スライド 1

ZigBeeノードの受信信号強度を利用した
屋内での人の活動範囲検出法
芝浦工業大学 大学院工学研究科
電気電子情報工学専攻
青木 智資 森野博章
研究背景
• 屋内でのヒトの活動範囲検出のアプリケーション
– 防犯,侵入者検知
– 店舗の来客の動線把握
•ヒトにタグを持たせることが不可能
•パッシブにヒトの活動範囲検出方法が求められる
既存の位置認識技術法
• 赤外線
– ○安価
– ○技術が十分汎用化
– ×センサの設置密度高く,敷設コスト
が増加
• 超音波
– ○検出精度が良い
– ×直進性が強い
– ×センサの設置密度高く,敷設コスト
が増加
• アクティブRFID
– ○通信距離が長い
– ○個体の識別が可能
– ×被測定者がタグを所持
関連研究
• 西正博,“UHF帯テレビ放送波を用いたヒト検知シス
テムの提案”
– 600MHz帯の電波を使用
– 受信機1台で人の活動を検知する技術は確立
– RSSIの変動量がある一定の閾値を超えるかどうかを監視
• 奥川雄一郎,“無線LAN電波を用いた人センシング技
術の基礎検討”
– 2.4GHz帯の電波を使用
– アクセスポイント,受信機で人の活動を検知することが可
能
屋内での人の活動を検知することに留まり,
具体的な位置の特定まではできない
測定法の基本的なアイデア
• ZigBeeノードは各種センサを搭載し,環境モニタリング等の
目的で利用されている.
• 本活動範囲検知システムの特長
– 既に別のシステムで利用されている ZigBee ノードに組み
込む形で提供することを想定する.
– 専用のインフラの構築を必要としないため,安価にシステ
ムを構築できる
ZigBee ノードを複数設置し,互いにパケットを送受信し,
得られた複数の RSSI の変動量を分析すれば,人の活動
範囲を特定できると考えた
次の予備実験では,人の歩行した区間によりどのような
RSSI が得られるか実験を行った.
予備実験1
•既存の文献
•2GHz 帯の無線ノードでのRSSI
の変化についての詳細な報告が
ない
移動パターンと RSSI の変動
特性の間の関連性を調査
実験諸元
各ノードの構成
実験諸元
使用機器
外部アンテナ
パケット送信間隔Tp
パケット
0.5 [sec]
ZigBeeノード
無線周波数
RS-232接続
送信電力
1 [mW]
ノード間距離
4.5 [m]
ノード設置高さ
PC
・Crossbow neoMOTE
WM-Z1100
・RS232 シリアルプロ
グラミング基板
MIB510
2.475 [GHz]
(チャネル25)
床から70cmの机上
往復運動の周期Tm
16秒
一区間あたりの往復
運動の回数
4往復
予備実験1
2
RSSI [dBm]
平行 (a)
測定対象の
無線リンク
1
Time [sec]
移動区間
ノード 1→2 の RSSI
移動区間
2
測定対象の
無線リンク
1
RSSI [dBm]
垂直 (b)
Time [sec]
予備実験1
2
RSSI [dBm]
重複 (c)
移動区間
測定対象の
無線リンク
1
Time [sec]
ノード 1→2 の RSSI
2
測定対象の
無線リンク
1
RSSI [dBm]
非活動(d)
Time [sec]
無線リンクに対して重複して歩行する時が最も変動量が大きい
予備実験2
•予備実験1では,2つのノード間の
RSSI の変動のみを観測
予備実験2では
一つの移動区間に対して複数のリ
ンクのRSSI がどのような影響を受
けるのかを実験
今回は,移動区間2と1を場合のみ報告する
リンク(1,2)を移動した際の各リンクのRSSI
ノード 1→2 の RSSI
4
測定対象の
無線リンク
RSSI [dBm]
3
2
Time [sec]
測定対象の
無線リンク
ノード 4→1 の RSSI
往復運動
ラックに近いノード4→1はRSSIの絶対値は
小さいものの変動量が大きい
RSSI [dBm]
1
Time [sec]
予備実験から得られたRSSI変動特性の知見
• 送受信ノードの近くを歩行した際のRSSIの変動が大きい
重複時にRSSIの変動量が最大になるとは限らない
• RSSIの変動パターンと人の移動パターンは一対一に対応
移動パターンをデータベースとして保存する.
提案手法
• 事前に全てのリンクの標準偏差を求め,データベー
スとして保存する.
• 推定を行う場合は,未知のデータから最小二乗誤差
を求めることで 推定を行う.
(1) 参照データの作成 -11. 各移動区間における全ノードのRSSIの取得
a) あるノード a から b(1≦a≦4,1≦b≦4)に向かうリンク(a,b)に沿っ
て時間 Tm の間だけ人が歩行する.
b) この間に各ノードは他の 3 つのノードから送信されたパケット
の RSSI を取得する.
c) 時間 Tm が経過すると各ノードは取得した全データを外部
サーバ へ送信する.
各ノードが取得したRSSIを ri, j (k) と表記する.
ri, j (k)
・・・
測定を開始して k秒後にノード i の送信したパ
ケットをノード
j が 受信した際の RSSI を示す.
( 1≦i≦4, 1≦j ≦4,i ≠ j, 0≦k≦Tm )
アルゴリズムの具体例
1. 各移動区間における全
ノードのRSSIの取得
buffer
-67
-42
-49
・ある区間を時刻Tmだけ移動
3
2
・各ノードがパケットを送信
・他の3つノードからRSSIを受信
・RSSIを外部サーバに送信
-57
-42
-47
移
動
外部
サーバ
基
地
局
4
1
-65
-57
-62
-57
-45
-47
(1) 参照データの作成 -22. RSSIの標準偏差の算出
a) 外部サーバは,各ノードが取得したRSSI
リンク(i , j)ごとに標準偏差を算出する.
について,各
ri, j (k)
活動時の標準偏差: (a,b),(i, j)

非活動時の標準偏差: (0,0),(i, j)

b) 全ての(a , b)の組み合わせに対して,標準偏差
める.


(a,b),(i,
を求j)
アルゴリズムの具体例
2. RSSIの標準偏差の算出
移動区間(1,2)の場合の全リンクのRSSIの標準偏差
外部
サーバ
(i, j) (1,2) (1.3) (1,4) (2,1) (2,3) (2,4) (3,1) (3,2) (3,4) (4,1) (4,2) (4,3)
σ((1, 2),
1.5 2.4 1.4 1.6 1.3 3.2 2.1 1.1 1.2 2.2 2.9 1.6
(i, j))
単位:dBm
これを全ての移動区間に対して,標準偏差を求める
(2) 活動範囲推定方法 -11. 各移動区間における全ノードのRSSIの取得
a) 各ノードは時間 Tm の間,他の 3 つのノードから送信されたパ
ケットの RSSI を取得する.
b) (1)1と同 様に,時間 Tm が経過すると各ノードは取得した全
データを外部サーバへ送信する.
2. 標準偏差の算出
(1)2 と同様に,標準偏差を算出し,この値を (i, j)と表記する.


(2) 活動範囲推定方法 -23. 差の二乗和SSE(a , b)の算出
参照データとして保存された
二乗和 SSE(a,b)
(a,b),(i,
j)
に対して
(i, j)
との差の
SSE(a,b)  1i4,1
  (i, j)
 j 4,i j  (a,b),(i, j)
2
4. 移動区間の推定
SSE(a,b)が最小となる(a,b)の組を求め,このリンクを人が歩行し
た移動区間と推定する.
アルゴリズムの具体例
3. 差の二乗和SSE(a , b)の算出
参照データ
外部
サーバ
(i, j) (1,2) (1.3) (1,4) (2,1) (2,3) (2,4) (3,1) (3,2) (3,4) (4,1) (4,2) (4,3)
σ((1, 2),
1.5 2.4 1.4 1.6 1.3 3.2 2.1 1.1 1.2 2.2 2.9 1.6
(i, j))
単位:dBm
推定対象のデータ
(i, j) (1,2) (1.3) (1,4) (2,1) (2,3) (2,4) (3,1) (3,2) (3,4) (4,1) (4,2) (4,3)
σ‘((i, j)) 1.0 2.4 2.6 3.4 2.4 2.0 1.6 3.2 2.2 0.8 4.0 2.2
単位:dBm
SSE(1,2) = 15.9
性能評価
実験日時
青色のリンク
黄色のリンク
参照用データ
10月 2日
11月6日 16:00頃
推定対象データ
10月14日
11月6日 17:00頃
3
7
6
4
• 実際の推定ではある区間に
滞在する時間は不明
2
8
5
1
• 今回は推定対象とする人の
移動時間を既知とし,参照
データと同様に16秒と設定
論文執筆時より
新たに追加した区間
ノード
ノード間の中間点(便宜上)
実験の様子
実験室の様子
机上に設置したノード
各ノードは机の上,PCは机の下に設置.
PCは机の下に設置.
ZigBeeノード
移動区間の推定の具体例
非活
動時 (1,2) (2,1) (2,3) (3,2)
非活
動時
(1,2)
(2,1)
(2,3)
(3,2)
}
移
動
区
間
8.2
43.2
34.8
48.3
46.8
16.4
15.9
11.7
32.9
30.1
14.5
13.1
8.4
28.1
25.2
31.0
26.5
19.7
9.5
10.9
移動方向あり
19.2
23.5
16.1
11.7
12.8
参照データ
} 移動区間
推定対象のデータ
推定対象のデータ
参照データ
非活
動時 (1,2) (2,3)
非活
動時 8.2 15.6 25.8
(1,2) 39.1 11.4 20.3
(2,3) 49.1 29.2 10.5
移動方向なし
性能評価では 移動方向の区別なし として評価を行った
参照データと推定対象データの最小二乗誤差の算出結
果
検出率90%
考察
推定可能:
推定不可能:
• 無線リンクと重複しない場所で
も推定が可能
3
7
6
4
2
8
5
1
• 10月14日の実験
– リンク(2,4)が推定に失敗
• 11月6日の実験
– 窓のブラインドを下げる
– リンク(2,4)は正しく推定
推定に失敗した(1,3)リンク
1番ノード付近にガラスの入った
扉があり,その付近を人が通行
する際にRSSIの変動を受けたた
めではないかと考えられる
まとめと今後の課題
まとめ
• 電波を利用し,少数のノードをで人の検出を可能にする方法につ
いて提案
• 移動区間の推定は約90%で推定可能.
今後の課題
•
•
•
•
推定対象の人の移動時間が未知である場合の推定方法
部屋の規模による最適なノード数の検討
人の歩行速度による検出率の変化の関係
ZigBee ノードのバッテリ駆動を考慮した最適なパケットの送信間隔
の検討