決断するための情報 法医学会 2013年6月 京都大学(医)統計遺伝学 山田 亮 ~決断理論~ 哲学 経済学 心理学 数学 『最適な決断戦略』 • 「情報がないなら、ないなりに、あるなら、ある なりに」 • 「確率的に決断」しよう • それが「長い目」で見たときの、『最適戦略』 • 生物進化、ギャンブル… Multi-armed bandit problem, Thompson sampling 情報があっても 確率的に決断するしかない 最後の決断は 個人に任せて 個人によって決断が割れてもよい 決断するための情報 法数学の役割 決断したい人の 役に立つような情報を 使い方指南も含め 利用しやすい形で 情報提供 治療法 AとB • 過去の11人は、AとBとのどちらを受けたの か? • その結果、治ったのか、治らなかったのか? • あなたはどちらの治療法を選びますか? 治療法 治った 治らな かった 計 A B 2 5 7 1 3 4 3 8 11 何を考慮した? • どちらの治療法を選ぶと「治りやすい?」 – 治る確率の「期待値」が高いのはどちら? • どちらの治療法が「より良い」? – Aの治癒率>Bの治癒率なのか。その確率 は? この問に答えるために必要なのは ベイズ推定 共役事前分布 治療法 治った 治らな かった 計 A B 2 5 7 1 3 4 3 8 11 二項の観察から A、Bの成功率を ベータ分布として 推定する 何を考慮した? • どちらの治療法を選ぶと「治りやすい?」 – 治る確率の「期待値」が高いのはどちら? 治療法 治った 治らな かった 計 A B 2 5 7 1 3 4 3 8 11 Aを選択して治る確率の期待値 (2+1)/ ((2+1)+(1+1)) = 0.6 Bを選択して治る確率の期待値 (5+1)/ ((5+1)+(3+1)) = 0.6 何を考慮した? 二項の観察から A、Bの成功率を ベータ分布として 推定する • どちらの治療法が「より良い」? – Aの治癒率>Bの治癒率なのか。その確率 は? 治療法 治った 治らな かった 計 A B 2 5 7 1 3 4 3 8 11 治療法 治った 治らな かった 計 A B 2 5 7 1 3 4 3 8 11 Aを選択して治る確率 の期待値 0.6 Bを選択して治る確率 の期待値 0.57 Aの方が治療成績が良 い確率 0.75 Aを選択して治る確率 の期待値 0.6 Bを選択して治る確率 の期待値 0.6 Aの方が治療成績が良 い確率 0.51 治療法 治った 治らな かった 計 A B 240 120 360 160 90 250 400 210 610 最後の決断は 個人に任せて 個人によって決断が割れてもよい 事後●●を何にするか? 「AとBとのそれぞれの『期待値』」 「AとBとを比べて『Aがより良い』確率? 事後●●の値はいくつが十分か? どのくらいの「事前●●」が必要か? 事前●●を何にするかは決まった。 「AとBとのそれぞれの『期待値』」 「AとBとを比べて『Aがより良い』確率? 事前●●の値はいくつが不十分なのか? 「事前●●」に関する問題 「犯人か」「犯人でないか」の2択 「犯人でない」=「別の誰かが犯人だ」 『別の誰?』 無関係な人? 血縁者? 近縁関係の強弱と地域差 「事前●●」に関する問題 「犯人か」「犯人でないか」の2択 「犯人でない」=「別の誰かが犯人だ」 『別の誰?』 1人、2人、…、たくさん 『複数の候補が居る』 平均を取る 平均だけでは、まずいこともある 「事前●●」に関する問題 『複数の候補が居る』 平均を取る 平均だけでは、まずいこともある たとえば:バースデイ・パラドクス 『パーティの出席者に同じ誕生日の人がいるだろうか?』 『この人と同じDNAジェノタイプの人がいるだろうか?』 誕生日:すべての日の確率を1/365と揃えて計算する。簡単 DNAタイプ:タイプ別の確率は不均一。簡単じゃない 全員が違う確率 均一な場合 ばらばらな場合の一例 パーティの人数 どんな試料? どんな実験?マーカー数? 実験精度?計算手法? 試料 • 1人 複数人混合 • 十分量 希少量 • 質の良否 多型 • 多型種類 • 多型箇所数 • 集団のアレル頻度推定値 実験 • 実験成否 • 実験精度 統計計算 • 実験データのクオリティコントロールと外れ値 • 推定を含む処理 • 同一事項の推定に複数手法の提案、その異 同 • ベイズ流の判定 入口と出口が違えば データ×解釈に求められる 情報力は変わる 場合の整理とそれ に応じた情報力の 確認 今日のまとめ • 事後●●(事後確率など) – 人によって変わる、場合に よって変わる、事後情報の強 さ – 個人の意見があってよい…D NA鑑定でも? • 事前●●(事前確率など) – 事後●●に影響を与える事前 ●●は、どこまで精度を保っ ているか? • データと解釈 – 事前●●と事後●●をつなぐ 部分 – いろいろな課題 • 試料の量と混合・マーカー種類と 数・実験精度・解釈手法
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