探索的因子分析における変数選択 (4) SEFA の問題点 大阪大学大学院 人間科学研究科 宮本 友介 Contents • 探索的因子分析における変数選択 – 経験則による基準 – Stepwise 法 (SEFA)による基準 • SEFA と従来法との比較 – モンテカルロ実験 • SEFA に対する批判的見解 – Stepwise 法全般 – 従来法との食い違い • 例: 他の変数との相関が 低い / 高い 変数 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 2 探索的因子分析 • 研究者が考慮すべき点 – – – – – 研究の目的 因子抽出法 因子数 因子回転の基準 変数の選択 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 3 変数の選択 • 変数の「量」と「質」 – 内容的妥当性 – 実行可能性 • 項目は少ない方がよい – 信頼性 • 共通性(因子負荷量) 項目は多い方がよい 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 4 変数の選択 (rule of thumb) • 経験則による変数選択基準 – 因子負荷量の大きさに着目 たとえば… • .3 を超えるものを解釈せよ (Fidell, 1983) • .71 → 「すばらしい」 .63 → 「とてもよい」 .55 → 「よい」 .45 → 「まぁまぁ」 .32 → 「うーん」 (Comrey, 1973) 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 5 変数の選択 • SEFA の変数選択基準 – 信頼性 ⇒ 因子分析モデルの前提 – 共通性の低い変数を除外しても, モデルの適合度は向上するとは限らない – より客観的な基準 適合度指標の利用 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 6 SEFAアルゴリズム • 尤度比検定 T ˆ ˆ ˆ ˆ Σ ˆ log Σ log S LRT n 有意 ⇒ 変数減少 (backward) 非有意 ⇒ 変数増加 (forward) (モデルに適合する限り、指標は多いほどよ い) 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 7 SEFAアルゴリズム • Backward – 異常変数の同定 21 s11 s12 11 s S T Λ Λ Ψ 21 p 1 21 p 1 p 1 p 1 適合度を評価 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 8 SEFAアルゴリズム • Forward – 異常変数の同定 s11 s12 S p1 s S 21 p T Λp1 Λp1 Ψ p1 適合度を評価 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 9 SEFAアルゴリズム • Kano & Harada (2000) – 計算量節約のため、LRT を LM 検定で代用 – 各ステップでは、一度のパラメータ推定をお こなうだけで変数を増減したときの適合度を 推定できる 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 10 従来法との比較 • 従来法 – 因子負荷量,共通性に注目 • SEFA – 適合度に注目 Hogarty, et al., 2001(submitted) モンテカルロ実験で比較 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 11 SEFA に対する批判的見解 • Stepwise 法 全般に対するもの – 重回帰分析,判別分析 … • 従来法との食い違い – 他の変数との相関が低い変数 – 他の変数との相関が高い変数 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 12 Stepwise 法に対する批判 • 第1種の過誤の確率が増大 – 自由度が不正確 • 各ステップがそれまでのステップに依存 – 特定の大きさで最良の組み合わせを同定できない • 標本誤差に依存 – 再現性に乏しい ( Huberty, 1989; Snyder, 1991; Thompson, 1995) 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 13 • SEFA は… – モデルに適合しているという制約のもとで できるだけ多くの項目を採用しようとする – 検出力が低いとき、異常変数をモデルに 含めてしまう • cf. 一般的なステップワイズ法 (重回帰分析,判別分析) – 有意性が得られるとき、変数を追加する – 検出力が低いと重要な変数を取りこぼす 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 14 従来法との食い違い • 他の変数との相関が低い変数 – 因子負荷量,共通性,信頼性が低い – 従来法では,除外対象 – SEFA では除外されない (モデルに適合しているかぎり) – 対策: 共通性の検定 (SEFA2002) 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 15 • ダブルスタンダード? – 信頼性(共通性)は因子分析モデルの前提 があってこそ有効 – もちろん内容的妥当性を重視 適合度基準 共通性基準 内容的妥当性 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 16 従来法との食い違い • 他の変数との相関が高い変数 – 因子負荷量,共通性,信頼性が高い – 従来法では,採用対象 – SEFA では除外対象になることがある • 誤差相関がある? 相関が高すぎる項目にも要注意! cf. ヒライ メソッド 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 17 はじめにチェック • Input Correlation Matrix X1 X2 X3 X4 X5 X6 もう少し X7 X8 X9 X10 X11 細かく指定できない . . . . . かなぁ… X12 X1 1.000 . . . . . X2 0.257 1.000 . . . . . . . . . . X3 0.214 0.219 1.000 . . . . . . . . . X4 0.301 0.124 0.270 1.000 . . . . . . . . X5 0.076 0.157 0.234 0.124 1.000 . . . . . . . X6 0.261 0.286 0.250 0.252 0.418 1.000 . . . . . . X7 0.024 0.173 0.117 0.164 0.243 0.324 1.000 . . . . . X8 0.232 0.230 0.377 0.267 0.234 0.332 0.389 1.000 . . . . X9 0.186 0.235 0.238 0.147 0.100 0.154 0.233 0.247 1.000 . . . X10 0.142 0.072 0.236 0.183 0.308 0.241 0.191 0.217 0.392 1.000 . . X11 0.230 0.256 0.265 0.237 0.076 0.151 0.174 0.267 0.413 0.260 1.000 . X12 0.250 0.376 0.369 0.311 0.196 0.320 0.369 0.332 0.427 0.441 0.332 1.000 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ . 18 まとめ • SEFA はモデル適合度を重視 – 客観的指標 • 変数選択の基準 – 内容的妥当性 – モデル適合度 – 信頼性・共通性 経験則 (Rule of thumbs) 統計的検定 (客観的評価) 日本心理学会 第67回大会@東京大学 ワークショップ 19
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