを成功されて喜ぶ人/組織は無い。 ・交渉時には裃の下に白装束を着込んでいるような気迫が必要。 ・自らの利を追求しない姿勢と、実績に基づく周囲の信頼が必要。 3.必要とされる知識/資質は多様多岐。 商店街を含む産業振興、デザイン、観光、IT、流通、産学連携といった 広範囲の専門性と地域の文化/歴史に対する理解の両立+人脈。 4.受け入れる側にも度量が要求される。 ・自組織の顔を潰す可能性もある。体面より全体の利益を優先できるか? ・コーディネーターはいなくなるが、自分は、その組織に留まるため、 周囲の反発に耐え続ける必要。 ・利では動かぬコーディネーターを動かす人としての覚悟と魅力が必要。 5.養成は困難 ・第2項に示したマインドを有する人間を育てられるのか? ・第2項に示し、高度な知識を必要とされる割には報酬が希少。 15 従って志願者そのものがいない。
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