マサバ資源管理方策の検討

マサバ資源管理方策の検討
• 松田裕之・河合裕朗*・勝川俊雄(東大
海洋研、 *(株)公文教育研究会)
• 河合裕朗・谷津明彦・渡邊千夏子・三
谷卓美・勝川俊雄・松田裕之による中
央水研との協定に基づく共同研究の
中間発表
• 渡邊良郎氏・和田時夫氏に感謝
2015/9/28
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データと方法
• 谷津明彦・三谷卓美・渡邊千夏子
– 漁獲統計と年別体長組成、成熟率
– コホート解析結果
• 乱獲度=Weighted Transitional SPR
• RPS解析(Beverton-Holtモデル)
• 過去を読む(90年代の漁業を検
証)
• 未来を読む(資源復活確率)
2015/9/28
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かってサバはいつ復活した
か?
1950年代
への回帰
2015/9/28
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加入量が大きく変動
Var[加入量]:80s>90s, P<0.3%
Var[RPS]:80s<90s, P<10-7
2度の卓越年級群
2015/9/28
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再生産成功指数
RPS(Recruit per Spawning)
= (加入尾数/親魚重量)
RPSt = at /(b+SSBt)
a = 1090 (/ton)
b = 0.668  10-6 (/ton)
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Weighted Transitional
Spawning Potential Ratio
• Static %SPR=SPRt,/SPRt,(F=0)
tm ax
tm ax
a0
a0
%SPRt  Wa,t ma,t Sa,t / Wa,t ma,t Sa,t *
• Weighted Transitional SPR
tm ax
tm ax
a0
a0
SPRt   N0,t aWa,t ma,t sa,t /  N0,t aWa,t ma,t sa,t *
• Sa,t=exp[-ΣZb,t], sa,t=exp[-ΣZb,t-b],
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Weighted SPR, static SPR
年 1991
1992 1993 ・ ・
1999
0歳
S0
S0
S0
・ ・
S0
1歳
S1
S1
S1
・ ・
S1
2歳
S2
S2
S2
・ ・
S2
S3+
S3+
S3+
・ ・
S3+
(一部成
魚)
成魚
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(SSB)
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激しい乱獲,未成魚捕獲
70年代
尾数
2015/9/28
80年代
90年代
93年以降
65.0 60.0% 87.0% 90.6%
%
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回復から高水準期まで10年以上?
• 1960年代前半から、マサバは回復を
始めていた。(産卵量、神奈川県漁獲
量)
• 全国漁獲量が増えるのは1970年代
• 産卵場は広がらないのか?
• 高水準期の資源量は、実際にはもっ
と多いのではないか?
2015/9/28
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過去を読む
•
•
•
•
rt 
at
b 1/ ssbt
at = Rt (b+1/SSBt) 各年の値
資源尾数Na,1991,体重 Wa,1991,
成熟率 ma,1991 は過去の値
漁獲係数Fa,t を方策で決める
M / 2
Ca,t  Na,t e
Na,t  Na1,t 1e
2015/9/28
M
 Fa ,t
(1 e
 Ca1,t 1e
)
M / 2
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4つの方策
• 現状どおり(各年各齢のFa,t)
1. 卓越年級発生翌年は未成魚保護
•
Fa,t=昔のFa,tの半分(0、1歳のみ)
2. 70-80年代のFa,tそのまま
3. 1+2の組み合わせ
4. さらにその45%
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資源復活の逸機
2015/9/28
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漁獲量も十分だった
2015/9/28
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マサバの未来を読む
• 方策0=94年以降の平年のFa,t、卓
越年級翌年は93,97年のFa,t
• 再生産成功指数at は90年代の値を
無作為抽出
• Na,1999から出発して20年分計算
• 親魚資源量100万トン以上の確率
• 累積漁獲量
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漁獲の回復確率(50万トン以上)
2015/9/28
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資源の回復確率(100万トン以上)
2015/9/28
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10年後の漁獲量の確率分布
千トン
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結論=失われた10年
• 未成魚漁獲圧を昔より高めた
• 90年代の2度の卓越年級群を未
成魚時に乱獲していなければ、
資源回復は可能だった
• 今後も未成魚を取り続ければ、
20年以内に回復する確率は皆無
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