野口大輔

卒業研究概要
提出年月日
2014 年
1 月 31 日
卒業研究課題
アドホックネットワークにおけるノード間無線信号強度の測定方式の検討
学生番号
N10-114
概要(1000字程度)
氏名 野口 大輔
指導教員
松井 進教授
印
1.研究背景と目的
アドホックネットワークはノードのみで構築可能な無線ネットワークである。直接電波が届かないノード間
も他のノードがデータを中継することで通信が可能である。この中継ノードの選択はノードが自律分散的に行
う。安定した通信を行うには、無線電波強度を中継ノード選択メトリックとして用いる必要があり、今回は無
線 LAN を対象としたノード間無線電波強度測定方式を検討した。
2.一般の無線 LAN における無線電波強度測定
無線 LAN では無線電波強度として一般に RSSI(Receive Signal Strength Indicator)が用いられる。Linux
での無線 LAN 対応の Wireless Extention コマンドである iwconfig を使用すると通信相手ノードの RSSI 値を
求められる。しかし、一般の無線 LAN は無線 LAN-AP とクライアントノード構成であり、iwconfig での RSSI
値は AP の値となる。
3.アドホックネットワークにおける RSSI 値測定上の課題
アドホックネットワークはノード間が無線 LAN のアドホックモードによりメッシュ状に接続される構成で
ある。この場合、iwconfig の RSSI 値は、アドホック接続の親となるノード(BSS-ID 対応ノード)の RSSI 値
となる。中継ノード選択メトリックとして RSSI 値を使用するためには接続ノード毎の RSSI 値(MAC アドレ
スと RSSI 値の組)を測定する必要がある。 4.接続ノード毎の RSSI 値測定方式 当初は Linux コマンドの Wireless Extensions で定義されている iwspy を使い RSSI に関する情報を取得し
ようと考えた。しかし、iwspy は最新の OS のバージョンではサポート外であることが判明した。Wireless
Extensions 内の他のコマンドは、RSSI 値は測定できたが、全て AP の値であった。Web の Q&A サイト(英
文)を数多く調べたが、iwspy が使えなくて困っているという投稿がほとんどであった。幸い、Linux の無線
LAN ドライバ Madwifi の開発者と連絡が取れ、質問したところ、ドライバ内には MAC アドレス毎の RSSI 値
が格納されているとの返答を頂いた。更に調査を進め、ようやく最新の無線 LAN 関係の iw コマンドにたどり
着いた。iw コマンドの station dump コマンドを用いると端末毎の RSSI 値取得できることが判明した。
5.RSSI とスループットの関係 端末毎の RSSI 値の測定が可能となったので、IEEE802.11g 無線 LAN を対象に RSSI 値とスループットの
関係を測定した。これは RSSI 値を中継ノード選択メトリックとして使用するために必要な測定である。スルー
プットは一般に広く用いられているスループット測定ツールである netperf を使用した。結果は-55dBm 付近ま
では安定したスループットの値で通信できていることが確認されたが、それ以降からスループットの値が落ち
続けた結果となった。これにより、RSSI 値が-55dBm 以上の無線リンクを使用することで安定した通信が行え
る見通しを得た。 6.まとめ 本研究ではアドホックネットワークにおけるノード間無線信号強度の測定方式を検討し、iw コマンドの
station dump コマンドにより端末毎の RSSI 値の測定が可能なこと及び、RSSI 値が-55dBm 以上のスループッ
トが安定していることを示した。