整数計画法を用いた スリザーリンクの解法 杉村 由花 (東京大学) 2005 年 9 月 12 日,ミニ研究集会“組合せゲーム・パズル” @ 京都大学 工学部 情報第一講義室,京都 発表の流れ • パズル「スリザーリンク」 • 新しいパズル「スリザーリンクス」 – 定義 – NP完全性の証明 – IP定式化 • スリザーリンクの解法 • まとめ パズル「スリザーリンク」 ルール: • 盤面上に1つのループを作る • 数字の周囲の4辺には, その数字の数だけ 線を引く 解の有無判定はNP完全 →八登(2000), ハミルトン閉路問題に 帰着 新しいパズル「スリザーリンクス」 ルール: • 盤面上にいくつかのループを作る • 数字の周囲の4辺には, その数字の数だけ 線を引く スリザーリンクスのルール: 詳細 × × ○ 認めない 認めない 認める スリザーリンクスのNP完全性 スリザーリンクスの解の有無判定は NP完全 → 今回証明した • NPに属す → OK • NP完全 → 各頂点の次数4以下の 平面グリッドグラフの3彩色問題に帰着 NP完全性が知られている問題 平面グリッドグラフの3彩色問題 • 各頂点を3色のうち 1色で塗る • 辺で結ばれた 頂点同士は同じ色で 塗られない 彩色問題の頂点: 模式図 拡大 部品: 端子 可能なパターン 部品: 交差 可能なパターン 部品: 電源 可能なパターン スリザーリンクスの解法 • 緩和問題であるスリザーリンクスも, 多項式 時間では解くことはできないと予想される → なるべく速く解ける方法を探す • IP(整数計画)で定式化 → IPソルバーで解く スリザーリンクスの整数計画定式化 各辺に変数∈{0, 1} を対応させる a b c d 2, • 頂点 a a b c d 0, d b a b c d 0, c a b c d 0, a b c d 0. • 数字 a' d ' k b' c' a'b'c'd ' k. 切除平面法による解の更新 追加する式: 各ループLについて x (Lの長さ) 1 xi L i ( xi : i 番目の辺) スリザーリンクの解法 スリザーリンクスを解く 制約式の 追加 ループが 1つ? Yes スリザーリンクの解 No サイズ 10×10 10×18 問題No. 時間(秒) 回数 時間(秒) 回数 1 0.129 1 0.266 2 易 2 0.219 1 0.266 2 3 0.266 3 3.344 4 4 0.282 3 1.797 5 5 0.250 3 0.266 1 6 0.375 4 1.282 3 7 0.672 3 0.266 1 8 0.250 2 1.657 5 9 0.282 3 2.079 4 難 10 0.422 3 1.141 4 0.306 2.6 1.236 3.1 平均 15×25 時間(秒) 回数 3.454 4 2.656 4 1.954 4 693.438 8 4.015 4 22.891 9 10.734 4 Out of memory 4.672 3 190.547 9 103.818 5.4 実験結果の考察 • 人間にとっての難易度とこの方法で解く場合 の難易度にはあまり関係がない • 解くのにかかる時間は, 時々かなり長くなる まとめ • パズル「スリザーリンクス」を考案 • スリザーリンクと同様, スリザーリンクスも NP完全であることを証明 • スリザーリンクスをIPで解き, 切除平面法に よりスリザーリンクの解を得る方法を提案, 実装 今後の課題 • スリザーリンクスのNP完全性証明に使用した 部品を小さくする • よりきつい制約を見つけて, 線形緩和問題で スリザーリンクスを解く • オリジナルのスリザーリンクソルバーを作る • スリザーリンクをIP/LP定式化する 以上
© Copyright 2024 ExpyDoc